児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
今日は本学サテライト天神教室でトランプ政治の講演と対談を行います

 今日は夕刻6時から久留米大学サテライト教室で西日本新聞の山崎健(やまざきたけし)前ワシントン支局長(同国際部次長)の講演会で、後半は私児玉も加わり、対談します。無料ですよろしければ、顔を出してみてください。

 周知のとおり、トランプ政権は戦後の米国の歴代政権の中では特に異質で、アメリカ第一主義を抱え、対ロ政策、対中東政策などで、従来とは決定的に異なっており、特に親ロシア、反イスラムの姿勢は世界、特にEUを緊張させています。

 特に選挙戦では、一時期、日韓の核武装、Natoは時代遅れとまで口にしていたほどです。

トランプ誕生と、トランプ政権の対EU政治へのインパクトなどの分析と意見交換ができれば何よりです。

 詳しくは以下です。

http://www.mii.kurume-u.ac.jp/hikakubunka/pdf/h28_08.pdf

 

| 児玉昌己 | - | 10:11 | comments(0) | trackbacks(0) |
寒暖激しい弥生を詠む 海鳴庵児玉

  卒業式も終わり、つかの間の空白の期間。もとより、あれこれ仕事は入っている。寒暖の差に、春は体調管理は難しい 

 

 寒暖の 激しき弥生(はる)の ことなれば 花は咲きても 身体(からだ)奮わじ                                  

              海鳴庵児玉

 

2017年前半海鳴庵児玉昌己句歌集

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4198

 

| 児玉昌己 | - | 00:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
トランプの敵対の政治の限界 底の浅さが露呈(オバマケア代替法案撤回、FBIによるロシア介入の共謀捜査)

 本来、共和党支持者のウォールストリート・ジャーナルWSJ紙が、社説で、事実と真実に敬意を払わないとフェイクプレジデント「偽大統領」と米国民にいわれることになると書いている。

 適確な社説だ。

  実際、オバマ政権が違法にトランプ陣営を盗聴していたとの言説にFBIまでが否定しても、根拠もなく同じことを言い続けている。ありもしないスウェーデンでのテロ事件などに言及して、まさにフェイク大統領を地で行くのは、この男だ。

 しかも、そのFBIは、トランプ陣営によるロシアの選挙介入疑惑に関し、同陣営について、「共謀疑惑で捜査中」ということでメディアではトランプへの打撃」、と報じている。(時事、2017/03/21-06:55

 ことによれば、モスクワロシアゲートで弾劾失脚もありそうな気配である。米国憲法の理念とおよそ遠い国籍や人種による差別の入国禁止令を発し、連邦高裁から差し止めを食らい、それにも懲りずに、イラクを除いて、同じことをまたやろうとして、各州の行政府から訴訟を提起されている。

 それにしても、TPPは強引に拒否したが、オバマケアも、日韓の核武装も、nato形骸化論もすべて転換して、この男なんだっただろうと感じているのは私だけではないだろう。

 あれほど、勢い込んで主張していたオバマケア代替法案だが、その撤回について毎日紙は以下伝えている。

 「下院(定数435、欠員5)で可決するためには過半数の216票が必要だ。ところが、米メディアによると24日時点で、237議席を占める共和党で35人以上が反対する意向を示し、採決すれば否決される見通しとなっていた。」

 ルペンやウィルダース同様、仮にトップに立っても、議会運営がまず不可能になることを、この超ワンマンのポピュリスト政治家は教えている。 なにより極右ポピュリストは議会や裁判所を敵視していることに由来する。

 しかし予算は議会が握っている。違憲判断も最高裁がやるのだ。

 トランプの大統領選出についていえば、一般投票ではヒラリーに300万票差をつけられて、西洋的常識からすれば、トランプは負けていたのだから。

 実に、米国の封建遺制というべき非民主、反近代的な間接選挙制度が生んだばかげた大統領ということだ。

 わが国には、アメリカを美化する政治家や学者がたくさんいる。

 だが、銃も野放しで、公的医療保険制度もないという、欧州や我々の市民感覚からすれば信じがたいほどにも前近代的な遺物を抱えた国家だということを理解しておく必要がある。

