児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
難民問題では英仏関係も厳しい カレー市の難民キャンプ「ジャングル」

  ドーバー海峡に面した港町カレーにあるイギリスを目指す難民の一大キャンプのことは我が国ではあまり知られていない。

 イギリスを目指す難民9千名が、対岸の英フークストンに近い「ジャングル」といつしか名がついた、この劣悪なキャンプにいる。その数9千ともいわれる。子供だけの難民も300いると報じられていた。

 仏政府は各地の難民受け入れセンターに分散し、閉鎖すること発表している。

 これに対し、サルコジ前大統領がオランド社会党政府のこの分散計画を批判している。分散させても、彼らは数か月後に戻ってくるとし、イギリスが対処すべきと厳しく論難している。

Calais camp: Sarkozy says UK must take responsibility. EurActiv.21 September 2016.

 なお、この問題ではなおBBCは難民という言葉を使わず、経済移民も含んだ雑駁な概念である「migrant/マイグラント」という表記を続けている。

参考ブログ

2016.09.18 Sunday EU離脱を決めた英がEUの防衛同盟構想に拒否権をいうナンセンス、そして難民問題

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4126

| 児玉昌己 | - | 11:41 | comments(0) | trackbacks(0) |
ため息が出る難問山積のEU-難民、英離脱はEUの多段階統合をさらに進める

 EU機関とEU主要加盟国の政治家は全く頭が痛い。何より難民問題。

 そしてキャメロンの博打というべき国民投票と、それによる、英のEU離脱と英政府の対処方針の欠如。

 難民問題でメルケルは、時計の針が戻ってほしいというほどだ。現在の政策は間違っていないというものの、対処法を誤ったと公然と認めた。

 難民対応で問題認める=「時計の針戻したい」独首相 時事通信 920

そうだろう。あのすべて受け入れという感動的演説がシリア難民に希望の火を焚きつけた。

 昨年の9月がそのピークだった。膨大な難民にEU移住を決意させた。ドイツのメルケルのあの言葉があったがゆえに、ユンケル欧州委員会は難民の配分に一挙に傾斜した。

 これに反発したのは中・東欧だ。特にオルバンのハンガリーはEUレベルでの難民対処における最大の抵抗勢力となっている。オルバンは難民を「害毒」と表現した。

 もともと、社会主義国家で、厳しい入国管理を実施し、人権についても、自由、民主主主義、法の支配というEUの基本的価値が十分理解されていず、加えて、異文化、宗教の違う異民族の大量流入である。ハンガリーはスロバキアに続き、欧州司法裁判所に、欧州委員会の配分計画を提訴した。

 それと並行して、ハンガリー、102日には、難民の受け入れ配分の決定を認めるか、国民投票できめるという挙に出た。

 2015年9月に閣僚理事会で多数決で議決し決定した個別政策事項を、国民の意思を聞くとして、国民投票にかける動きは、前代未聞だ。

 条約改正ではマーストリヒト条約から、リスボン条約に至る過程で複数回EUは国民投票を経験した。

 だが、一般のEU法についての個別国民投票は初めてで、この方式がまかり通るならば、EUの意思決定はマヒし、EUは解体する。

 単なる一加盟国イギリスの離脱どころの話ではない。EU全体すなわち、離脱する英を除く加盟27カ国に及ぶ根本的問題である。

 なおハンガリーが実施するこの国民投票では投票率が50%以上でないと効力を発しない。同国の極右民族主義政党のヨビックは50%集まらなければ、与党は責任をとれと言っている。

 難民割り当てはEU法であるがゆえに、これについては、欧州司法裁判所に司法管轄権があり、今後の推移如何では、ハンガリーを相手に提訴され、争われる可能性がある。

 それはそれとして、難民を「害毒」とまで述べている。

Orbán says migration is Europe’s ‘poison’By EurActiv.com with AFP27 July ‎2016.

 これまでのEUでの議決をまるで無視していることに業を煮やした欧州委員長ユンケルの友人のルクセンブルクのジャン・アセルボーンJean Asselborn外相は、ハンガリーはEUから排除されるべきであると強い言葉でその不満を語っている。

EU should kick out Hungary, says Luxembourg minister. EUobserver, 13. Sep,2016.

 こうした中東欧4か国の反対について、そのきっかけとなった理事会での決定がなされた昨年9月にフランスのオランド大統領は、強い怒りを表し、EUから脱退せよといわんばかりに以下述べている。

「我々と価値を同じくしない人たち、そうした原則を尊重しようとさえ思わない者は、EUにその居場所があるのか、自ら問う必要がある」と。

 オルバンの思想と行動は、EUの価値を共有するものでないことは明白だ。

 なお北欧諸国もハンガリーはEU法を侵していると、述べた。

 以下がそれだHungary breaking EU law on migrants, Nordic nations say. EurActiv.com with AFP. 22 Sept. 2016.

