児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
 五輪も終盤 高木菜那の金、カー娘の堂々の銅 そして韓国

 平昌五輪は明日が閉会式だが、夜、高木菜那が新種目マススタートで金メダルをとったことを知る。この種目、初代世界女王に輝いた。

 菜那については、パシュート団体女子でも五輪新記録で金を得ている。それで、女子として2つの金保持者は彼女が史上初とのこと。

 高木は妹である「美帆の姉」と長く表現されてきたそうだが、今や冬季五輪史上1人しかいない堂々の2つの金の取得者だ。

 とはいえ、妹の美帆も、パシュートの団体の金のほか、小平が500で金を得た個人のスピードでは1500と1000でそれぞれ銀と、同を獲得し、今回3つのメダルを取っている。

 すごい姉妹であることには変わりない。

 実は、女子団体パシュート決勝は知っていたが、ライブで同時間に観れなかったのだ。

 オランダとの決勝戦がある時間、大学の研究室に残っていて、翌日の講演草稿に没頭していたからだった。

 今夜のことを言えば、マススタートの決勝での菜那の金の報に続き、カーリング女子も銅メダル獲得との報。

 こちらは、予選で土をつけていた韓国に敗れ、3位決定戦に回って、イギリスと対戦した女子のカーリングでは、同国をやぶったのである。1試合2時間半の競技。本当に集中力を切らさず、頭が下がる。

 五輪終了を前にしての相次ぐメダル獲得の報で、日本は沸き立った。

 多方、韓国といえば、日本が金をとった女子パシュートでは、最後尾の選手のタイムが問われるにもかかわらず、かなり遅れてしまっていた。

 この競技は、最後の選手のタイムが記録となるのだが、団体のチームプレーとは程遠い内容となり、その後の選手の遅れた選手への対応でバッシングに見舞われる事態にまで発展していた。 

 その選手が高木菜那が金をとった競技に出場していた。バッシングの対象となっていたその彼女は、オランダの選手を最後に抜き去り、銀となった。

 バッシング事件では日本でも報じられていて、その顔には見覚えがあった方も多いことだろう。私もその一人だ。

 だが、たたえられるべき銀にもかかわらず、笑顔もなく、リングで土下座である。

  韓国は、アジア勢としては開催国のプライドもあり、メダル獲得でトップとなっている。

 だが、我々からすれば、全く考えられないようなことが続いている。

 メダル優先の人選が背景にあるという。メダルは大事だが、スポーツの精神がどこかで歪(ゆが)んでいるとみる人も多いことだろう。

 歪みといえば、この国の政治はそれ以上だ。

 核ミサイルを着々と準備しているのに、大統領が嬉しそうに北朝鮮との対話の成果を語り、大統領補佐官のトランプの娘イバンカの訪韓時にも、文大統領とは対照的に、イバンカは厳しい顔で、北朝鮮に対する非核の重要性を強調していた。

