児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
ルペンが敗北する理由  仏選挙を語るに米国をもってする愚 選挙制度の相違を失念するな

  仏大統領選挙の1次投票で、ルペンが2位につけた。このことで、ルペンの敗北とブログに記した。

 実際、その予測については揺るがないという確信があるからだ。

 しかしながら、わが国では、ルペン勝利の可能性に言及する記事もある。   

 例えば、以下が、それだ。

 「読売新聞特別編集委員の橋本五郎がこんな予想を。「決選投票はフィヨン氏がマクロン支持を表明しているので、数を合わせればマクロンの勝ちとなるんですけど11となったときにはまた別の選択が出てくる。『隠れトランプ』と同じように『隠れルペン』もいるかもしれない。」

57日に決まるEUの命運!仏大統領選はマクロン、ルペン氏で決選投票 J-cast 2017/4/24

https://www.j-cast.com/tv/2017/04/24296317.html

   アメリカ第一主義を唱える排外主義的ナショナリスト、トランプの選出を強烈な衝撃でとらえた世界だったが、忘れてならないことがある。

 このブログで何度も指摘しているが、トランプの勝利はあの前近代的な間接選挙によってもたらされたわけであり、実際は、一般投票総数では、トランプはヒラリーに300万票の大差で敗北していたという事実を我々は確認する必要がある。有権者の意思はトランプにネガティブの意思を示していた。

 だが、それでもトランプが勝ったのは、中間介在者としての「選挙人団」という、近代国家では考えられない選挙制度を米国が採っているというその事実にある。

 直接選挙ならトランプの当選などありえなかった。

 それゆえ、米国のトランプ勝利に絡めて、隠れルペン票や、フランス・ファーストを唱えるルペンの勝利の可能性に言及するものに対しては、上記、そして下記の事実を提起しておく必要がある。

 すなわち言葉の真の意味で1対1なら、トランプは負けていたわけであり、橋本の立論の前提そのものが間違っているか、一般投票でのトランプの敗北の事実を失念しているということである。

 フランスの大統領選挙に戻っていえば、決選投票の投票率は従来通りなら、80%台となる(前回2012年80.35%)。

 落ち目でもうすぐ退任するとはいえ現職大統領のオランドほか、共和党の公認候補フィヨン、社会党の公認候補アモンなど、主要政党の候補者およびバイルーやコーン・バンディットといった左右両翼のフランスの著名政治家がマクロン支持を表明する中、ルペンがマクロンを凌ぐなどありえない。

 ルペンの得票は、第1次選挙で21%程度を上げたが、これでも大変な数字だった。

 第1回投票で2位につけたルペン票が50%を超えていくなどということは逆立ちしてもあり得ない。絶対的にルペンは敗北するとする理由である。

 もとより、その後のことだが、ルペンの可能性がゼロではない。

 経済状況が回復しないとすれば、また移民のハンドリングに失敗するとすれば、中期的にはルペンが大統領選挙で再度の脅威となる可能性は否定できない。

 ともあれ、あと10日後に迫った2017年の大統領選挙の決選投票。

 なお、欧州議会はフランス司直からの要請を受けて、ルペンの欧州議会予算の不正流用で、議員特権の停止を議決しそうである。

 さらには日経白石透冴(17.4.12付)が報じた、1942年のフランスが、ナチスによるユダヤ人の強制収容所送りに手を貸した「ユダヤ人一斉検挙事件」でのフランス免責発言もでた。

 我が国の保守派にもある歴史修正主義そのもので、大統領選挙を戦う対立候補を刺激し、ルペンへの反発を強めている。

 EU予算を不正使用し、あるいは1995年にシラク大統領が公式に謝罪したユダヤ人一斉検挙事件について修正を口にするなど、まごうかたなき反ユダヤ主義者だった父親ジャンマリ同様、イスラム排斥主義にくわえ反ユダヤ主義をその本質とする国民戦線とルペンである。

 それだから、反EUを唱え、20世紀の遺物というべきフラン回帰を唱えるだけのルペンが、フランス政治の主流になるには、きわめて多くのネガティブな要素があるといえるのである。

参考記事

Donald Trump becomes US President after losing popular election to Hillary Clinton by nearly 3 million votes. Independent, 20 January 2017.

http://www.independent.co.uk/news/world/americas/donald

-trump-us-president-wins-lose-popular-election-hillary

-clinton-3-million-votes-russia-hacking-a7535701.html

ルペン氏「フランスに責任ない」 ユダヤ人一斉検挙事件  日経2017/4/12

参考ブログ

2016.08.04 Thursday 米大統領選挙で「不実の選挙人」の存在を知り驚く

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4095

2017.04.24 Monday 極右ルペン敗れたり マクロン第1次投票、勝利 2017年仏大統領選挙

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4235

 付記

 ドイツ占領期のフランスで起きたユダヤ人一斉検挙事件については、仏映画「サラの鍵」 原題: Elle s'appelait Sarah 、訳せば「彼女の名はサラだった」(2010年公開)がある。学生諸君に推薦したことだった。