 EU内で、その理事会決定をめぐり、かくもとげとげしい対立を生んでいるのはあまりなかった。

 ハンガリーのオルバンを擁護する気はさらさらないが、難民危機については、私かかつて「棄民」とも述べたこともあり、「大量出国」(mass exodusと表現したことは、一面の真理であるといえなくもない。

 いずれにせよ、民生を支える基本である国家の統治構造がガタガタで、体をなしていない状況で、難民として大量出国をしているのである。したがって、下記の表題にあるオルバンの認識とは違い、大量出国は、難民危機なのである。

Hungary says this is not a refugee crisis, but mass exodus. EurActiv.com. ‎14 June 2016

 難民問題では、確かにドイツのメルケル政権は、空前の規模の難民がドイツを目指して、中東欧諸国を横断してくるというように、その判断が適切ではなかったし、欧州委員会は性急すぎた。

 それが中東欧の反発を招いている。

 ただでさえ強大なドイツだ。その一挙一投足はEU政治に直接的に影響を及ぼし、EU政治を緊張させる。ただでさえ難問山積のEUだ。不必要にEU政治を緊張させる勿れである。

 丸山眞男の愛弟子で、尊敬するドイツ派の政治学者、故脇圭平先生(同志社大学)は日頃口にされていた。

 政治はバランスである、と。

 EUは、ユーロにみるごとく、ユーロ圏と非ユーロ圏に分裂して多段階統合の状況にある。そのEUは、今後、ハンガリーなどを後景に置きつつ、欧州石炭鉄鋼共同体を創設した独仏ベネルクスなど統合の中核部分での統合の深化というように、EUの多段階統合をさらに進めていくと考えている。

 

追記

 なお難民問題については、「大量難民流入とEUへの衝撃」と題して、学士会会報2016年5月、918号に論考を掲示している。

参考記事

「EU難民分担、禍根残す多数決 チェコなど4カ国が反対」 日経2015/9/23

参考ブログ

2015.09.06 Sunday 政治を変える1枚の悲劇の報道写真 シリア男児の死

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3899

 

| 児玉昌己 | - | 23:25 | comments(0) | trackbacks(0) |
「戦友」との語らい 日経ブリュッセル支局長経験者の瀬能さんとの午後

 案じていた台風は九州を去った。延岡など南九州に大きな被害を残して。

 今日は、扇風機の風が冷たく感じるほどだ。車の車外の気温計では22度となっている。

 一時期37度もあったことを考えると、快適そのもの。

 昨日はその台風接近を気にしつつ、日経新聞の瀬能論説委員が無事久留米入り。

 2週間ほど前、私が専門にしている欧州議会などのことで、時間をとってもらえないかと、打診されていたのである。もとより歓迎である。

 瀬能繁さんでいえば、4年前、私の母校である欧州大学院大学の記事を書いて、紙面を通して存じ上げていた。

 明日からは大学の後期が始まる。研究棟も新校舎への移転で、てんやわんや。それで祝日でもあり、気分的に余裕のある昨日、自宅でお会いすることにした。

 せっかくの久留米訪問となれば、NHK風に言うと、「誰にでも来るヒルメシ、サラメシ」は、筑後地方の名物料理を一緒にと考えていた。それゆえ早めの来訪をお願いしていたのだ。

 実際、12時ともなれば、名店は、混雑する。それを避けて、ウナギの老舗、富松でセイロを食した。

 その後、自宅で、たっぷり時間をとり、取材を受ける。取材というより、リラックスした雰囲気での意見交換。

 瀬能さんはブリュッセル支局長経験者だ。

 ブリュッセルを含め、プレスメディアには、欧州主要都市の支局で活躍した記者の友人諸氏に恵まれている。

 現在は朝日新聞を定年を前に阪大に移籍し、特任教授をしている脇坂紀行や、現職の、毎日のローマ支局長福島良典、山本忠彦編集委員の諸氏がそうだ。

 西日本新聞でも高校が同じで、ブリュッセルに近いパリ支局長を務めた井手季彦氏もいる。

 ブリュッセルはベルギーの首都だが、それにとどまらない。EUの首都でもある。

 それゆえ欧州議会、欧州委員会、欧州理事会、閣僚理事会と一般には全くなじみのない機関がブリュッセルには目白押しだ。

 この地で起こることは、即、欧州政治と国際政治に大きな影響を及ぼす。EUの権限が単一欧州議定書以降、ここ30年余で格段に強化されているからである。

 英のEU離脱Brexitは、イギリスがEUの権限拡大を嫌ったからこそ、起きたのだ。

 それだから、ブリュッセル支局からの記事は貴重で、学ぶところが多く、できる限り各紙をフォローしている。

 ブリュッセルの経験者は、EU研究者から見れば、EUの情報収集と分析と情報提供では、身近な「戦友」と思っている。EUは実に広大な対象で、情報収集、分析、研究では、一人でカバーできることなど微々たるもので、たかが知れている。実に、メディアはもとより、官民挙げて、総力戦で戦うしかない。

 「戦友」なればこそ、EU政治の専門家として、またベルギーで研究をし、EU研究で禄を食んできたものとして、時に厳しいことも指摘することもある。

 そんな「戦友」の瀬能さんからも、私も学ぶ、楽しい語らいの、貴重な午後だった。

 

