児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
2019年海鳴庵児玉昌己歌集

 

2019.04.19 Friday 平成最後の満月にウサギをみた それを詠む

 

平成の 最後となれり 今宵(よい)の月 兔が耳を 立てるを観たり

 

 

2019.04.1 Monday  愛英出張の終わりに新元号を聴く それを詠む

倫敦の 終わりに令和 聞きにけり 平和の御代の 有難きかな

 

 

2019.03.12 Tuesday かい春 庭の桜と桃の木を詠む 

 紅梅(うめ)は散り 寂しき庭に 水仙が 桜も咲きて 春は来にけり

 

 桃の木は 病のために 跡もなし 愛でる花なき この春哀し
                 

  

2019.02.02 Saturdayユーミンで目覚める 如月入りの朝を詠む 

 

 ユーミンの 歌詞を浮かべて いるベッド 冬を味わう 如月の朝

 

2018年海鳴庵歌集

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4392

 

海鳴庵(かいめいあん)とは、歌を詠むときの号。

海に近いところで生まれたこともあり、海が好きです。世界に広がる海です。里山の庵(いおり)ではなく、潮騒響く岬に突き出た庵の住人を私としてはイメージしています。

| 児玉昌己 | - | 13:49 | comments(0) | trackbacks(0) |
我が家のポンヌフ(新橋)とノートルダム大聖堂

 我が家はパリのポンヌフを描いた作品を飾っている。

 正確にはアンリ・ル・リシュ(1868-1944)「パリのポンヌフ」Henri le Riche. Le pont Neuf à Paris. 1920作と題されている複製版画である。

主題はポンヌフ(新橋)だが、新橋の言葉と違いパリ最古の橋である。その後景に大聖堂をみてとれる。日本で言うと、大正9年あたりの風景だ。

 今回の火災で飾ったものではない。40年以上も前、私が留学時に母がロンドンに遊びにきてパリに寄った際、ルーブル美術館内のショップで買い求めたもの。長く購入時のまま紙に包まれて仕舞われていたが、母の供養にとここ5年取り出して、額に収め飾っているのである。

大聖堂の尖塔が焼け落ちたときは、映像を観つつ、パリの市民と同様、同じく悲鳴を上げたことだった。

なお尖塔についていた風見鶏は、80メートル落下したが、奇跡的に原形をとどめて、地上で確保されたということで、それは、小さな奇跡とフランスのテレビで放映されていた。

絵の画像は以下。

https://search.yahoo.co.jp/image/search?rkf=2&ei=UTF-8&gdr=1&p=Henri+le+Riche

.+Le+pont+Neuf+%C3%A0+Paris

についていえば、100年経った今でも全く変わらない。グーグルマップの航空写真で見ると以下https://www.google.com/maps/@48.8569916,2.3349355,317a,

35y,68.68h,44.89t/data=!3m1!1e3?hl=ja

参考ブログ

2019.04.17 Wednesday 巴里ノートルダム大聖堂の大火災について想うこと

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4494

 

 

 

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 14:04 | comments(0) | trackbacks(0) |
平成最後の満月にウサギをみた それを詠む海鳴庵児玉

 夜庭に出る 予報通り、煌々とした満月

 

平成の 最後となれり 今宵(よい)の月 兔が耳を 立てるを観たり

 

                    海鳴庵児玉

                 

| 児玉昌己 | - | 22:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
巴里ノートルダム大聖堂の大火災について想うこと

2度の世界大戦も被害を受けなかったときくが、まさか、まさかの大火災。

 最初耳にした時、ぼや程度だろうと思ったが、映像を観て愕然、中央の天井部分が崩落してしまった。ウソだろーというのが正直なところだった。しかも補修中の失火が疑われていると聞いて、さらに驚く。

 この大聖堂、みなさんも同様だろうが、エッフェル塔やサクレクール寺院同様、パリのシンボルで何度も目にしている。

 だが、このカテドラルといえば、映画「パリは燃えているか」(Paris brûle-t-il?、英:Is Paris Burning? 1966年米仏合作)で、ナチスドイツ占領下のパリにあって神父さんもレジスタンスに協力する場面がとりわけ、強く印象に残っている。

 マクロン大統領は直ちに声明を出し、5年で修復すると表明した。

 大地震で被災した熊本城も天守閣の修復が形を見せ始めた。両方とも、早く復旧してほしいものだ。

 フェイスブックでフランスの友人には以下メッセージしたところだ。

 J’exprime ma plus profonde sympathie pour la France au chagrin du grand feu de Notre-Dame.

