児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
 「ミスター欧州議会」シュルツ後の欧州議会議長選挙 EPPのタヤー二(伊)選出について

 欧州議会に無名で登場し、「ミスター欧州議会」というべき功績と知名度を残して、ドイツ政界に転身するマルチン・シュルツ議長の後任の選挙が終わった。

 そして最大会派で中道右派EPPのイタリアの欧州委員経験者のアントニオ・タヤーニ(63)が議長に選出された。第28代目となる。

 対抗馬は、第2会派で中道左派の欧州社会・民主進歩連合(S&D)の議長ジャンニ・ピッテッラ。こちらもイタリア人で、法医学を学んだ人だ。

 EUの4大国のなかで、去っていくイギリスを除外すれば、イタリアもしっかりEU政治にその意義を残しているといえる。

 ちなみに選出された欧州議会議長の出身国家でみれば、独仏伊はともに6名である。

前者にはALDEや英保守のECRやEU懐疑派の議員が支持し、後者には欧州緑や統一左翼がついた。決戦票数は351票対282633票で、751の総定数から欠員も入れて、棄権票、無効票が118票出ていることになる。

 これまで2大会派が交代で欧州議会の議長職に就くという形が慣例化していた。しかし厳密にいえば、欧州議会議院規則に2大会派が議長職5年を2期に分け合うという規定はない。実際、1999年の会期の後半、EPPがリベラルと組んで、社会党をはずし欧州自民から出した事例もある。

議長職は基本は各党(会派)が選挙で選び出すのであり、その意味でより通常の形に戻ったということもできる。

今回の欧州議会議長選挙に関連して、Financial TimesDuncan Robinsonが社説を書き、「大連立の崩壊」と見出しをとっている。だが、EUの行政府であるユンケルを欧州委員長として2大会派は、マルチン・シュルツと抱き合わせで、ともに推した経緯がある。

それを考えると、これまで同様この2大会派に欧州自民ALDEが加わり、欧州統合を推進してきた大枠が大きく崩れるわけではない。

したがって、議長選で争ったことですぐに「大連立が崩壊する」と強調する必要もない。個別案件では政策をめぐる対立は既に存在しているのだから。

 Financial Timesもその例外でなく、イギリスのメディアは、本性的にEUに敵対的か懐疑的であり、ネガティブに報道するきらいがあり極めて注意がいる。

 実際、欧州議会の存在を高めたシュルツ議長(独社民)の後を受けることで、タヤーニも、欧州委員会、欧州理事会にたいしては、EU解体に入れあげるルペンやヴィルダースなど、極右ポピュリストへの対抗姿勢を堅持するとみられる。

ともあれ、2014年に選出された現欧州議会議員はその任期を半分終えたということである。すなわち、残り2年半。20195月には、イギリスのEU離脱が明確化していることだろう。

 私にとって印象的なのは2019年の欧州議会選挙であり、欧州議会のその後の極右ポピュリストの動向である。

現状のままではイギリス配分用の73議席は総定数の751から削減される形で次回の欧州選挙を迎えることになる。

余談だが、フランスの大統領選を争う社会党マクロンはこの消えゆく73を単一欧州選挙区の議席としてのこすべきだと実に連邦主義的発言をしている。

 これこそ欧州議会の選挙を加盟国の2義的選挙から格上げし、EU政治を争点にした争う最も確かな手段である。

 そうでなくとも、次の選挙ではイギリス保守党と英独立党の議員団が核となっているECRもEFDDもその中核であるイギリスの議員団を失い、消滅するか、離合集散の形をとりつつ、会派の再構築となる可能性が高い。

それは反EU派やEU懐疑派に相当の打撃になるとみていい。

Financial Timesの記事にもどっていえば、欧州議会に「敵対の政治が登場した」とあるが、議会は本来的に党派性を帯びており、議会としての機能を本格的に獲得しつつあるとみていい。

実際、統合がかくも進めば、行政府も議会も政治的に中立ではありえないのだから。そしてその過程は、イギリスも批准して2009年に発効したリスボン条約で導入されたspitzenkandidat制度で決定的になったのだから。

 イギリス保守党のキャメロン前首相はこの欧州政党内での欧州委員長候補選定の予備選挙過程をボイコットし、欧州理事会で玉砕的にこの反対を貫徹し、惨敗した。これがブレグジットの引き金になる国民投票の前奏曲となっていくのである。

 イギリス保守党がEU域外に完全に出ることで、EU内での統合の深化、すなわち欧州連合を否定する欧州連邦形成への代々の抵抗勢力が消えることになる。

 彼らはEUの連邦化を徹底して嫌ってそれを止めることを主観的に「EU改革」と称していたのである。

欧州議会と欧州委員会の機関間関係で、EU政治の根幹が議院内閣制への接近と私が表現したspitzenkandidat過程で、欧州議会はもとより、欧州委員会も政治化していくのは不可逆的であるとみている。

参考記事

[FT]欧州議会議長に中道右派、崩れる大連立 2017/1/19 16:14

欧州議会議長にタヤーニ元欧州副委員長 最大会派から 2017/1/18

参考ブログ

2014.06.06 FridayEU懐疑派を代表するギデオン・ラクマン(Gideon Rachman)のFT記事を批判する 上下 彼の言う「欧州の民主主義を救え」は「イギリスの保守党の言う民主主義を救え」ということ

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3681

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3682

2016.11.25 Friday マルチン・シュルツ欧州議会議長辞任と母国ドイツ下院議員選出馬を発表

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4158

参考論文 児玉昌己「2014年欧州議会選挙とspitzenkandidaten」海外事情201412月号

 

| 児玉昌己 | - | 10:32 | comments(0) | trackbacks(0) |
テリーザ・メイ英首相 EU単一市場からの離脱を発表 強硬離脱路線選択

