児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
金融、財政面から確実に進むEUの統合深化とEU統合の2スピード化の加速

 EUでは将来構想を巡り2スピード案がより明確化しているが、それにポーランドなどが抵抗している。以下がその記事だ。

Poland’s Kaczynski warns two-speed Europe leads to ‘breakdown.’ EurActiv.com with AFP 201729

 表向きは現れず院政の形で君臨するのが、ポーランドのカチンスキーである。

 彼が率いる現在のポーランドの政権与党の「法と正義党」は、難民政策で強硬主義を主張し、将来を不安視する保守的有権者の心をつかみ、2015年に8年ぶりに政権を奪還した。

 だが、政権樹立後、憲法裁判所の違憲審査に関し、違憲裁判の要件を自党の政策に有利に改正(改悪)し、最高裁の人事にも容喙し、司法権の独立を危うくし、国内民主化と相反する政治にまい進し、EU理念の1つである法の支配を脅かしているとEUの側との緊張を深めている。

 ちなみに、そのEUの欧州理事会の議長トゥスクは、ポーランドの前政権の市民プラットフォームから出ており、2期目の継続問題が浮上している。ポーランドのカチンスキーは、トゥスクの再任は問題外だと反対している。

 本来ならば、EU大統領とも訳され28か国を擁するEUの顔である欧州理事会の議長職にトゥスクが就任している事実は、どれほど国家としてのポーランドの宣伝に役立っているかである。

 しかるに、トゥスクは、カチンスキーにとって反ポーランドに傾斜するEUの側に立つ政治的な敵でしかない。

 本題に戻せば、ハンガリー、ルーマニアも民主主義について似た状況である。

 ポーランドに対して、EUは、EU条約の民主主義擁護に反する国家に対する制裁規定である第7条の適用さえ検討しているほどである。

 欧州議会の議員の中には適用を逡巡すべきではない、もっとEUは圧力をかけるべきと主張するものもいるほどだ。

 旧東欧圏のポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアの4カ国は、現在EUのコンテキストでは、「The Visegrad group」という表現で語られることが多いが、これらの国家は、スターリン主義的独裁国家の時代を長く経験しており、民主主義の歴史が浅い。

 EUに加盟してまだ15年にもならない。

 まだ近代国家の形成途上というべきも、こうした原則を十分に享受せず、ポーランドに至っては、その必要性をむしろ抑える勢力が国家経営にかかわっている。

 他方、EUには、民主主義、法の支配、人権の保護という重大な原則がEU条約に規定されている。

  しかもそれらの諸国は、EU加盟国ではあるがEUのユーロ圏外にあり、その周辺部として、存在する。 言い換えれば、ユーロ圏に入る能力をいまだ持ちえないとされているということでもある。

 その加盟国にとっては、ユーロ圏で進む金融財政統合の深化をうけて、2スピードになるのは、当然だ。

 国家の統治のシステムを打ち砕くのが政治同盟である。

 時に数百万単位で国民に血と死を求める軍事外交など国家主権の統合は、最も困難な課題だが、経済通貨同盟もそうである。通貨は国家そのものでもある。

 EUでは、金融経済財政といよいよ統合の深化で明確になってきた。財政同盟は、サッチャーがナショナリストの側から喝破しているように、国家の財政主権の根幹にかかわる課題で、まさに政治同盟そのものである。

 EU28カ国では、現在19カ国が欧州経済通貨同盟(EMU)の完成に向けて努力している。

 だが、ギリシャ債務危機に見られる、ユーロ圏は、金融政策と財政政策の所管が前者は欧州中央銀行に、後者は加盟国にと分断されており、本質的な脆弱性を抱えている。

 国家にあって、金融と財政の政策権限は、例えばわが国で言えば、日銀と政府とが所管しており、日銀の黒田と首相安倍の関係を見るように、両者は有機的に連携している。

 翻って、この分断状況を抱えるEUでは、両者の一体化は急務となっている。例えば、欧州債務危機の反省に基づく域内の金融安定策として「銀行同盟」の実現は急務となっている。

 銀行同盟の眼目は、銀行監督、破綻処理と預金保険制の整備にある。

 さらに金融危機の際に銀行同盟にとどまらず、EUはユーロ圏危機の背景となっている、各国の債権の金利格差や国家のファンダメンタルスの格差を背景とした銀行の破たんを防ぐために、また積極的には加盟国の経済格差の是正のために、各国の競争・財政政策を監視し、統合的に運営する機関の創設が次なる喫緊の課題となる。

 EUでは、特にユーロ圏を揺るがした財政危機危機の再来を避けるためにも必然的にこれを強化する必然性を持っている。

 具体的に言えば、ドイツのショイブレ金融相が依然として抵抗するEU共同債の発行、EU財務省の設置、欧州理事会にあるユーロ・グループに相応したユーロ圏予算を監督するユーロ圏議会の創設となっていく。