 

 

| 児玉昌己 | - | 23:32 | comments(0) | trackbacks(0) |
2017年仏大統領選ルペン敗北 追記 

フランス大統領選挙結果は昨日、以下記した。

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4235

 追記として感じたことを書いておこう。

仏内務省による最終得票率は以下だ。

Macron  23.75%Le Pen 21.53%, Fillon 19.91%  Melenchon 19.64%

 均等にばらけていて、メランションや妻女がかかわるスキャンダルで本命から一転苦境に立ったフィヨンの健闘はある。

 もっとも当初は、フィヨンで大統領は、ほぼ確定という出だしだったのだが。

 ブノワ・アモン全国民教育相(49)仏社会党は、オランドの個人的スキャンダルに加え、インパクトを欠く同党の政治への批判が強く、6.36%で惨敗した。

 社会党の凋落はイギリスともに顕著だ。労働者階級の支持を極右ポピュリスト勢力に奪われている。

 ともあれ、政治は結果。勝てば官軍負ければ賊軍。

 39歳のマクロンの1位に狂喜するフランスの若者をみつつ、想起していたのが、EU離脱を国民投票で決めたイギリスと同国の若者のことである。

 総選挙で選挙制度がドイツ型の比例制は望まなくとも、少なくとも2回投票制であれば、あのキャメロンの無様なギャンブルの国民投票と、それによる52対48という国家と国民を分断する結果はなかったと思う次第だ。

 将来のある若者がシルバー/デモクラシーという過去への幻想でいきる老人世代にその未来を奪われた、その政治の潜在的犠牲者のことだ。

 若者は、すでに人生の大半を終えている老人と違い、本能的にEU離脱がなにをもたらすかを恐怖で感得している。まともなものなら、ルペンの伸長にどう市場が反応しているのか、そのの動向を見れば、理解できている。

 イギリスはそうではないではないかというものがいるが、まだ完全にEUを離脱しているわけではないからだが、2年後EUから完全に出れば、しかもハード・ブレグジットでEUの単一市場から離脱すれば、危機が来る。

 それは、はやければ2年内に訪ずれる。

 いまだEUのメンバーであるにもかかわらず、すでに企業の静かな撤退が始まっている。 

 イギリスにも、静かに危機が迫っている。イギリスの田舎エリートのナショナリズムのツケは大きく、しかもその付けを払わされるのは、この富裕層ではなく、若者と、底辺の者たちだ。

 それにしても、一国の選挙制度がいかに政治を決定づけるか、である。

 わが国も、比例が尾ひれにつくが、基本は小選挙区制度である。この制度は選挙が民意の反映であるべきというその近代的選挙の本質において実に前近代的で、膨大な死票を出し、民意を大きくゆがめる制度である。

 小選挙区制度は、政治の安定が可能と教科書にはあるが、まったく表面的現象であり、時間の要素を加味すると、まったく当を得ない解説である。 

 むしろ政治に強烈な反対派の不満をもたらし、政治を不安定にする。そして、次の選挙では劇的な与党の敗北となるのは、イギリスの政治史を見ればわかることだ。

 フランスは決選投票制、run-offを導入しているから、まだこれが緩和される。

 フランス大統領選に戻れば、昨日書いたように、ルペンが2位についたことで、彼女の大統領就任の可能性は10中8、9消滅した。1位をとれば、まだ可能性はあったと思われる。それで決選投票は5月7日に控えているものの、表題に「ルペン敗北」と期したのである。すでに決選投票での予測も出ており、マクロン圧勝の可能性が報じられている。たしかに、メランション支持票がマクロンに移ると期待することはない。としても、ルペンに回るとも考えにくい。スタンスがまるで違うからだ。であれば、中道票さえ取り込めば、マクロンの優位は動かない。

 若干39でフランスの大統領に就任する可能性が濃厚となったマクロンについていえば、今後、今年の6月11日に予定されている国民議会選挙で自身の政治運動体「前進」En Marchの議席をどれほど確保し、政策協定を組める友党をどれほど増やすかである。

 保守共和党と左翼社会党の選択というこれまでのフランス政治では、有権者は飽き足らず、これに反旗を翻し、既成政党による統治を覆す時代に入ったことを今回の大統領選挙は物語っている。