参考記事

トランプ氏は「偽大統領」と米紙ウォールストリート・ジャーナル、論説で痛烈批判 2017.3.23

オバマケア代替法案撤回へ 採決見送り、トランプ政権に打撃 日経 2017/3/25 6:19

 米オバマケア>代替法案を取り下げ 可決見通せず毎日新聞2017.3/25

トランプ陣営の共謀疑惑捜査=ロシア選挙介入、政権に打撃−FBI(時事2017/03/21-06:55

2017.02.04 Saturday トランプのアメリカ第一主義の政治はEUの結束と連邦的統合を強化する

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4194

2016.08.04 Thursday米大統領選挙で「不実の選挙人」の存在を知り驚く

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4095

 

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 01:01 | comments(0) | trackbacks(0) |
3.28に西日本新聞前ワシントン支局長の講演の後、対談を行います

2016 年度久留米大学比較文化研究所欧州部会第 8 回  3 月講演と対談のご案内  協力 西日本新聞社
       記
演題

前半  「トランプ政権誕生と米国の分断」
後半   対談   「欧米の右傾化とその背景 」児玉昌己 (本学国際政治学科教授)    
講   師 

山崎健   やまざきたけし( 前西日本新聞ワシントン支局長、3 月1 日付で国際部次長)
略  歴

 神奈川県川崎市出身、 同県立多摩高校、筑波大学基礎工学類卒。 88 年西日本新聞入社、社会部、東京報道部政治担当、佐賀総局デスク 、国際部デスク経て 2013 年8 月からワシントン支局長 。17 年3 月に帰任、 国際部デスクに復帰

活動

米国では統領選のほか 、日米核持ち込み密約や自民党政治家へのCIA資金提供めぐる外務省の米政府非公開要請のスクープ、米国の銃社会病理をえぐる連載執筆。 学生時代にはアメフトに、社会部では「アジアと人権」キャンペーンを主導したタフな正義派記者
会   場

久留米大学福岡サテライト教室(中央区天神 1-4-2   エルガーラオフィス 6階) 

  電話 092  737  3111
日 時

2017 年 3 月 28 日(火)18 時 〜20 時     (前半講演 後半対談)
 

参加希望の方は下記の 住所にハガキもしくはファックスで氏名と電話番号を明記の上、お 申し込みください。

なお定員80名。
〒810-0001 福岡市中央区天神 1-4-2エルガーラオフィス 6階」
ファックス番号  092-737-3112

http://www.mii.kurume-u.ac.jp/hikakubunka/pdf/h28_08.pdf

| 児玉昌己 | - | 01:43 | comments(0) | trackbacks(0) |
追いつめられる極右の指導者たち 仏大統領選第1回テレビ討論のルペン

  オランダ総選挙で、極右政党が予想より苦戦し、欧州政治の焦点は4,5月のフランス大統領選挙に移っている。

 日ごろ熱狂的な支持者を前に、言いたい放題の極右指導者だが、現実の政権運営の厳しさを知っている政治家の前で、彼らの鋭い質問によって、化けの皮がはがれつつある。 

 結局、極右は現状の政治の不備を攻撃する以上、何等の意味のあるプランも提示できないのである。

 実際、野党として与党を攻撃するのは、わが国でも随分見てきたように、如何に安易で、無責任となるか、である。

 政権に手が届きそうになると、当然有権者からは、具体的な政策をすぐに求められる。

 だが、反イスラム、反EU、移民排斥をいう以外、経済政策も通貨政策も、なにももっていないし、何も言わない。

 いう中身がないのが、欧州の極右政党の共通点だ。

 しかもこれが最も重要だが、彼らは下院にはほとんど議席がないのである。

 UKIPは議席ゼロだったし、国民戦線は国民議会ではたったの1議席でしかない。 政権をとっても、全く政策を実践できる予算を扱う下院では力がない。特に小選挙区制度をとっている国家ではなおさらそうだ。

 政治は過去を引きずるものであり、革命でも起こさない限り、早々システムが変わるものではないし、また急激な変化も困るのである。

 まして65年におよぶEU統合からの離脱など、ユーロ圏19か国においては、帰還可能地点をはるかに超えている。

 大統領選挙戦が始まり、主要候補者による第1回のテレビ討論が行われ、極右国民戦線のルペンが中道保守と中道の本流候補からやり込められる珍しい映像が入ってきた。マクロンの舌鋒鋭い反撃に当惑、困惑のルペンの表情は見ものだ。