参考ブログ

2015.09.29 Tuesday 21世紀に日本でEUを語ることの意味

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3909

 

 

| 児玉昌己 | - | 23:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
本来離脱しているはずだったイギリス 欧州議会選挙参加の可能性大

 皮肉なことだ。20166月のキャメロンによる大博打の結果、僅差でEU離脱となったイギリス。

 それから3年、そしてリスボン条約50条に基づき、EU離脱を欧州理事会に通告して2年が経った。

 離脱通告後2年後には本来、イギリスはEUから離脱しているはずだった。当事者のイギリスとEUの誰にとってもまさかの展開といってよい。

 なによりEU側はイギリスの離脱を前提として、40日後の5月23日から実施される欧州議会の議員定数の再配分を実施してさえいたのだから。

 2週間ほど前の329日の離脱予定の日、ロンドンはウエストミンスターの議会広場にいた。

 本来イギリスはこの日離脱していたのだ。そしてそれを見越して、私もロンドンに出張したのだった。

しかしながら、イギリスはこの日離脱できずにいて、私といえば、議会前広場で、怒り心頭のEU即時離脱派の大デモ行進の模様をデジカメで接写していた。

 そしてこの10日に1つの重要な動きがあった。欧州理事会である。

 EUではメイが申請した2度目の離脱延期要請について欧州理事会は紛糾した。

 EU加盟以降、80万以上が移住し同国で働いているポーランドの出身者として、欧州理事会議長のトゥスクは、イギリスとの関係を重要してきた。それゆえ、彼は1年にわたる長期の離脱延長を提案した。

 他方、マクロンは無原則に引き延ばすことに反対した。結局、イギリスのEU離脱の期限は10月末までとした。

EU研究者としてここ30年研究の軸足をイギリスから移している私にとって、EU離脱以上に重要だったのは、目下作成中の論稿のテーマである欧州議会の選挙への参加の有無だった。

 この点について、欧州理事会は、イギリスが欧州議会選挙に参加しないなら、EUはイギリスに61日にEUからの強制離脱となると言い添えたのである。これで欧州議会選挙参加は濃厚となったといえる。

欧州議会選挙日は23-26日まで4日間だが、もしイギリスが欧州議会選挙を実施するならの初日の23日となる予定だ。イギリスは伝統的に木曜が選挙日となっているからだ。

 メイとしては欧州議会選挙への参加はしたくなかったが、結局EUの条件を飲むことになった。飲まないと、十分な下院での審議の時間的余裕も与えられないのだから。

 もう一ついえば、イギリスはEU加盟国である限り、メイ首相自身が口にしたように、EU条約に従い、EUに対する義務と責任をすべて負っているのである。

 イギリスについては、離脱を英議会が批准すれば、その瞬間にEUからの離脱となることを確認したものの、欧州議会選挙への参加となれば、選挙の準備が要る。

 イギリスでは15日に選挙公示を出すとのことだが、実のところ、選管も政党も大慌てだ。

 第一、政党は保守党も労働党もその他の政党も、ブレグジットだけに関心が行き、最近まで欧州議会選挙への参加など考えてもいなかったから、候補者選定についてはまさに泥縄的に取り組む始末だ。

 しかも候補者はたとえ当選しても、イギリスが離脱すれば、その瞬間から失職だ。

ゾンビ選挙とは保守党出身で、ECRの英議員団長を務める欧州議会議員アシュリー・フォックスの言葉だが、国民投票ではEU離脱を先導したUKIPのファラージュなど亡霊みたいに蘇り、選挙を戦うという。

 だが、離脱が前提なら、時間稼ぎのためだけの議員をわざわざ多額の費用をかけて、選出することになりかねない。選挙はただではないのだから。すでに相当の損失を出しているイギリスだが、さらに支出が求められる。

 欧州議会選挙がゾンビではなく、イギリスの対EU政治がゾンビそのものだ。まだまだ何が飛び出してくるのか全く予測もつかない。70年にわたるEU史上では初となる加盟国の離脱の事例で、今後の起こるかもしれない離脱についての事例ともなる。それがBrexitである。

 特にハンガリーや、ポーランド、イタリアなど、反EU主義的国家の政府は英離脱の過程とあの無残極まりない英下院の事態を注視しているが、イギリスの政治はまさにブラックホールだ。

