児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
 難航するドイツの連立交渉とマルチン・シュルツ社民(SPD)党首の「ヨーロッパ合衆国」構想

 ドイツ社民党(SPD)の党首で前欧州議会議長のマルチン・シュルツが「ヨーロッパ合衆国」構想を12月7日に党大会で演説しその必要を打ち出した。ヨーロッパ合衆国とはまた驚きだ。

 1923年の「パン・ヨーロッパ」を唱えた若きリヒャルト・クーデンホーフ・カレルギー(母は青山みつ子)や、67年前のシューマン宣言を打ち出した欧州統合の父、初代欧州石炭鉄鋼共同体最高機関委員長(現欧州委員長)ジャン・モネを髣髴(ほうふつ)とさせる歴史のある言葉だ。

 ところで、マルチン・シュルツは2011年から20171月まで欧州議会議長を務めた名うての連邦統合主義者である。

シュルツは欧州議会を退任し、国内政界にその活動の場を移し、ジグマール・ガブリエルに代わりSPD党首となり、9月のドイツ連邦下院選挙を戦った。

 結果は、現有議席を40落とし153(定数709/超過議席jは111議席、前回は631、法定定数は598)となり、戦後最大の敗北となった。SPDの得票率は戦後最低の20.5%に落ち込んだ。

 実際、彼は、選挙後、同党が170万票減らしただけでなく、1998年以降同党支持者の半数にわたる1000万票を減らしたことの責任を認めていた。

 ただし、直近の総選挙で言えば、メルケルのCDU・CSUの与党も勢力を落とし、65議席減らし246議席となった

 両党合わせて、105議席も落としていた。そして、そっくりその分、極右の「ドイツのための選択肢」(AD)が得た形となり、94議席を得て大躍進し、同下院議会に初進出した。この理由はメルケルのWillkonmen Politik(移民歓迎政策)への批判票でもあったが。

 過半数に達していないメルケルは、独自民と緑と連立協議に臨んでいたが、果たせず混迷の渦中にある。

 いったん、選挙での敗北を受け、大連立を降りると、早々に立場を明らかにしていたシュルツ社民だったが、今回、メルケル与党との大連立の協議を求められ、条件付きでシュルツは党員投票の結果を受けそれを受け入れたものだ。

 現在進行中で連立の成否は、年明けになると思われる。

 もし不可能となれば、再選挙ともなり、EU政治はこの間、停滞する。

 シュルツが当初の下野宣言を撤回し、連立交渉受諾へと転換した背景には、フランスで圧勝し、政権の座にあるマクロン大統領による猛烈な働きかけがあった、と日経の石川支局長が伝えている。

 ところで、その彼は、方向転換を納得させるべく、127日の党大会で重要演説をし、2025年までにEUは欧州合衆国になるべきだとし、それに加わらない国家はEUを去るべきだと強い演説をなした。

彼は、そこで、社民は公正で、革新的なヨーロッパを必要とし、独財務相のヴォルフガング・ショイブレの4年続いた緊縮一点ばりで社会的不公正となる対EU政策の延長は許さない、と述べている。

  ショイブレこそ、強烈な緊縮政策をギリシャに求め、同国を始め南欧諸国、そして社会主義者を反EUへと押しやることにになった政治家だ。ちなみに75となり、彼は政権を離れ、ドイツ下院議長に就任している。

 この社民党大会での演説はマクロンのパリのソルボンヌ大学での演説とともに極めて重要である。

マクロンは、9月26日ソルボンヌ大学での演説で、欧州政治に変革を起こすべきとして、ユーロ圏予算と、それに相応したユーロ圏財務相、ユーロ圏議会の創設導入を掲げた構想を明らかにし、欧州理事会に提起している。

 たしかに「独与党幹部、社民党の「欧州合衆国」構想に反対」の記事で、CDU・CSU会派のフォルカー・カウダー院内総務やアルトマイヤー官房長官らがシュルツの提案に反対していることをロイターは伝えている。