 実際、ルペンの政治手法についても、極右の特色そのもので、他を攻撃し、現状を攻撃するだけで、自ら生み出すものを持っていない。

 フランやギルダーへの回帰と、20世紀の過去の遺物を持ち出して、国際化した現実の政治と経済をまるで知らない。

 EUについても、離脱を語るものの、その後をまるで語らず、将来ビジョンがないのが明らかになっているからだ。

イギリスのEU離脱を素晴らしいformidableとルペンは旧来同様、ほめあげているが、マクロンはブレグジットでイギリスは寂(さび)れてきていると反論する。ルペンのいう政策は、400万のイスラム人口があるフランスで、国家を分断するともいう。

 ちなみに、イギリスは元からユーロを使っていない。ポンドだから離脱の選択ができたともいえる。

 もっともイギリスのEU離脱の選択は、「海外事情」(拓大海外事情研究所)20169月号の私の論考「英のEU離脱の衝撃−連邦的 統合深化を拒絶した英」」で書いたように、英経済を沈め、UK解体となる潜在的危険さえ秘めている。

 わずか2か月にして史上最低の37%という支持率を記録し、トランプへの不信と失速が明らかになるにつれ、トランプと連動し、それを選挙戦での起爆剤と考えて、実践してきた欧州極右の陣営は、勢いを失いつつある。

 リスボン条約50条にもとづく、メイ保守党政権のEU離脱の通告も今月29日と決まった。

 それに前後し、イギリス国内の政治的対立の深刻化と不安も大陸に伝わり始めている。

 欧州大陸では、確かに楽観的になる状況ではないにせよ、人種差別主義、排外主義、極端なナショナリズムへの確かな反撃が始まりつつある。

 以下、ガーディアンが紹介したその英語付き動画だ。

https://www.theguardian.com/world/video/2017/

mar/20/french-presidential-candidates-in-first-

televised-debate-video?CMP=share_btn_fb

参考ブログ

2017.03.18 Saturday オランダ極右の総選挙敗北を喜ぶ 欧州極右、オーストリア大統領選に続き2連敗

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4214

2017.02.28 Tuesday 関心高まる仏大統領選挙 エマニュエル・マクロンへの期待

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4206

 

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 09:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
フェイスブックと同志社ESSのこと

 今日は勤務校の卒業式。午後の祝賀会では、例年同様、教え子たちに請われて被写体に収まる。

 今は、昔と違い、SNSがあり、学生諸君は多く、卒業後もインターネットでつながっていることだろう。

 ともあれ、この先のことは変わってくるかもしれないが、入学すれば、中退しない限り、卒業式がある。

 卒業式は、人生の重要事で一区切り。

 このところ、私も、1970年に入学後ともに遊んだ同志社の仲間たちとのことを思い出している。

 もとより、それを可能にしたのが、FB、すなわちフェイスブックだ。

 デモと英語という不思議な取り合わせの中での同志社での生活だった。

 大学時代にはESSEnglish Speaking Society英語研究会)に属していた。

 70年といえば、安保闘争でピークに達したころで、大学は政治スローガンを書きなぐった立て看板とヘルメットで埋め尽くされていた。

 そして長い時間がたった。

 今回、FBで後輩諸君がディスカッション・セクションの古い名簿を掲示してくれ、記憶を新たにした。

 この興奮は、経験したものでないとわからない。

 1980年代に学んだベルギーの思い出もずいぶん昔のことで、多くコンタクトを失っていた。

 だが、FBを通して、ブルージュにある欧州大学院大学の同窓を一人また一人と見つけることができた。それ以来だ。その同志社のESS版といっていい。

 同志社関係者には、FBでは、早瀬さんが音頭を取り、今出川会という会員制のグループが組織されており、ここ1年ほど会員にさせていただいている。

 そこでは、実に8千人を超える同志社人とつながっている。それを母体にし、分枝というか、ESSFBグループがある。 

 ところでESSといえば、同志社では、1964年の東京五輪時には1200名もの会員がいたということを聞いたことがある。ちなみに私が入学した70年でも600はいたはずだ。