 夜、友人のイギリス人のスティーブン・デイと話した後、彼と同様に、イギリスのメイ政権のEU離脱関係の演説ラジオ局のライブをリアルタイムで聴いていた。

 今はネットでイギリスのラジオ局を網羅的に拾えるのだ。音質も完璧だ。とてつもない時代になっており、望めば、その恩恵をはるか世界の離れたところでも、享受できる。

 イギリスとEUの関係については、623日の国民投票で離脱が決まり、以降、長い歳月だった。現在も進行しているのだが。

 これで、イギリス側の態度がハードブレグジットと、定まった。

 単一市場は、ヒト、モノ、カネ、サービスの4つの自由移動からなっており、移民制限、つまり国家主権の1つを取り戻したことになる。

しかし、4つは不可分で、イギリスはヒト、すなわち移民の管理の権限を得たことで、残りのモノ、カネ、サービスの自由アクセスも不可能になったことを意味する。

 金融立国であるイギリスへのツケは大きい。製造業なども含めて大量出国エクソダスになりそうだ。すでに、投資銀行などでは、社内部署移動のレベルでロンドン本部などから、欧州大陸やダブリンにスタッフを移していることも伝えられている。

 50分近い長い演説で印象に残ったことがある。at the back of the queueの表現に触れたことだ。

 インディペンデント紙のフルテキストでは以下だ。

And President Elect Trump has said Britain is not “at the back of the queue” for a trade deal with the United States, the world's biggest economy, but front of the line.

http://www.independent.co.uk/news/uk/home-news/full-text-theresa-may-brexit-speech-global-britain-eu-european-union-latest-a7531361.htm

 この表現はオマバ米大統領の言葉だ。すなわち、国民投票で両派の激しいキャンペーンのさなか、英のEU離脱を案じて、イギリスにはアメリカがついているから問題ないと煽るEU離脱派をけん制して、もし英がEUから離脱した場合、必要となる通商協定交渉では英を特別扱いしない、「列の最後尾に並んでもらう」としたものだった。

 この発言、相当ショックとなっていたのだろう。 

 あえて、トランプを持ち出し、彼は最前列だといっている、とメイ首相はいう。

 この表現、当初から保守的なイギリス人の反米意識を強めたのである。 

 だが、果たして平気で言を左右するあのトランプの言葉だ。そんな彼の言葉に信を置いていいのだろうか。ただでさえ、経済利益の激突というべき通商交渉では、実利が優先されるのが常だ。

 まあ、EU離脱の結果がどうなるか、市場がすべてを判定するだろう。

 この演説について、ドイツ外相で、早晩大統領になるシュタインマイヤーは、意味があったとすれば、より英政府の立場がはっきりしたと述べている。同感である。

 実際、4つの自由のつまみ食いを許せば、EUは存在事態が危うくなる。

 ハード離脱は、得策であるとは全く思わないが、それ以外に選択の余地がないということでは、論理的な帰結というべき選択だった。

 またもう一つ印象に残ったのは、EU予算への言及だ。

 離脱でEUへの巨額な貢献もなくなるとしたが、ノルウエー方式であれ、スイス方式であれ、EUとの自由貿易協定締結の前提として、巨額な上納金を納めていることを失念したかだ。

 結局WTOという、通商協定のレベルとしては、最下限まで落ちる可能性が高い。

 すなわちEU予算はイギリスに多大な見返りがあるが、WTOラインで収まるとすると、英企業は年間8千億円余といわれる関税をEU側に支払わされる。しかも、EU離脱となれば、EUのあらゆる法制に何らの発言権もなく、一方的に受け入れるだけの、文字通り従的存在になる。

 関税同盟の外に立ち、EUの単一市場から出ることで、英語の圧倒的重要性から、科学技術、大学に至るまで、自国がどれほどの恩恵と受益をEUから得ていたことをイギリスは知ることになるだろう。

 実際、宇宙物理学者のホーキング博士は「科学にとって大打撃になる」と語っていたほどである。

 児玉昌己「EU離脱の衝撃ー連邦的統合深化を拒否した英国」『海外事情』2016.9月号

 EU加盟国の政府国民はすべてEU離脱が何を意味するのか、イギリスを通して理解しつつあるともいえる。

 ともあれ、メイの個性を反映したものか、EU残留派だったこともあってか、分裂した国民を一体化させるほどの、心を打つほど強い演説ではなかった。

 ともあれ、EU離脱が不可逆的なものとなった。

 EU離脱に関する政府の権限と、議会の権限の関係に関する最高裁判決が今月下旬出てくるだろうが、それと直結する議会の関与がどうなるのか、最大限注目されるところだ。

 英はEU離脱で復活するとする見方がある。また現在、顕著な変化がないとする見方もある。実際、ポンドは少し上昇し、証券は下がった。

 だが、能天気なイギリス経済復活論者については、以下、いっておこう。

 まだ法的にも実際的にも、イギリスはEUの正式加盟国のままである。EU条約50条は発動の条件であるイギリス側からの通告もなされていない。

 それゆえ、大きな変化がなくて、当たり前だ。それでも、6月の国民投票以前の段階のポンドからは大幅に下げているのである。

 しかも、ポンド防衛にイングランド銀行と政府は必至である。

 国内ではインフレがすでに始まっているが、早晩すさまじいものとなるだろう。それはEU離脱を進めた勢力、すなわちファラージュやボリス・ジョンソンらへの怨嗟の声となって、こだますだろう。そう私はみている。