 現在EUではその議論が進められている。

 しかるに、わが国ではEU崩壊論、EU統合の終焉論が支配的である。 

 その1つが遠藤乾の議論である。ジャック・ドロール論では評価すべき業績を持つ遠藤乾は、『統合の終焉』(岩波書店2013年)を出したが、その中で「大文字の欧州統合は終焉した」という。

 だが、私にすれば、全くナンセンスなEU認識である。EUは終焉どころか、財政同盟という政治同盟は確実に進みつつある。

 かれが使う大文字の統合と小文字の統合という概念規定も、学術的というよりはジャーナリステックであり情緒的である。

 私に言わせれば、本来的には、統合はすべてEU設立諸条約といういわばEUの憲法が定める準則に基づきなされるものである。これが大文字の統合である。 

 そして小文字があるとすれば、その派生法で規定されるEU法に基づきなされる政策である。

 遠藤に百歩譲って小文字の統合なるものがあるとしても、日常で進むこのEU法に基づく統合を小文字とすれば、そのトータルサムも、European Projectという言葉でいわれる、いわゆる大文字のEUの連邦的統合に貢献している。

 彼が終わったとする「大文字の統合」は、私に言わせれば、マーストリヒト条約で規定された経済通貨同盟に発し、イギリスがEUを進んで去り、EUの連邦的統合推進を阻む最大の阻害要因が除去されることで、その完成に向かって、今まさに始まりつつあるということができる。

 その中では、当然、すでにあるようなEU内の多段階統合は必然となる。

 すでに1993年にマーストリヒト条約で経済通貨同盟を構築し、ユーロ圏を構築した段階で、EUの二分化は顕在化したのである。

 国家主権の維持にこだわるイギリスは不幸なる結婚に終止符を打ったが、EU域外にでるといかなる結果を生むか、惨憺たるイギリスの将来が見える。

 万に1つEUが崩壊する状況を想定できる条件があるとすれば、その条件はフランスかドイツかがEUを抜けるときであろう。

 イギリスでは、反EUの言語空間が強く広がっていた。

 それらは、総じてEU懐疑派と訳されるが、その本質は反EUそのものであった。実際、キャメロンのイギリス保守党やファラージュ独立党とそれを支持する勢力はもとより、テレグラフは言うに及ばず、BBCやフィナンシャル・タイムズでさえそうであった(下記のブログ参照)。

 この反EU的なイギリスの言語空間にどっぷりと浸かってきたと思える遠藤乾のEU統合の終焉の議論、しかも状況を短期的スパンでみることで、EUの現下の危機に多大に影響された彼のこの欧州統合終焉論が正しいものか、その当否が実証されるには、それほど時間はかからないとみている。

  ところで、EUの2分化について、興味深い記事が、EU専門の上質なネットジャーナルのEurActivから出ている。

 「父はEUの全会一致に苦しんでいた」という見出しの記事で、EU統合の創設の父、ポールアンリ・スパークの娘が記者に問われて語った言葉だ。

 スパークはEEC創設を導く1955年の「スパーク報告」でその名を欧州統合史に残している。

 ちなみに、このスパーク報告をわが国で初めて仏語原文から翻訳したのが、後に初代EU学会理事長となる片山謙二である。彼は九州帝国大学仏法を修め、戦前、関西学院大の法学部教授として奉職した。

 後に、片山教授はEUの訳語として「欧州連合」という訳語を、それは国家連合を意味するという観点から、EUを創設したものの理念と思想を体現して言いないどころ、それと全く相反する訳語だとした。

 実際、EU創設の父たちは、最大到達点としては欧州合衆国を構想した。事実、モネはECSCの最高機関の委員長を辞めた後、欧州合衆国行動委員会の委員長であったことを思い起こすべきである。また最低でも欧州連邦(シューマン宣言)を構想していた。

 それゆえ、片山謙二は、「欧州連合」というEUの組織表記の訳語は、その意思をまったく反映するものではなく、あたかも、「我が家の庭を土足で荒らされるごとき」と表現し、EUは「欧州同盟」でなければならないと述べていたのである。(拙著『欧州議会と欧州統合』付録英文論文参照。

 話を戻せば、ポール・スパークの娘アントワネット・スパークAntoinette Spaakは、現在88歳で、自身も欧州議会議員経験者でベルギーの有力政治家である。

 彼女は、重要事項で全会一致で意思決定が停滞する現状を意識して、ますます重要となりEU加盟国を苦しめる移民問題の対処での全会一致制度に関連し、2スピード(2層)のEUの可能性について、「父君(スパーク)が存命なら賛成でしたか」とEurActivの記者に問われて、以下回答している。

 Yes, I think so. We need a two-tier Europe. We cannot be held to ransom by one country out of the 28 that rejects the solutions that are best for Europe as a whole.

Spaak: My father was tormented by the unanimity rule.EurActiv.com ‎2015520

 「そう思います。私たちは2層の欧州を必要としています。欧州全体にとってベストな解決策を1カ国が拒否するとすれば、その国家1国にかまってはおれません」と。

 ちなみにポーランドの指導者カチンスキーは上述のEurActiv.com with AFP の記事の中で以下語っている。

The future EU “must be one and it must also be different, it must be better.”