参考ブログ

2012.03.20 Tuesday日経紙 我が母校の欧州大学院大学(College of Europe)をカバーする

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3095

2007.05.10 Thursdayパリ支局長(西日本新聞)井手さんのこと 

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=575

2011.11.19 Saturday 比較文化研究所欧州部会の毎日新聞外信部、福島良典副部長講演の司会に出る

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2996

 

| 児玉昌己 | - | 19:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
党の存在理由を失った英国独立党(UKIP)は消滅あるのみか 新党首就任に寄せて 

  政治学者にとって、現代のイギリス政治は無類に面白い。

 特に選挙制度、特に小選挙区制度と比例制度が、同じ国家の下院議会と欧州議会の選挙制度で別途採用されていて、それがどれほど政治生活に影響を及ぼすのかを、これ以上の例はないというほど明快に示してくれるからだ。

その典型的事例が英独立党(UKIP)である。

 この党、欧州議会のイギリス選挙区では第1党で、保守労働党という政権を担当してきた2大政党をも凌いでいるのである。

 他方、国内政治に直結する下院議会選挙では、議席はわずかに1。しかも党首自身が落選して、議席がないという状況だ。 その党首は、言わずと知れて、ナイジェル・ファラージュである。

この政治家については、EurActivが以下のように評している。

 「下院議員以外でEU離脱の国民投票の政治過程に最も影響を与え、それを勝利(離脱)に導いた人物はほかにないといいうる人物」who has a fair claim to have influenced the course of British politics more than any other non-MP following his campaign’s victory in the June Brexit referendum と書いている。

 ナイジェル・ファラージュのことはこれまでもこのブログで書いた。

 今日書きたいのは、その後継者が16日の党大会で欧州議会議員のダイアン・ジェームズ女史に決定したということだけでなく、EU離脱という年来の唯一の主張が実践されて、党の目的と、党そのものの消滅を前にして、今この党、自己の立ち位置をどう考えているかである。

 実際、欧州議会(英選挙区定数73)からその議員22名がEU離脱で辞職すれば、イギリス国内では、わず1議席の泡沫政党に逆戻りするのである。それをどう考えているか、それが知りたいのである。 

これについては、朝日のロンドン特派員、笹井継夫が伝えている。やや安直だが、党のホームページからその意思を紹介している。

それによれば、ジェームス氏は私の目標は、英国独立党を真の野党にすることだと述べ、現在は下院に1議席しか持たないが、党の勢力拡大を目指す姿勢を示した旨紹介している。

 実際、それしかこの党には明日はない。

 しかし、その実践の具体的方法が問われる。すなわち、如何にして議席拡大を図るのかということになる。

 現在は、直近の下院議会選挙結果によれば、保守党と労働党の場合、「1議席に必要な得票」votes elected per MP)はそれぞれ、4万票と3.5万票あまりである。だが、UKIPにいたっては400万票余りである。小選挙区制度で膨大な死票が生まれ、この政党、その最大の犠牲者になっているのである。

 すなわち、どう転んでも、この党、現状の小選挙区制度では今後も徹底して締め出されていくことは確実であり、比例代表制に活路を見出すしかない。

 言い換えれば、UKIPが蛇蝎のごとく嫌った欧州議会の民主的な代表制へのイギリスの選挙制度の歴史的転換しかありえないのである。

 UKIPはまさに欧州議会の民主制が生み出した「鬼っ子」であったということができる。

 春秋の筆法を借りれば、欧州議会の民主制が英にUKIPという鬼っ子を生み、そして英のEU離脱をもたらしたということにもなる。

 国内政治にいかにして比例制を導入できるかという選択肢しか、党の存在はありえない。

 その意味では、同じく徹底して、封じられている英自民や緑の党と全く同じなのである。

 イギリスは近代議会制度の父ではあっても、21世紀においては民主的議会の父ではおよそないのである。

 欧州議会最大会派、欧州人民党の議長マンフレート・ウェーバー(ドイツCDU出身)は、ファラージュ自身、下院議会選で自らも落選し、わずか1議席と大敗しながらも、欧州議会に顔を見せたことについて、皮肉たっぷりに以下のように述べている。

「彼はこの間、EUに積極的なものを見いだしたことだろう。すなわち、EUはイギリスに存在するよりも、遙かに上質の選挙制度を持っているという事実であり、もし欧州議会が比例制を採用していなかったら、ファラージュは、もはや職さえ失っていたころだろう。」

 “In the meantime he has found something positive in Europe,” Weber added. “Europe has a far better electoral system than the one that exists in the UK because, if Europe didn’t have a proportional system for elections, he wouldn’t have a job anymore.”

と語っている。

 自党、英独立党が念願かなってEUから離脱を選択したイギリス。

 UKIPの新党首となったダイアン・ジェームズ女史は「英国独立党を真の野党にする」という彼女の目的を果たして、達成できるか。

 今や徹底した既得権益の保護者で、守旧派になった二大政党制の鉄の結束を崩せるのか、英下院という封建遺制の選挙制度の悪しき伝統を砕けるか見ものではある。

 ただ、これまでの経緯を知るものからは、最大の受益者として現行の小選挙区制度に満足している保守党政権である限り、比例への制度改革は、はなはだ疑問でもある。

 ちなみに欧州議会で直接選挙が導入されたのが、1979年。欧州議会選挙法は1976年、実施は78年予定であったが、英の準備で1年遅れた。

 そしてイギリスをEUからの「独立」を党名に掲げ、EU離脱だけを目的にしたUKIPが3議席を得て、欧州政治に初めて登場したのが、1999年。この年、欧州議会のイギリス選挙区は小選挙区制度から比例への転換したのである。そしてそれによってUKIPが政治における正統性を得たのである。この年はイギリスの対EU政治の転換点であったといえる。