 ちなみにデイリーミラー紙の、国民投票の結果を受けた3年前の6月のあの日の表紙はブラックホールの絵を掲げていたはずだ。

 ブラックホールは、3年前は想像上のことでしかなかった。だが、天体観測で得られ世界に報じられたそれは、実写である。イギリス政治のブラックホール、こちらも現実である。

 なお欧州議会選挙に参加すれば、メイの政権与党で、混乱を極めている保守党は大敗するとの予測が出ている。

 追記

 ドイツZDFのニュースではメイ首相は欧州理事会で、今後のEUの決定を妨害しないとの約束もしたという英国メディアでは流していない内容を伝えていた。保守党強硬派の中には欧州議会選挙で、議員を送り込んでEUの決定を妨害することを叫んでいるものがいるのである。

参考記事 

On the quiet, UK prepares for ‘zombie’ European elections.EurActiv with AFP 201945日。

Poll: Tories facing crushing defeat if UK holds EU elections.EurActiv. 2019410

UK almost certain to contest EU elections as May prepares to make new concession. EurActiv201949日。

参考ブログ

2019.04.08 Monday  EU27か国すべてを困惑、痛憤させる次の設問 イギリスは欧州議会選挙を実施するのか 「ゾンビ」的状況の英政治

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4492

2019.03.11 Monday 混乱の極みのEU離脱での英政局

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4480

 

 

| 児玉昌己 | - | 01:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
 EU27か国すべてを困惑、痛憤させる次の設問 イギリスは欧州議会選挙を実施するのか 「ゾンビ」的状況の英政治

 実はEUの関係者とEU研究者が一番気をもんでいるのがこの設問だ。

  他の加盟国に影響があるというものの、EUを離脱するのしないのは、基本的にはイギリスの国内での意思決定の問題だが、欧州議会選挙はイギリスを含めて28すべての加盟国にかかわるものである。

 実際、5年に一度の、EU全加盟国の政治に直結するEUの代議制民主主義にかかわる政治的一大重要行事である。

 EU側の対応については、この10日の欧州理事会が当面の結論を出すだろう。

 それにしても、イギリスは国民投票から3年、EU離脱の通告から2年以上の時を経て、EU離脱さえ未決定で、それにより、欧州議会選挙への対応さえ未定という惨憺たる状況だ。

 メイはEUにたいし、630日までの離脱延期を申請した。親英国のオランダルッテ首相も、そのあとの下院議会を含めたビジョンに全く信頼性を置いていない。当事者のメイ自身が、その後の政治動向に全く確信を持てていないから、当たり前だ。

 EU側のフラストレーションはさらに強い。仏大統領のマクロンに至っては、「EUはイギリス政治危機の人質ではない」、とも語っているほどだ。

 3度も下院議会での自身の離脱合意案が否決されながら、メイは辞任もせず、居直りという状況を続けている。もう意地というべきものであろう。保守党の強硬離脱派も合意案を否決しながらも、解散総選挙の実施と、それによる国民の懲罰を恐れて、不信任案には反対するという出鱈目さだ。いずれ選挙では深刻な打撃を受けるだろう。

 他方、強制離脱、合意なき離脱を避けるべく、呼びかけを受けた労働党はメイとの協議に入ったが、進展していない。

労働党は、今になって関税同盟残留や2度目の国民投票を口にしている。労働党のコービン党首は2016年の国民投票で出されたイギリス国民の離脱の意思は最終的なものだと繰り返しいっていた。そんな状況だから、こちらも党内が混乱するだけである。

 実際、EU側はイギリス離脱で生じる同国への配分議席の73議席については、EU条約50条に基づき英メイ政権が欧州理事会にEU離脱を通告した後、欧州議会選挙へのイギリスの参加はないとして、EU側はとうの昔に議員定数について、新たに協議し、すでに人口比を強める形で、再配分している。

 つまり選挙日まで7週間ほどしか残されていない状況で、欧州議会は、イギリスも加わった751という前回の定数での実施となるのか、705というイギリス抜きの、再配分後の定数で実施となるのか、だれもまだわからないという、散々な状況だ。

 当事者となるイギリスの選挙管理委員会については、もっと悲惨だ。

 前回2014年には4650万投票用紙を印刷し、39千か所の投票所を開設したとEurActivは伝えている。つまり限られた時間で、もし欧州議会選挙を実施するとなると、膨大な事務的作業が待っているのである。

