児玉昌己 研究室

久留米大学法学部国際政治学科教授
中村民雄早大教授のEUと日本外交のあり方に関する講演を拝聴する

 金曜日、午後、中村民雄早大教授の久留米大学比較文化研究所欧州部会の講演を拝聴する。
 単に意見を拝聴するというより、この欧州部会の講演、他も同様だが、私が責任者として、講師を探し、お願いし、司会も担当しているのである。
 昨年夏、九州大学の八谷まちこ先生の呼びかけで、阿蘇の施設で、近隣の大学生に呼び掛け、EU学修合宿をした。その際、先生にお願いして、今回実現したものだ。
 私学はどこでもそうだが、この時期期末試験、入学試験など多忙を極める時期なのであるが、その合間を縫って、とんぼ帰りで、きて頂いたのである。
 EU研究者からみて、日本はいかにこのEUと経済外交を展開すべきなのか、EU法に熟知された経験を背景に、EUとの経済連携協定EPAの交渉に臨むべきであるということであった。
 当然、それは環太平洋という名称が示すように、EUは除外されているが、日本最大の外交懸案のTPP交渉に参加する、日本外交の態度も同様のものとなるべきであることを話された。
 特に、相手は法の世界であり、彼らが理解できる「法の言葉」をもって外交交渉にのズム必要があることを指摘sれた。
 また、先ごろ受講者からの質問に答える形で、締結されたEU韓国FTA協定の政治的性格に言及されたが、この協定の政治的性格については、報道されていないことで実に興味深いことであった。
 韓国EU学会の理事長経験者で、延世大学の金大淳(キムデスン)教授は以前ソウルでの韓国EU学会での朝鮮半島とEUのセッションで、招かれて講演させてもらうなど付き合いがあり、他方、同教授はロンドン大(LSE)学時代の中村先生の同窓生であるということで、私たち共通の友人である。
 韓国におけるEU学界をリードする同教授が、EU韓国のFTA協定(条約)どう評価しているのか、聴いてみたいと思った次第である。
 厳寒の中、35名以上の参加者を得て、受講者も大いに知見を広げられたことだろうと思っている。
 なお、3月から12年使ってきたアクロス福岡から、本学サテライト教室をエルガーラに移すことが決まり、私にとっては、アクロス福岡での最後の講演と相成った。

| 児玉昌己 We are a sturdy nation we don't give up | - | 09:07 | comments(0) | trackbacks(0) |
久留米大学大学院比較文化研究所欧州部会2011年度講演会第4回講演会のお知らせ
    久留米大学比較文化研究所欧州部会では2011年度第4回目の企画として、中村民雄早稲田大学教授をお招きして、下記要領で講演会を実施します。聴講は無料です。

ふるってご参加のほどお願い申し上げます。

 

 記

演題 リスボン条約以降のEUの外交日本EU経済連携協定交渉の知られざる側面

講師:中村民雄(早稲田大学 法学学術院 教授)

略歴:(なかむら たみお)1959年生まれ。1983年東京大学法学部卒業、1986年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士)、1987年ロンドン大学法学修士課程修了(LLM)、1991年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(博士(法学))。成蹊大学法学部助教授、東京大学社会科学研究所教授を経て、2010年より現職。

著書:『イギリス憲法とEC法』(東京大学出版会、1993)、『欧州憲法条約解説及び翻訳』(衆議院憲法調査会事務局、2004)。(共著)『東アジア共同体憲章案』(昭和堂、2008)、(編著)『EU法基本判例集(第2版)』(日本評論社、2010)ほか多数。


場:久留米大学福岡サテライト

(福岡県福岡市中央区天神1-1-1 東オフィス5階)

座:日 時:平成24年1月27日(金)

間:15時〜17時 (含む質疑応答20分)

申込法 :参加料:無料・直接会場へおこしください。定員80名、先着順

 

 

| 児玉昌己 We are a sturdy nation we don't give up | - | 20:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
寒い夜には楽しい欧州の音楽をどうぞ ビヤ樽ポルカ(rosamunde)など