 実際、2大政党候補者が決選投票から姿を消すのは、戦後フランス政治史上初のことだ。

 なお、フランスの投票動向の分析は今後のことだが、国民戦線の大統領選での得票率の、回を追うごとの上昇傾向は極めて憂慮される。この克服がフランスとEUの課題となる。

以下参照

French Establishment in Disarray as Le Pen, Macron Go to Runoff

Bloomberg by Helene Fouquet 2017424

https://www.bloomberg.com/politics/articles/2017-04-23/le-pen-macron-in-french-presidency-runoff-as-main-parties-lose

 

| 児玉昌己 | - | 10:09 | comments(0) | trackbacks(0) |
極右ルペン敗れたり マクロン第1次投票、勝利 2017年仏大統領選挙

 出口調査でマクロンとルペンが決選投票を争うという出口の結果を仏メディアが報じたことを朝、7時半に知る

 ルモンドが依頼した調査機関Ipsos-Sopra Steriaによると、マクロンが23,9 %ルペンが21,7 %、フィヨン、メランションがそれぞれ20 %19,2 %という数字を紹介している。

 ルモンドは、喜びを爆発させ、狂喜する若者らをインターネット紙面で飾っている。国民投票でEU離脱が決まり、打ち沈む英の若者と対照的である。

 期待を込めてた読み通りだが、ともあれ、フランスの危機は去った。

 ルペン敗れたり。フランスの民主主義は勝利した。EUは勝利した。

 これで良識のある欧州統合推進派の39歳の若き大統領が誕生することがほぼ決定したといってよい。

 15年前のジャンマリ・ルペンのルペンショック時と同様、これで反ルペンのすべてがマクロン支持に傾き、マクロンは決選投票で、大差でルペンを粉砕するだろう。実際、世論調査機関では決選投票では62対38との推計を出しているところもある。

 もとよりフランスの有権者の意思である。

 マクロンのこの勝利は、排外主義極右ナショナリスト、ポピュリスト、そして主権至上主義者への勝利だ。

 トランプ支持を打ち出したトランプの面目はまたしても丸つぶれだ。米国にたいする恥の上塗りとはこのことだ。

 無知で無教養は、政治権力者であれば、不必要な緊張と摩擦を生む。

 それにしてもイギリスとは違い、1952年創設の欧州石炭鉄鋼共同体以来の原加盟国であるフランスはドイツとともにヨーロッパ統合の推進者であった。

 そこで極右国民戦線のルペンが大統領となれば、これまでこのブログで何度も書いてきたとおり、EU最大の危機となる。

 実際、21年も遅れて加盟し、非ユーロ圏というごとく一貫してEUの周辺国でしかなかったイギリスの離脱の比ではないのである。

 排外主義者、人種差別主義者が欧州の権力の中枢に入る可能性が排除され、本当に安どしている。

 金融市場もまたユーロ急騰でマクロンを歓迎している。

 実際、ユーロを止め、20世紀の、弱小通貨だったフランに戻るといいつつ、通貨価値の下落について質問されれば、フランをユーロに連動させるなど全く理解不明のことを言っているルペンだから、市場の反応は当然なことなのである。

 オランダのヴィルダースしかり、イギリスのファラージュしかり、現状を批判し、反イスラムに立つ移民排除をいうだけで、まったく、まともな経済政策も将来設計もないのが、反EUの極右なのである。

 ともあれ、以下だ。

Vive la France. Vive Macron!

参考記事

http://www.lemonde.fr/election-presidentielle-2017/

参考ブログ

2017.04.23 Sunday 誰が2位に来るのか ルペンかマクロンか、EU政治を決する仏大統領選挙第1次投票始まる

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4234

2017.02.28 Tuesday 関心高まる仏大統領選挙 エマニュエル・マクロンへの期待

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4206

 

 

 

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 07:43 | comments(0) | trackbacks(0) |
誰が2位に来るのか ルペンかマクロンか、EU政治を決する仏大統領選挙第1次投票始まる

 今日はフランス大統領選挙の第1次投開票日。EU政治研究者として、最大の関心をもって見ている。フランス研究者はもとよりのことだろう。EUが加盟国に圧倒的な影響を持ち始め、加盟国の政治を左右する重要性を持つことがさらに明白となる今度の仏大統領選挙である。

 私もこれほど仏大統領選挙に関心を持ったのは、ルペンショックの2002年以来だ。このときはマリーヌ・ルペン現国民戦線党首の父親のジャンマリが社会党候補ジョスパンを抑えて、16.86%をとり、第2位につけ、決選投票に進み、EU加盟国を驚愕させた。

 第2次での結果は、社会党がシラク支持に回り、82.21%で圧勝し、極右候補のこの挑戦を一蹴した。それでもショックだった。

 今回は20%以上もとることが予測されており、1位も視野に入れるという国民戦線の勢力伸長ぶりで、それゆえに前回15年前とは比較にならないほどの緊迫感がある。

 アントワープの友人ピーターが以下Eメイルしてきた。

Hello Masami,

The voting has started. See whether the events of last week will have a significant impact. It seems that there are a substantial number of undecided . 