 それは労働党出身のあのブレア首相によって、過剰代表された議席を30以上も減らす、まさに「身を削る」痛みで、断行された。

 なお、欧州議会が加盟国政治に影響をおよぼし、それを規律しつつある。それは、UKIPの事例が端的に物語っている。

 総選挙で大敗しニッククレッグから代わった英自民党の新党首のファロンが、ファラージュのUKIPのイギリス政治に働いた影響力における欧州議会の役割を念頭に、以下実に興味深いことをガーディアン紙に書いている。

 Farron said that people abroad were increasingly associating the UK with figures like Farage, the former Ukip leader. “When Nigel Farage gets up to speak in the European parliament it’s noticed by very few people here, but it’s noticed by pretty much everybody on the continent,” he said.

Tim Farron: ‘We mustn’t allow the faces of Farage, and Johnson, Davis and Fox to represent Britain. They don’t.’ The Guardian. 31 August 2016.

 簡単に訳せば、ファラージュが欧州議会で語ることは、イギリスでは誰も気にも留めない。だが、それは欧州議会を通して、欧州大陸で実に多くのものそれに関心を払う、というものだ。

 大方のイギリスが全く無知であり続けているか、あるいは意識的に知ろうとしない欧州議会の重要性について、英自民党党首ファロンは語っているのであり、EUを離脱するとはいえ、欧州議会の意味を改めてイギリス国民は知るべきだろう。

 ちなみにファロンの言を紹介したガーディアン紙の記事はナイジェル・ファラージュや、ボリス・ジョンソンあたりがイギリスを代表する顔であるなど許してはならない、というものだ。

 参考記事 

Farage hands post-Brexit UKIP leadership to Diane James. EurActiv.com with AFP 2016916

Leading MEP makes fun of FarageBy EurActiv.com with AFP ‎2015‎‎5‎‎21‎

参考ブログ

2015.05.30 Saturday M・ウェーバー欧州人民党党首が英独立党ファラージュを嗤う EU議会の選挙制度の先進性とイギリス下院の小選挙区選挙制度の後進性

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3842

2014年欧州議会選挙余滴1 UKIP党首のファラージュのこと
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3684

2014.10.21 Tuesday人種差別主義者、ホロコースト否定論者を入党させUKIPEFDD瓦解回避(英ガーディアン)

http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20141021

 

 

| 児玉昌己 | - | 00:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
雨宿りするトンボやクモ それを詠む 海鳴庵児玉

 静かな日曜日。台風16号の接近は先のものと同じく、遅い。未明から断続的に大雨が降っていたようだ。

 

 大雨に トンボもクモも 雨宿り 久留米の朝は 不意の客在り

                  海鳴庵児玉

 

| 児玉昌己 | - | 10:04 | comments(0) | trackbacks(0) |
EU離脱を決めた英がEUの防衛同盟構想に拒否権をいうナンセンス、そして難民問題

  EU政治におけるイギリスの傲慢ともいえる自己中心主義の論理については、すでにブログで書いたところだ。

今回それがまた明らかになった。イギリス抜きの初の本格的な欧州の将来を検討する欧州理事会がスロバキアの首都ブラチスラバで開催された。

ここで、独仏が主導して、防衛同盟構想が提起され、大方の同意を得たが、離脱するイギリスがすぐに拒否権を発動するなど言っている。

UK to veto EU 'defence union' EUobserver. 2016918

まったく無様なことだ。

イギリスが拒否権を発動するなどと言っても、リスボン条約50条の発動となれば、残されたEU加盟の時期は、あと2年のことでしかない。

離脱後はEUという欧州を束ねる空間の外に自ら出ることになる、そのことの意味をまるで理解していないようだ。

しかも年明け早々には表明されるEU離脱交渉でイギリスはEU側との交渉で、現状に近い条件を引き出せるかが問われるように、まったく劣勢に置かれることになる。しかるに、EU27か国が求める軍事同盟強化をNATOとの重複として拒否権を使うなどといって、敵に回す。

 それがイギリスの最大の懸案である対EU通商交渉に影響するか、自国の立場を全く理解していないことのようだ。

 何より、離脱する側がEUの新構想にあれこれ容喙すること自体が、笑止千万である。

 今後とも624日の国民投票の結果が何であったのかもわからないように、フルメンバーであり続けるように錯覚しているとしか思えない。

 離脱問題で当面一番重要なのは、離脱交渉表明の時期がでこれが最大の焦点なのだが、欧州理事会議長、いわゆるEU大統領のトゥスクが、イギリスの新首相メイとの会談で、イギリス側が12月と50条の発動時期について触れたことを明らかにしている。