 このように、全く対北朝鮮認識の相違を最後まで曝していた。五輪終了後が注目される。 

 五輪への北朝鮮招待など核ミサイル開発の危険性と緊急性からすると、論外であったと多くの日本人同様、そう感じている。

 その意味で、国際的常識からすると不快な側面を持った五輪でもあった。

 なお、閉会式には、北朝鮮の大物が来るという。

 よりによって、韓国海軍の浦項級コルベット天安沈没事件に関する北朝鮮側の責任者ということで、全く理解できないことばかりだ。

 韓国の話はこれくらいにしよう。

 精魂を傾け、この日のために鍛錬してきたわが国の選手たちには、これらのことは無関係だ。

 それより、2020年は東京五輪である。そして4年後の22年は北京での冬季五輪だ。

 選手団の予想を上回る活躍で、メダル獲得数13個は冬季五輪としては史上最高となった。

 日本を元気にしてくれる五輪であったことは間違いない。

 活躍できた選手にはもとより、そうでなかった選手にも、明日につながるものとして、健闘を称え、エールを送ろう。

 最後になったが、パラリンピックも楽しみである。

| 児玉昌己 | - | 01:48 | comments(0) | trackbacks(0) |
大川市議会の議会基本条例に関する勉強会で講演する

 本学とも地域連携協定を結んでいる大川市だが、市議会の川野栄美子議長からの依頼を受けて、同市に出向き、議員の皆さんの前で、昨日講演をしてきた。

 テーマは議会基本条例に関するものである。福岡県は28市あるが、議会事務局によると、17の市で制定を終えている。ちなみに、町村では32の内14が制定済みである。

 大川市としても、この条例制定に動き出しており、その勉強会という位置づけのものだった。

本来は、議会基本条例については、地方自治法や地方行政をカバーする行政法学者や、行政学の専門家の領域ということができる。

 ただし、議会は政治学の重要な研究対象の一つで、政治学の研究者で、EUの議会、すなわち欧州議会の専門家である私としても、全く、無縁の問題ではない。

  また足元の地方公共団体の議会についてはその在り方については、地方都市に住む一市民としても、関心がないわけではない。 

 それに、勤務校としても近隣自治体との連携協定を締結しており、大川市もその1つでもある。同市の倉重市長と本学の永田学長の出席のもと、連携協定が昨年調印されている。川野議長とも本学経済学部の大矢野教授を通して、しばらく前に面識を得ている。

 多方、本学にも、地方行政を専門とする若手の研究者もいるが、各種業務で、多忙を極めている。

 そういうこともあり、私としては、いわば、少し「背伸びした」テーマに関する依頼ではあったが、お引き受けした。

 私にとっては、地方自治体との関係で言えば、今回は3度目ということになる。

 最初は、現在の長崎純心大学の時代だが、四半世紀前になるか、現在諫早市に編入されている小長井町の環境条例制定、そして筑後市の政治倫理審査会での仕事に続いて、3番目となるものだ。

 とはいえ、今回は、自己の専門分野とどう結びつけ、話をできるのかということで、腐心した。

 議会一般の機能は、国家、地方公共団体において、その権限は異なるが、有権者や市民を代表する代議制に立つ機関としては共通するものがある。

 それで、様々なレベルにおける議会ということで、専門の欧州議会の事例からかと思い、準備して、話をさせていただいた。

 特に、今回は対象者が市民の代表である議員の皆さんである。それゆえ、日ごろの議員活動に敬意を表する言葉を述べた後、各市区町村が制定に向けて動いている議会基本条例の背景、趣旨、意義などを話した。

 引き受ければ、知らないことも多く、当然、勉強もする。 

 その後は、議員の皆さんとも意見を交換し、その所見をお聞きし、その想いにも直接接した。

 未だ全く不十分ではあるが、議会というものを改めて考えるいい機会を与えていただいた。

 川野議長や事務局の皆さんには感謝しているところだ。

  もし議員の皆様に、少しでも参考になるものがあったとすれば、嬉しく、有り難いことである。 

| 児玉昌己 | - | 10:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
10年前の就活関係ブログ再録します 頑張れ山田悠子、そして全国の就活戦士たち
10年前のブログを再録します 2008.02.13 Wednesday
頑張れ山田悠子、そして全国の就活戦士たち

 2月の入試が終わり、ほっとしているところだ。だが、安堵感もすぐに消える。私はもう1つ気がかりなことがある。ゼミ生や周囲の学生たちの就職のことである。
 就職委員をやっていることもあり、学生の就職活動とその結果が大いに気になるところである。テレビでもリクルート社製作の「山田悠子の就職活動」をやっていた。
 このCM,山田悠子の名を持つ、受験戦士ならぬ、女子の就活戦士が主人公である。多数の企業にチャレンジし、ことごとく不首尾となり、疲労困憊の末に、一人暮らしのアパートに戻り、そこで、最後に1社から採用の電話を受けるという物語である。
 よく出来ているのは、女子学生山田悠子の就活の模様すべてを、サッカーの応援団に擬した仲間が、スクリーンで観戦しながら、彼女の一挙一動に熱烈な応援をし、電話を受けた最後の瞬間は、抱き合って涙するというものだ。
 見られた人も多いことだろう。そして、我がことのように、納得したり共感した人も多いことだろう。ユーチューブで以下でやっている。

https://www.youtube.com/watch?v=Kkh83NgHRmQ

https://www.youtube.com/watch?v=S9gZ0FbdbFA


 若者の人生の大きな部分を決定するのが、就職。いつの時代にも社会に巣立つ若者達を待ち構えているのは、就職内定を得るための、激越な競争である。その激烈さは体験した本人や家族でないと分からない。
 必死に動く山田悠子、そして彼女の仲間や知人や、そして家族の胸が熱くなる応援を真剣に扱って、実に共感できる作品である。
 私の周りにも山田悠子がいたし、今もいる。暫く前のことだが、10数社不首尾となった後、私能力がないのでしょうかと報告して、泣き崩れた学生がいた。その後、彼女はホームランを放った。NHKに採用されたのである。
 採用を出してくれなかったところは、人事採用者が、人を見抜く目がなかったのだ。
 そう思って、就活戦士の皆さん頑張ってください。