 もっとも、最大の責任は、金持ちの偏差値秀才の「バカ殿」というべきキャメロン前首相だろう。

 EUへの強硬姿勢を続け、離脱の場合の事前の準備もなく、国民投票というばくちを対EU政治に持ち込み、国家を分裂させ、キャンペーンでは一転残留を呼び掛け、政治不信を広げた。そして、結果が離脱となれば、早々に前言を翻し、後任にツケを丸投げし、無責任にも政治家さえやめてしまった。

 現在は、執筆活動し巨額な利得を得るというこの指導者こそ、国家を傾かせた本人だと思っている。

参考ブログ

2016.02.28 Sunday英のEU離脱 個人的には賛成である(最大の皮肉を込めて)

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3985

2016.04.24 Sunday オバマのEU離脱派牽制の英訪問

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4023

2016.06.11 Saturday マッチポンプのキャメロン、反EUの火をつけて回り、挙句、消火できずに国家が大火災 EU離脱の可能性が高まる英国民投票

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4050

| 児玉昌己 | - | 22:10 | comments(0) | trackbacks(0) |
欧州議会で野合性と脆弱性を露呈するポピュリスト、欧州極右、懐疑派の欧州議会統一会派

  欧州議会で野合的に会派形成をしている極右、反EU、EU懐疑派のそれぞれ関連する3つのニュースが飛び込んできた。

国家に基盤を置くナショナリスト政党の欧州議会で構築している統一会派の野合性と脆弱性を示すニュースである。

1つは伊ポピュリスト、5つ星運動の内紛、2つ目はドイツの極右AfD内紛、3つ目はポーランド右翼与党の国内独裁化をめぐりECRの内部対立。

5つ星運動(M5S)のベッペ・グリロが、何と統合推進派、ユーロ支持派の欧州自民(ALDE)への加盟申請を公言し、結局、相手先となるALDEの党員投票で拒否され、ファラージュ率いる英独立党が最大勢力の反EU会派、EFDDに復帰した。

これについては、ブログで書いている。下段参照

このゴタゴタの過程で五つ星の1名が初めて脱党し、緑の党に加盟したとのことだ。

イタリア政治に詳しい八十田教授(共立女子大)によると5つ星は元来左翼と位置づけられる政党であり、この1名反EU、EU離脱だけを考えるUKIPと組んでいることに不満を持っていたようで、EFDDに戻るというときにこの不満を爆発させ、単独で、初めて5つ星を離脱し、欧州緑の党に移籍したということである。

2は、ドイツの排外主義政党AfDに関するもの。

もともとAfDはユーロが持つ脆弱性と欧州経済通貨同盟がもつ財政移転同盟の性格をきぐした大学教授らのエリートが形成した党である、だが、苛烈な政治過程のなかで、ペトリー・フォイケ現指導者らの反EU派によってこれらの創設指導部が排除され、一種乗っ取られた形になっている。

 欧州議会内の統一会派では2014年の選挙で初当選したAfDは、反EU姿勢を全開させていた当時のキャメロンが率いるECRに加盟していた。

 しかも近年、このAfDは、表面的にはその関係を人種差別主義者を排除しているというが、イスラムを嫌悪し、これを排除しる極右排外主義の反イスラム同盟のペギータと支持者がかぶっていると報じられている。

 しかもこの政党9月下旬のドイツ総選挙で5%条項をクリアし、数十議席ほどを得て、連邦下院に進出してくる可能性が高い。

 そのAfDであるが、ルペンが音頭を取ってドイツのコブレンツで開催される121日の極右、反EU派の国際集会で、AfDがフロイケ・ペトリの独断専行でこれに参加するという意思の表明で、党内が揺れているというニュースである。

ルペンがリードしている「欧州のカウンター・サミット」と称するこの極右の国際会議については、ルペンのスポークスマンがフィガロに仏、独、蘭での選挙を前に反EUメッセージを広げる目的を持つという。

 欧州のネットニュースでは、AfDベルリン支部長のPazderskiがルペンと会見した後、国民戦線は思想的には、わが党のとは全く相いれず、AfDが反ユーロ、開放経済主義を唱えているのにたいして、国民戦線は、社会主義政党だと語っている。

AfDの共同代表のアレクサンダー・ゴーランドは、ペトリが党首脳部の意見を聞かずに無断で会合に出席することを伝えたと、明らかにした。

なお、この会合には、北部同盟のマテオ・サルビーニ、蘭自由党のヴィルダース、UKIPを脱党したジャニス・アトキンスなども参加するという。

極右の共闘のための国際協力はこれが初めてではない。だが、上記のニュースにあるように、統合推進の主流派の政党のみならず、EUとヨーロッパ統合は、本来自国優先で、他は攻撃対象でしかなった極右政党をも、欧州統合の舞台に引き込み、その統合をももたらす広がりを持ち、これに対抗するには同じくヨーロッパレベルでの政治勢力を結集するよう機能し始めていることが、ヨーロッパ統合のすごさを示して、興味深い。