 「EUは一つであるべきだが、それぞれ相違しているべきでもあり、それがベターである。」

 前段は、EUが制度として統合を求め、現実もそうであるがゆえに、仕方なくそれを認め、後段でむしろ本音を吐露しているとみるべきだろう。ポーランドの現政権などが主張するのは、EUの連邦的政治組織から国家からなる連合組織、つまり「欧州連合」への改組転換である。

 しかし、EU(欧州同盟)の、国家連合である「欧州連合(」European Association)への改組は、EU条約の改正を必要とする。

 EU条約の改正は全会一致である。

 すなわち、これまでの、そして現在の独仏枢軸体制が壊れない限り、そうしたポーランドなどによるEUの改組転換は全くナンセンスで、論外の議論となる。

 すなわち、EUEUを通して進む欧州統合への参加が嫌なら、イギリスのようにEUから離脱すればいい。だが、それさえできないのがポーランドである。EUから離脱すれば、たちどころに通貨ズロチは売りたたかれ、国際的信用は吹き飛ぶ。軍事的にもロシアを前にその脆弱性が増す。

 イギリスでさえそうなのだから、いわんやおやである。

 イギリスのポンドは下がっていないではないかという諸君には1年半前の7月ポンドは190円だったことを思い出すべきだ。すでに20%以上下がっている。離脱の瞬間的にはそれ以上、下落した。

 しかも、まだ離脱の始まりとなるリスボン条約50条の通告の引き金はひかれていない状態でこれである。

 ともあれ、EUは解体、分裂するのでなく、EUは統合の連邦強化の方向での深化という中核部の一層の統合進展で、「二分化」するのである。まして統合が終焉するなど笑止千万な議論だ。

 二分化するが、進まない側、例えばポーランドなどの東欧諸国の多くは権威主義的覇権主義に傾くロシアへの対応という軍事的観点から、そして単一市場のメリット、EU予算を通したEUの所得配分の恩恵からEUを離脱することなど考える余地もない。すなわち、最低でも、現在の統合レベルを維持していくことになる。

 そして経済的に余力が出た国家は、ユーロ圏入りし、先頭集団に加わる。 

 それがEUの中核である独仏やベネルクスの連邦主義者が、抱いている認識であり、実際であり、将来の構想である。

 もとより、各国で強まる極右反EUナショナリスト諸政党を除いてのことであるが

 ポーランドなどが欧州統合の深化に反対しても、そして日本の英語圏の反統合理念に影響された研究者が何と言おうとも、EUの核心部分のユーロ圏での金融経済財政統合はさらに深化していく。

 すなわちEUの二分化は必然的だ。

 このブログの最後に、EU法研究者プリアコスが単一通貨創造が国家の側に与える意味と影響について、放った言葉を再録しておこう。

 「共同体の通貨主権の出現は,予見できない効果をもって国家主権の堅い核を打ち破る。
“ L‘émergence d’une souveraineté monetaire communautaire brise le noyau dur de la souveraineté  étatique , avec des effets imprévisibles.”

Pliakos, A.D., La nature juridique de l‘union européenne . Revue trimestrielle de droit européen.  No. 2. 1993, p. 223.

 参考記事 

EU、右派政権を調査 「法の支配」違反も 毎日新聞2016525

Poland rejects EU warning on constitutional court crisis.EurActiv.com with AFP‎2016‎‎12‎‎23‎

Poland shrugs off EU warning EurActiv.2016‎‎6‎‎3‎

Visegrad calls for complete change of EU-27.EurActiv‎2016‎‎6‎‎29‎

参考ブログ

2017.02.15 Wednesday Spitzenkandidaten(欧州委員長選出手続)Ver.2について

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4200

2016.07.11 Monday 英EU離脱についてのタブロイド・メディアの責任

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4082

2010.11.02 Tuesday 欧州連合を否定しつつEU(欧州同盟)は連邦主義的権限強化に向かう 上 金融財政部門でのリスボン条約改正の動き

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2575

(敬称略)

| 児玉昌己 | - | 09:23 | comments(0) | trackbacks(0) |
我が家のお客様 時ならぬ 雪をいただく 紅梅に メジロ遊びて 夢のうたかた 海鳴庵児玉

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| 児玉昌己 | - | 22:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
Spitzenkandidaten(欧州委員長選出手続)Ver.2について

 Spitzenkandidatenのことで、スティーブン・デイ(大分大経済学部教授)と議論する。

 spitzenkandidatenとは、2009年リスボン条約発効で導入されたEUの行政府である欧州委員会の長(国家風に言えば、総理大臣)の新選出手続である。

 ドイツ語に由来し、最近ではその重要性から、英語化されThe Spitzenkandidatsと定冠詞や複数をつけて、使用されることもある。そんな政治(選挙)用語であり、英語で言えば、prime candidate(名簿登載一位者)を意味する。