 高まる五輪効果で外国語ブームだが、今と違い、外にまだ外国語の各種スクールなどなかった。それゆえ、必然的に巨大化していたのである。

 ESSは、大学の、一クラブとはいえ、組織も巨大で、グループやセクションに分かれていた。

 前者にはマーキュリーだとか、マーズだとか、星の名前がついていた。また後者にはディベートやディスカッション、スピーチ、ドラマなど機能別の集団も置かれていた。

私は、省略語でいう「ディスセク」に属していた。

 ディベートなど政治的意見が鋭く対立する時代、他の陣営に属して話をするなど冗談ではないと、青臭いほどにも尖っていた。

 今は、相手の立場ならどう主張を展開するかということで、その有用性を感じているのだが、デスカッションなら持論を展開できると思っていた。

 3つ上の先輩には佐分利さんがいた。ロングヘヤーで今でいうイケメン。貴公子然とされていた。

 同志社の裏手にある相国寺のご子息だとは当時から聞いていた。

 だが、今回、半世紀ほどをへて、FBESSディスセクの名簿で思い出し、インターネットでみると、あったあった。

 ある意味、当然だが、なんと現在臨済宗相国寺派の宗務総長に就任しておられる。

 トランプのアメリカなど全く政治は評価できない。

 だが、過去と現在、そして将来をつないでくれるフェイスブックなどを生み出すアメリカには、感謝している。

| 児玉昌己 | - | 15:18 | comments(0) | trackbacks(0) |
春分の日 卒業を祝う親の気持ちを詠む

 今日は春分の日 昼と夜の長さが同じになる。ようやく春。大学では多くこの時期、卒業式。保護者のみなさんも、子供の長い学業生活が終わり、社会人として巣立つこの日に、ほっとされていることだろう。

 

 春分の 若者巣立つ この日こそ 親も安どの 時にありてや

                  海鳴庵児玉

 

2017年前半海鳴庵児玉昌己句歌集

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4198

| 児玉昌己 | - | 11:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
オランダ極右の総選挙敗北を喜ぶ 欧州極右、オーストリア大統領選に続き2連敗

 16日開票されたオランダの下院議会選(定数150)で、極右ヘルト・ウルダース率いる蘭自由党(PVV)が事前予測にあった第一党の可能性という報道を退け、5議席増やしたものの20議席にとどまった。

 他方、中道右派の与党・自由民主党VVD)は同じく現有議席の40から33へと議席を減らしたものの、第一党の座を確保した。

 オランダの選挙も欧州の準則である比例制度である。したがって、獲得議席は、小選挙区を基礎とし、尾ひれのごとく比例がつき、現自民党のように過剰に代表を得る制度のわが国と違い、有権者の意思を正確に反映する。

 この選挙は全EUで注目されていただけに、実に喜ばしい。

 極右へのオランダ市民の常識のあるノーで、EUの表舞台である欧州理事会などEU機関に進出すること可能性を断ち切った。

 もっとも、この政党が第一党になってもどの政党もこの政党と組む意思を否定していたから、実際には極右差別主義者が国家行政のトップになることはハナからなかったとはいえ、である。

 なにせ、このPVVはユーロ離脱、EU離脱はもとより、コーランを禁書とし、全モスクを閉鎖、モロッコ系市民を、「人間の屑」と呼ぶなど、公然と人種差別を唱え、罰金さえ受けているほどの、極右をまさに地で行く政治を展開していたのだからだ。

 連立与党を組んでいた労働党PvdAが惨敗し、他方民主66や緑の党が躍進するなど、選挙の詳細はオランダ政治の専門家の分析を待つほかはない。

 だが、オランダでも、この極端な排外主義を唱える極右政党を支持したのは、高齢者が多かったということでは、日経論説員の瀬能茂がイギリスのEU離脱の国民投票に見られたいわゆるシルバー・デモクラシーに相通じるものがあると私に語っていた通りである。

 ところで、世界的にみて、政治の潮流は反グローバリズムと、排外主義、一国ナショナリズムの高まりである。

 急激に高まる一国主義という名の排外主義ナショナリズムの勃興は、21世紀の新たな現象である。

 そして、EUにとっては、EUの組織の発生と、存在理由のすべてに抵触する思想潮流である。EUは反ファシズムを基礎に、主権国家を超える連邦的政治制度をもった人類の新たな実験として形成された。