3つ目は欧州議会の同じくEU懐疑派の欧州保守改革グループECRの動きである。

この統一会派は、すでに書いたが、欧州人民党EPPが統合推進勢力であることに嫌気がさし、独自会派ECR形成のためにイギリスの政権与党である保守党が2009年の第7次会期で新たに形成した会派である。中核はこの英保守党と、ポーランドの政権与党の法と政治党である。

カチンスキーを指導者とする法と正義は、近年、総選挙で勝利して多数派となった後、同国で反対勢力の弾圧と独裁色を強めている。

ところで、ECRは201610月ベルギーのHelga Stevens女史を同党からのマーチンシュルツ退任に伴う欧州議会議長候補に選出しているが、このヘルガ・ステーブンスが、選出母体のECRの第2勢力のポーランドの政権与党の法と正義の政権にたいして、EU条約の規定に違反するとする制裁をすべきだと述べて、同会派内で波紋を呼んでいる。

 なお、ヘルガ・スティーブンスは、生まれつきの聴力障害をもつベルギー人で、ルーバンカトリック大卒、修士はカリフォルニアバークレー。2014年欧州議会議員に選出されている。

 ECRはイギリスの保守党を最大勢力とするが、同会派もイギリスのEU離脱とともに最大勢力を失う可能性が高い。

実際、ポーランドの法と正義が国内で、党名に反して法と正義を揺るがすこうした状況であるゆえ、英保守党に代わり会派を指導していくことはほとんど期待できない。それがゆえに、このECRも、イギリスのEU離脱とともに、EFDD同様消滅する可能性が高いと私は見ている。

 本質的に極右は自国優越の排外主義的イデオロギーをもとにしており、反移民、反イスラム、反ユーロなどで大枠の共闘はできるものの、個別的には、AfDとFN、EFDDと五つ星の相違で明らかになっているように、同じ統一会派内でも、その立場には大きな差があり、まさに政党助成金で野合しているという側面が強い。

結論的に言えば、極右の影響力の強化と一般に伝えられる最近のEUであるが、確かに表面的はその傾向は強い。だが、個別にみらば、上記にみられるように、彼らの政治基盤は盤石なものではおよそない。 

 極右時代の到来、EU解体の時、などと、無批判に垂れ流す報道と認識を、安易に受け入れることを戒める必要がある。

 すなわち、欧州議会の舞台を通して影響力を強めてきた、反EU、極右勢力であるが、その野合的性格がゆえに、その安定性、継続性については疑問符があり、常に脆弱性を露呈していることも忘れてはならない。

 すでにわれわれはルペンの父が極右政党を糾合して10年前の2007年に形成した「自己の一体性、伝統、主権」Identity,

raditon, Sovereignty という会派のことを思い出すべきである。

 これは、ルペンの国民戦線、大ルーマニア愛国党、ネオファシストというべきムッソリーニの孫娘のイタリアのアレッサンドラのSocial Alternativeを中心に形成され、内部対立でわずか10か月で消滅していった欧州議会の野合的会派のその後を知っているのである。

参考ブログ

2017.01.09 Monday EU離脱前に瓦解を始めた英独立党UKIP 伊ポピュリスト政党「5つ星運動」の欧州議会統一会派EFDD離脱発表

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4178

2014.06.29 Sunday 2014年議会選挙余滴3 反ユーロ政党AfDについて 反ユーロ政党は反EU政党である

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3695

追記

 なおECRに属していたAfDの2人の欧州議会議員はともにECRから追放され、1名はルペンの会派ENLとファラージュらのEFDDに2016年に移籍している。

| 児玉昌己 | - | 06:47 | comments(0) | trackbacks(0) |
 5つ星運動(M5S)結局、ALDEに拒否され古巣EFDDに戻る UKIPとの関係悪化は必至

イタリアのポピュリスト政党5つ星運動が、EU統合推進勢力の欧州自民党The Alliance of Liberals and Democrats for Europe (ALDE)に加盟申請したニュースについて先日書いた。

これについては、ブログで書いていたように、最終的に、イデオロギーが相いれないという理由で、ALDEの党員投票で拒否され、結局、EFDDという英独立党UKIPのファラージュが中心となる会派に戻った。

 しかし、党運営ではもはやこれまでのようにM5Sが英独立党と緊密に動くことは不可能になったといえる。

 実際、ロイター1月11日付で、欧州議会内統一会派の「欧州の自由と直接民主主義」(EFD)内でのUKIPと5つ星運動の今後の関係について、以下伝えている。

 「五つ星運動はEFDDで主導的な役割を果たさなくなる。五つ星運動の創設者であるベッペ・グリッロ氏はブログで、同党のデービッド・ボレリ氏がEFDDの共同代表を辞任したと明らかにした。

 

 第9次会期となる欧州議会選挙が始まる2019年の5月までに、UKIPEU離脱ですべての議席を喪失することで、EFDDというこの会派が消滅することが、なお一層明らかになったといえる。

参考記事

伊「五つ星運動」、英独立党との欧州議会会派に復帰 ロイター 2017 01 11

参考ブログ

2017.01.09 MondayEU離脱前に瓦解を始めた英独立党UKIP 伊ポピュリスト政党「5つ星運動」の欧州議会統一会派EFDD離脱発表

http://masami-kodama.jugem.jp/?month=201701

 

| 児玉昌己 | - | 00:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
 国民投票7か月余の英のEU離脱の現況

 昨年6月23日、私もロンドンで取材していたのだが、EU離脱を問う国民投票でEU離脱が決まり半年以上が経過した。

 EU離脱条項であるリスボン条約50条の発動の実際について、政府は、議会の承認が問題になっている。議会での承認が必要か否か、という重要問題が最高裁に委ねられている。