 これを知っている人はEUの通だろう。 

 この手続、実は革命的にも重要な手続である。欧州理事会から欧州議会にEUの内閣である欧州委員会の長の人事決定権限が移行するものである。

 実際、EUの危機、EUの解体などと声高に叫ぶものが多いが、こんな手合いに限って、EUで進む国家形成ともいうべきEUの連邦主義的な制度形成の目覚ましい発展などには全く無知なものが多いから、要注意だ。

 EUには加盟国の最高首脳を集める欧州理事会という最高意思決定機関がある。そして、加盟国を選挙区としつつも、EUの代表民主主義のかなめとして機能する欧州議会がある。さらにEUの行政を実践する欧州委員会がある。

 この長の選出にかかわるのが、上述のspitzenkandidaten手続である。

 具体的に言えば、欧州政党が各党内で選考をして、候補者をそれぞれ選出し、欧州議会の選挙結果を受けて、その中から欧州理事会にその中から選ばせるというものである。

 これを私は日経の瀬能論説委員の手になる一面を使った欧州議会と極右台頭の特集記事でコメントを請われて「議院内閣制に接近」と日経1120日付で表現した。

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO09753180Z11C16A1

TZG000/

 議院内閣制をとる国家であれば、例外なく国家の行政府を議会の多数派がとる形となっている。しかるにEUではそうではなかった。

 EUでは、欧州理事会に欧州委員会の長の任命権限があり、欧州議会は初期においてはここに関与する権限がなかった。

しかし、欧州統合が加盟国の国家主権の根幹部分に触れるようになるにつれて、だれからも選出されていない欧州委員会は、何の正当性をもって、国家を拘束するEU法を提案できるのか、という理論的、実践的問題が提起されていた。

 しかも欧州議会は欧州議会で、EUの代表民主主義の要という位置づけを得ながらも、選挙のたびに投票率を低減させるという厳しい状況に直面していた。

 なぜなら、欧州議会選挙は、自国の下院議会選挙と違い、EU加盟国の有権者は、だれに投票しても、どの党に投票しても、EUの政権構築に何ら影響を及ぼしえないし、まして14兆円を超えるEUの予算や政策に直接影響を与えることができないからであった。

  議会が行政府の長を選ぶべきだとの議論は1980年代からずっとあり、欧州議会の権限が条約改正を経るごとに強化されるにおよび、特に強くなっていった。

 さて、spitzenkandidatenの基礎となる第2回目と欧州議会選挙が2年後に迫っている。これに合わせて、各欧州政党は来年にも党内の予備選に入る。いわゆるVer.2の始まりである。

 これを好機として、欧州自民党など連邦主義者の中には、イギリスが抜けることで生じる同国配分の73議席を単一欧州選挙区に充てる案まで浮上している。

 他方で、加盟国の中には抵抗したり、消極的だったりする国家がある。

 第一回の実践過程を振り返れば、欧州議会が極右を除き、主要各派が一致して推薦したユンケルをキャメロンが徹底して嫌い、予備選を経ていないトーニングシュミットデンマーク首相に打診したり、直前にはスウェーデンにとび、同国のラインフェルト、独メルケル、伊レンツィ首相などに阻止工作をするなど、反ユンケルキャンペーンを実践した。

 欧州理事会でも、キャメロン英首相は徹底抗戦を続け、負けると知りつつ異例にも採決を求め、わずかにあのハンガリーのオルバンの支持だけで、イギリスは26対2で惨敗した。

 イギリスがEUから離脱することが一層明らかになった今、たしかにVer.1の継続に不満を持つ国家は多くある。

 だが、正面切って、欧州理事会で、リスボン条約14条の規定すなわち欧州議会が、そして前回の欧州政党の事前の党内候補選出という前例を無視して、この手続に堂々と反対する国が最終的に現れるとは思われない。

 ちなみに14条1は以下、明確に欧州議会による欧州委員会の長の選出を規定している。

It shall elect the President of the Commission.

 各国の代議員を含め欧州政党で行われた党内予備選を無視し、Spitzenkandidatenに反対してきたイギリスだが、当事者のキャメロンは、国家を傾けるギャンブルを実施し、国民投票で敗北するや敵前逃亡よろしく、首相はおろか、下院議員さえやめている。そのイギリスが実質的にEUを離脱する今、それを受け継ぐ国がでるとは思われない。

 スティーブン・デイはその可能性も指摘していたが、さてどうなるか。

 私はspitzenkandidatenVer.2.を考える場合、ドイツの動向の重要性を考えている。

 欧州議会議長として欧州議会の地位向上を一貫して実践したマルチン・シュルツが、同議長退任後、国内政界に移り、ドイツの首相候補としてSPDを代表し、長期政権を継続するCDUの女性宰相メルケル相手に、支持率では善戦中である。