  寒い夜だ。これから九州北部も明日以降雪になるとのこと。
今日は終日、家にいて、ユーチューブなど聴いて寛いでいた。
元気が出るのがいい。
ドイツのrosamunde(ローザムンデ)と聞いて、ピンとくる人は、相当のドイツ通だろう。日本ではビア樽ポルカという。なんだ、それなら知っているという人も多いだろう。
 もともとチェコ民謡
Škoda lásky
から採られたとのことだが、世界的に広がった。
 35年ほど前のことだが、ロンドン留学中、フリートストリート(新聞街)だったか、たまたま入った大規模パブでこれをピアノで演奏して、お酒と音楽を愛し、楽しむ現地の人がなんと素敵で、幸せだろうと、心が高揚したことを覚えている。
 アコーデオンなどで、多数のバージョンがあるが
以下がドイツ語圏の人々の喜びが伝わってきて、いい。
 http://www.youtube.com/watch?v=qHX34uMNXQ8
 元々チェコ語で、失恋の歌ということだが、米国に渡り、ビヤ樽beer barrel porkaとして、全く歌詞が改められたという。
 
 もう一つは、惜別の歌として知られる
Muß i' denn、発音はムシデン。

英語版もあり、プレスリーがGIブルースの中で、歌って有名になった。デートリッヒの哀愁のある以下の版もいい。

http://www.youtube.com/watch?v=Nfr5tDhj5nA&feature=related

 また軍歌バージョンもある。歌詞の内容は、愛する人を残して、修行に出る職人の恋心をうたったもので、いわゆる軍歌の歌詞ではない。国民に広く知られている愛唱歌を使ったということだろう。
 外に多数の女性はいるが、誓ってあなたのところにもどるという、実に男の側の恋心を歌い、人間味にあふれる歌詞である。

http://www.youtube.com/watch?v=XPWH5-nm9ZM&feature=player_embedded

参考ブログ
2011.07.30 Saturday
 落ち込んだ時は、米加ポピュラーソング2曲
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2890

 

| 児玉昌己 We are a sturdy nation we don't give up | - | 20:29 | comments(0) | trackbacks(0) |
選挙制度での朝日と北海道新聞の社説 そして還暦人がなせること
  昨日西日本新聞の社説を批判した。あまりに、バランスを欠いて、レベルがひどいものだった。
北海道新聞は、19日付で、私と全く同様に選挙制度の議論にはバランスの必要があることを指摘している。また朝日は20日付で、民主の愚劣極まりない比例定数80議席削減案を完全小選挙区制に誘導する案だと適切に批判した。
 北海道新聞(道新)といえば、昨年5月、1票の格差問題で、東京報道部から久留米の研究室で取材を受けた。それは、泉前最高裁判事とのサンデー討論として、コメントを大きく掲載して頂いたことがある。
 だれがみても、両紙の見出しが普通である。ともあれ、すこしほっとする。

定数減民主案―比例80減には異議あり 朝日社説2012/01/20

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
衆院選挙制度 抜本改革の道筋も示せ 北海道新聞社説(
2012年1月19日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/344454.html 
 なお、私的なことだが、還暦が近いことは書いた。
 歳をとったものの役目は、少しなりとも、過去を知っていて、それを若い人に伝え得るということである。それはたとえば、飯尾潤政策研究大学院教授の参院認識に関連した、同氏が十分に理解できていないと思える当時の参院の雰囲気であり、あるいはこれまで構築した私的な人間関係についてもである。
 過日、今度チームでEUの書の全面改定版を出す若手の女性EU研究者から欧州司法裁判所に調査に出かけたいがと相談を受けた。
 ベルギーはブルージュにある欧州大学院大学の同窓生が、昨年、同裁判所判事に就任している。それを伝えるEメイルに、私にルクセンブルグに顔を出さないかと誘ってくれていたことを思い出した。
 欧州大学院大学といえば、ヨーロッパのトップクラスの秀才を集め、そして欧州司法裁判所を含めEUの機関や欧州各地の大学など、多方面に人材を提供している欧州屈指の高等教育研究機関である。
 それで彼にEメイルを打ち、紹介してあげた。
 無事、コンタクトが取れ、調査取材が可能になるようで、喜びのEメイルを受け取った。
 若い日、肩書とは無縁の時代、欧州大学院大学で机を並べ、今はカフェテリアに置き換えられた給仕付きの学食で、ファーストネームで呼び合い、夕食を共にした友人だ。
 そして、それぞれの人生を送って、こうして今がある。
 ささやかではあるが、私の経験や人間関係がお役にたてればうれしいことだ、と思った次第だ。