<英EU離脱>「通告は17年1〜2月」 EUに英首相説明毎日新聞917

 いつまでも明らかにしないイギリスに先手を取ったものだろう。実際、イギリスにとってもいつまでも宙ぶらりんで自国の離脱交渉の基本方針さえ提示されないということでは、新政権の無能さが指摘されることにもなる。市場も不安定さを回避することでは、具体的に進むことを期待している。

 EU統合をブロックしていたのがイギリスであったことが日々明らかになるのが、上述した軍事同盟強化の欧州の動きだ。

 イギリスは実際、自国中心でしかものを考えていない。英抜きのブラチスラバEUサミットで討議されたのは難民問題もである。    

 国内の離脱論争でも問題になっていたのはEU加盟27か国の市民の流入のことであり、東欧や独、墺、伊仏が抱えている絶対的問題というべきシリアや北アフリカからの難民問題については、イギリスはほとんど気にする必要さえなかった。  

 しかも、イギリスの公共放送であるBBCは「難民」とEU市民によるイギリス移住を意味する「移民」を、一緒の言葉でmigrantと表現し、refugeesの問題の所在を不明にしてさえいた。

 ちなみに、BBCは、migrantの表記の定義について、以下、書いている。

A note on terminology: The BBC uses the term migrant to refer to all people on the move who have yet to complete the legal process of claiming asylum. This group includes people fleeing war-torn countries such as Syria, who are likely to be granted refugee status, as well as people who are seeking jobs and better lives, who governments are likely to rule are economic migrants.

 

migrantとrefugeeの違いはオックスフォード英英では、以下歴然としている。

a person who moves from one place to another, especially in order to find work.

a person who has been forced to leave their country or home, because there is a war or for political,religious or social reasons. Oxford Dic.

 他方、上記のBBCの伝え方は、亡命希望者をいいつつ、経済移民もそれに含まれるように、まったく判然としない。いやあえていえば、難民問題に消極的であった当時の保守的来なキャメロン政権の意を体して、用語を不明にすることで、BBCは難民問題の深刻さを意識的に過小評価しようとしたのかもしれない。

 BBCもそういえば、反EU報道で、EUへの偏見を助長したことがスイスの報道監査機関で明らかにされている。

 ともあれ、去っていくイギリス。

 わが国では「立つ鳥、跡を濁さず」ということわざがある。東洋の美学を学ぶ必要がある。

 参考ブログ

2016.09.15 Thursday

EU離脱は英の論理だけでは動かない 欧州議会によるベルギー元首相の交渉担当指名の意味

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4124

2016.09.06 Tuesday 相変わらずの自己中心の無責任さを曝す英の離脱派閣僚と低レベルの英離脱派メディア

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4121

2016.07.11 Monday EU離脱についてのタブロイド・メディアの責任

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4082

2015.09.16 Wednesday 移民か難民か 表記問題を扱うAFP時事通信社の見識

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3903

2015.09.12 Saturday EUが直面する異次元の難民問題 BBCのテレビ表記の若干の疑問

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3902

2015.09.06 Sunday 政治を変える1枚の悲劇の報道写真 シリア男児の死

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3899

2014.06.18 Wednesday

再びキャメロンの対EU政策批判 孤立化を深める英保守党政権 プラハにて

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3689

2014.06.18 Wednesday キャメロン批判 2 ふるっている欧州市民の書き込み キャメロンよ ゲームは終わった プラハにて

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3690

 

 

| 児玉昌己 | - | 00:55 | comments(0) | trackbacks(0) |
民進党党首選挙のこと 

 民進党党首選が蓮舫を選出して、終わった。

 2日ほど前にキャメロン辞職とのことで触れたのだが、改めて関係するところを書きだしておこう。

 民主党、オッと違った民進党党首選。なんだか台湾のことみたいだ。

 日本でも自己の国籍さえまともに説明責任も果たせずアレコレと釈明し、謝罪に追いやられる政治家がいる。そういえば岡田代表を「つまらない男」と形容し、これまた謝罪においこまれた。政治の運営のはるか以前に、日本語能力がまるでないといえる。

 そんなレベルの候補が野党第1党の党首選を争っている。

 この政治家、スパコンという国家の最大級の政策目標をスーパーの大根みたいに扱ったことでノーベル賞受賞者の怒りを買った過去がある。国会をファッション雑誌の舞台に使って、当時の西岡武夫参院議長に注意処分を受けたこともある。

 しかも「仕訳」という言葉で、わが国政治史に醜悪さを残したように、政治をショーにし、有能な官僚諸君を、公共の前で見せしめにした、現在でも国民から選挙で指弾され続けるあの無能政権の当事者の1人でもある。

 対立候補も「いうだけ番長」とかいう、これまた無責任そのものあだ名を持つ無能だったあの政権を担った候補だ。

 両名とも、今も、政権を担うにふさわしいとは、利害関係者以外、誰も思わないあの政権の当事者だ。

 党首選を争うなどあの無様な民主党政権の愚昧なる政権運営の責任を取ってからのことだろう。実際、尖閣隠しをやり、原発禍で国民を疑心暗鬼にさせ、虚偽というべき議員定数過大論に立ち、あろうことか、80名もの議席削減と時代錯誤の小選挙区制度への傾斜を公然と主張するなど、反民主主義、大衆迎合の政権運営であった。