 EUにおけるドイツの影響力を考えると、その動向は見ものだ。今注目しているところだ。

 私の関心はイギリス離脱は織り込み済みとなり、Brexitの動向分析から、急速にEUそのもの政治に再び移りつつある。

 実際、2017年はスーパー選挙年である。3月にはオランダ、5月にはフランスの大統領の決選投票、9月にはドイツ総選挙とつづく。

 いずれにせよ、イギリスの離脱は、自国にとっては最大の政治課題であるとはいえ、それはイギリスの国内政治の話であって、EUと欧州統合史からみれば、幕間劇に過ぎないのである。

 なによりイギリスはEU(当時欧州石炭鉄鋼共同体/ECSC)に21年も遅れて加盟した事実を思い出す必要がある。EUは、イギリスなきEUを21年経験しているのである。

 しかも、イギリスが完全にEUを離脱してしまえば、イギリスはEUの制度形成や法案制定において、まったくの部外者になるのだから。それゆえ、イギリスを考えずに、EU研究者は安んじてEUだけの研究に打ち込める。

 もっとも、イギリスが抜けてもEU加盟国は27か国だから、独仏伊の分析を含め、EU研究における強烈な困難さは変わらないのである。

参考記事

One head, two votes: The case for a pan-European list for EU elections.‎2017‎‎1‎‎10‎EurActiv.2017‎‎1‎‎10‎

Emmanuel Macron unveils plans to ‘bring European democracy to life’ EurActiv 2016105 (updated: 2016106)

参考ブログ

 参考文献

児玉昌己「 2014年欧州議会選挙と Spitzenkandidaten 『海外事情』平成26125日第6212.

児玉昌己 『欧州統合の政治史』(芦書房2015年)第13章。

 

| 児玉昌己 | - | 14:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
 北朝鮮、金正男、毒殺さる

 北朝鮮の独裁者、金正恩には異母兄金正男がいる。殺害が確認された今、いたというべきだろうが。

 この正男、田中真紀子の外相時代の2001年5月、わが国に偽造パスポートで入国し、拘束されたこと、そして政府は拉致被害者との交換という知恵も回らないほどにも大慌てで、出国させたことで、わが国ではよく知られている。

 正男は2代目の世襲独裁者の金正日の長男であり、正恩の権力樹立後、彼による正男の暗殺を嫌う中国の庇護を受けていたが、今回、マレーシアの空港で女性工作員により毒殺されたとの報が入ってきた。

 ずいぶん前から、独裁者の権力の座を脅かす可能性がある正男は、正恩から狙われていた。

 ちなみに、正恩は、叔母・金慶喜氏 (朝鮮労働党書記)の夫の張成沢も処刑している。

 敵となるものをすべて抹殺する。

 21世紀にあって、「スターリン主義を維持する全体主義の独裁国家」(欧州議会)、北朝鮮の所業だ。

参考記事

北朝鮮>金正男氏を毒殺 正恩氏の異母兄 マレーシアで 毎日新聞 2/14() 21:18配信

参考ブログ

2013.12.14 Saturday 北朝鮮の世襲金王朝 No2処刑 さらなる断末魔

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3583

2015.10.11 Sunday噴飯もののTBS北朝鮮「報道特集」 あまりのお粗末に愕然とする

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3914

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 23:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
2017年前半海鳴庵児玉昌己句歌集

2017.02.10 Friday  時ならぬ 雪をいただく 紅梅に メジロ遊ぶ それを詠む

 昨夜は星が見えていたが、一夜明けると、銀世界。雪に、紅梅、それにメジロ。最高の組み合わせ

 

  時ならぬ 雪をいただく 紅梅に メジロ遊びて 夢のうたかた

 

 

2017.02.05 Sunday 春雨で庭の梅はさらに紅さを増す それを詠む 

 

  紅梅を しとどに濡らす 春雨は 青きほどにも 花紅く染め

        

 

2017.02.03 Friday 如月に紅梅を手折りて活ける それを詠む 

紅梅を 手折りて飾る 如月に 夕餉も楽し 独りたりとも 

 

 如月に 紅梅(うめ)愛でるは あな嬉し 春はそこまで きたるものゆえ

              

 

2017.01.28 Saturday 六十五の誕生日を詠む

 とうとう前期高齢者入り 法定老人だが、特段のこともなし それを詠む

 

誕生日 嬉し悲しや 六十五 されど変わらぬ 昨日も今日も

 

五十六(いそろく)は よくも知りたる ひとなれど 六十五など 面白もなし

 

 

2017.01.24 Tuesday 寒い日々が続いている庭に目をやると、春の息吹 それを詠む

 寒空に 襟立て上ぐる 日々なれど 梅に水仙 花芽つけおり

 

 鈍き花 されど芳し 蝋梅に 厳冬忘る ひと時の春 

 

 

2017.01.01 Sunday 正月、母が誂えてくれた着物に久しぶりに袖を通す それを詠む

平成29年正月。穏やかに晴れ上がる元旦を迎え、着物でも来て、久しぶりにゆるゆるとした気分

 

元旦や 和服に袖を 通したり 亡母(はは)誂えし ものぞなりにて

 

 

| 児玉昌己 | - | 22:35 | comments(0) | trackbacks(0) |
 時ならぬ 雪をいただく 紅梅に メジロ遊びて 夢のうたかた 海鳴庵児玉