 ファシズムはナショナリズムの醜悪な究極の形態である。

 EUはそれとの決別のために形成された。そのことを忘れるべきでない。

 グローバリズムについては、タクスヘイブンを活用した脱法的といえる社会的責任を負わない過度な金融資本とその暴走を生み、他方、それに伴う所得格差の尋常ならざる拡大と市民窮乏化を強めているということで、事態は極めて深刻である。

 そしてEUもユーロ・グループとドイツが借り手責任論を全面に掲げ、ギリシャに対する過酷な条件を課し、窮乏化に手を貸してきたことも否めない。

 たしかに、国境を越えた物流の自由な移動はそれ自体否定されるものではない。だが、もとより、そのきわめて大きな負の側面に我々は注意を怠ってはならない。

 さらにいえば、理論的にも実践的にも、グローバリズムはその本質において、国家主権と抵触し、国家を単位として成立している現代のナショナリズムを刺激する側面を持っていること忘れてはならない。

 実際、シルバー・デモクラシーという表現があるが、高齢者が極右を支持しているというのは、年金生活者である彼ら(彼女たち)が、経済のグローバル化の枠の外に置かれており、ナショナルな極右政党が高齢者の、国家の歴史に対するノスタルジーを巧みに政党支持に取り込んでいるためでもある。

 極右が思想的によって立つナショナリズムは、国家共同体、共通言語、共通の歴史を媒介として形成された思想なのである。

 しかもオランダにしてもフランスにしても極右政党は20世紀に破たんしたフランやギルダーへの過去の国家政策への回帰をいうだけで、すでに後戻りができないほど進んだ21世紀において、まともな経済政策も通貨政策も含めた政権プランを一切提示できないありさまだ。

 例えば、オランダ伊自由党PVVの選挙綱領はわずかに1頁のみで、2012年当時のものと変わっていないともEUobserverが報じていた。

 Dutch anti-establishment MPs want other EU, but lack plans. EUobserver. 3. Mar, 2017.

 EUについていえば、このグローバル化の負の側面に加えて、中東アフリカの政情不安にもとづく、大量難民の流入と、人道主義に立つ受け入れという、これまた21世紀的現象がEUを苦しめている。 

 この2重の苦悩を背景として欧州極右が跋扈し始めきた。

  EUは周知のとおり、民主主義国家の集まりであり、こうした市民の不満、苦境は当然、民主的な選挙制度を通して、政治に反映していく。

 極右の台頭自体、民主化された政治性を持つ国家においては、急激な移民難民の流入と、向上しない所得に対する一般市民の苦境と不満の声を反映するもので、一定の政治的正当性を持っているのである。

 戦後70年、国際政治の流れに目をやると、「全能の国家」オムニポテンスでわが世の春を謳歌していた米国の経済衰退が著しく、この米国において、むき出しのアメリカ第1主義を唱える民族主義者トランプが勝利した。

 これは、グローバリズムの恩恵を社会に還元することを怠ったイスタブリッシュメントによる政治に対するアンチテーゼである。

 しかも欧州では、トランプの登場で、極右勢力も、おおいに意気が上がっていち。

 そして、欧州極右はそれと連動する形で、その余勢をかって、オーストリアでオランダで、フランスで自国の総選挙や大統領選挙での勝利を目指してきた。

 だが、反グローバリズムと結びついたこの排外主義の極端な思想は、すでにトランプ政治の実践を前に、その危険な一面が明らかになっている。

 例えば、自己の主張を受け受けないものにたいして、政治的敵者としてレッテルを張り、ありもしない事件をでっちあげ、自身の軽薄で誤った事実認識を繰り返すことで、国民にその事態があたかも存在しているかの如く、洗脳する。

 その政治手法に表れている。実際、トランプについては、大統領選挙中にすでに側近がロシアから資金を得ていたというように、その関係が厳しく疑われている。

 それがゆえに、なおのこと、自身が旧オバマ政権により盗聴されている、と主張し、あえて自身のロシア疑惑をこの盗聴問題にすり替えることで、自身のロシアとの関係に刃が向けられることを防ぐ、いわば自己の防衛の道具に盗聴問題を使っている節が見られる。