 これはイギリスでは政党も同じ状況で、他の加盟国とは違い、離脱自身さえ決められないイギリスは、欧州議会選挙の候補者選定など全く手が付けられていないのである。

 心頭怒りに発しているのがフランスなどのEU加盟国であるが、それがゆえに、イギリス議会が自らの責任を果たしえない惨憺たる状況下で、今度はEU側からイギリスの優柔不断に引導が渡され、強制離脱をEU側が宣告する可能性も見ておいていいのである。

 イギリス側の報道に意をおくわが国のメディアだが、この可能性はほとんど日本では報じられていない。

 イギリスだけを観ていても、EU政治は理解できないということの典型的事例である。

 EurActivは、現下の欧州議会選挙を巡る状況について、保守党議会指導者の言を引用し、「ゾンビ選挙」と表現している。

 腐敗した死体ではあるが、動きまわるあのゾンビである。

 EUの代表民主制を体現する欧州議会と、他の加盟国の欧州議会議員には全く失礼な表現であるが、イギリスのまさにゾンビ的状況を語って至言でもある。

参考記事

On the quiet, UK prepares for ‘zombie’ European elections.EurActiv with AFP ‎2019‎‎4‎‎5‎日。

Emmanuel Macron: EU cannot be ‘hostage’ of British political crisis. EurActiv. 2019年4月2日。

| 児玉昌己 | - | 23:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
欧州議会選挙及びBrexit調査のダブリン、リーズ、ロンドン出張から戻る 仁川空港で新元号令和を知る

 欧州議会選挙とブレグジット調査のダブリン、リーズ、ロンドンの出張の全日程を終え、もどりました。

 ブレグジットの調査といえば、その成否如何で、そしてまたその時期の如何で、イギリスの議会選挙参加の有無も変わり、5月23日から26日に迫った欧州議会選挙の議員定数も751か705かと変わます

 そして選挙結果も変わってくるのです。

 イギリスが、離脱のためだけに、欧州議会選挙に参加すれば、当然投票率は下がり、EU全体の投票率の下落が予測されます。

 ともあれ、平成から令和へ。経由地の仁川空港でその報を聞いたことは、私の個人史の中に残ります。

 皆様はどのようにお聞きになりましたでしょうか。

 平成の世もあと1か月余。一党独裁や独裁擁護国家など周りにはおかしな国がたくさんある中でも、わが国は確かに問題は抱えつつも、まずまず戦後平和国家の国是を守りつつ過ごせました。

  天皇陛下におかれましては、ただただまことにお疲れされさまでした、という深い謝恩の気持ちで満たされているところです。

私は平成の洋学派です。  

ともあれもう4月ですね。

3月ブログヒット総数は以下 2019年 03月 合計:7500

| 児玉昌己 | - | 13:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
ブレグジット現地調査で 離脱派の大デモ行進と時差、ブルージュ・グループのことなど

 昨日3月29日金曜日は、ウエストミンスターの議会広場に出かけて、EU離脱派の大行進を取材してきた。今回の出張の最大のハイライトとなった。

 EU研究者として生のイギリスの反EU派、EU離脱派の顔と雰囲気を確認できたこと、これが個人的には最大の収穫だろう。

 だが、EU条約50条に基づくEU離脱の通告取り消しを求める580万の議会への請願にみるEU残留派の苦り切った表情も、同時に記憶されるべきであろう。ちなみに2016年6月の国民投票では1500万人が残留を良しとした(離脱は1700万票)

  それに何より、私が思うに、離脱派が使っている「WTOで結構」というプラカードの意味が分かっているのかねということだ。

 関税率がゼロから、通商条約上ではWTO水準は最低、つまり最悪の額に引きあがるということだ。

   FTAを精力的に締結していかない限り、27か国、EUだけで5億の広大な無関税の空間を失うことになる。

 イギリスは国民投票での離脱決定から3年たっても、そして政府による離脱通告から2年がたっても、EUからの離脱協定ができないばかりか、離脱後の協定もさっぱり決められない。それが、2019年3月29日のイギリスの現状だ。

 イギリスといえば、EU離脱後、安倍首相が推進してこのほど条約が発効したTPPへの加盟もメイ政権は言及しているが、EU離脱に決着がついた後の話なのだ。

 イギリスはEUからの離脱が決定するまで、EU司法裁判所の裁判管轄権が適用され、現在進めているFTAの条約交渉については、あくまで離脱決定を前提とした暫定協定案でしかないのである。