 昨夜は星が見えていたが、一夜明けると、銀世界。 冠雪した紅梅にメジロが遊ぶ。いいショットが撮れて、フェイスブックにアップする。

 写真には最低3つの要素がほしいとずいぶん前から思うようになった。

 例えば、ロンドンでは、ビッグベン、ユニオンジャック、オースチンの黒のタクシーかダブルデッカーバス

 勝浦の亡帰洞では、温泉、太平洋、洞窟というごとく。

 今朝は、雪に、紅梅、それにメジロ。最高の組み合わせだ。

 おのずと歌が出る。

 

 時ならぬ 雪をいただく 紅梅に メジロ遊びて 

夢のうたかた          海鳴庵児玉

                   

 

 

| 児玉昌己 | - | 09:23 | comments(0) | trackbacks(0) |
控訴審でトランプ入国禁止令敗訴 ドイツのシュピーゲル誌「自由の女神」の首をもつトランプの表紙 

 自分と意見を異にするものを敵として、攻撃する。就任式の参加者数でも、ありもしないデータを事実として信じ、他方、有力メディアの数字をねつ造という。これがトランプ政治の常道だ。就任直後の記者会見でのCNNへのあの憎悪むき出しの敵対的言動は全世界に流れ、衝撃を与えた。

 実にマナーもデリカシーもあったものではない。

 しかも彼の国際政治と国内政治に対する事実認識のお粗末さは、目も覆うばかりだ。

 ドイツや日本に対して、為替操作で通貨安に誘導していると非難している。

 EUの金融政策がドイツも含めユーロ圏19か国では、欧州中央銀行(ECB)に一元化され、金融政策は国家主権の及ばない事項になっていること、わずかに財政政策だけが国家に残っていることさえ、まったく理解できていない。

 日本もデフレ脱却の目的で、G20でも、認められていたものだ。

 驚くべき無知なる男だ。

 自動車問題でもそうだ。その認識たるや30年前、すなわち日米摩擦が激化した1980年代のレベルである。

 この間、どれほどトヨタ他、米国に進出しその雇用に貢献しているかである。おかげで産業空洞化さえ起こり、わがジャパンでは労働者が地方が苦しんでいる。

 トランプの友と敵を峻別し、敵を徹底して攻撃するその定石は、司法にまで及びつつある。 

 信じがたいほどだが、あろうことか、連邦判事までも個人攻撃し始めた。

 その憲法感覚、さすがにこの男は真に独裁者だという感じを多くが持つことだろう。

 トランプの思想信条国籍をもとに人種差別をし、連邦判事に牙をむくその姿勢に連邦高裁も、レッドカードを突き付けた。

 彼は、なんと申し開きしていくのだろうか。実に危険人物が世界の最強国のリーダーになったものだ。

 納税開示さえしていないただの不動産屋の社長であったなら、すべてが社内で意のままにできたであろうが、連邦制度をとる合衆国だ。州もあり、司法も上下両院もある。

 本来なら彼を支えるはずの共和党でさえ、内部に強い不満を高めている。

 もしかしたらこの男、四面楚歌の状態で、そのストレスで、職務放棄をするかもしれない。あるいはニクソンのように、弾劾され失脚するかもしれない。

 なお、ドイツの最有力週刊誌spiegel(鏡/ミラー) (2月4日発売)は、「自由の女神」の首を落とすトランプの以下、表紙を出した。

 https://pbs.twimg.com/media/C3wU90wWEAAY5Ln.jpg

 世界がこの男に、そしてそれを支持する排外主義的人種差別主義者にレッドカードを出しつつある。

 それは、単に米国のトランプにだけ向けられるのではなく、英のファラージュや、仏のルペン、そして315日に総選挙(定数150を迎えるヴィルダースのオランダの極右ポピュリストへの批判となることを望んでいる。

参考記事

入国、当面禁止されず=米控訴裁、政府側の訴え退けビザ無効措置も撤回 時事通信 2/5

参考ブログ

2017.01.27 Friday 政治学者からはトランプはどうみえるか、議会審議を回避する大統領令乱発の手法

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4188

2016.05.07 Saturday EU加盟国首都で史上初のムスリムのロンドン市長誕生とその意味 人種差別主義への一撃

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4030

 

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 09:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
春雨で庭の梅はさらに紅さを増す それを詠む 海鳴庵児玉

 日曜日の今日は雨 庭の梅はさらに紅色を増す それを詠む 

 

 紅梅を しとどに濡らす 春雨は 青きほどにも 花紅く染め

            海鳴庵児玉  

| 児玉昌己 | - | 12:07 | comments(0) | trackbacks(0) |
トランプのアメリカ第一主義の政治はEUの結束と連邦的統合を強化する

     トランプは、イスラム圏7か国(イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメン)の入国禁止令を1月27日署名で出した。この間影響を受けたのは6万人に上る。世界各国の航空各社も影響を受け、その中には日航や全日空も入っている。