また権威主義的なナショナリズムに傾斜するハンガリーやポーランドなど、中東欧諸国などの反対があり、簡単ではない。

  だが、シュルツSPDとの大連立の継続をメルケルが、SPDの親EU政策も含め、受け入れるとすれば、一挙に対EU政策での独仏の枢軸が再結成される。

欧州統合の歴史を振り返れば、この両国が合意した時にそれが進んできたことは時代が証明している。実際、2019年の欧州議会 選挙は国家を選挙区としている限り、国家の政権の中間選挙であり、信任投票でしかない状況をまた続けることになる。それは欧州議会の投票率の低下傾向となってEU自身の正統性を揺るがす。

 欧州委員会は、極小国家のルクセンブルグ出身のユンケルの下で、EU全体の足並みを考えて、マクロンの提案には消極的である。その例がユーロ圏予算の代わりに、EU予算内でのユーロ圏の予算項目の強化、ユーロの安定のためのIMFのEU版欧州通貨基金(EMF)などを提唱している。

 また「ユーロ圏」財務大臣という限定的な名称の代わりに、「EU」財務大臣とするなどとしている。これらにEUの統一的な観点での配慮(悪く言えば臆病さ)が垣間見える。

 EU離脱が19年3月と確定しているイギリスを除く27EU加盟国と、19か国からなるEU内のユーロ圏と、ユーロ使用で分断状況にあるEUだが、ユーロ圏からみると残る8か国がユーロを発効するならば、これらの問題も一挙に解決する。これには少し時間がかかりそうだが。 

 ともあれ、今後、ドイツの連立交渉は、対EU政策、とりわけヨーロッパ統合の将来構想、すなわち連邦主義的統合強化とも直結して、目が話せないのである。  

 参考記事

German SPD leader seeks "United States of Europe" by 2025.Reuters December 7, 2017.  

EU改革案を提唱 難民審査機関など 毎日新聞2017929日 

独与党幹部、社民党の「欧州合衆国」構想に反対 ロイター 2017.12.11.

ドイツ、大連立政権へ一歩 13日から協議開始へ 日経 017/12/8 [FT]欧州政治の「革命」目指すマクロン仏大統領、日本経済新聞2017/10/23.

EU改革案を提唱 難民審査機関など 毎日新聞2017929日 

参考ブログ

2017.02.22 Wednesday 金融、財政面から確実に進むEUの統合深化とEU統合の2スピード化の加速 上中下

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4202

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4203

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4204

2016.11.25 Friday マルチン・シュルツ欧州議会議長辞任と母国ドイツ下院議員選出馬を発表

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4158

| 児玉昌己 | - | 21:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
若手アラビスト鈴木啓之先生(日本女子大)によるトランプのエルサレム首都承認に対する見解を得る

 あのトランプがエルサレムをイスラエルの首都として承認した。

長年デリケートで米国政府も当事者の交渉という態度で対処してきたが、あろうことか、親イスラエルという立場からさらに先に出て、実質的なパレスチナ人排除ともみなしうる挙に出た。

 EU研究者の立場から言えば、マクロンフランス大統領が思いとどまるように電話していたのだが、その助言も無視された形だ。

 実に困った指導者だ。不要かつ緊張の火種を世界中にばらまいている。

 こんな指導者を選出した米国の有権者の責任は大きい。北朝鮮政策だけは、部分的に評価しているのだが。

  今日は米国によるイスラエルの首都としてのエルサレム承認について、書こう。

 この分野ではアラビストの言葉こそが意味がある。

 言葉もできないものが専門家風に口を利くということがテレビでままあるからだ。

東京外語大でアラビア語を収めた若手アラビストの鈴木啓之(ひろゆき)先生に過日、本学比較文化研究所欧州部会で「英の対中東政策バルフォア宣言100周年」というタイトルで、講演いただいた。

http://www.mii.kurume-u.ac.jp/hikakubunka/pdf/h29_01.pdf

 ちなみに先生との出会いは中東世界、エジプトでのことだ。

 すなわち、今年7月に開催されたカイロ大学での日本研究所創設記念シンポジウムで久留米大学が共催校となっており、報告者として、本学学長の永田先生を含め、同僚諸兄と同地を訪問した。その際、面識を得たのである。