 投票が始まったこと、選挙がきわめて大きなインパクトをもっているが、態度未決者が相当数いるということを伝えている。

 ちなみにルモンドによれば、海外県やカナダのケベックなどでの投票が土曜日から始まっている。上述のピーターはそれをうけたもの。

 欧州内のフランスFrance métropolitaineでは、6.6万余の投票所で8時から前回より1時間遅い7時まで行われるが、いくつかの大都市では8時まで。投票所の警備には警官が5万、7千の軍隊も動員されているということだ。

Premier tour de la présidentielle 2017 : l’outre-mer et les Amériques ont voté dès samedi.LE MONDE |

 20日にはまたしてもパリがテロに見舞われた。今回は、なんと世界的な大通りシャンゼリゼで警官3名が襲われ、死傷している。

 今度の選挙の注目点は、徹頭徹尾ルペンの動向だ。それ故だれが2位かが最も重要だ。

 なぜらなら、フランスは2回投票制で、1位者が過半数を得れば、それで決まりだが、その可能性が全くない(通常はいつもそうだが)から、第2次の5月7日が重要となる。

 今回は、マクロン対ルペンの構図が一番枠だ。

 マクロンか、フィヨンが首位に立ち、ルペンが2位につけると、1位者に決選投票では票が流れ、ルペンの大統領選出の可能性は消滅する。

 2位にNATO脱退やEU見直しを主張する、ルペンの主張にも似た主張の左翼メランションが来ると、勝敗は混とんとし、予測不能となる。

  EUにとっても、昨年6月の英のEU離脱を問う国民投票に続き、12月のオーストリア大統領選挙、そして混年3月のオランダ総選挙、そして9月のドイツの総選挙と一連の重大総選挙での、極右とEUの対決とEU政治の帰趨を決める最重要な選挙だ。

 ルペンが負け、マクロンが登場すれば、一気に欧州統合は弾みがつく。ドイツでは欧州議会議長を務め、EUを知り尽くした社民のシュルツが騰勢を回復させている。2014年から主権主義者にやられっぱなしだったEU政治で全く違った流れが出てくる。

 それにしても、トランプ。

 あの発言にまるで信頼性と安定さを欠くトランプに分断される国内社会だが、国際社会もこの異様な大統領に振り回されている。

 異例にも一国の政治に特定候補を肩入れする政治的コメントを出し、それが あろうことか、極右、人種差別主義のルペン支持を表明するものであったから、開いた口が塞がらない。

 逆に彼女が負ければ、そんな不見識の「政治屋」を米国と世界は最強の国家のボスに据えていることが明白になる。まあ、これまでの言動でこの男の異常さは改めて驚くことでもないのだが。

トランプ氏、ルペン氏に肩入れ 銃撃テロ受け「彼女は最も強い」産経新聞 2017422

 ロシアとの秘密の合意でもあって、シリア攻撃もルペンの支持も、想定内と考えているのかもしれない。

 NHKスペシャル「激震トランプの時代」22日土曜日でCNNやNY記者がいっていたように、ロシアとの関係を暴こうとする上質メディアにたいして、狂犬みたいに牙をむき、メディアを攻撃することで、対ロ関係追及から世人の目をそらそうとしているようにさえ見える。

 ちなみに、EUから離脱が決まっているイギリスについていえば、最も高級かつインテリ紙のThe Guardianは、マクロン支持を421日付社説で表明している。

 ストレートに社説に自社の見解を表明するこの紙に常に敬意を表している。フランスだって、そんな主要新聞はないだろう。ましてわが国など、右に左に左右し、時に権力に迎合する姿勢を示してきたのが、大手紙だ。

 The Guardianはいう。

 もしわれわれが1票持っているとすれば、外国人排斥の潮流を押し戻すべくエマニュエル・マクロンに投票する、と。

If we had a vote it would be for Emmanuel Macron to turn back the tide of xenophobia.

The Guardian view on the French presidency: hope not hate.The Guardian, Editorial 21 April 2017 .