 
参考ブログ

2012.01.20 Friday 西日本新聞よ、貴紙は民主のメディア支部かね 3 バランスを欠く選挙制度(議席削減)の社説

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3055
 2011.05.09 Monday
 一票の格差最高裁違憲判決と、前最高裁判事泉徳治先生とのサンデー討論 上 (北海道新聞2011.5.8

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2817

2012.01.16 Monday 諸悪の根源は小選挙区制度である 6 政治学者の選挙制度認識を質す
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3050

| 児玉昌己 We are a sturdy nation we don't give up | - | 17:47 | comments(0) | trackbacks(0) |
西日本新聞よ、貴紙は民主のメディア支部かね 3 バランスを欠く選挙制度(議席削減)の社説
  福祉先進国で言及されることの多いスウェーデンは942万の人口で、349議席を確保している。日本風に言い換えれば、4000名ほどの国会議員がいることになる。
 あたかも国政担当者が、市民の隣に、市議の如くにいる。それも政治のあり方だ。
 実際、民主がいいとする米国の議会を言えば、国民を代表する議員が50万に1人も確保できず、上院は貴族化し、下院は任期2年で当選年次と改選年時しかなく、どぶ板政治で国政も考えられない政治である。
 結果、ウォール街への大規模な自発的デモでみたような格差社会、貧困大国を生んでいる。そんな米国の政治のあり方よりも、スウェーデンの方が、よほど市民に政治が身近でいい。

2010.05.25 Tuesday 議員歳費と議席の削減論について 4 先進11カ国の人口比別国会議員定数 http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2364
 人口が6千万程度のイギリスでは下院は、650で、日本の人口比に当てはめると、衆院で1300人の議席を持つ勘定である。

我が国での議員削減論には、無能な議員論から、議員不要論があり、しかして無能、不要、議員削減と続く。
 たしかに、現下の、前代未聞にも、ルーピー/クルクルパーと米政権にいわしめた(ワシントンポスト)指導者を含め、無能議員の存在を認めるとしても、国会議員は国民の代表である。無能な現職議員が将来の有能な議員の登場の可能性を阻むことがあってはならない。
 しかも、無能論からくる削減論に加えて、行財政改革での削減に変わりつつある。だが、世界中で、歳出削減が言われているが、それを理由として、国会議員定数の削減を言うのは、わが国くらいである。政治がカネの問題で扱われることほど、民主主義の静かな衰微を示す危険な兆候もない。議席はいくらで買えるかという議論につながる危険である。

 カネを言うなら、政党助成金の大幅削減だ。
 この助成金で、まじめにドイツの選挙制度など、政治の研究に使うならいざ知らず、欧州の事情も知ることなく、何より、政党のボスが解党ごとに懐に入れ、新党結成時に子飼いにばらまき、公金を私物化し、自己の権力維持に活用する危険が指摘されているほどだ。
 この政党助成金の大幅削減と、議員歳費の削減で十分である。
 それが、民主の総理が何とかの一つ覚えみたいに言う、「身を削る」ことの真の意味である。 
 実際、ソブリン債危機の発端となったギリシアでさえも、歳費の削減はあっても、議員定数の削減の具体案は聞いたことがない。

行財政改革での削減対象の一般公務員と国民の代表とは別物でることを理解しているからであり、議員定数を軽々に削減することの反民主主義を熟知しているからである。

 しかるに試験でそれになる一般の公務員と、国権の最高機関の構成員として、選挙をされて公職者となる議員を同一視し、これを同じ次元でリストラするなど言語道断である。
 この思考は、小泉元首相の「国会リストラ論」と同類であり、極めて危険なポピュリズム的な、反民主主義の要素を孕んでいる。

 そんなことも分からずに、社説氏が、議員定数削減を自ら煽っているようだ。しかも民意の宝石というべき比例定数の80削減という民主の政策に結果的に、意識してか、無意識か、無批判に加担するような論を出す。

 比較政治の知識や選挙制度のあるべき姿についての本質的認識をはなはだしく欠くものが、はしなくも九州最大の有力紙を代表する社説氏となって、しかも民主的な制度改革とは何かの自己の積極的提案もなく、既成政党の尻馬に乗り、本格的な選挙制度改革に竿を指すような社説を書く。まったく困った世の中だ。
 貴紙の社員はこんな社説で皆納得しているのかね。

 