 専門とされているエリアの言葉であるアラビア語はもとより英語も流ちょうに話される若手である。

  個人的には、1987年と2000年の対イスラエル、インティファーダ(一斉武装蜂起)を知っているものとして、トランプによる米国のエルサレムのイスラエル首都承認に関して、今後の事態の悪化を懸念している。

 久留米市長選に立候補を表明されている本学前教授で外務省OBの宮原さん(元中東2課長)とご一緒に、7年ほど前パレスチナ、イスラエルを訪問しているので、この地域への若干の思いもある。

 すでにビジネスの世界では、中東紛争の激化を案じて、株価は一時、500円を超える今年最大の下げ(終値445円下)を記録している。

 それで、現地に在外研究される予定もあると聞いている鈴木先生がどのようにこの事態を見ているか、問い合わせた。

  

以下回答をいただいた。ご本人の了解を得て、ここに掲示します。

 アメリカ政府は西エルサレムに大使館機能を移管するだけですから問題ないという姿勢ですが、イスラエルが東エルサレムを事実上の併合下に置いていることを踏まえれば、西と東の区別はほとんど意味をなさないと考えます。

エルサレムの主権を巡る衝突は、1967年の占領直後から繰り返されており、エルサレムを着火点として大規模なデモや抗議活動、そしてそれに対する政治弾圧の高まりによって情勢が不安定化することは必須です。日本政府は外務省ホームページで、エルサレムをイスラエルの首都と見做すことに留保を示している以上、今回の事案に対して何らかの声明を出すべきではないかと考えます。といった評価が浮かびます。

エルサレム問題は、いつも何かの着火点になるので、すこし情勢の不安定化を私も危惧しています。

参考ブログ

2013.08.31 Saturday 斉藤力二朗氏によるアラブ情勢についての欧州部会講演無事終わる

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3526

 

 

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 21:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
シンギュラリティの基礎になるスパコン研究の重大な危機・打撃 エクサ級の驚きの地検特捜部の捜査の報

 まさにその著『エクサスケールの衝撃』を再読しているときに、その著者で日本の代表的なスーパーコンピュユータの開発で最も優れた業績を上げている齊藤元章(さいとうもとあき)さんのところに東京地検特捜部が入ったというニュースを知る。一瞬耳と目を疑った。

一体何があったのだろう。

 プレ・ジンギュラリティの到来を前に、世界でしのぎを削る、先端戦略産業開発競争のなかにあって、わが国のスパコンに革命をもたらし、研究開発の核になっている人である。放射線科の医師の時代、画像診断の精緻化の必要性からみずからのその技法を開発、この世界に入った人だ

 「京」ケイとして知られるわが国のコンピュータがある。その処理速度の単位として、10の16乗からとられている。億や兆などをはるかに超える数字だ。

 70億の人間が1京回の計算に17日かかるのを1秒で行えるのが、京(けい)だ。エクサはそれより桁違いに処理能力が高い。

 録画など日常で知る記憶容量として最大の単位はテラである。他方、同じ数の単位でも、エクサはコンピュータの処理能力の単位で使用されており、そのテラの100万倍。10の18乗。

 スパコンのさらなる小型化、高性能化をめざし、100京という人間の脳の全ニューロンの神経伝達能力をカバーするエクサ単位の性能をもつものを独自に開発すべく、技術革新の先陣を切っている人でもある。

 渡米し、本場シリコンバレーで研鑽を積み、成功し、産をなし、東日本大震災で傷ついた故国を想い帰国し、わが国のベンチャー企業家となった人だ。

 コンピュータ開発の世界では、斎藤さんについていえば、日本のカーツワイル、あるいはノーベル賞の山中先生にも等しいという人もいるほどだ。

 彼の業績については、著書『エクサスケールの衝撃』を読まれるとわかる。そして革命的というべき省エネ設計概念でブレークスルーを実現している。

 口だけのヒルズの詐欺師などではなく、実際、世界一のマシーンも完成させ、彼の独創的技術で、わが国の最先端分野の開発を世界的にリードしている人だ。

 およそ私腹を肥やすなどという世界とは無縁の人だと思っている。

 かつて線香花火みたいに終わった民主党政権の時代、「2位ではいけないのですか」と知った風にスパコンをスーパーのダイコンのごとくに語り、ノーベル賞受賞者の激しい怒りを買った無様な議員がいた。