  いかにこの党、人材がいないかということだろう。

 築地移転の都政のごたごたにみるように、政治家は、国政から市町村長に至るまでその権限に応じて、利権を左右できる何らかの権力者である。

 とりわけ指導者となる政治家には、すべからく、それを政治に送り出す有権者は注意を払っていく必要がある。

 政治の世界では、どの党であれ、利口ぶった政治家が上に立つとろくでもないことになる。

 そういえば、かつて、自民には「神輿は軽くてパーがいい」といった有力政治家がいたが、とてつもなく傲慢なことだった。

 この政治家、イギリスの時代錯誤の小選挙区制度を理想化し、欧州政治では比例制が大原則であることも知らずに小選挙区という得票と獲得議席に異常なかい離をもたらす制度の推進にまい進した。

 その結果、安保法制では自党が出した憲法学者がなんと違憲だとする、憲法秩序を揺るがす現在がある。あの政治家、果たして今何をしているのだろう。

 

| 児玉昌己 | - | 09:49 | comments(0) | trackbacks(0) |
EU離脱は英の論理だけでは動かない 欧州議会によるベルギー元首相の交渉担当指名の意味

 イギリスのEU離脱については、きょう日本経済新聞に「海外事情」(拓殖大学海外事情研究所)の発売の広告が出た。中東特集号だが、私の論考、「英のEU離脱の衝撃」も中東関係の諸論文の最後に単独論文として並んでいる。ちなみに同誌は通常の大学の研究所の紀要ではない。売り物として毎月出され、執筆者も政府機関の関係者も多く、内容も充実し、注目度も高い。執筆依頼は光栄なことであった。

 通常は12月が欧州特集号だが、EU離脱はタイムリーなテーマがゆえに、単独で出すから、書いてほしいと依頼があったのだ。もとより国民投票の当日ロンドンで状況を分析していた私もぜひとも書きたいことだった。

 猛暑のさなか、1か月余りで脱稿した論文だ。政治学の立場からその意味と理由を連邦形成へのイギリスの抵抗という視座で書いた。一読いただければ幸いだ。

 さて、今日は英のEU離脱の新たな動きを書こう。

 日本のメディアは総じてイギリス政治に特化して、ソ連崩壊に匹敵するこの出来事を書いている。だがそれだけではおよそ不十分である。 なぜならEU離脱の条件については、イギリスが決められる問題ではなく、EUに最終決定権があるからだ。イギリスの政治家はそれを忘れているか、過小評価している。

 しかもイギリスを代表するFinancial Timesのギデオン論説委員など、Brexitの意味が理解できていない。これは海外事情の論考でも触れた。

実際、彼は、ユーロの強化やユンケルの欧州委員長就任にキャメロンのお先棒を担ぐかのごとく徹底して反対していた。

そしてBrexit国民投票での離脱の結果に驚愕し、マーストリヒト条約(1992年)時や、ニース条約(2001年)時の国民投票の拒否(2008)などの事例と同一視し、ブレグジットはそれらの条約時の国民投票と同様であり、EU離脱の回避が可能としていた。

 しかし、上記の国民投票の先例は、統合深化の賛否を問う国民投票であった。すなわち、否決されても、統合深化が止まるだけであり、現状のEUの地位と状況は維持される。

他方、Brexitはイギリスが1973年のEU加盟国以降、43年にわたり継続してきた加盟国の地位喪失を完全に意味するのであり、同じ国民投票でありながらも、両者は天と地というほどにも、質的に差がある。

 その差がまるで理解できていない。そんな類の記者が社説を書く。Financial Timesもいい記者も多いが、レベルが疑われるものも多い。

ラフマンの記事では、I do not believe that Brexit will happen. Financial Times. 27, 2016.

FT ユンケル氏を止めよ 欧州民主主義のために」 2014/6/4  日本経済新聞 電子版

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0302T

_T00C14A6000000/?df=2&dg=1 原文はBlock Juncker to save real democracy in Europe. 

 

 欧州理事会は欧州委員会を担当者とし、欧州委員長ジャン・クロード・ユンケルは727日、首席交渉官として、欧州委員経験者で、フランスのベテラン外交官、そして右派系政治家でもあるミシェル・バルニエ氏を101日付就任で、指名した。

 さらにそれにとどまらない。欧州議会は9月8日英国のEU離脱をめぐる欧州議会の交渉担当者に、ベルギー元首相のヒー・フェルホフスタット氏を指名した。

欧州議会、英離脱交渉にベルギー元首相を指名 ロイター 2016 09 9

 欧州議会では統合推進派の欧州自民を率いる議長(党首)の経験もあり、フェルホフスタットは名うての連邦主義者である。

 さらに重要なのは、欧州委員会のバルニエがイギリスのデイビーズ離脱担当相と決めた離脱協定について、それを最終的に承認する権限を欧州議会が持っているという決定的な事実である。つまり欧州議会が協定内容に納得しなければ、条約交渉は水泡に帰す。

 イギリスの政治家は、そしてイギリスのメディア及びそれに影響される日本のメディアも、2019年5月に実施される欧州議会選挙にもほとんど触れることはないし、欧州議会の対英離脱担当者が選任された意味も十分理解できていないか、知ろうとしない。