  

| 児玉昌己 We are a sturdy nation we don't give up | - | 02:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
西日本新聞よ、貴紙は民主のメディア支部かね 2 バランスを欠く選挙制度(議席削減)の社説
  異様な勝ちすぎで政権を得ている民主の現行の選挙制度下での政治に対しては、尻馬の定数削減をいう以外に、まじめな改革に対する見識も、具体的提言も、貴紙にはないのかね。
 比例制度への転換は、民意の反映という政治と選挙制度の本旨から、やるべきことである。「難題」といって済ます問題ではない。
 西日本の社説氏よ、選挙制度の要諦は何かね。

民意が完全に政治に反映されることではないかね。民意の宝石をどぶに捨てるがごとき、民主の選挙制度改革案を、お宅は支持しているのかね。友人もいる貴社だが、これは見過ごせない。

お宅は、民主のメディア支部なのかね。
 実際、過半数にも満たない支持しかない民主が、7割以上300を超える議席を得て、政権に君臨する。そして現行制度で生まれる膨大な死票をかろうじて、わずかに是正する機能を持つ、民意の宝石というべき比例定数を、あたかもどぶに捨てるかの如く、80削減をいう。 
 民主の比例80の削減は、もともと完全小選挙区制度論者を是とする一部の党幹部の思想を反映したものであった。これが導入されれば、死票の程度は今の程度ではない。

 中小政党は消えてしまえという議論でしかない。特に冒頭に紹介した部分はバランスを欠くだけでなく、知性と品性を欠く書き方である。

国民の35%は自民と民主の2大政党以外に投票している事実も知らないのかと言いたい。

少数意見に対し、かくも侮蔑的言辞をなした新聞をこれまで見たことがない。日頃民主主義を言う新聞がである。
 しかも、議員の削減についても無様極まりない議論だ。社説氏君よ、国会議員は国民の代表であるということが分かっているのかということである。
 議員定数が多いと、長く無批判になされてきた自民と民主の議論の無定見さについては、11カ国の比較をし、まるで根拠がないことを分析、指摘した。 
 実際、言われてきたこととはまるで異なり、人口比、100万人に国会議員が何人いるかということで、議員定数をみれば、ロシアを別とすれば、寡頭制の権威主義的政治というべくも国会議員数が少ない米国についで、国会議員の議員定数では、わが国は極端に少ない部類に入る。英独仏伊は、人口比で見た場合、日本の1.5倍から3倍はいる。 
 ちなみに、米国では、下院は定数435、上院100で、50万人に1人も議席を確保できていない。下院定数は、80年以上人口が1.2億から3億を超えても変更されていない。その分、有権者との距離は大きく拡大した。 
| 児玉昌己 We are a sturdy nation we don't give up | - | 23:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
西日本新聞よ、貴紙は民主のメディア支部かね 1 バランスを欠く選挙制度(議席削減)の社説

 長い小選挙区制度批判のブログを書き、1142のヒットを、結論部分で得て一息を入れる間もなく、九州を代表する有力新聞の、幼稚な議席削減論を言う以下の社説である。実にあきれる。 

 衆院選挙制度 定数削減は国民の要請だ  西日本新聞2012119日: 社説

 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/282775
 それはいう。
 「現行の小選挙区比例代表並立制の下で180の比例定数が100になれば、少数政党の議席は半減する。政党によっては議席ゼロの恐れもある。」 続けていう。
 「公明党や社民党が少数政党に議席配分が有利な比例代表の連用制や併用制を主張し、みんなの党や共産党が全議席比例代表選挙の導入を求めているのも、議席を失いたくないからだ。」 引用止

上記の論については、問題点が2つある。
 第1は、まさに社説氏が指摘したように、ただでさえ不利益を受けている中小政党が議席ゼロになるような制度改革案が正しいのかね、ということ。
 第2には、選挙制度改革は、党利党略が不可避だとすれば、この記事は、真理の半面しか言い得ていないということである。
 すなわち、中小政党が選挙制度の改悪で、将来を危惧しているように、中小政党のその恐れを指摘しながら、民主や自民の恐れに言及していないことである。
 すなわち、民主は比例制に換えれば、即座に100名以上の議席を失う。同様に、それが怖いからだ、とどうして社説氏は書かないのかね。
 それほどに、この社説、現行より遥かに民意を政治に反映できる比例制度を唱える中小政党を敵視しているかのようである。 
 比例制度を唱える政党が憎いのかね。
 中小政党の提案が民主の提案にそれが劣るのかね。あるいは、自己中心的選挙制度改革案にたいする民主の対応が正しいのかね。
 抜本改正も何もなく、政局だけのための小手先の対応で、比例制を骨抜きにするような、動きに終始する民主ではないか。そうした動きへの中小政党の警戒感は、当たり前ではないか。
 