 等法院は昨年11月に、EU離脱手続きを正式に開始するためのEU基本条約第50条発動には議会の承認が必要との判断を示した。

 現在、政府が上告し、最高裁で争われている。だが、2週間後とみられる最高裁の判決も、高等法院判決を踏襲するとみられており、政府は敗訴するようである。

 実際、常識的に考えても、事案がEU離脱という国家最大級の政治課題であり、しかも「1972年の3共同体法」を下院と上院で可決してEU(当時EEC)に加盟した経緯を考えると、イギリス議会を無視して、外交は政府の専権事項として、100%の対EU交渉権限を行使できると考えることの方が、ナイーブである。

 ガーディアンは、11名の裁判官のうち74で政府敗訴の読みをしていることを政府関係者が語ったと伝えている。

Government will lose Brexit supreme court case, ministers believe. TheGuardian 11 January 2017

  ただし、議会が政府に与える「承認」の範囲が問題となる。実際、人の移動の制限がなければだめなのか、あるいは単一市場へのアクセスが確保されるべきなのかという重要な問題がある。さて、最高裁はどう判示するのだろうか。

 この間、議会についていえば、政府が何らかの形で、議会に諮り、承認を与える機会を作れば、ブレグジットの国民投票の離脱の決定を遮ることはないと保守党も労働党も考えているようで、労働党はそれに沿った決議を下院でなしている。

 もとより、下院議会でもEUハード離脱反対派も多数いることゆえ、その内容如何では、議会の議決で混乱する可能性も残している。

 ただし、コービン労働党党首は、はやくも昨年7月段階で離脱を覆す動きはしないことを明らかにしていた。それゆえ、最高裁の判断が出ても、メイ政権が即退陣に追い込まれるような事態にはならないとみている。

 労働党は、EUオブザーバによれば、単一市場へのアクセスを求めつつも、EU離脱の核心部分だった移民の制限を支持する考えを改めて語っている。

UK Labour leader supports migrant control Brexit plans. By EUOBSERVER 10. Jan,2017.

 しかしEU側は、イギリスの国民投票での離脱決定直後から、ヒト、モノ、カネ、サービスの自由移動はワンセットで切り離せないと一貫して主張している。

 労働党も保守党もこの点、EU側の強い意志をまるで過小評価し、これを交渉で動かせると考えているようで、これが実に問題である。まさに両党とも、wishful thinking を依然として維持し、思考停止状況にある。

 EU側は、これを恣意的に認めれば、ポーランドなど東欧諸国を中心にして、EU加盟各国が同様に動くことになり、それはEUを崩壊させることになるがゆえに、絶対これを認めないとしている。

 いいかえれば、独仏、ベネルクスなどの強い意志を、イギリス側が全く理解できていないのである。

 労働党がこんな体たらくである限り、国政選挙でスコットランドにおいて、スコットランド民族党(SNP)に奪われた議席を奪還することは限りなく不可能であり、保守党を脅かし、政権を奪取できないことは明らかである。

 イギリス労働党はコービンという組合運動しか知らない党首を据え、社民主義という本来的にそれが持つべき国際的視野を失って、千載一遇の政権奪還の機会をあたら無にするのだろうと思うと、慙愧に堪えない。

 参考記事

英政府、EU離脱の議会承認巡り敗訴を予想 代替案準備=報道 ロイター2017年 01月 11日

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 23:39 | comments(0) | trackbacks(0) |
 EU離脱前に瓦解を始めた英独立党UKIP 伊ポピュリスト政党「5つ星運動」の欧州議会統一会派EFDD離脱発表

 正月早々の大きなEU関係ニュースは、欧州議会の統一会派に関するものだ。

 イタリアのポピュリスト政党5つ星(M5S)が、欧州議会で野合的に会派を組んでいた統一会派「欧州の自由と直接民主主義」(EFDD)から離脱し、連携を解消すると発表したニュースだ。

Italy’s 5 Star divorces UKIP, begins relationship with ALDE.EurActiv.com with AFP and Reuters.2017.1.8.

 EFDDとは、欧州議会内の反EU勢力として類型できる野合的1会派で、現在EU加盟8か国44名の議員からなる。 それはイギリスの反EU政党UKIP(22名)と反ユーロを掲げるベッペ・グリロ率いる5つ星(M5S、17名)の2大勢力を中核として2014年の欧州議会選挙後、EFDから名をEFDDを改め活動を始めた。

 ちなみに欧州議会では、会派形成要件は7か国25名。

 そして、上記のニュースのポイントは、イギリスで言えば、英独立党のEUの政治舞台からの退場と瓦解が現実の段階に入りつつあることを意味するのである。

 M5Sの17名の議員がEFDDから抜けても直ちに会派消滅とならないものの、政党助成金が大幅に減ることになる。ただでさえ、UKIPはEFDDに支払われている助成金の不正流用が問題となり、EU側からその還付が求められているのである。

 私(児玉)は、イギリスがEUから離脱することの意味を、機関、法、単一市場、予算、言語など8つに分けて「海外事情」(拓大20169月号)で書いた。

 すなわち、欧州理事会、欧州委員会などよく知られているEU機関からイギリスがすべて離脱することとなる。

 751名の議員から構成されている欧州議会からも同様に離脱することになる。当然イギリスがEUから離脱すとで、同国選挙区選出の約1割に相当する73名の欧州議会議員も退場することになる。