 

| 児玉昌己 | - | 11:43 | comments(0) | trackbacks(0) |
今日は1泊で、八幡ロイヤルホテルで、就職合宿指導

 大学では入試が一段落して、今日は就職合宿。大学としては、入学してくれる学生諸君には、4年後、希望する就職先から内定をいただき、社会に送り出す。

 学生諸君に就職させる助力をするのは大学の重要な役柄で、研究、教育と同様に、大学人の重要な務めである。

 なにより、保護者はそれを心から望んでいる。父母や保護者の喜びは、なにより子供の独立と、社会での活躍だ。

 大学で学ぶことは、就職とは無関係という教授も昔はいた。だが、今は大学の責務と位置づけされている。

 本学も力を入れていて、勤務校についていえば、90年の歴史を誇る医学部に加え、戦後、商学部からスタートしたということもあり、伝統的に就職に力を入れていて、近隣大学以上の実績を残している。

 毎年この時期、入試がひと段落ついた後、今度は就職の合宿を開催している。

 テレビでもよく取り上げられる恒例のイベント。

 プロの就活助言のスタッフに来てもらい、さらには会社の人事担当者も面接指導で来てもらい、昨年首尾よく意中の企業を射止めた卒業間際の先輩諸君も招いて、これから4年になる直前の3年生に徹底した指導をする。

 言葉使い、マナーなどはもとより、面接も個人集団と実践的に訓練する。

 私も10年以上、担当委員として側面支援に従事している。

  この合宿への参加者、まさに手術前、手術後の劇的な変化を生む。内定率も、参加、未参加では20%以上も差異が出てくる。

 一番重要なのは、学生諸君のマインドが変わることだ。

 それまでは成績を一定あげると、みな進級できる仕組みで高校、大学へと進学してきたが、今度は企業が選ぶ。

 貴君はなにがわが社にとって貢献できるか、その一点の問いに対して、自己をアピールする場となる。

 成績優秀者が絶対かというとそうではない。

 会社が必要とする基準はいろいろあるが、企業の一員となる協調性や明るさはいる。なにより求められるのは、個人のもつパワーだ。

 ともあれ、だれにでも重要なのが、どのようにして社会で生きていくか。

 誰にとても切実な課題であり、人生の若い時代の最大の関門の1つである。大いに頑張ってほしいものだ。

参考ブログ

2014.02.04 Tuesday 就職合宿で八幡ロイヤルホテル入り

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3614

| 児玉昌己 | - | 09:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
祝 冬季五輪小平奈緒スピード 金
  1000の銀に続いて、小平奈緒、待望の500の金。フィギュアの羽生結弦に次ぐ、平昌五輪で、わが国2個目の金。

  この競技女子として、初の金メダルという。

 この500、彼女が最も得意とする種目で、近年負けなしで、金の最有力候補であった。

 もっとも、とるべくして取るという言うのは簡単だが、実際それを実現するとなると、別の話だ。 

 オランダから戻り、骨盤の位置を水平にする科学的トレーニングにも取り組んでいたことをテレビで紹介してきた。

それで着氷時の足のエネルギーを確実にし、かつ安定させるというのだ。スポーツは科学の世界でもある。

 ともあれ、お疲れさまでした。おめでとうございます。

 

 

| 児玉昌己 | - | 22:46 | comments(0) | trackbacks(0) |
フィギュア 五輪 祝 羽生、宇野金銀独占 新たな伝説 レジェンドの誕生

激闘、冷や汗、66年ぶりの連覇 世界の羽生だ。日本初の平昌五輪での悲願の金はやはりこの人だった。新たなレジェンドの誕生の瞬間を観れて、幸せだった。

 追記

 フィギュアなど全く知識も経験もない私だが、羽生選手の演技を観て思うことは、数多の選手と違い、間を感じさせないほどの切れの良さ、シャープさ、即ち無駄のなさだ。

 研ぎ澄まされた切れ味。そう表現できる。 

 バックに使用する音楽は雅楽をアレンジした安倍晴明からくるSEIMEI。和の優雅、荘厳さから怒涛のように続いていく日本古来の音楽に乗って、実に生きた芸術品を見る思いだった。

各国のメダル数

https://pyeongchang.yahoo.co.jp/medal/

 

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 14:13 | comments(0) | trackbacks(0) |
ピョンチャン五輪と日本選手の活躍 賛辞を送ろう