 上記の引用では、あたかも改革を阻害しているのが、中小政党の様にいう。実に一方的で、バランスを欠いた書き方だと言わざるを得ない。
 

| 児玉昌己 We are a sturdy nation we don't give up | - | 21:40 | comments(0) | trackbacks(0) |
諸悪の根源は小選挙区制度である 結 政治学者の選挙制度認識を質す
  実際、選挙制度で何が起きたのか。1994年の公選法改正で、並立制度が導入された。そして、実数では世襲は減ったと成田氏は分析しているようであるが、むしろ立候補者は激減した。
 そのことにより、世離れた世襲の候補者や議員は相対的に強大化し、国民の政治参加を阻害し、民衆の声を遠ざけた。そして膨大な死票である。
 1票の形式的格差の問題よりもさらに深刻なのは、実質的に合法的に民意が「虐殺」されている小選挙区制度の1人区の全般的状況であり、これが問題とされるべきである。
 1議席を得るために、失われる死票の総計を想起すればいい。各選挙区ごとの1票の格差どころの話ではない。最高裁判決は、当該事案のみを扱う司法の審理の限界で、そこを見ることはない。だが1票の格差の真の問題のそこにある。

 死票に関する総選挙の具体的データは赤旗が伝えている。小選挙区の「死票」は3270万票で投票総数の46.3%、87選挙区では過半数という。しんぶん赤旗 200997(月)
 半分近い有権者の貴重な一票が政治に活かされていない。
実にため息が出る膨大な合法的な「民意の虐殺」である。
 完全な比例にすれば、1票の格差など瞬時に解消する。
みんなの党の渡辺代表が斬新な選挙制度改革案で、適切に指摘したとおりである。
 地域の利害はその中で、たとえば、すべて議席がまず得票に合わせてカウントされるドイツ型の比例連用制などで確保されることが望ましい。連用(併用)の本質は、まず全
ての議席が比例でカウントし、確保されることをいう。現行の並立のように、相互に独立したものではおよそない。まして自民がいうような「ミニ連用制」は比例制度の換骨奪胎であり、比例制度のなんたるかまるで理解できていない議論である。
  

 ドイツ下院議会の比例連用制については、以下参照。ドイツは300近くの小選挙区の1人区をもっているが、何より議席全部が各党の得票で比例配分される。民主も自民もまるでドイツの選挙制度として知られる連用制が理解できていないようだ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E9%80%A3%E9%82%A6%E8%AD%B0%E4%BC%9A#.E9.81.B8.E6.8C.99.E5.88.B6.E5.BA.A6
 小選挙区制度が、これこそ憲法違反というべき膨大な死票を生みつつ、敵対の政治による報復の政治を招き、ネジレを生んでいる。
 ただし、ネジレ自身は否定されるべきではない。それこそ、まさしく民意そのものである。

今の無様な政治状況を作っているのは、参院ではない。実に民意を正確に議席に反映できない小選挙区比例代表並立制という衆院の現行選挙制度である。

違うかな、飯尾先生。

明治期最高の知識人の1人、福沢は「門閥制度は親の敵(かたき)で御座る」と言い放った。
 その福沢に倣っていえば、飯尾教授とは全く違って、選挙制度こそが政治の核心部分であるといいたい。
 そして、改
めていおう。
 現行小選挙区制度は諸悪の根源。小選挙区制度は、国家、国民、そして民主主義の敵で御座る、と。

参考記事・ブログ

「選挙制度が諸悪の根源は間違い」第2回飯尾潤・政策研究大学院大学教授に聞く 日経新聞2012111日(水)09:00

選挙制度改革>自民「ミニ連用制」に言及 公明主張に理解毎日新聞 2011117

2008.10.20 Monday 論理に疑義あり 「実は世襲は減っている」山田孝男毎日新聞編集委員に問う 1
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=1491

2011.10.19 Wednesday みんなの党の比例代表選挙制度提案を大いに評価する 上中下 議員定数削減を除きだが
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2959

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2960
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2961