 米陸軍もイラク人通訳などで入国が困難になっていることも、報じられている。

 この暴走に対して、ワシントン州シアトルの連邦地裁はその差し止めを命じた。

実際、トランプは、これはテロ防止の一環というが、イスラム圏諸国の反米意識を高揚させ、むしろテロの激化させる危険性を増すよう作用する可能性が高い。またそれだけでなく、思想信条を理由に入国を規制する反憲法的理念と政策で、国内を完全に分裂させている。

 テロと7か国の関連性についての否定的分析は、BBCの以下の記事が出色である。

米国の移民・難民入国制限、なぜこの7カ国? 政府説明と実際のデータ BBC News2/1。

http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-38823936

 3権分立を採る米国政治において行政権力の暴走に司法が歯止めをかけた形で、幾分安どしている。

 もとより怒りのトランプだから、上訴もあるだろうから、その展開はいまだ未知数で予断を許さない。

 ともあれ、米国のことは米国人自身しか解決できないのである。

 米国の大統領選挙制度がいかにばかげて時代錯誤の植民地遺制のものであってもである。

  このトランプ、中東政策で、これまでタブーとされてきたエルサレムへの大使館の設置さえも実行しそうだと報じられている。またイランに対しては追加制裁を科すよう動いている。 

 これら中東政策の大転換にたいして、EUは極めて敏感に反応している。当然である。中東、アフリカは米国とは違って、物理的にこれらの国家と接しているからである。すなわち、中東、アフリカの政治動向は、EUの利害とも直結している。

 実際、例えば、ドイツは国是として憲法(基本法)レベルで、政治亡命者、つまり難民への庇護をうたっている。 すなわち、「政治的に迫害されるものは庇護権を享有する」と。

 人権を守るべき概念とする憲法は珍しくないが、政治的庇護を権利として書き込んでいるのは、ナチスの暴虐の深い歴史的反省に由来する。国家の責務として書き込んでいるのである。

 歴史の素養のないトランプなど知りもしないことだろうが。

  話を戻せば、トランプの登場による政策転換は、ロシアについても同様である。

 トランプの親ロシア的姿勢は、ウクライナにおいてロシア勢力を利しており、すでに東ウクライナの戦闘の激化を招いている。それはロシアと国境を接し、歴史的にロシアによって国家を奪われてきた東欧諸国にとっては、他人ごとではない。

 今日は、EUの専門家として、こうしたトランプの政治がどう見えるかを書こう。

  就任前から、トランプのアメリカ第一主義という排外主義的ナショナリズムについては、EUでも問題になっている。

  地球温暖化防止のパリ条約についても、温暖化など陰謀だとして、離脱を主張している。

 こうした米トランプのの孤立主義的言動を前に、いわゆるEU外相(外交安保上級代表)のフェデリカ・モゲリーニは、アメリカ第1主義の米国がそれまでなしてきた国際貢献で後景に退くなら、EUが「平和のスーパーパワー」になるべきだとトランプ選出の後にいっている。

EU a peace ‘superpower’, Mogherini says after Trump win. By AFP  10 November 2016.

 またEUでは、2月3日にバレッタ(マルタ)非公式首脳会議が開催されたが、それにまた先立ち、トランプの米国を、EUの「脅威」ととらえる書簡をトゥスク欧州理事会議長が加盟国首脳に送っている。

 メルケル独首相も首脳会議後の会見で「欧州が結束して行動していくことが肝要だ」と強調し、欧州の結束を訴えた。

 このようにEUにとってトランプは、EU結束を強めるよう作用している。

 しかるに、わが国では、イギリスの無責任な反EUメディアに強く影響され、「EU解体の構図/ユーロメルトダウン」(浜矩子)、「統合の終焉」(遠藤乾)と、売らんがためのタイトルにみられるように、EUの混乱を強調したEUバッシングが盛んで、6か国から28にまで加盟国を増やしたEU統合の成果と現状を極端に過小評価する雰囲気がある。

 だが、イギリスに視座を置くだけのこれら評論家や学者のEU認識とは全く違い、小文字の統合にみならず、理念という大文字の統合も含めて、EUと欧州統合は、イギリスといういわば統合理念における「夾雑物」を排除することで、さらには外部的にはプーチン・ロシアとトランプ・アメリカの脅威によって、むしろ前進する。

 イギリスは21年も遅れてEUに加盟した。ずっと主権譲渡を迫る連邦的統合を恐れていたためである。その後もイギリスは一貫してEUを低く評価してきた。

 その典型的表現が「コモンマーケット」共同市場という言葉である。60年代に疑いもなく、当然のものととして使用されてきたこの表現はイギリスでは、1990年代まであった。