  このブログで何度も触れて来たが、フィナンシャル・タイムズの2017530日の記事によると、ブレグジット後にイギリス政府が必要となる通商協定を含めた各種条約は、実に168か国、759に上る。EUとの関係がかくも密接であるということ、そんな基本的なことも、一般国民も、ましてや離脱強硬派の議員たちもわかっていなかったのだ。

  こんなにEU離脱が困難か思っていもみなかったという市民のコメントも見受けられたが、そんな程度でEU離脱に投票したのだ。EUを舐めきっていたとしか言いようがない。

 ブレグジットの影響についてさらにいえば、イギリスは農業生産力は微々たるもので、ほとんど輸入だ。すなわち輸入物価の高騰が待っている。それはこのデモの参加者自身の生活全般を苦しめる。

  製造業もそうだ。ホンダがいい例だ。電気自動車への経営資源の集中という表向きの理由とは別に、本質を言えば、サプライチェーンが寸断され、不要だった通関業務が加わる。型式も別途EUに申請を強いられる。製造業にとって、離脱でいいことなど何もないのだ。

 早朝6時過ぎに目が覚めると、日本ではもう夕刻前の3時過ぎ。この感覚が不思議でもどかしい。意識的に日本時間を消そうとしているが、頭の中にまだ日本の感覚がどこかに残っている。

 イギリスモードにようやくなっているのだが、帰国時には時差というジェットラグに苦しむことになるのかも。

 これを経験した人は多いことだろうが、結構辛いのである。

  移動での時差を気にしているのは、特派員の諸君だろう。特派員経験者23人に聞いたことが、市販薬でみな機内で調整しているとのことだった。

  仕事上でも時差についてはもっと深刻かも。

 ファイナンスは24時間眠らないが特派員諸氏は日本の新聞社の記事の締め切りがあり、ビッグニュースが出稿後に飛び込んで慌てることも度々だろう。

  私もEU離脱支持派の大デモ行進を最終到着地でカバーしていて、メイのEUとの合意案の下院審議での3度目の否決をホテルに戻って知った。

 離脱後の新協定の大枠を定めた政治宣言を切り離したトリッキーな案だったのだが、それでさえ58票差で否決された。

  さて最終日の今日は、Barrister法廷弁護士経験者との面談。彼は欧州大学院大学同期。 ロンドン出張中で、キングスクロスのホテルで会うことになった。若い時、彼のレスタシャターの自宅へも遊びに行ったことがある。ホームバーもあるアッパーミドルに属するファミリーの出身だ。

 EU統合推進派のシンボルとして名高いベルギーのブルージュのCollege of Europeの卒業生は秀才ぞろいで、EUの圧倒的な影響力を背景にしてEU機関や各国政府はもとより、大学などのアカデミックスを含め、経済や社会の各方面で活躍している。

 ちなみにイギリスではブルージュという地名に由来する言葉は別の意味がある。故マーガレット・サッチャー英首相が広めた。

 彼女は、ミスターヨーロッパとしてなお残すジャックドロール欧州委員長に対峙し、反EU的態度をその政治の後半、特に深めたが、出色というべきメモワールを残した。

 それについては、私もNHKのラジオ講座(2011年1月-3月)を担当した際の書下ろしのテキストを基礎とした以下の書で触れている。『欧州統合の政治史−EU誕生の成功と苦悩』芦書房2015年。

  現在の保守党内の反EU派、離脱派の主たるメンバーは、彼女が1988年に行ったブルージュの 欧州大学院大学で行った挑戦的な演説をとって、ブルージュ・グループという名を冠している。

 大博打というべきEU離脱の大混乱を招いた国民投票を主導した前首相キャメロンも、そして強硬離脱派の多くの保守党議員も、まさにこの思想集団の系譜に属する。

 もとより、EU研究最古の学術教育機関である本家、欧州大学院大学からみれば、この換骨奪胎というべきブルージュの使われ方については同大学院の同窓会はこれに強く反発したのだが。

  ともあれ、今日でアイルランド・イギリス出張も終わる。明日はフライトまでの時間を活かして、有力な邦字紙の欧州問題担当の記者さんとワーキングランチの予定。日本ではなかなか会えない人たちで、あれこれ情報を交換し、海外出張の実を最後まで上げたい。