 

| 児玉昌己 We are a sturdy nation we don't give up | - | 00:37 | comments(0) | trackbacks(0) |
諸悪の根源は小選挙区制度である 6 政治学者の選挙制度認識を質す
  日本の憲法政治史を振り返ると、自民の長期政権時代、むしろ、参院は、悲しいかな、衆院のカーボン・コピー(衆院の決定を忠実になぞる)と揶揄されていた。それは、ほんの20年前のことだった。

飯尾氏は、私より若い世代の政治学者だが、この参院の、今とは全く違った状況と、弱すぎる(とみなされていた)参院、自立性を欠く参院については、飯尾氏は記憶されていないのだろうか。

ちなみに、政治学の教科書では、一院の横暴を抑制するのが参院の機能とある。
 むしろ、今が民主の選挙制度によっていもたらされた勝ちすぎの多数による異常な政治を質すという意味では、現行参院は、教科書に書かれている参院の役割を果たしているということができ、その点で、全く正常というべきかもしれない。

いずれにせよ、参議院が、急に強くなったわけではおよそない。

参院の権限は不変である。権限は変わらない。
 変ったことがあるとすれば、それは選挙制度の改悪であり、中選挙区制度の廃止と小選挙区制度を基軸とし、毛の生えた並立比例制度の導入であった。政治における鬱積した不満と、ネジレ現象の惹起、政治の混乱と停滞、全てはここから始まったと私は思っている。

この比例では、小選挙区での勝ちすぎが、そのまま比例にももちこまれ、比例でも優位を占めさせる。
 そうでなくとも、小選挙区での累々たる死票の屍を是正する機能は遺憾ながら矮小化された並立制下での比例には存在しない。

このことが重要で、これを理解せねばならない。問題の本丸は、まさに選挙制度にあり、それも衆院の選挙制度こそが問題の核心である。

参考ブログ
2012.01.03 Tuesday
 正月も終わる 民主の政治と選挙制度上-下 民意の宝石をどぶに捨てる比例80減の愚劣
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3039
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3040
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3041

| 児玉昌己 We are a sturdy nation we don't give up | - | 22:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
諸悪の根源は小選挙区制度である 5 政治学者の選挙制度認識を質す
 あれだけの多数を得て、自前で政権を構築しなかった民主の、選挙後の政治姿勢の問題と混同してもらっては困る。
 もっとも、この政党、政権獲得だけが目的で、粗製急造の政党であり、その後はしなくも、外交内政で露呈したように、担当首相と、大臣ごとに重要政策がコロコロと変わった。この政党としての驚くほどの統一性の欠如は、初めから危惧されていたことではあった。

 実際、この民主政権については、政権成立後ほどなくして、仏有力週刊誌にヌーベル・オプセルバトゥールの取材を研究室で受け、「新連立政権はイデオロギー上の一体性を欠いたモザイクである」( coalition au pouvoir est  une mosaïque sans unité idéologique.)、とコメントしたところだ。

 Le Nouvel Observateur  L'empire du doute Nº2363SEMAINE DU JEUDI 18 Février 2010. 

 ともあれ、まるで民意を反映しない、「はっきりした勝ち負け」の政治を望むこと自体で問題であり、それは飯尾氏のイデオロギーでしかないということを指摘したい。
 事実、民意を反映しない「明確な勝利」こそが、鬱積した不満票によって、次の国政選挙での与党大敗を生む原因ではないかね。

 そして、あの鳩山、そして管と続く同党首相の外交と原発禍への対応の驚くほどのお粗末さだ。民主という政党の指導者の、政治家としての資質の問題が選挙制度の問題に加わる。目も追わんばかりの日本の政治の悲惨さだ。

 異常な選挙制度の結果、異様な勝ちすぎで政権をとり、しかもあの政治指導のお粗末さだ。それが問題だったのではないかね。

しかも飯尾氏は、強力な参院という議論がその前提にある。これもおかしな議論だ。

参院は周知のとおり、憲法に明記された、憲法上の機関であり、2院制を構成する一方の院である。憲法施行後、一度たりと、憲法改正はされていない。すなわち、参院の権限は、施行後60年、全く変わっていない。そうではないかね。

参考ブログ
2009.02.10 Tuesday
 民主という党名が泣いているよ愚劣極まりない民主の選挙制度改革案 2 http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=1695

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