 テレビでは、「ピョンチャン」平昌というより「ピョンヤン」平壌五輪というに限りなく近いというべき五輪をやっている。

  韓国の文在寅政権同様、日本のテレビメディアは北朝鮮の宣伝工作での、いいカモとなっているようだ。世界に核の脅威を突き付けているのにである。

 実に、犯罪の百貨店といわれる「ならず者国家」で、国連の制裁により金欠状況にある北朝鮮が、親北で北のATMと米有力紙に評された盧武鉉の秘書であった文大統領の現政権に媚びを売りつつ、北朝鮮のイメージアップにこれを利用している。

 国連制裁下にあって、韓国はすでに北朝鮮参加費3億円を提供している。 

 21世紀の地球上で、今やここだけになったというべき、全体主義国家を地で行くスターリズム的な異様で、異常な応援をしているという認識で日本のメデイアでは報道されるべきが、あの女性群(軍)応援団を乗せてきた万景峰号の重油代は、さすがに断わらずをえなかったという。だが、国連制裁下にあって衆人環視の表の世界とは違い、裏では相当な別の資金が韓国から提供されているとするアナリストもいる。 北朝鮮にしてみれば、ATM以外の価値を見る必要のない韓国だ。

 金正恩のそっくりさんが現場に闖入し、応援団が驚く表情をテレビではしっかりとらえていた。こんなことは現地ではありえないことで、興味深かった。あれはいったい何者だったのだろうか。

 北朝鮮はミサイルは開発しても、国連分担金さえ支払えない体たらくだ。民生などどうでもよい国家だから、いうだけ無駄か。

 実に不快極まりない北による五輪の政治利用だ。

 だが、この日のために日夜猛訓練をしてきた日本を含む各国の選手にはそれは関係がない。

  今日は政治的に決定されたアイスホッケー女子の南北合同チームとジャパンとの試合があり、4対1で日本が完勝した。北朝鮮と韓国の政権は、面目丸つぶれである。

 にわか統一チームでは、韓国の競技関係者やファンからも強烈な不満と非難が出ているように、即席のチームにありがちの統一性を欠いていた。まさに政治優先の選択とその無残な結果でしかない。

 その試技をテレビ観戦。日本女子は五輪でのこの種目、歴史的な初勝利ということだ。

 さて、アイスホーに加え、日本選手の活躍を書こう。

  Wカップ女子ジャンプで53勝の記録を持ち金に近い選手と有力視されていた高梨沙羅は銅。

 高梨選手の場合、前回ソチでは期待されながらも、メダルを逸し、悪夢を跳ね返しての銅となった。 

 ずっとプレッシャーの中でのもので、実に見事で立派なことだ。

 昨日はスノーボード、ハーフパイプで19歳、ソチ五輪銀メダルの平野歩夢が前回に続き銀。

 米国の誇る「王者」ショーン・ホワイト選手31歳も、60針以上の大けがをして、それを乗り越えて得た金である。

 転倒で大けがをし、同じ状況にあった平野選手の刺激になったのは、やはりこのホワイトさんだったという。

 落ち込んでいた平野選手を支えたのは、父親。息子に寄り添っての銀。

 本人はその有難さを感謝で語っていたとのことだ。いい話だ。

 360度を4回転することからくる「ダブルコーク1440」などの競技用語も、新鮮だ。

今日は1000女子スピードで小平奈緒と高木美帆が銀、銅。オランダの選手は五輪新。ハイレベルの戦いだった。

 小平は近年負けなしの得意種目500が待っている。大いに期待し、応援しよう。

 ノルデック複合では、2大会連続で渡部暁斗が銀。「シルバーコレクター」などという、五輪メダリストであることの意味も分からない輩もいるようだが、とんでもないことだ。

 どれだけ、次世代の子供たちに夢と希望を与えているかである。 

 以上書いてきたが、それで分かるように、今夜現在、銀が4つだが、日本には、あと一歩のところで金がない。実に惜しい。

 金メダルを獲得することがどれだけ大変かがわかる。

 世界の選手も同様に大変な鍛錬を重ねているのである。

 活躍できた選手。活躍できなかった選手。実に厳しい世界である。

 なんであれ、世界の強豪を相手に、狙っていたメダルの色は違うかもしれないが、メダルを取れた選手には大きな賛辞を送り、そしてそうでなかった選手にも、大いに敬意を払おう。それは次につながるのだから。

なお国別メダル数は以下。

https://pyeongchang.yahoo.co.jp/medal/

 

| 児玉昌己 | - | 21:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
右傾化する欧州議会の中道右派政党、欧州人民党(EPP)とハンガリー政権与党フィデス

 欧州議会選挙法案についての欧州議会本会議での動きをカバーしたブログは、詳細がいまだ十分不明で、内容的に不十分だったが、幸いなことに、この数年あまりない、一日で4418のヒットを得た(9日)。10日は2584。