 なお国民投票で離脱が決まった3年前の当日に本ブログで書いたものは以下。

2016.06.24 Friday EU離脱でこれからイギリスに起きること

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4063

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4064

 参考ブログ

2013.04.09 Tuesdayサッチャ―元首相死去

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3437

2018.05.31 Thursday イギリスの対EU離脱問題で、最近の動き 関税同盟残留?

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4395

2016.09.15 Thursday EU離脱は英の論理だけでは動かない 欧州議会によるベルギー元首相の交渉担当指名の意味

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4124

2016.06.11 Saturday

マッチポンプのキャメロン、反EUの火をつけて回り、挙句、消火できずに国家が大火災 EU離脱の可能性が高まる英国民投票

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4050

 

 

| 児玉昌己 | - | 16:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
今日3月29日はBrexit Day(当初予定日) 。英議会広場を埋め尽くす反EU派の行進をみる

 イギリスの友人に聞いていたEU離脱派の大デモが午後にイギリス下院のウエストミンスターに到着するということで、2時過ぎからディストリクト・ラインで一本の議会前広場まで出かけてきた。

 すでに多数の警察官が配置され、物々しい雰囲気で、一部の通路は閉鎖されていた。

 上がると、EU離脱支持派の人、人、人。ただし殺気立った雰囲気はほとんどない。

 これが暴徒化し商店略奪も起きたパリの「黄色のジャッケット」のデモとの圧倒的な違いだ。

  EU27カ国からの観光者も多数いたはずだが、さてどう見ていたのだろう。おそらく困惑ということだろう。

 騎馬警官も、それに非武装の警察官も多数出ているが、秩序維持が完璧にできて、むしろ警備自身がカメラの絵になる被写体と化している感じだ。

 のぼりやプラカード、そして何より国旗ユニオンジャックがはためき、上空は警戒のヘリと取材のヘリが爆音を立てている。プラカードは彼らの意志がストレートに記載されている。

 首相と400名の議員は反逆者だ、WTOで結構だ、離脱を信じようBelieveとLeaveを掛けた言葉、など。面白いのでは「クロムエルを連れ戻せ」というのもある。もとより17世紀の独裁者にして英雄、オリバー・クロムエルのことで、議会を解散、イングランド共和国を樹立したことからか意味は定かでない。

  スコットランドを撃破し、アイルランドを武力制圧したことで使われるならば、穏やかでない。

 しかしこのデモ、若者はあまり見かけない。中高年層が圧倒的で、アパー・ミドルに属する人の雰囲気はない。

 これは3年前の国民投票の時にも感じたことだった。情念としての愛国主義という感じがあり、言葉に表せない感情だろう。

 まだ3月だというのに晴天で、この地としては高温。それで参加者は到着した安ど感と渇きでエネルギーを使いきったようにも見受けられた。

 ごく一部だが黒のシャツで極右を思わせるグループもいたが、同じく黒の機動隊の統制下にあった。

 写真は多数とったが、機会があれば紹介したい。若者には簡単だろうが、当方も前期高齢者。デジカメ。スマホではないのである。

 4時頃にはさらに人が増え、危ないことも起こりかねない。それで、離脱派で埋められた現場を離れた。駅では、ちょうどイブニング・スタンダードが平積されはじめ、一部ゲットしてきた。

 社説はCelebrate: today is when we take back control.「祝え。今日はEUから支配権を取り戻した日だ。」

 そして冒頭から「夜の11時に時計をセットあわせよ。ケーキとシャンペンを準備せよ。その時間がくれば、Happy Brexitに祝杯をあげよ」

 まさに反EU系のタブロイドを地で行くものだ。

 ただし同紙は「ロンドンの住宅価格はブレグジットのカオスの中で10年でも最も速い速度で下落し続けているとの記事も2頁に掲載している。

 なお、5頁には離脱支持がイギリスの選挙区の63%だったという離脱支持派のプラカードが掲載されている。要注意だ。 数字のマジックというべきで、投票区の総数ではそうであっても、票の総数は52対48と僅差だったのだ。

 なおちょうど議会広場にいるときに以下のニュース。FB友のFさんが情報、送ってくださいました。

英議会、EU離脱案をまた否決 3度目の採決で 2019年3月30日 0:03 発信地:ロンドン/3月29日 AFP】

これでノーディールのEU離脱が差し迫ってきた。瓢箪から駒ということでは、総選挙もあるかも。メイは自分の辞任と3度目の合意の取引で臨み、退けられた。これで、メイの首相辞任が確定的になったといえる。