 離脱の交渉終結のめどの1つは、欧州議会選挙である。

 27か国が20195月に一斉に欧州議会選挙を行う。イギリスはいままだ交渉が始まっていないために、十分理解できていないが、欧州議会選挙が始まれば、イギリスは、EUから離脱を選択したというその事実と、その立ち位置を、欧州大陸で進む選挙キャンペーンのなかで、議席を喪失する自国出身の欧州議会議員73名とともに、決定的に思い知らされることになるだろう。

 イギリスの論理だけでは離脱は動かない。今日のブログのタイトルでもある。

 もっと言えば、EU離脱交渉は相手は27か国、4億4千万人を擁するEUである。どちらに主導権があるかは明らかとなる。

 ちなみに、今日付け日経はブリュッセル支局から、森本記者がEUがイギリスが抜けた後のEUにあって、軍事同盟を強化が図られていることを書き送っている。

欧州委員長、防衛協力拡大へ「欧州司令部を」 日経2016/9/15

 主権譲渡の観点から終始欧州統合に消極的であったイギリスがEUの連邦的統合をブロックしていた領域が多数あり、その縛りが解けて、一挙にとは言わないまでも、統合深化が進む兆候を見せていて、大いに歓迎できる。

 難民危機、対ロ政策、通貨政策など統合深化以外にEUの道はない。出来ないと、EUは偏狭な一国ナショナリズムの再来を前に、崩壊するだけなのだから。それは世界経済と我が国経済にとっても災いとなるのである。

参考ブログ

2016.09.06 Tuesday 相変わらずの自己中心の無責任さを曝す英の離脱派閣僚と低レベルの英離脱派メディア

http://masami-kodama.jugem.jp/manage/?mode=write&eid=4121

2016.08.30 Tuesday Brexit(英のEU離脱)考 英文記事の邦語見出しの差異は英の論理かEUの論理かの相違

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4116

2014.06.06 Friday EU懐疑派を代表するギデオン・ラフマン(Gideon Rachman)のFT記事を批判する 上 彼の言う「欧州の民主主義を救え」は「イギリスの保守党の言う民主主義を救え」ということ

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3681

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3682

 なおAFPは、ブレグジットの法的根拠であるリスボン条約50条について、便利な図式を提供している。

 図解】英国のEU離脱、リスボン条約第50条に基づく手続き 20160701

http://www.afpbb.com/articles/-/3092533

| 児玉昌己 | - | 11:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
秋雨前線とキャメロン英前首相の政界離脱、民進党党首選のことなど

 6時に起床。小雨だが、資源ゴミを出しに行く。気温もぐっと下がったが、ペットボトルの山だった。

 ロンドンにいる若い友人の根岸さんからキャメロン英前首相がやめるということを聞いていたが、昨日確認した。

 49歳。親が富裕であったというだけの青二才が下院に登場した。親の遺産の税金対策で、あの悪名高い「パナマ文書」に名を残していたのも、この政治家である。

 イギリスの国益といいつつ、所得格差是正のための財源確保でEUが進めたい金融取引税も反対し、EU統合に終始反対したことで、フランスの老社会主義者で先ごろ死去した元首相ロカールには2年前、「銀行資本の代弁者でしかない」、「EUを殺すなかれ、イギリスの友よ、EUから出ていけ」と言わしめた政治家でもある。

 チャーチルやサッチャーを気取って大政治家を演じようとし、対EU政治というEU加盟国にとって最も重要な政治選択に「国民投票」というall or nothingのギャンブルを持ち込んだ。

 反EUの年来の主張を変え、国民投票の土壇場で熱烈な残留支持者に転じ、閣内の離脱派6名を罷免もしないで、マッチポンプの政治をやり、国益を損ない国家を分断し、結果、我々が今知るように、国家は大炎上となった。

 余談だが、3か月弱が経ったが、経済における若干の平穏さで、EU離脱については、経済的に影響はないか軽微と楽観視する評論家もいるが、まったくばかげている。今はまだ離脱交渉さえ始まっていない。

 年が変わり、EUとの離脱交渉が始まれば、人の自由移動はブロックしつつ、モノ、カネ、サービスの自由移動を確保できるとするイギリスの離脱派の自己中の論理は、EUの交渉担当者の前で、破綻する。

 そしてイギリス経済への影響は確実に深刻化する。メディアもイギリスを中心とした報道をやめるべきだ。

 EU離脱交渉は相手は27か国、4億4千万人を擁するEUである。どちらに主導権があるかは明らかである。 

 前首相キャメロンに話を戻せば、国民投票で離脱となっても首相を続けるという前言を簡単に放棄し、すべてを後継総理に丸投げして早々に首相の座を降り、今度はわずか2か月半で、下院議員も辞め、政治の舞台から降りた。

 無責任という言葉を絵画いた様に実践した政治家だった。

 他方、民主党党首選、オッと違った民進党党首選。なんだか台湾のことみたいだ。

 日本でも自己の国籍さえまともに説明責任も果たせずアレコレと釈明し、謝罪に追いやられる政治家がいる。そういえば岡田代表を「つまらない男」と形容し、これまた謝罪においこまれた。政治の運営のはるか以前に、日本語能力がまるでないといえる。