 すなわち、欧州議会イギリス選挙区選出の英独立党、保守党、労働党、自民党など全ての議員は議席席を失うことになる。なかには、単にイギリスの問題だけでなく、国家横断的に欧州議会で連携している統一会派さえ消える可能性がある。

 EFDD内に22名を抱える最大勢力のUKIPが抜ければ、どのみちEFDDの解党は確実だが、英保守党が中心となり形成している欧州保守改革(ECR)もその可能性が高い。

 ECRは同じく欧州議会の会派。17カ国からなり、7か国が1名。英保守党19、ポーランドの右派の法と正義党18名で、74名の議員団の半数をこの2カ国で占める。

 ECRの中核英保守党はもともとEU統合推進で欧州議会最大会派のEPPに連携していたが、統合推進に反対する保守党がEPPとの連携から離脱し、新たに欧州のEU懐疑派と組んで形成した比較的新しい会派である。

 当面の話題に戻れば、特にイギリス選挙区で最も勢力をえ、EUとイギリス国内政治に影響力があったのは、UKIPである。

 徹頭徹尾EUを嫌悪していた政党がこの党である。実際、党首のファラージュは「EUは死につつある」と201310月朝日の記者に嘯いていた。

 「EUは死につつある」/ナイジェル・ファラージ欧州議会議員、英国独立党党首朝日グローブOctober 28, 2013

 反EU政党のUKIPがEUの民主主義の最大の受益者であったというのは、フランスの極右国民戦線と同じく、EU政治最大の皮肉である。

 なぜかといえば、自国イギリスでは小選挙区制度で総選挙が争われるため、650の英下院議席中わずか1議席しかなかったのである。フランスでも状況は全く酷似している。

 だが、欧州議会の、先進的な得票に応じた議席を確保する比例代表制という選挙制度によって、イギリス選挙区の最大勢力になっていたのである。

 実際、以前からファラージュは、EUの民主主義に感謝すべきだ、とわたしはこのブログで再三書いてきた。

 国内での下院議席はわずか1議席しかない政党がどうしてかくも影響力を持っていたのか、それが昨日ブログした日経の瀬能論説委員の問題意識の1つでもあり、1120日の欧州議会と極右の関係を選挙制度から分析した特大記事となっていた。

 実際、一国の泡沫政党がどうしてEU政治においてメジャーになりうるのか、はイギリスと欧州議会の選挙制度の相違に関係する。

 国内では泡沫に過ぎないUKIPが欧州レベルで影響力を行使できていたのは、欧州議会で、比例代表制の下で正当に選出された議席とその正統性に負うものであった。

 欧州議会からイギリス選出の議員が議席をすべて失うことは、すなわちUKIPが国内1議席のみで党首も議席がないという元の泡沫政党に逆戻りし、国内政治では、それまでと違い、この政党を相手にする必要が全くなくなることを意味する。

 上述の朝日のネット記事でファラージュが吐いた言葉を使えば、「死ぬのは君の党だ」ということになる。

日経の上記の記事に私のコメントが掲載されているが、EU離脱の623日は「終わりの始まり」となったと指摘した。それはEU離脱だけを争点としてきた「単一争点政党」であるがゆえに、その目的を達したから消滅するしかないという単純な理由に発していた。

 イギリスのEU離脱はいつになるのかは、すでにEU側からは2019年初期とされている。それはなぜかといえば、その年、つまり2年後の5月に欧州議会選挙が実施されるからである。

 それまでにはイギリスはEUから去ることになる。ファラージュを大政治家たらしめていた欧州議会から抜けること、つまり彼の政党の死とファラージュの影響力の死を意味する。

 実際、国民投票で離脱を決めた国家が、次の議会の議員を選出するための選挙を他の27か国に伍して行うことは全くありえない。

 因みに、この時期、イギリスの若者を中心とする親EU派のEU喪失感はこの時最高潮に達することだろう。そして感情に任せてEU離脱に投票したもののすなわち、Breregretといわれる後悔と悔悟も大きくなると思う。それは英国内のEUをめぐる政治的対立をさらに深めるだろう。

 ともあれ、イギリスのEU離脱を待たずに、5つ星が統一会派を解消するという発表、EFDDとその中核を担ってきたUKIPの終わりの始まりである。

 そうでなくとも、イギリスがUKIPの念願かなってEUから離脱した暁には、25名7か国という会派形成要件を維持できず、どのみちこのEFDDは消滅する運命にあったのだ。これが今日の話だ。

 だが、話はこれで終わらない。その次が興味深い。

 EFDDを離脱する5つ星は、なんとEU統合推進派の欧州自民に入りたいという。

 選挙綱領などあったものでなく、政策をあっという間に変更する、融通無碍をその本質とするのがポピュリスト政党であるが、その真骨頂である。

 だが、反ユーロは反EUだとすると、EU統合推進派を任じてきた欧州自民(ALDE)は、その要望を認めるのだろうか。

 明日投票で決定するということだ。承認は投票総数の3分の2を要するといわれている。

 欧州議会の名を高めたマーチン・シュルツの欧州議会議長の離任表明を受け、その後任に名乗り出ているのはこの会派のトップで名だたるEU連邦主義者の、フェルフォフシュタット・ベルギー元首相である。