 欧州議会選挙法の動きは、外国のマイナーなことであるかもしれないが、日本とも無縁ではないこと、日本企業にも関係することを書いた。

 どう関係があるかといえば、イギリスに割り当てられている73議席の消滅を受けて、その再配分を検討しており、すでにEUではイギリスのEU離脱を前提としてEU政治が動いていること、イギリスに欧州の拠点を置き欧州戦略を展開している経営者トップはそうした事実にたいする認識がいると書いた。

 実際、多くのブログヒットを得たのは、欧州議会の動きをイギリスのEU離脱に絡ませて触れたからでもあろう。

 欧州議会自体が地味なテーマだが、イギリスのEU離脱問題とも深くかかわる問題で、欧州議会を専門とする私にはきわめて興味深いものである。

 それにしても連邦主義者で元ベルギー首相のヒー・ヘルホフシュテットが、欧州議会での単一欧州選挙区創設案の否決直後自身のツイッターでいみじくも語っているように、欧州議会内最大会派のEPPの右旋回が顕著だ。

 今日のブログ記事はEPPの右旋回、それに関してである。

 実際、EUの価値と統一性については、EUの司法内務理事会で決定した移民割当て鋭く反発して欧州委員会と対立するポーランドと同様、ハンガリーのオルバンの政府与党フィデス(ハンガリー市民同盟)は反EU的である。

 かつてベルギーのマルテンス同会派議長やヘルムート・コールの時代ならば考えられないような明らかに欧州統合に異を唱える、異質な集団がEPPの中に存在する。

 結局、EUの統合強化で無理強いするとハンガリーの権威主義的政党で近年反EU姿勢を鮮明にしているハンガリーの政権与党のフィデスを刺激すると考えているからだろう。

 欧州人民党を中核で支えるドイツの政権与党のメルケルのCDUが圧力をかけ続ければ、欧州議会にもつ同党の割り当て分の21議席中11議席の議員が離脱する危険性もある。

 メルケルのドイツ自身をとっても、CDU自身がより保守的な傾向を深めるバイエルンの姉妹政党のCSUを抱えて、そしてまた反イスラムの排外主義を掲げるAfDが急速に力を伸ばしていることゆえ、以前ほどヨーロッパ統合に積極的になりえなくなっている。

 メルケルでいえば、自身の「移民・難民歓迎政策」が大量の移民・難民流入を招き、理念としては歓迎できたものの、政治の場では自らの首を絞め、対外的にもEU内での齟齬を招いている。

 実際、欧州議会選挙でいえば、ただでさえEPPが前回(2009−2014)の選挙では、274議席から217議席へと議席を減らしているが、その中で、同党内で離脱議員が多数出ると、EU議会で最大会派として行使できるその影響力を落とすことになる。

 ちなみに欧州議会内第2党の欧州社会党系は191議席で、その差は僅差というべき状況にある。

 ドイツの大連立政権もあり、分析すべき対象は欧州議会と国内議会、EU政治と加盟国政治の両面にらみがいる。

 各国で移民・難民の大量流入でナショナリズムが激され、極右の台頭を招いており、中道右派も移民の受け入れにたいして消極的になっている。

 中道右派のスタンス自体が右寄りに傾斜していることも、EPPの体質をよりナショナリスティックにし、フィデスなどのEPPからの除名に積極的になれない理由となっているといえる。

 とはいえ例えば、欧州委員長の任命のための欧州議会内政党による予備選挙すなわちspitzenkandidatをとってみても、それを推進するEPP主流派と、ヴィシェグラードの政府与党系とは見解が異なる。

 ともあれ、フランスのマクロンが国民議会での昨年の圧勝を受けて、欧州議会レベルでも独自の新党形成に動くのか、選挙結果次第では、EUの政治動向も多く動くがゆえに、EUウオッチャーには、実に目が離せない。

 国家の政治はもとより、欧州議会での動向もそれ以上に重要になりつつある。 

 

 今日の第2のテーマは、EPP内にいて、反EU的姿勢を続けるハンガリーの政権与党フィデスの性格に関するWikiの理解についてである。

 ちなみにフィデスについては、ウィキペディア日本語版は、感情的に、以下問題ある記述をしている。

「ハンガリーでは政治対立が深刻なため、社会党など左派政党・メディアを支持する欧米の左派系リベラル系の政党や主要メディアがフィデス政権による基本法(憲法)、メディア法制定、難民政策などを批判するのが常でオルバーン首相やフィデスを強権的、独裁的、極右欧州会議酒政党などと報道することがある(ニューヨーク・タイムズCNNなど)。しかしフィデスはキリスト教民主主義・保守主義の中庸市民政党(Polgári Párt)であって、極右政党はおろか(欧州議会ではキリスト教民主主義政党が参加する欧州人民党会は(EPPに所属)、EU脱退を主張したことも一度もなくこれらは極めて不正確である。」