 

| 児玉昌己 | - | 03:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
3月29日 本来ならば今日がEU離脱日 イギリス労働党と党首コービンのこと

 今日は329日。絶妙なタイミングでのロンドン入りですね、とあるプレスメディアの友人に言われた。

 悪い気はしないのだが、切符や宿舎も2か月前に手配していたことだ。本来なら、今日がEU条約第50条に基づく離脱通告から2年で、強制離脱と相成っていた日なのである。

  そうなっていないのは、EU側が譲歩して、4月12日まで、当面延期にEUが合意し、この日の重要性が相対化されたということである。 

  もとより、私がこの日程に合わせロンドン入りを手配した時にはEU側の譲歩も決まっていなかったのである。

 その29日。現地時間で夜に重要な投票がある。とはいえ、連日重要な投票が延々と続いているのだが。

 今日は、その当事者のメイ政権ではなく労働党について書こう。

 労働党といえば、  保守党と変わらなかった経済自由主義者のブレア政権やブラウン政権の反動として、あれよあれよという間に、党内最左派というべきコービンが党首に選出された。2015年のことだ。

 労働党の首相となったブレアは、米大統領ブッシュジュニアと組んで、イラク戦争参加などの決定で、独仏の社民政権と激しく対立したのだが、それでも ブレアがフランス語ができたのとは異なり、党首コービンは、国際的な感覚とは無縁の場所で生きてきた経歴を持つ。

 その彼を担いだ労働党。国民投票の結果を尊重する述べ、再度の国民投票は長く反対し、保守党を結果的に擁護してきた。今になって、総選挙の要求など党利党略を優先している。

 反離脱で徹底して保守党政権と対峙していれば、まだ政権奪取の可能性はあったかもしれないが、今頃、関税同盟を主張している。

 そうした党内の指導性への反発で、離党者も出ているし、影の内閣の3名の閣僚の更迭があった。その労働党。

 昨日、このブログでは、イブニングスタンダートの記事について書いたのだが、同じ日の新聞では反ユダヤ主義の犯罪容疑で3名の労働党党員がロンドン警視庁に逮捕さるという記事が、後ろの頁で扱われていたのである。

 これについては、海の向こうから米国務長官がわざわざ問題だと指摘している。

 コービンの周辺に反ユダヤ主義の問題党員がいたのは知られているし、メディアでも取り上げられていた。だが逮捕とは穏やかでない。

 社会主義者は、国境を越えたインターナショナルではないのかと問いたいところだ。ドイツ社民では考えられないことだろう。もともとハンナアーレントは労働組合ほどナショナリズムなものはないとして来ていたのではあるが。

 労働党の中には反イスラエル勢力が伝統的に存在していたことは周知である。わが国も1973年の第1次石油危機では米国に追随して、アラブの石油を断たれれば直ちに危機に瀕するということで、OAPECの石油戦略の前に親イスラエルの姿勢を改めたこともある。

 ちなみに私の修士学位はアラブの石油戦略とイギリスの北海石油国家管理政策について、ウイルソン政権の政治を扱って同志社から頂いた。いまは EUと欧州議会の専門家なのだが、研究者としての始まりはイギリス政治だった。

 さてその労働党のこの党首。

 夕刊のスタンダード紙同様、これまた無料のタウン紙メトロは、コービンがまったく場違いのことで、SNPにかみついていることを記事にしている。

 すなわち、時代は40年も前、1979328日のジム・カラハン労働党の政権下で首相の不信任案可決が上程され、1票差で負けたことを取り上げて、SNPにかみつつき、反発を招いているという記事だ。

 このとき11名のスコットランド民族党SNPの議員が反キャラハンに回った。そのことに触れて、SNPの党首のニコラ・スタージョン女史を憤慨させているのである。

 「私が8歳でしかなかった昔のことを語るのではなく、今のことを語ったら」というのだ。

 全くその通りで、現下のイギリスの政治の大破局を前に、いま語るべきことかねというほどにも政治音痴を曝け出している。

 この党首は何を考えているのだろう、ということだ。

 なお、コービンの対EUの重要事項での投票行動は以下のブログ参照。

参考ブログ

2019.01.28 Monday甘えのイギリス時間切れも 英EU離脱まで60日あまり

http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20190128

| 児玉昌己 | - | 23:15 | comments(0) | trackbacks(0) |

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