 もし5つ星が合流すれば、ALDEは欧州議会第4勢力から第3勢力に浮上することになり、反EU派の影響を軽減できる。他方、EUの連邦的統合推進を掲げる同党と基本姿勢とその支持者を混乱させかねない。私はこの投票ではALDEの党員諸君がM5Sの加盟合流を拒否するとみている。 

 なお緑の党は、一部、環境を重視する要素を持つM5との合流を拒否したという。

 この5Mについては、その目玉だったローマ市長の側近が不動産疑惑で逮捕されるなど、その実態のお粗末さを見せつつある。

 追記

 EU統合推進派のALDEへの入会申請についてインターネット投票を行っていた5つ星(M5S)だが、投票に参加した78%の約4万人がそれを支持したとガーディアンは伝えた。

Five Star Movement to cut links with Nigel Farage and his MEPs. The Guardian 9 January 2017

参考ブログ

2016.09.19 Monday 党の存在理由を失った英国独立党(UKIP)は消滅あるのみか 新党首就任に寄せてhttp://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4128

2016.10.02 Sunday 英のEU離脱に伴うEU法との整合性に関する方法提起 メイ政権 バーミンガムでの保守党大会で

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4134

2016.03.17 Thursday EU離脱の政治 もう1つの保守党分裂 欧州議会の院内会派ECR(欧州保守改革党)の英議員団分裂

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3997

2015.05.30 Saturday M・ウェーバー欧州人民党党首が英独立党ファラージュを嗤う EU議会の選挙制度の先進性とイギリス下院の小選挙区選挙制度の後進性

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3842

 

 

| 児玉昌己 | - | 19:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
日経の瀬能論説委員の本学比較文化研究所欧州部会での講演 

 先週金曜日、日経新聞の瀬能繁論説委員に来ていただいて本学比較文化研究所欧州部会の講演を開催した。

 瀬能さんはブリュッセル支局長経験者である。

 昨年9月、同氏による久留米大への取材訪問で面識を得た。それは2016年11月20日付の欧州議会と極右台頭を関連付けた紙面として記事化された。

 実は、5年ほど前、彼がブリュッセル時代、私の母校の欧州大学院大学の記事を書いていて、紙面を通して存じ上げていたのだ。

 特に今回は、12月にロンドンやブリュッセルなどを訪問されており、その最新情報も披露された。現場主義をとってきた瀬能氏の講演とその後の語らいで、大いに勉強できた。

 講演では、まず日経の欧州報道が同業他社のそれと比べ、特段に多いというデータの提示から始まった。日経の宣伝もしっかりしたいということでもあったが、実は、せっかくだから、福岡の市民に有力メディアのブリュッセル支局の日常も話してほしいとお願いしていたのだ。

 これなどはまずこの地で聴けることがないからだ。

 本題に入ってEU論。

 イギリスの離脱交渉チームに依然としてまともな計画が立てられていないということを危惧しつつ、語られた。イギリスの対EU離脱交渉に臨む姿勢のナイーブさは新しいことではないし、このブログでも多数書いている。

 だが、英のみならず、ベルギーなど、EUの関係者に取材して戻ったばかりの瀬能氏から語られることで、より確信を深めるものとなる。

 実際、この講演の直前の報道だったが、EUの政治舞台に精通している職業外交官で、EU大使アイバン・ロジャースが、イギリスの立場の困難さについて、率直な意見に耳を貸さないメイ政権のEU交渉担当の政治家に抗議し、職を辞していた。

 EU離脱については、当然ながら朝野を問わず、国際的にも多くが関心を寄せている。

 いよいよ年が改まり、公約では3月末までに、イギリス政府によりリスボン条約50条が発動され、2年を区切りとして離脱交渉が始まる。

 離脱交渉は大きく2つある。離脱そのものの交渉と、それに必然的に付随する対EU通商協定の締結である。

 これについても、イギリスがEUのチームとは、メイ政権と反EU派が思っているような対等関係ではないこと、また皮肉にも、EUでは個別加盟国政府から通商権限が欧州委員会に移っており、欧州委員会が加盟国を代表して通商交渉を行ってきたがゆえに、どの国も同様だが、加盟国政府に通商のエキスパートが揃っていないということを指摘された。

 実際、イギリスはEUから離脱すれば、直ちに、日米韓中など50以上の国家と地域と交渉を新たにすることを余儀なくされる。それは長い年月を要する厳しい交渉となるものなのだ。

 私も昨年9月、「海外事情」誌に「英のEU離脱の衝撃−連邦的統合深化を拒否した英国」の論考を出して、その理由、意味などを書いているのだが、ほぼ私と同じ対EU認識を展開され、また講演でも一部私のデータも紹介していただいた。

 英の離脱でEUが解体する、などと嘯(うそぶ)く世の浅薄なメディアやそれに沿った評論家が多い中で、そんなことはあり得ない、解体があるとすればスコットランドを抱えたイギリスの方だというのが私の対EU認識だが、自己のそうしたEU認識が私個人だけのものか、そうでないのかを確認できるということは、大きなことなのだ。

 瀬能講演に戻って言えば、反EU派が強調し、一般の専門家も指摘する移民問題については、移民の多い場所ではそれなりの同化が進んでいて、移民がいない場所での反移民感情が強いという一見逆説的な現象をデータで提示されて、興味深いことだった。

 昨今、強調される所得格差の拡大についても触れられた。確かに上位層の資産増大は大きいが、中産階級の所得の落ち込みはデータのとり方で変わってくるのであり、データの使い方には注意が必要だと、主張された。