この後上位2者による決選投票だ。このブログでは、それについてはパリから書くことになるだろう。

参考ブログ

2017.04.19 Wednesday英解散総選挙を対EU関係でどう見るか 3つの視座

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4231

2017.04.18 Tuesday寝耳に水の、メイ首相による英総選挙6.8実施発表 スティーブン・デイ教授からの第一報

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4230

2017.02.28 Tuesday 関心高まる仏大統領選挙 エマニュエル・マクロンへの期待

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4206

 

| 児玉昌己 | - | 09:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
佐世保での法事 父の50回忌

 今日は法事。

 佐世保にさっと行ってくるつもり。父が他界してはや50年。一区切りだ。

 生かされていると最近思えるこの人生、残された期間がどれだけあるかは、誰にもわからないが、自分のいるこの場所で、与えられた使命を務めたいと思っている。

| 児玉昌己 | - | 08:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
今年は欧州はスーパー選挙年 仏英、そしてカイロ大出張の手配にバタバタ

  ルペンの得票が注目される仏大統領選の動向調査のための欧州出張を入れている。

  それもまだ終わってもいないのに、カイロ大学への出張のフライトと宿舎の手配。あわただしいこと限りない。

 カイロ大は、昨年本学と交わした学術協定を記念して、エジプトとわが国の近代化の比較の、記念シンポジウムが開催され、そこで何名かの先生方と報告することになっている。

 欧州出張に戻せば、すでに教授会の許可もでて、フライトや宿舎の手配は終わっている。

 今回は、ロンドンを経て帰国予定だ。仏大統領選挙とEU離脱の状況調査が主目的だが、なんと、イギリスのメイ首相が解散総選挙を打ち出し、議会がその実施を議決し、確定した。すなわち、イギリス入国時には、選挙戦が始まっている。

 英の首相はわが国とは違い、2011年の議会任期固定法により、解散権限はないものの、下院で3分の2の支持があれば、実施できる。これに関連して、議会での議決について時事は以下伝えている。

英下院(定数650)は19日、前倒し総選挙を6月8日に実施することをメイ首相が下院に求める動議を討議、賛成522、反対13で可決した。下院は5月3日にも解散する見通し。

6月総選挙実施を可決=英下院が動議採決。時事2017/04/

 フランスで大統領の決選投票を見るだけでなく、まったく幸運にもイギリスの総選挙戦も見ることができる、実にラッキーなことだ。

 欧州から戻れば、9月にはオーストリアと、総選挙を迎えるドイツ出張を入れる予定を立てている。

 今年は欧州は選挙年。重要選挙が目白押しである

| 児玉昌己 | - | 00:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
英解散総選挙を対EU関係でどう見るか 3つの視座

 九大名誉教授で懇意にさせていただいている数学者の吉川敦先生から以下どう考えるかを3点、問われたので、私見を披露しました。すこし書き足しています。

 1)総選挙の結果は、英国の交渉力を増すものなのでしょうか

 それはイギリス内部のEU離脱への抵抗を鎮めるという意味でのみ、意味を持ちます。
 対EU関係ではいえば、メイの勝利によってメイ政権の基盤は安定するでしょうが、
基本的には対EU交渉力が強化されるなどありえません。むしろ名首相の基盤の安定化によって、ハードブレグジットの姿勢に傾斜し、EUとの交渉は難航し、イギリスが打撃を受けることになるでしょう。

 あくまでも、解散、総選挙そしてその結果は、すべからくイギリスの内輪の話です。

 EUが大切にし、譲らないとしているヒト、モノ、カネ、サービスの自由移動の原則を、メイの勝利で崩されるなどありえません。

 一部にそう言う報道がありますが、EUの譲れない原則と、イギリスの立場の決定的劣勢状況を知らないもののコメントです。EUは上記の4つの自由の原則をその根本的基礎とした連邦組織であり、EUと主要加盟国がその原則を譲ることなどありません。

 なぜなら、イギリスの「つまみ食い」を許せば、EU加盟各国に波及します。それはEUの崩壊につながります。

 逆に保守党が議席を大きく減らせば、EU離脱回避という、今現在ではありえない動きになる可能性があります。ただし労働党が全く魅力を欠いているので、その可能性は、特にイギリスの前近代的な小選挙区制度ではありえないでしょう。もし、保守党が惨敗した場合も、イギリスの混迷が続くということになります。

 すでにイギリス内外資系金融機関の脱出が始まっていて、世界最古の再保険会社ロイズもブリュッセルに本部を移す決定を下しました。 

2)北アイルランドや、スコットランドの分離傾向に歯止めがかかる方向になるのでしょうか。

 これも基本的には歯止めがかかることはないということです。もっともスコットランド民族党が大きく議席を減らせば別ですが。

 北アイルランドやスコットランドの利害がEU離脱で減じられれば、当然反発するでしょうから。

 すなわちEU解体ではなく、イギリス解体に扉を開くものです。その意味で、イギリスのEU離脱は、保守党の反EUナショナリストや英独立党のファラージュが描くバラ色の将来の始まりではおよそないとみています。まさに「世紀の愚行」といえます。イギリスの国力をそぎ、国益を決定的に損なうでしょう。