  フィデスについていえば、この記載はすでに上述たように、実に問題である。

 最近では下記にEUobserverの記事に示されたように、EU法違反で、ハンガリーをEUの行政府欧州委員会が欧州司法裁判所に提訴する動きを招いている。

 この日本語版の記載と違い、オルバンとフィデスの強権的、反EU的姿勢は明らかである。

 フィナンシャル・タイムズは2017/4/27付け社説でオルバン首相の政権与党のフィデスについて、「ハンガリーはEUの価値を遵守せよ」と強い口調で非難している。

  EUの価値についても、まさしくフィナンシャル・タイムズの指摘もある通り、EUの価値に公然と対抗している。この意味で、フィデスはEPPに属しており、EU離脱も考えていないとするウィキペデイア日本語版の記載者の事実認識は、皮相である。

 オルバンとその与党フィデスがEU離脱をしないのは、EUの統合思想に共鳴しているからではおよそない。  

 ポーランドの政権与党の「法と正義党」と同様、オルバンやフィデス(ハンガリー市民同盟)はEUの連邦主義的存在を嫌い、EUを国家連合の「欧州連合」に後退させることを意図していることは明らかである。

 中庸政党であり、市民政党であるがゆえにEUに残留しているというフィデスの日本語版記述者の論理には誤りがある。 

 EU離脱しないのは、それによる強烈な国家的な打撃を恐れるからであり、むしろフィナンシャル・タイムズが指摘するように、EUを利用し、EUからの予算を得たいがためである。

 彼らは、それがゆえに消極的に、いわば仕方なくEUにいる、ということが正確である。

 EPPやEUに残存している理由と理解については、Wikiの記載者については全く理解不能だ。

 実際、英語版には日本語版にあるような記載は全くない。

 もとよりWikiについては、両者が同じである必要はないのだが、日本語版はあまりに事実を無視している。

 もしEUから離脱すれば、フォリントやポーランドのズロチなどこれらの国家の通貨は国際的に評価を落とし、瞬く間に暴落するだろう。

 対ロシア防衛も単独では無力である。それゆえ外交、軍事上もロシアに対抗するにはEU離脱など論外の選択だ。

 結論的に言えば、上記の日本語版のフィデスの記載は、実にこの党の反EU的性格と対EU関係について、驚くほど無知を露呈しているか、あるいは事実を理解しつつも、意図して強引な論理を展開しているかである。

 いずれにせよ、記事自体、むしろ全く「不正確」である。

 この記載者は、フィデスの党関係者や利益代表者ではないかというと気持ちさえ抱かせる。

 参考記事 

Commission takes Orban's Hungary to court. EUobserver 7. Dec 2017.

Visegrad calls for complete change of EU-27.EurActiv2016629

 参考ブログ

2018.02.08 Thursday 欧州議会、単一欧州選挙区と統一リストによる超国家的議員枠創設の選挙法改正議案を否決

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4353

2016.05.31 Tuesday

「キャメロンの国民投票は英政治史上最も馬鹿げた政治運動である」David Cameron's EU referendum is the most absurd political campaign ever fought(N・Nelson The Mirror)
http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20160531
| 児玉昌己 | - | 22:46 | comments(0) | trackbacks(0) |
欧州議会、単一欧州選挙区と統一リストによる超国家的議員枠創設の選挙法改正議案を否決

 実は7日夜9時に始まるあるEUでの重要行事に注目していた。

 これは私が20年以上前から、EUの連邦化への動きとして捕捉してきた問題である。すなわち、欧州議会における同選挙法改正法案のことである。

 その詳細については、拙著『欧州議会と欧州統合』(成文堂2004年)第6章「1998年欧州議会選挙法案とEUの議会制民主主義」所収参照。初出の論文は『純心人文研究』第5号1999年3月。

 特に今回、欧州議会は、本会議で、EUの統治構造の在り方にかかわる極めて重要な動きをしめす法案についての採否であった。

 より具体的に言えば、欧州議会は、2つの問題について、早急に態度決定が迫られていた。

 1つは来年3月に迫ってきたイギリスのEU離脱に備えて、イギリスに配分されている議席73をどう扱うか、欧州議会の議員総定数ともかかわる、その取り扱いである。

 第2は来年5月に迫った欧州議会について、議席の再配分の検討を機に、その定数の中に、単一欧州選挙区を創設する、すなわち国家に基礎を置かない純粋なヨーロッパ議員の創設の可能性を含んだ議席を創設するか否かの問題であった。