 全般的に極めて刺激的な講演で、私もだが、正月初めに顔を出された出席者には、実に「お得な」講演だった。

 感謝である。

 その後、せっかくだからと声をかけていた欧州政党の研究者で、英出身のスティーブン・デイ大分大学教授も加わり、我が家で家人の手料理を食しつつ、専門家として、EU統合をどう見るべきか、EUの将来はどうなるのか、議論を遅くまで深めた。正月早々、実に有意義な会であった。

 次回は毎日新聞編集委員の森忠彦氏で、今月30日。同じくブリュッセル支局長経験者である。参加費無料

 欧州部会講演の詳細は以下。

http://www.mii.kurume-u.ac.jp/hikakubunka/pdf/h28_06.pdf

関連ブログ

2016.09.18 Sunday EU離脱を決めた英がEUの防衛同盟構想に拒否権をいうナンセンス、そして難民問題

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4126

2016.09.06 Tuesday 相変わらずの自己中心の無責任さを曝す英の離脱派閣僚と低レベルの英離脱派メディア

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4121

| 児玉昌己 | - | 11:14 | comments(0) | trackbacks(0) |
1月初旬の日常の3題 無転倒バイク、トランプ、星野源

 今日は3題。

 ネットではホンダのオートバイの自動運転が一部公開され、驚く。支えなしでも転倒せず進んでいる。今月前期高齢者入りする私もだが、急速な高齢社会が到来する。無

 ハンドルのレベル5とは言わないまでも、周囲の車との距離を確実に計測し、車線変更が自在にできる自動運転車が一般に、速やかに普及することを望んでいる。

 2題目は、米国のトランプ。

 いまだ大統領に就任してもいないトランプが、トヨタのメキシコ工場計画の全面撤回をネットで、もとめ、恫喝というべき圧力をかけている。すでにフォードは計画を撤回した。これでわが国の車メーカーの株価が大きく下げた。米国の株所有者もたくさんいるのにである。

 米国が、まさにUSファースト主義にかじを切り、戦後70年行使してきた世界的責任を放棄することを明らかにしている。そのツケは、結局米国に戻っていく。

 対中、対北など外交でも韓国や日本への危機の際の、無責任な核容認発言をしたかと思えば、中朝にたいするこのところの強硬発言。どう整合性をとるのかということだ。この政権まったく先が読めない。

 言を左右にし、悪影響を広げるトランプにたいして、オバマと共にこの19日に政権を去る副大統領のバイデンは、「大人になれ」といっているほどだ。

 グローバル化という格差全開の最大の恩恵者が、一般労働者の味方を演じる。大統領候補者であるにかかわらず、トランプ財団を背景に、利益相反を実践してきたが、ようやくそれを閉鎖したとのこと。

 「国益第一」、しかも国益にかなうのかさえ分からない、言葉しか知らない、無教養の単なる不動産成金が米大統領ということこそ、米国の力の衰退を示すものであり、21世紀前期の最大のカリカチュアだ。

 あっという間に前言を翻し、政治家に最も必要とされる言葉の信頼性が全くないのが、この「政治屋」だ。

 さてこの先どうなることやら。

 3つ目。もっと世俗的な話題。

 「逃げ恥」でブレークした星野源。どこかで見たことがと思っていたが、「ゲゲゲの女房」に出ていたとネットにあり、みると、松下奈緒演じる水木先生の女房の弟役として出ていた。実に地味で、実直さが顔に出ている俳優さんだった。むしろそれがゆえに印象に残っていたのだ。

 ともあれ、1月も淡々と進んでいく。

参考ブログ

2016.03.30 Wednesday 田舎政治家が米大統領になる可能性への世界的危惧 孤立主義に向かう米

http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20160330
2010.09.26 Sunday ゲゲゲの女房最終回 こちらからダンダン(ありがとう) 下

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2525

 

| 児玉昌己 | - | 11:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
正月2日は初売り 同志社ラグビー準決勝惨敗

 今日は娘と妻女と3人で初売り。革製品が好きで、今回は、キンロックKinloch Anderson社のローファー。もとより、そんなに高価なものは買えないし、買わない。

 安かろう悪かろうでも困るので、いいものをお手ごろの値でが大事。

 キンロックは150年の歴史を持つスコットランドのキルトファッションの老舗メーカー。

 別の服飾ブランドのと合わせて2足求める。いい買い物ができた。あとは例年同様、Kardiのコーヒー詰め合わせの福袋。

 皆さんはいかがでしたか。

 同志社のラグビーは11年ぶりの秩父宮、テレビ観戦だが、東海大に惨敗。

 帝京もそうだが、いつの間にか留学生なしでは、歯が立たないことが明らかだ。

 早大に勝利して久しぶりの正月準決勝戦だったが、同志社もそうした人材集めが必要なのかも。

 昨年大健闘したジャパンの選手構成が、日本の殻を破り、世界のジャパンに引き上げたように、である。

 昨年他界した日本ラグビー界の至宝、平尾誠二さんもそれを願っているのかもしれない。

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 23:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
正月、母が誂えてくれた着物に久しぶりに袖を通す それを詠む 海鳴庵児玉

 平成29年正月。皆様、いかがおすごしでしょうか。穏やかに晴れ上がる元旦を迎え、着物でも来て、久しぶりにゆるゆるとした気分

 

元旦や 和服に袖を 通したり 亡母(はは)誂えし ものぞなりにて

                 海鳴庵児玉

 

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| 児玉昌己 | - | 13:14 | comments(0) | trackbacks(0) |

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