 国家の将来をギャンブルにしたキャメロン前首相は対ナチ融和政策で知られるチェンバレンを超えて、愚昧な首相としてイギリス政治史に名を遺すでしょう。

 ただし、EU離脱を主導した富裕なエリート層は何であれ、生き残るでしょう。その富裕層に属する前首相でいえば、億単位となる自伝を準備中です。首相職はもとより、早々に議員さえ辞職し、早い晩年を迎える彼は、高額な年金と合わせて、その生活はいささかも痛まないでしょう。

 結局、EU離脱に反対した48%の人々も含め、国民が愚昧な政治による打撃のつけを払うことになります。

 イギリスのEU加盟は1973年です。EUは創設が1952年。欧州石炭鉄鋼共同体でいえば、それから20年以上もイギリスなしの状況を経験したことをもう一度思い出すべきでしょう。

 加盟国政治へのEUの影響は巨大で、今回のメイの発表もEUを理由とするものでした。そして、株もポンドも大きく下振れしました。すでに2年前でいえば、200円ほどしていたポンドは130円台後半に下落しています。ポンド価値の下落による深刻なインフレが広がっていくでしょう。

 上述のごとく、世界最古の再保険会社ロイズが本部をブリュッセルに移す決定をしたことにみるように、すでに在英外国企業のエクソダスは始まっています。

 

3)欧州は、仏独英と重要な選挙が続きますが、フランスの結果が引き続く選挙に影響を及ぼし得るのでしょうか。

  すでに御承知の通り、極右勢力は、オーストリアの大統領選挙、オランダの総選挙で極右が期待していた成果を収めていません。ルペンにとっては期待が大きかっただけに衝撃だと思います。

 フランスについていえば、マクロンの登場で状況は様変わりしています。

 マクロンやフィヨンが2位につけても、決選投票では極右ルペンは勝てません。ルペンは欧州議会に対してフランス司直がEU予算の、例えば秘書やボデーガードへの不正流用疑惑で、免責特権を停止するよう求めており、決選投票直前に欧州議会は彼女の免責特権の停止に関する聴聞会を開く意思を明らかにしています。

 仏大統領候補ルペン氏、決選投票直前に欧州議会招致か 資金疑惑でロイター 2017 04 17 

もとより彼女は政治的策謀だと非難していますが。

 国内では国民戦線FNが銀行融資を得られない状況です。

 実際、 FNは2014年、ロシアの銀行「第1チェコ・ロシア銀行」(その後破産)から約900万ユーロ(約11億円)の融資を受けたと報じられています。

 <仏大統領選>「EU離脱で国民投票、公約に」ルペン党首毎日新聞 4/11

 クリミア占領でウクライナとの関係を悪化させている、権威主義的独裁を深めるプーチンロシアから資金を得るなど、EUの側からは許されないことです。融資はロシアの政治的意図があることは明白で、それゆえにEU切り崩しのカードとしてFNが使われているといえるわけです。

 国民戦線など極右についていえば、冷戦下のソ連の時代の反共右翼では考えられなかったことですが、モスクワとも資金提供を受けるなど、そのいかがわしさが伝えられており、確信的ルペン支持者を除いて、彼女にとってはアゲンストの風となっています。

 第一次投票で、マクロンが一位になれば、決選投票はマクロン圧勝が決定的となり、形だけのものとなるでしょう。これについては5月に現地入りし、欧州大学院大学同窓のパリ政治学院のクリスチャン・ルケンヌと意見交換します。 

 以下は、ロイターの分析です。
決選投票では、マクロン氏対ルペン氏の場合、63%対37%でマクロン氏勝利、フィヨン氏対ルペン氏の場合、59%対41%でフィヨン氏勝利となる見込み。
仏大統領選の決選投票、マクロン氏63%・ルペン氏37%=世論調査 ロイター2017 04 13

2017.04.03 Monday英のEU離脱Bexit をタイタニック沈没になぞらえた動画

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4225

 

 

| 児玉昌己 | - | 07:17 | comments(0) | trackbacks(0) |
寝耳に水の、メイ首相による英総選挙6.8実施発表 スティーブン・デイ教授からの第一報