 これはEU統合を推進する連邦主義派の最大の目標の一つであった。

 これらはともに、憲法問題委員会で議決された動議がすでに出ていて、それを本会議で7日付で採決に付した、ということである。

 欧州議会憲法問題委員会で出されていたこの動議については、以前このブログで少し触れておいた。

 欧州議会本会議は、国家に足を置かない議員を創設するという、20年の討議の歴史を持つこの革命的という単一欧州選挙区創設について、反対する議決をなした。

 票差は368対274。欧州議会内最大会派欧州人民党会派の多数が反対に回ったことが響いた。

 以前は同会派は下記の親欧州派の欧州自民の党首ヘルホフシュテットが書いているように、EPPは、その指導者だったベルギーの故マルテンス首相や、コールは親欧州派であったのだが。ハンガリーのフィデスなど、反EU派の政党も所属させることで、急速に右旋回している。

  EPP会派の広報は、以下コメントしている。

The idea of setting up pan-European constituencies and transnational lists for the upcoming European Elections was defeated. The EPP Group voted against the introduction of transnational lists. They are neither European nor democratic but rather a centralist and elitist artificial construct.

http://www.eppgroup.eu/press-release/EPP-Group-votes-down-transnational-lists?usebuid=12226 

 他方、欧州自民党でEUの連邦主義者の代表格のヒー・フェルホフシュテットは以下ブログしている。

On transnational lists, we’ve lost the battle today, but not the war! We’ll keep on fighting for a real European democracy. Incredible that voted against. Wilfried Martens was in favor, and Helmut Kohl strongly believed in European citizenship.

 

 またイギリスにあって例外的に著名な連邦主義者であるAndrew Duff前欧州議会議員は自己のツイッタで、以下、ツイートしている。

MEPs are congenitally disinclined to vote for electoral reform. They do us a disservice - and hand initiative to the Council. 368 v. 274 against the transnational lists. @SpinelliGroup @federalists

  如何に激しい論戦が欧州議会のありかたをめぐり、各会派間、議員間で繰り広げられていたかお分かりだろう。

これで欧州議会選挙はこれまで同様、国内選挙の延長で、国内政治の信任投票の場、つまりnational secondary electionsとして機能し続け、真にヨーロッパやEU 政治を対象とするものでない状況が続く。

 フランスのマクロンにとっても、単一欧州選挙区の創設については、それを強く支持していたがゆえに、これは打撃というべきであろう。

 私としても極めて残念な結果である。

 なお、イギリスが離脱することで浮く73議席分については、総定数を現在の751から705に削減し、同憲法問題委員会の案に基づき、議員定数については、人口比をさらに徹底する議席の再配分を行うことにも合意した。

 議員定数の再配分において人口比のさらなる厳格な適用を図るということである。

 その政治的意味は、EUの加盟国をEU内での一つの地域(例えば米のカリフォルニア州のごとく)と見なしていることであり、国家原理よりも、統合組織の原理を優先するということである。加盟国をEUの一地域という位置づけを打ち出しているということは、EUにおける連邦主義的思想の反映である。

 この欧州議会での決定で明らかに示されていることは、そうしたEU統治の原理の問題だけではない。

 このEUにおける代議制の要となる欧州議会での動きが示すことは、日本にとって、もう1つある。

 すなわち、すでに欧州議会選挙のレベルでも、イギリスのEU離脱は既定のものとして、EU政治が進められている事実である。

 イギリスで企業展開をしているわが国の企業のトップはすでに英のEU離脱は、EU政治において前提となりつつあること、イギリスにとっては、外堀が埋められつつある、というその事実をしっかり認識し、理解しておく必要がある。

参考記事

Parliament votes down plan for pan-European MEPs:The European Parliament did vote to reduce its size post-Brexit from 751 to 705 members.Politico. 2/7/18.