 この事例にあるように、わが国の政治権力者によって認識が十分なされておらず、資金が十分でないスーパーコンピュータという戦略産業における開発研究の中で起きた今回の報道。

 エクサスケールの超高性能スパコンの核心的技術開発競争への深刻な打撃を真に憂うものだ。そこに影響が及ばないことを祈念している。

参考ブログ

2009.11.14 Saturday 日本を技術三流国家に貶めるつもりかね予算仕分けで最速電算機(スーパーコンピュータ)開発を削る民主議員のレベルの低さ 上中下

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2109

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2111

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2112

追記

朝日(12/5(火) 12:32配信)は以下伝えている。

 「スパコンの開発会社「PEZY Computing」の社長、斉藤元章容疑者(49)は、11日放送のNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に「スーパーコンピューター開発者」として登場する予定だった。」

 逆に言えば、斎藤氏はそれに値する評価がある人だとNHKも認識していたということだ。日本のスパコン開発史をカバーする実に貴重な証言の映像であると推測されるのだが、今回の捜査でそれがお蔵入りとなり、全く残念だ。別途、日本人の一人として彼の奮闘、苦闘、生き様、そしてわが国には何が不足していると彼が考えているのか、を見てみたいものだ。

 

 

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 11:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
鬼気迫るリアリティに満ちたシルバー川柳の数々

 シルバー川柳というのを、フェイスブックでの友人のシャアで知った。

 紹介した人が「ブラック・ジョークの切れ味」という言葉で表現されていた。

 私にしてみれば、ブラックジョークというより、実にその鬼気迫るリアリティこそが、これらの句の凄味だ。

前期高齢者入りしている私などの世代も、お迎えがいつ来ても不思議ではない。その前に来る要介護の日々。

 死生観はそれぞれだが、少なくとも私は、治癒の希望がなければ、チューブをつけては生かしてくれるなと家族に言っている。

 下記の句は、いずれも一瞬笑って、そして余りのリアリティに凍てつく、そうした印象を得た。

  1. ■紙おむつ地位も名誉も吸いとられ
  2. ■字を忘れ考えてるうち文忘れ
  3. ■いつ死ぬか分かれば貯金使うのに
  4. ■生きがいは何かと聞かれ「生きること」
  5. ■手をつなぎ互いの杖となるあした
  6. ■物忘れ知識を少し捨てただけ
  7. ■温かく迎えてくれるは便座のみ
  8. ■「君の名は?」老人会でも流行語
  9. ■iPad指舐めスライド孫怒る
  10. ■遺言書「すべて妻に」と妻の文字
  11. ■ルンバさえ越えてる段に足とられ
  12. ■付いて来い言った家内に付いて行く
  13. ■通帳に暗証番号書いている
  14. ■寝てるのに起こされて飲む睡眠薬
  15. ■ペットロス主人の時より号泣し
  16. ■ピンポーンにやっと出たのに不在票
  17. ■石段の下から拝む寺参り
  18. ■できますと家族を泣かす認定日

http://www.yurokyo.or.jp/news/silversenryu/20170908_01.html

 

2017年11月のブログアクセス総数は合計:7728

 

| 児玉昌己 | - | 21:20 | comments(0) | trackbacks(0) |
日大名誉教授小林宏晨(こばやし・ひろあき)先生の心をうつEU認識

ネットサーフィンしていたら、以下のユンケル欧州委員長のEU観を紹介する記事が出ていた。

「実現性低い多数決議方式 対外政策は加盟国の守備範囲」  2017/11/27(月)Viewpoint

「ユンケル委員長いわく、欧州は、難民に対する要塞ではないし、しかも決して要塞となってはならない。欧州は迫害から逃れる人々が保護を見いだす連帯の大陸にとどまる。なお難民救済で主役を演じたEUメンバー国は、なかんずく難民を最大限受け入れたドイツであり、難民を具体的に海から救い上げたイタリアである。国家にあらざる「法治国家体制」たるEUの良心にエールを送りたい。」