   所用で、厚狭に出向き、さらに激しくなった雨の中、その足で、豊前市の後藤市長の再選のお祝いを伝えに出かけた。

 今朝戻り、今日は午後から大学院、とゼミ。それで帰宅後、疲労してウトウトしていた。

 そこに一本の電話。友人の大分大学教授スティーブン・デイからだ。

 メイ首相がブレグジット1年の審判を問うとして、解散、総選挙を発表したという。

 寝耳に水とはこのことだ。実際、彼女、総選挙はしないと言い続けていたのだから。

 スティーブンは保守党が圧勝するという見通しを語った。

 ま、イギリス国民がどう反応するか、今のままでは、国論は二分されたままだから。

 しかし、これで逆戻り、すなわち再度のEU残留を問う国民投票にはならないということだ。

 欧州政治は極東情勢に負けずドラマテックだ。ただし、欧州政治はそれで戦争になる危険がないから、まだ救われる。

 不甲斐ないのが労働党。保守党になめられまくっている。

 海外経験と国際センスゼロのコービンが党首ではどうしようもない。

 もう解党したほうがいいというほどの不甲斐なさで、前欧州議会議長マルチン・シュルツを宰相候補に選んで、ヨーロッパの「女帝」メルケルと勝負する、上げ潮のドイツ社民とはえらい違いだ。

 若い日ハロルド・ウイルソンの北海石油の政治指導で修士号を得たものとしては、この労働党の体たらく、誠にもって歯がゆいことだ。

 ちなみに現在の下院議会の議席を言えば、保守党330、労働党229、スコットランド民族党56、自民9などだ。

 

| 児玉昌己 | - | 19:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
今読んでいる本、「人類の未来」(NHK新書)、中でもレイ・カーツワイルの2章

 今読んでいる本は、「人類の未来」(NHK新書2017年)だ。

 ほやほやの新刊。アマゾンで出る前から注文出していた。言語学者で社会評論家のノーム・チョムスキー、経済アナリスト、マーチン・ウルフなど、世界最高レベルの知識人がずらっと並んでいる。

 しかもサイエンス・ライターの吉成真由美がすべてインタビューしてまとめたホカホカの書である。

 フランスの極右ナショナリストと似通った議論をする、現地では全く評価されないエマニュエル・トッドの書を「現代最高の知識人による世界情勢論」など帯にして出す素晴らしい「知性」をもった出版社があるが、NHKがこの書を出したのは見識だ。

  本書「人類の未来」の中でとりわけ、読みたかったのが、言うまでもない。レイ・カーツワイルなのだ。

 彼は、「シンギュラリティ」なる言葉と世界を広く世に知らしめたAI学者であり、実践家である。

 シンギュラリティとはコンピュータが人間の知能を超える地点を言う。その彼は2045年までにそれが達成されるとする。

 実際、チェス、将棋、そしてついに囲碁の世界まで我々人類はコンピュータに屈する現実を目撃している。たとえ、知性の一部ではあれ、AI(人工知能)技術によって、我々人類は機械に追い越されているのである。

 私はハンナ・アーレントを若い時に、脇圭平先生に教わって衝撃を受けた。そして、その時以来の衝撃を受けている人がレイ・カーツワイルだ。

 カーツワイルは、AIの爆発的深化が、これまでの哲学書を一挙に古色蒼然、時代遅れの書にしてしまう時代を我々に提示してくれている。そんな21世紀の哲学者である。

 アーレントの言葉を使えば、「人間の条件」を根底から変えてしまう指数関数的な成長による社会の劇的な変化、革命が進んでいるとの認識を背景としているのである。

 指数関数的とは線形的に対置される言葉である。

 線形的思考とは、たとえば、ヒトゲノムの解析が7年で1%できたとすれば、100%の解析には700年かかるとするものだ。他方、指数関数的とは倍々ゲームのことで、100%解析には、7回を繰り返せば100%となるというもの。今すべてのIT、AIの領域でこの指数関数的深化が進んでいるという認識に立っている。

 しかも、彼は単に機械とその進化に注目するだけでなく、現在、精神や意識はAIが創造できるのかという哲学的問題にもその関心を向けている。

 実際、彼の著書は「スピリチュアル・マシーン」(精神を持つ機械)というタイトルにも示されており、また新刊のタイトルはHow to create a Mindというものである。 

 AIについてはもとより、医学や生命工学など彼の博識こそ世界最高水準なのである。

 若い人は当然だが、中高年諸氏、特に政治家諸君も騙されたと思って読んでみたらいいと思う。これから来る未来がどんな社会となるのか、この書を読み、考えてもらいたいと真に思っている。

 なおカーツワイルには、以下の書がある。

シンギュラリティは近い[エッセンス版] 人類が生命を超越するとき NHK2016/4/22

 参考ブログ

2015.12.30 Wednesday 年末の休み入りし、AI、ロボット、2045年問題関係の書でリフレッシュ

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3952

奇妙なる仏のナショナリスト、E・トッドEmmanuel Toddの書、『ドイツ帝国が世界を破滅させる』文春新書2015年 上下
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3865
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3868

 