参考ブログ

2018.01.24 Wednesday 画期的欧州議会選挙法改革法案 欧州議会憲法問題委員会(AFCO)で採択さる 仏西は5議席増

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4350

| 児玉昌己 | - | 00:48 | comments(0) | trackbacks(0) |
ホワイトリストと米人気テレビFBI関連番組AXN提供の「サイバー」

今朝以下のニュースに接した。

「謎のホワイトハッカー、奇策でハッカーを監視 仮想通貨」 朝日新聞201821

 サイバー犯罪ではハッカーにも2種類あって反社会的な行為を行うブラックと犯罪摘発のためのホワイトだ。

 上記の記事はもとより、犯罪に立ち向かう方だ。

 サイバースペースという言葉がある。日本ではインターネットという言葉が一般的だが、ITに関するたぐいまれなる知識を背景に、社会に貢献する意味でのホワイトハッカー。

 ちなみに、政治学でもホワイト・リストというのがある。ブラックリストが有名だが、こちらもホワイトリストがある。みなさんはあまり耳にしたことがない表現だろう。

 政治(学)は価値を扱うから、どちらがホワイトかブラックは、時に判然としない。政治とは、聖人など期待できない世界を扱って、グレイゾーンをウロウロしている。

 例えば、今次大戦だ。それを考えると、わかる。やはり、フィリピンやインドネシア、満州を含めた中国、朝鮮半島など、歴史的にはわが国の領有地とは縁もゆかりもない大陸地域への侵略であった。他方、アジア独立など主観的な見方もある。

 もとより遺憾ながら、わが国は独伊のファシズムの側にいた、三国同盟はその確固たる証拠であると私は思っている。

  敗戦後も手を付けられずに維持されていた治安維持法で、獄中で悶死した哲学者三木清のことを想えばいい。

 ファシズム的軍国主義は敗戦の勅を得たのちも、自ら積極的に抑圧の社会を解放したわけではおよそなかった。

  帝国主義的大陸侵略とそれによる今次大戦で亡くなった人々の犠牲の上に現在の平和で自由な社会がある。

  反ナチの実績を持ち、今後米軍の占領統治の協力者たるであろう人々をホワイトリストとしてアップしていた。アデナウアーがその指定を受け、ホワイト・リストのトップに挙げられた。そしてアデナウアーは70を過ぎ、反ナチ、ファシズムを国是とする戦後ドイツの復興にまい進していく。

  今日は朝日の記事を見て、AXNの刑事番組、米連邦捜査局(FBI)といった方がいいが、「サイバー」を思い出している。

 実にこの番組面白い。

 もともとCSI、科学捜査班という番組があってそのスピンとして独立して、こちらも人気を博している。

 シリーズでは、海外の空港でよく利用されているインターネットで呼び出すタクシーがあるが、その乗務員に成りすました無差別殺人や、遊園地のジェットコースターの安全装置の解除による意図的な暴走誘導とそれによる無差別大量殺人、さらにはわが国でも深刻化しているSNSを使ったいじめ。こちらでは同じくSNSを使った報復もカバーしている。

 この番組、サイバー犯罪とその深刻さ、重大な社会への脅威と危険を余すところなく扱っている。

 学校教育でも使う価値がある番組だ。

 もとよりその中でホワイトハッカーが活躍している。

 かれらもブラックとしての過去があり、逮捕され、一定の条件下で許され、FBI当局に協力し、最後はFBIの正規職員として採用され、犯罪捜査に活躍するというものだ。

 45年ほどまえに学生時代を経験したが、その時代には考えられなかったインターネット社会が広がり、進化していく。

  ロンドン留学から戻り、修士論文に取り組んでいた20代の後半で手にしたのが、3.5インチ(容量256K)のディスケットという画期的なPC9801U2だった。

 だが、まだネットに接続されず、単体として稼働していた。

 今は、ガーディアンであれ、ルモンドであれ、シュピーゲルであれ、外国の主要文献が居ながらにして、コーヒーを片手に目の前で楽しむことができる。

 ちなみに長く続いた同志社での学生・院生時代、京都府立資料館に収蔵されていたロンドン・タイムズを修士論文で活用したが、現物の製本で、実に重く大量だった。あの時代はまさしく、幕末明治期の延長の社会だった。

 ネット以前とネット以降は人類の文明史からみて、分水嶺というべきものだ。ネット以前とネット以降の劇的な変化を目撃できているのは、幸というべきなのだろうが。

  IT社会の深化を生かすか殺すか、結局われわれ人間次第ということだ。

 それにしても同じAXNで流された1980年代の人気シリーズ刑事モースInspector Morse(英)の犯罪事件簿など実に牧歌的といえるほどにも、別世界のことがらになってしまった。

なお12月のブログアクセス総数は6741。

 以前は50以上の記事を月に書いてブログアクセスも月間アクセスが3万件という時代もあったが、最近は多忙でもあり、パワーも落ち、15本程度。月間6−7千件程度。

今年も書くべきと思うことを書ける範囲で、書いていこう。

| 児玉昌己 | - | 11:26 | comments(0) | trackbacks(0) |

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