 不法に盗聴したというフェイク(虚偽)のニュースを繰り返し口にすることで、それを「事実」化し、ロシアとの自身の関係の事実を相対化できると考えているのであろう。

 ともあれ、自己の存在を主張し、それに反対するものを敵とするトランプ一流の手法については、容易にファシズムにも転嫁する潜在的危険をもっている。

 トランプが単なる成金の実業の世界にとどまっている間はよかったが、今はあの遅れた植民地時代に形成された封建遺物というべき選挙制度で選出され、世界最強の国家の権力者の地位にあるがゆえに、ことは実に重大で危険なのである。

 ともあれ、今回のオランダの総選挙で、トランプにあやかりそれと連動するように、トランプを持ち上げていたウィルダースが敗北したことは、欧州の極右勢力への打撃であることは間違いない。トランプに対する警戒の信号でもある。

 すでにオーストリア大統領を争う再選挙で極右敗北し、今回のオランダでのウィルダースの敗北だ。 

 オランダ自由党は2012年に24議席を得ていたが、それにも及ぶことがなかった。

 これで、欧州極右の最後の砦として残っているのは、フランスの国民戦線だ。

 極右国民戦線のルペンが絡む大統領選挙であり、フランスの5月の決選投票である。彼女にはオランダでの惨敗は、打撃となるだろう。

 実際、ルペンにも欧州議会での公金の不正支出でフランス司直による捜索が入って、その支持の広がりにも陰りが見えている。

 これにたいして、親EU派が盛り返している。

 4,5月と長丁場のフランスの大統領選挙では、現在、弱冠39歳のエマニュエル・マクロンが2位につけ、「5月の決選投票では、首位に立つ」とロイターはフランスの世論調査機関の予測を報道されている。

仏大統領選、決選投票でマクロン氏勝利の予想=Ifop ロイター2017年 03月 17日

 フランスのトップに親EU派のマクロンが立ち、ドイツ出身で欧州議会議長を務め、2月以降国内政界で人気を得ているマルチン・シュルツが9月下旬のドイツ総選挙で独社民SPD第一党となれば、シュルツは首相となる。

 そうなれば、欧州政治の雰囲気は劇変する。

 あくまで先の仮定の話だが、独仏で新EUの指導者がトップを占めれば、南欧加盟国の窮乏化を招いているショイブレ独財務相主導のドイツが強く求める緊縮政策の転換が求められる可能性たが閣、欧州政治の政治的潮流は好転するとみられる。

 大いに期待している。

 「統合の終焉」などといって、わが国でもて囃されたEUの「専門家」いるが、その認識は、その時は、風と共に去りぬとなる。

参考記事

仏大統領選、決選投票でマクロン氏勝利の予想=Ifop ロイター 2017年3月17日

ドイツ社会民主党、保守系与党連合との差が縮小=世論調査ロイター 2017 3 8

シュルツ氏がメルケル首相をリード、独首相候補の支持率調査ロイター2017 2 3

参考ブログ

2017.01.20 Friday 「ミスター欧州議会」シュルツ後の欧州議会議長選挙 EPPのタヤー二(伊)選出について

http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20170120

2017.02.28 Tuesday関心高まる仏大統領選挙 エマニュエル・マクロンへの期待

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4206

 

 

| 児玉昌己 | - | 12:14 | comments(0) | trackbacks(0) |
テレビ東京の「職人ワゴン」に泣く

  テレビ東京の「職人ワゴン」を観ていた。そして泣いた。

 木工職人、左官職人、エンジニアなど総勢5人の職人さんがクロアチア、セルビア、ブルガリアを回りつつ、凄腕を発揮する。

最年長の電気工事士はソニーのOB1980年代の車載ラジカセを、切れたベルトを樹脂で再生して、見事に音をよみがえらせる。だが、90を超えて本人を送り出してくれた父君の訃報で、戦線離脱。