http://vpoint.jp/world/eu/101531.html

わが国の防衛法学をリードされた日大名誉教授小林宏晨(こばやし・ひろあき)先生の心をうつEU認識である

 1937年お生まれだ。

 EUについては、その歴史的貢献も知らずに、表面的な対立と齟齬の事象だけをみて、悪し様にののしる手合いが多い。

 1952年欧州石炭鉄鋼共同体創設メンバーの6か国に始まり、2017年現在、28か国にも成長したEU自身が驚くべき発展なのである。

 しかも、それがゆえに域内間所得格差の拡大による対立はある意味で必然的なものであることも、忘却してである。

 EU理解は50年のタイムスパンで見る必要がある。

 そうしたEUへの歴史的パースペクティブも忘れ、短期的視座でEUの方向さえ見いだせない軽薄なEU理解が支配的なわが国である。

 その中にあって、否定的にとらえられてきたEUの、そしてドイツとイタリアの難民政策を、かくも簡潔、かつ心を打つ文章でなされたものを他に知らない。

 例えばイギリス。かの国は、初めて留学した国で最も愛着のある国家であるのだが、それでも、EU域外の難民受け入れはおろか、2004年5月から加盟国であるポーランドなどの東欧諸国からの移住の受け入れさえにも、チープなタブロイドメディアは排外主義を掻き立て、EU離脱の一因となした。

 戦後ドイツ、イタリアが学んだ民主主義の歴史性を、戦勝国であるイギリスは失ったのか、と思わせる、戦後欧州政治史と、EU理解を改めて我々に考えさせるわが国の骨太の法学博士の文章である。

 ちなみに、EU離脱でのイギリスが被る打撃については、AFPが今年9月伝えたところでは、マンパワーだけで以下のデータがあげられている。すなわち、20193月の英国のEU離脱後、EU域内からの移民労働者の流入が止まれば、サービス業界は人材危機と年間6万人の労働者不足に直面する。

参考ブログ

 

| 児玉昌己 | - | 00:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
寒い夜はアンコウと牡蠣の土手鍋 それを詠む 海鳴庵児玉

 ここ数日は冷え込みも厳しく、夜は鍋。牡蠣の土手鍋でもと思い、妻と出かける。

 アンコウの鍋セットが出ていて、牡蠣と両方を求める。

 別途、明日の夕食のために、並んでいる鯛の尾頭付きもびっくりする値段で、内臓もその場で取ってもらい、購入。

  この時期の恒例行事となったボジョレヌーボーと楽しむつもりだ。

  価値ある食材。九州ならではだ。

 魚のうまさでは、仙台に居を移されている東北大名誉教授の田中素香先生も同意されていた。先生九州のご出身だが、もう仙台暮らしも30年余ということだ。

  この秋、極右AfD(ドイツのための選択肢党)躍進の総選挙でベルリンに同じ時期取材に出て、そのことで最近、あれこれ電話で話をさせていただいたときのことだ。

 柚子胡椒が効きすぎて、吹き出す汗にしばし寒さを忘れた次第だ。

 なおあんこうは漢字で「鮟鱇」と書くという。和語ということで、魚ヘンに音を当て造語している。日本語の柔軟性のゆえだ。中国でも使用されているとのことだ。

一首詠む

 鮟鱇の 鍋と柚子胡椒(こしょう)に 風邪も飛び 寛ぎ深し 家人との食卓(たく)

                                   海鳴庵児玉

| 児玉昌己 | - | 23:49 | comments(0) | trackbacks(0) |
二十四節気では小雪(しょうせつ) 淡い九州の紅葉を詠む 海鳴庵児玉

霜月も終わりを数日にした朝の冷え込みは冬というべきもの

 

晩秋の この地も寒き この朝の 紅葉(くれない)淡く ありともいえども
                           海鳴庵児玉

2017年後半海鳴庵児玉昌己句歌集

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4294

| 児玉昌己 | - | 13:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
傲慢になる自民 国会での質問時間削減を言うなら、比例得票に応じた時間に置き換えよ 自民は3割でしかないよ

 自民は国会審議での野党の質問時間の削減を言っている。選挙で勝ったと豪語する自民を前に劣勢だ。それに軍事外交ではまだ読める記事もあるが、こと政治となると、自民党の機関紙か、というべき産経新聞が追い打ちをかけている。