 

| 児玉昌己 | - | 08:47 | comments(0) | trackbacks(0) |
活気が戻った大学と国際情勢の緊迫化 シリア、朝鮮半島情勢

 大学では、入学式に続く一連のオリエンテーション行事も終わり、ほぼ3か月ぶりに講義開始。

アレコレの会議も入って俄然忙しい。講義資料準備で印刷室も大賑わい。

 教壇ではなじみの学生さんの顔もあり、いよいよ一年のスタートだ。

 シリアや北朝鮮情勢で緊迫し、トランプの米政権をとっても、対ロ関係がシリアのサリン使用に伴う報復空爆で悪化している。

 トランプは、対中関係では、「為替操作国」だと一貫して中国への制裁を主張していたが、一転、為替操作国ではないとその姿勢を改めた。ロシアも中国も敵にはできない。

 トランプは、シリア攻撃でも娘の認識に影響されたことをホワイトハウスが認めている。

シリア攻撃決定 イバンカ氏「関与」(フジテレビFN 4/12

 NATOについても、トランプはいとも簡単に前言を翻した。何のための公約や主張であったかである。

 実際、NATOはもはや時代遅れではないと語っている。

 別段、NATOはここ数か月何ら変わってはいない。変わったのはトランプの認識だけだ。

 「時代遅れ」なのは、トランプ君、君の頭の方だ、といいたいところだ。

 トランプ米大統領、NATOは「もはや時代遅れではない」BBC2017年4月13日Trump says Nato 'no longer obsolete.'

 いうことがことごとく、このように変わった。

 大統領選に勝利し、政権を運営する段になれば、合理的判断を迫られると、多くが思っていたが、その通りだ。

 しかし、予測されていたこととはいえ、このトランプの政治指導、簡単に前言を翻すことにみられるように、本質的にこの政治家は、全く不安定で、その意味で、先が読めない。

 他方、この状況下で、隣の韓国だけが、またしてもというべき大統領の逮捕を受け政治権力の空白状態にある。

 そして朝鮮半島では、引き続く金王朝の北朝鮮の独裁者によるミサイル発射、とあきらかな国際社会への挑発が続いている。

 トランプは、シリアで見せたような、北朝鮮の基地攻撃の可能性を選択に入れ、豪や日本についてその可能性を伝えている。

 日本で言えば、攻撃開始の場合、事前協議することも確認されていて、ここ20年で最も緊迫している。

 以下の記事がその一例だ。

 北朝鮮攻撃なら事前協議 米、日本政府と確認 2017/4/12 日本経済新聞 

北朝鮮情勢 外務省、韓国滞在者に注意喚起 核実験・ミサイル発射観測受け 産経新聞4/11

 他方で、韓国の指導者といえば、この北朝鮮の独裁者の核開発には目を背け、対北朝鮮THAADミサイル(Terminal High Altitude Area Defense missile, サードミサイル)配備についても、中央日報が心配するように、その対処については有力候補は黙して、融和的な姿勢をとっている。

 実際、当選したら最初に北朝鮮に行くなど、リトル・ノムヒョン(盧武鉉)といわれる親北候補文在寅(ムンジェイン)が最有力者という具合である。

 その彼は、日本のタカ派から、北朝鮮「内通者」ともよばれているほどだ。 

 そういえば、「人権派」ともてはやされ、挙句は不正蓄財で逮捕され、最後は投身自殺した盧武鉉は北朝鮮のATMと呼ばれていた。現在の大統領候補は、その秘書だったともいう。

 韓国といえば、朝鮮戦争では、北朝鮮の軍に首都が3か月奪われ、米軍など国連軍の仁川作戦で救助された歴史がある。

 それがゆえに、当時の大統領でこれまた石もて国を追われる李承晩は、米軍に指揮権を丸投げして、現在もその状況が続いている体堕落だ。

 それにもかかわらず、この国の「左翼」は、自国の安保の要である在韓米軍の存在を軽んじ、この瞬間になされている北朝鮮の大規模かつ明白な人権抑圧には目を背け、同じ陣営に身を置くわが国にたいしても、「反日無罪」という言葉があるほどにも、将来関係を全く考慮しない状況を続けている。

 いつもながらのことだが、この国の指導者の、北同様の、ノー天気ぶりには、あきれている。

 太陽政策に見られる韓国の事なかれ主義という結果としての敗北主義が、北朝鮮という21世紀の東アジアにおける最悪の化け物を育て上げたとみている。

 10年前のブログを掲載しておこう。

 参考ブログ

2007.02.17 Saturday 歴史語りの歴史知らず 盧武鉉韓国大統領

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=453

 

| 児玉昌己 | - | 08:02 | comments(0) | trackbacks(0) |

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