 セルビアでは、田舎の小学校の教室の修理。壁ははがれ、机はささくれて、本棚は、ガラス戸が勝手に開くなど、危ない。

 そんな信じがたい状態の教室を、子供たちの率先参加もあって、見事に、リフォーム。

 スチールと一体になった机を日本古来の木組み工法を使い、背もたれをつけるという離れ業をなした大工職人は、日本の美技を確実に伝えた。

 また海のないセルビアでは、海にあこがれる子供たちを前に、海の感じを取り入れた教室を短時間に成し遂げた凄腕の左官。

 その彼は、あろうことか、連日の移動と、過酷な仕事に伴う体調不良となり、離脱帰国を余儀なくされる。

 そして、最後は、ブルアリア。

 わずかに残った2人には職人ワゴンは広くて寂しい。残された彼らに与えられた仕事は、村人の中心にありながら20年鐘の音を失っていた時計台の修復という難題。

 帰国したソニーOBが手配した若手の電気職人を土壇場で加えたものの、1960年代に当地の物理講師が作ったという時計台の、マニュアルもない代物の修復。

 主たる担当は、大工から船舶のエンジン修理へと技を広げたカクノシン。

 その研ぎ澄ました耳と手先で振り子の不調の原因を突き止め、まさに帰国便に間に合う土壇場で4面の時計をすべて同じくし、最後には失っていた時計台の機械仕掛けの振り子が刻む音を取り戻し、村人と喜びを分かち合う。

 実に感動的な企画で、涙してしまった。

 世の中では、教育の危機が進んでいる。

 その資質において、教育という職業からもっとも遠いものが、教育を語り、現内閣最大の危機さえ招く事態が進行している。

  他方で、無名ながら、磨き上げた腕に誇りを持ち、挑み、黙々として仕事をし、その名をあげる市井の人がいる。

 それだけで、我々はまだ大丈夫だ、と救われる思いの貴重な企画の番組だった。

 

 

| 児玉昌己 | - | 00:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
豊前に遊ぶ

 大学がひと段落したこともあり、豊前に遊びに行く。この地に身を置く友人がいるためだ。

 豊前といえば、懇意にさせていただいている著作権法学の権威、勤務校の大家重夫名誉教授から、島田芳文(詩人)、大河内伝次郎(活劇大スター)のことなどご教示いただいていたこともある。

 大家家は福沢にもつながる家系で、この地のご出身である。

 豊前は福岡県だが、県境を超えると大分県の中津市がある。両市、明治以降の行政で、人為的な線引きで別れてしまっている。だが、言葉を含め文化圏も生活圏もほぼ一体という関係にある。(そうッチャ 影の声)

 明治時代に開業し浄瑠璃に長けた割烹料亭の女将をその始祖とする築上館(今は完全なホテルビル)に泊まって、近くにある居酒屋やカクテルバー「エムズ」、カラオケを楽しめる「時代屋」などで寛いだ一時だった。

 この間、中津が生んだ明治屈指の知識人福沢諭吉の記念館を訪ね、あるいは義塾OBで豊前市長を務めておられる後藤先生とも面識を得たことなどうれしことであった。

 また、この地ではぜひとも注文したいのがハモや牡蠣などで、今回、豊前海の幸を大いに賞味、堪能し、楽しい気分転換の旅となった。

  宇島(うのしま)の漁港には、漁協経営の産物を提供する食事処「うみてらす」が開設されていて、にぎわっている。そこでは、正午の時報に鳴るよと、聞いていたが、確かに島田芳文の「丘を越えて」のメロディが頭上から流れ、これだ、とうれしい思いをした。

 なおハモは骨切りが必要だが、最近何処もたがわず職人さんが少なくなり、コストもあって、職人技に近い機械が開発されたとのことだ。また地元では、牡蠣の南蛮漬けの新商品を頂き、あるいは開発中の新商品など試食と助言も求められた。

 日ごろ過疎化など厳しい状況の報道が多い地方都市だが、地方活性化に、地元の皆さん真剣に取り組まれていて、感心した。

 豊前といえば、私は佐世保と、同じ九州でも西端で育っていて、東端のこの地域はまさに処女地なのだが、この地にかかわるある思い出をもっている。

 半世紀ほど前のことだ。九州大学の当時のラジオでの高校別合格発表をなぜか聴いていて、築城中部(現、県立青豊せいほう)、京都(みやこ)など、呼び上げられる高校のその不思議な名前が、強く耳に残っていたのである。

 今回ドライブしつつ、それがこの近辺なので、不思議な巡り合わせという気持ちがしたのであった。

 東九州自動車道も豊前まで接続されていて、アクセスもよくなっている。

 ホテル、レストラン、バーなど諸事、驚くほどほどに、うれしいほどに、ボンマルシェである。

 皆さんにぜひお薦めしたい都市である。

 

 

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 22:28 | comments(0) | trackbacks(0) |

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