 そんなレベルの候補が野党第1党の党首選を争っている。

 この政治家、スパコンという国家の最大級の政策目標をスーパーの大根みたいに扱ったことでノーベル賞受賞者の怒りを買った過去がある。国会をファッション雑誌の舞台に使って、当時の西岡武夫参院議長に注意処分を受けたこともある。

 しかも「仕訳」という言葉で、わが国政治史に醜悪さを残したように、政治をショーにし、有能な官僚諸君を、公共の前で見せしめにした、現在でも国民から選挙で指弾され続けるあの無能政権の当事者の1人でもある。

 対立候補も「いうだけ番長」とかいう、これまた無責任そのものあだ名を持つ無能だったあの政権を担った候補だ。

 両名とも、今も、政権を担うにふさわしいとは、利害関係者以外、誰も思わないあの政権の当事者だ。

 党首選を争うなどあの無様な民主党政権の愚昧なる政権運営の責任を取ってからのことだろう。実、尖閣隠しをやり、原発禍で国民を疑心暗鬼にさせ、虚偽というべき議員定数過大論に立ち、あろうことか、80名もの議席削減と時代錯誤の小選挙区制度への傾斜を公然と主張するなど、反民主主義、大衆迎合の政権運営であった。

  いかにこの党、人材がいないかということだろう。

 築地移転の都政のごたごたにみるように、政治家は、国政から市町村長に至るまでその権限に応じて、利権を左右できる何らかの権力者である。

 とりわけ指導者となる政治家には、すべからく、それを政治に送り出す有権者は注意を払っていく必要がある。政治の世界では、どの党であれ、利口ぶった政治家が上に立つとろくでもないことになる。

 そういえば、かつて、自民には「神輿は軽くてパーがいい」といった有力政治家がいたが、とてつもなく傲慢なことだった。

 この政治家、イギリスの時代錯誤の小選挙区制度を理想化し、欧州政治では比例制が大原則であることも知らずに小選挙区という得票と獲得議席に異常なかい離をもたらす制度の推進にまい進した。

 その結果、安保法制では自党が出した憲法学者がなんと違憲だとする、憲法秩序を揺るがす現在がある。あの政治家、果たして今何をしているのだろう。

 それにしてもイギリスに戻せば、政権奪還の千載一遇のチャンスにもかかわらず、労働党は無様さをさらしている。実に無残というべきである。

 一国社会主義の経験と知識しかないような、EUについての知識も、国際的センスもない組合活動家のコービンが党のトップにいて、彼を全く信用していない労働党国会議員団は、彼が党首である限り、政権奪還は不可能だとしている。無残極まりない英労働党である。

 右も左も、一国民族主義と一国社会民主主義の、まさに田舎政治家に独占された英政治というべきだろう。 

参考ブログ

2016.06.11 Saturday マッチポンプのキャメロン、反EUの火をつけて回り、挙句、消火できずに国家が大火災 EU離脱の可能性が高まる英国民投票

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4050

 

 

| 児玉昌己 | - | 07:20 | comments(0) | trackbacks(0) |
閑話休題 大家(おおいえ)先生と「古老」についての爆笑会話

 ストレスも多いから、気分転換。

 80を過ぎても研究や著作を続けられる尊敬する先生方が周囲に多い。拓大の海外事情研究所に関係されている佐瀬昌盛先生、木村汎先生、島村力先生がそうだ。諸先生80を超えて、ご壮健で、学者としてかくありたいと思う大先輩である。

 また本学の大家名誉教授もそうである。

 過日、「駒形どぜう」に大家先生とご一緒させて頂いたことは、このブログで書いたかもしれない。

 この15日に刊行される海外事情の英のEU離脱の論文を済ませて、尾道に3日ほど休暇に出ていたこの夏、以下の電話があった。

 児玉君、いま尾道だよね、明治期の資産家で銀行を経営した西原という人がいるが、専門とされる著作権法にかかわる年来の懸案の調べ物がある。 ついては、地元の古老にその人のことを聞いてもらえないかと。

 1934年お生まれで近々82におなりの大家先生がことなげに、地元の「古老」に聞いてもらえないか、と。

 尾道旅行をご一緒していた阪南大学前学長の辰巳先生(1943年生)に、そのことを話すと、それはすごいですね、と。

  そして辰巳先生いわく、昭和16年の「船頭さん」という文部省唱歌には、「村の渡しの船頭さんは今年六十のお爺さん」という歌詞もありますよ、といわれて、また爆笑。この基準でいえば、私も立派なおじいさんなのである。

 そういえば、年が明ければ、私も「前期高齢者」。

 大家先生には電話で、先生が言われる「古老」ですと、相手は110歳ほどになります。もう聞き取りができるほどの古老は、この世に生憎(あいにく)ほとんど存在しませんと、応答したものでした。

 それにしても、大家先生の若さには驚かされるばかりです

 参考ブログ

2016.03.02 Wednesday レトロな学士会館(神田錦町)に泊まる

http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20160302

大家重夫名誉教授のブログは以下

 http://ohie-shigeo.sakura.ne.jp/prof.html

 

 

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| 児玉昌己 | - | 11:19 | comments(0) | trackbacks(0) |

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