私にしたら、実にばかげた自民の言い分だ。

 まず指摘すべきは、政権政党は、毎日、朝、昼、夜とメディアを使って自党が行う政策について、いわば公的に無料で膨大な情報を流すという圧倒的な便益を享受しているその事実である。

 そうした圧倒的便益を得ている事実を無視し、現在の国会質問についての野党時間の削減という議論は実に勝者の傲慢、議会制民主主義の軽視というに尽きる。

 国会審議ではそれゆえ、野党に 時間を厚く配分することが常識なのだ。

 加えて、今回、安倍自民に指摘すべきことは以下である。

 有権者が多い、2017年の総選挙での比例東京ブロックの得票率を示せば、自民トップ30.47% 立憲23.58%、希望17.44%、公明は10・81%。共産は10・37%である。

自民だけなら3割、公明も入れた与党で4割程度でしかない。それが自民党の勝利の実際であり、実態である。それを質問時間に反映すれば、自民3。その他7である。

 民意の正確な反映こそ政治の基本である。小選挙区制度では、得票率と獲得議席に唖然とする乖離(かいり)が生じる。

 自民の勝利は小選挙区制度をとる選挙によって、勝ちすぎ、つまり過剰代表されているという本質的議論をなぜ、野党や大手新聞は提起しないかである。

 今もって、死票の数など詳細を分析したものが出ない。

 1994年の公選法の改正によって、中選挙区を止めて、小選挙区を主軸とし、尾ひれの様に比例がついた現行制度ができた。

 そしてその結果、有権者の投じた一票が議席に、政治に反映されない死票が膨大になり、これまでの総選挙に見るように、過剰代表と負けすぎ、すなわち過小代表の状況が顕著となっている。

 しかも比例が正確に有権者の民意をとらえているにもかかわらず、自身の選挙区ではわずかに有権者の25%程度で勝利する可能性のある小選挙区を評価し、比例選出とその議員を下に見る風潮がある。

  比例制こそ欧州政治の基本である。21世紀の選挙制度の基本である。たとえ、それが英仏に見られるように、極右排外主義勢力を利していることであっても。それも非合法集団でない限り、民意なのである。

 決選投票を評価する若手の政治学者もいるが、決選投票とは、フランスの小選挙区制度を前提としていることからして、後ろ向きの議論といわざるを得ない。

 ちなみに国民議会選挙で小選挙区2回投票制(決選投票制)を採るフランスは、1979年、欧州議会選挙の直接選挙導入時、国民議会で採用している小選挙制度ではなく、比例代表制を採用した

 イギリスは1999年に小選挙区制度を捨て、比例で実施(北アイルランドは当初から)。

 自国議会の選挙制度の不合理と不公正を理解しているからである。

 質問時間の不平等を言えば、選挙制度を比例制にすれば、どれほどの時間配分が公平か簡単に理解できるということだ。

参考記事

 比例得票率 自民トップ30.47% 立憲23.58%、希望17.44% /東京 毎日新聞20171024

野党質疑 短縮要請へ 首相、衆院選圧勝受け東京新聞20171028

参考ブログ

2012.12.18 Tuesday これが小選挙区選挙の実態だ 上下 死票は3730万票、死票率56.0% 虚構の2大政党制

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3355

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3356

2014.12.18 Thursday 産経の意味不明の選挙制度関連記事 で、山本記者よ、何をどうしたいのかね

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3780

 

| 児玉昌己 | - | 19:37 | comments(0) | trackbacks(0) |
佐世保に墓参そして長与(長崎)

 気温も12月下旬というほどまでに下落した日曜日。

 午後から墓参。社外の温度は8度と記録していた。

 ベルリンから戻り、あれこれあり、その報告と祈願。願い事が多すぎて、ご先祖様には申し訳ないことだ。

 それでも育った街。両親とご先祖さまの墓だけになってしまったとはいえ、空気がうまいし、嬉しい。

 育った町はやはり学校や旧友との思い出とともにある。

 その点、子供たちは小学校に上がるまで大阪で育った長男を除き、長与で育っている。子供たちは、久留米には親近感がない、友人もいないので、来ても親のところという冷めた感覚がある。残念ではあるが、それも納得ができる。

 私といえば、久留米はもう16年になるのだが、それでも通った学校、すなわちふるさとがこの地ではないということで、竹馬の友はいない。それで、校区のことを言われても、知識としてはあるが、無機質で、どこかにしっくりこないところはある。

 だが、それでも16年。前任校での勤務の期間をはるかに超えてしまった。住めば都。先のことは誰にもわからないが、すこしは友人もできて、すこしなりとも自分のもの生活の一部と化しつつある。

 この地が終の住まいになる可能性が高い。わずかにあった行きつけの飲み屋が閉店してしまったのは痛いのだが。

 ロンドンやブルージュ(ベルギー)の外国も含めて、佐世保、京都、高槻、長与(長崎)、久留米、と故郷や大学、そして研究の場や職場が動いてきて、どこがどこやら感覚的には定まらず、根無し草という気もある。

 人生は生まれたところで生き、そしてその地で、死んでいく。それがシンプルで一番いいのだろう。

 だが、幸か不幸か政治の研究者。それもヨーロッパを対象としてきた。したがって、その意味では、日本どころか、欧州にも生活の重要なところがある。それゆえ、シンプルにはなれないのである。

 これは辞令一つで転勤となる大手企業のサラリーマン諸氏も同様だろうが。 

 ともあれ、平成29年も残すところ後40日余りだ。

| 児玉昌己 | - | 00:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
 老いと病についての米映画2本 The Notebook(2004)とStill Alice(2014)

 老いと病についての米映画2本。

 生涯自分の歯で行けるときいていた親から頂いた大事な歯、全くあっという間に、断裂し1本消滅した。無残な土曜日だったのはすでに書いた。

 今日は、病気や老いについて。2つの映画。

 1つは米映画『きみに読む物語』。 原題: The Notebook。ジェームズ・ガーナーとジーナ・ローランズが老いた二人を演じている。

 大きな障害を克服し、愛をつらぬき、結ばれた2人だが、後年、妻女アニーがアルツハイマーを発症し、家族と夫婦の愛の記憶をすべて失っているというものだ。

 夫が施設で本を読んで聞かせることから上記の邦題がついている。が、最初はボランティアかと思わせる。だが、中盤からそれが妻女だということがわかる。

 本を妻女に読んで聞かせる夫役はジェームズ・ガーナ。妻女はそれが夫とも理解できていない。

 彼についていえば、「大脱走」1963年の作で記憶している。

 あのスティーブ・マックイーンのバイクで鮮烈な印象を残した戦時映画の傑作である。ガーナー35の時の作品で、彼は天寿を全うし、2014年に86歳で死去している。

 この「君に読む物語」が遺作となっている。75歳で演じていたのだ。

 「大脱走」から40年の時を経て、あの時の空軍義勇隊の士官役の精悍な役を演じた彼も、すっかり老いていた。

 もう1つは、若年性アルツハイマーを扱った「アリスのままで」。原題: Still Alice、ジュリアン・ムーアJulianne Moore、2014年公開米映画。

 母であり、妻でもある優秀な大学教員が発症した。そして、その彼女と家族の関係が扱われている。

 夫は、有力病院に招聘されるというほどの医師だが、妻の病状の進行には全く無力だという設定も、過酷だ。

 「アリスのままで」という邦題がついている。だが、原題を考えれば、もう一つの意味がある。

 消失していく記憶の中で、家族からみた言葉だけでなく、彼女自身の言葉、すなわち、「ほかの誰でもない、私はいまもアリスなのよ」という含みもある。

 アルツハイマーといえば、研究も治療もずいぶん進んでいるが、それでも過酷なものが、この若年性アルツハイマー。

 基礎医学や臨床の関係者はともに懸命に努力されているのだろうが、有効な治療法が早く見つかるといい。

 派手なアクションや夢を売ってきたハリウッド映画だが、銀幕のスターも年代を重ね、映画会社も病や老いを扱いテーマとして取り上げつつある。

 実際人間である限り、未だ再生医学や生命科学の応用が始まったばかりの21世紀初期の現段階からすれば、老いと病いの問題は切実で避けては通れないことだ。

 

| 児玉昌己 | - | 18:00 | comments(0) | trackbacks(0) |

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