 イギリス派それが徹頭徹尾政治共同体であり、主権を上位機関に合意してのみ可能である連邦組織の形成、つまり欧州連邦の創設であるということを意識的に避けてきた。

  ともかくも、EUは20年イギリスのないEUを経験してきたのである。

 ほとんど指摘されることはないが、独仏伊に遅れること21年、1973年になって初めてEUに加盟したのである。我々はそれを忘れるべきではない。

 イギリスの論理とは全く無関係に、国家主権の統合組織への譲渡を前提とするシューマン宣言で出発したEUの統合の理念は、形成されてきている。

 それゆえ、国家の主権的権限をEUにさらに移譲する連邦的統合はさらに進む。銀行同盟を含む財政同盟が当面の目標となる。そしてそれを運営する欧州議会の中に、ユーロ・グループに相応したユーロ圏議会の創設がそうである。

 それらを進ませないと、意思決定で、そして危機において、機敏に対処できず、頓挫するからである。

 EUはその中核において独仏が離脱しない限り、解体もしない。まして統合の終焉やユーロメルトダウンなど論外だ。

 たしかに、EUからその民主主義の内実が厳しく問われるつあるハンガリーやポーランドなどがある。EUの理念に反し、EU(欧州同盟)を「欧州連合」という国家「連合」組織にEUを後退させたい勢力もあるが、対ロ関係で、あるいは経済関係でそれもできない。

 なによりそれらの国家はEUへの依存が大きいからであり、逆にいえば、仮にこれらがEUから脱落しても、欧州統合とEUにはほとんど影響がない。

 すでにEU統合は、その中核部においては後戻りができる帰還可能地点を過ぎている。

 実際、EUの内政、外交においてそれはいえる。

 EU28か国中19か国のユーロ圏においては、構造的な脆弱性を抱えているから、特にそうである。

 財政同盟という政治統合、すなわちEUの連邦化が一層進む必然性を抱えている。

 仏ルペンや蘭ヴィルダース、英ファラージュと同類というべきトランプという、人種差別的ナショナリストの登場によって、対中東、対ロシア、対イスラエルの分野でEUの決定的利害が脅かされつつあり、大陸欧州では、むしろ結束強化に作用し始めているといえる。

 もとよりそのなかでは、下記のガーディアン2月3日付が言うように、メイなどの英保守党指導者が望んでいるEUから離脱するイギリスの、「アメリカとの橋渡し」など全く問題外の議論となっていく。

 すなわちEUの中核である独仏とEU機関中でも欧州議会の情報に驚くほど疎く、イギリスのみを見てEUを語る者たちのEU認識は全く時代錯誤になっていくということである。

 あのマッチポンプ政治でイギリス国家を大炎上させたキャメロン前首相は、すでに議員を辞め、政治舞台から降り、いわば敵前逃亡してしまった。だが、そのあまりに若すぎる政治的晩年において、声高に「EU改革」を語ったが、何のことはない。

 それはイギリスの利害の貫徹と確保というイギリスのための「改革」(EU統合推進派から見たら改悪)であり、私に言わせれば、本来のEU改革とは全く無縁のものであったことを思い出すだけでいい。

 キャメロン自身2015年の党大会で以下述べていた。

 「私はEUとその機関に何等のロマンティックな愛着も抱いていない。私の関心は2つのことだけである。すなわちイギリスの繁栄とイギリスの影響力である。」

I have no romantic attachment to the European Union and its institutions. I am only interested in two things. Britain’s prosperity and Britain’sinfluence…

 独仏伊というEUの中核国家は、内部に反EU勢力を抱えながらも、EUのいわば「問題児」であったイギリスを気にしなくても済む。

 すでに上記のマルタでの首脳会議には、イギリスのメイ首相の出番は、離脱の態度をより明確にしたという以外、ほとんどない。

2017年は、イギリスについていえば、国内で反トランプ勢力を抱え、イギリス反EU主義者が推進してきたEUからの離脱が進むにつれ、欧州社会からの孤立と、疎外感を広げる1年となろう。

 そしてEUとしてはさらなる結束と連邦的深化を進める一年となるだろう。

参考記事

入国制限の米大統領令を一時差し止め、連邦地裁判事−全米が対象 Bloomberg 2017. 2/4.

トランプ外交、親イスラエルが火種 エルサレムに大使館移転検討 中東諸国の反発必至 2017/1/24付日本経済新聞

EU首脳、米政権への懸念共有非公式会議閉幕読売新聞2017. 2/4

EU首脳、米政権決定の一部懸念 状況次第で「黙っていない」  ロイター2017 02 4

3日にEU首脳会合=トランプ氏の「脅威」議論も欧州連合(EU)のトゥスク大統領=2016年12月15日(EPA=時事)

EU leaders round on Trump and reject May's bridge-building efforts.The Guardian 3 February 2017.

参考ブログ

2017.02.01 Wednesday 米トランプ暴走の2月入り 反トランプの動きは欧州極右への打撃となる

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4190

2017.01.23 Monday 伴野文夫『ユーロは絶対に崩壊しない (幻冬舎ルネッサンス新書)を読む

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4184

2016.11.12 Saturday トランプ大統領登場とEUと加盟国への影響 

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4151

2016.06.11 Saturday

マッチポンプのキャメロン、反EUの火をつけて回り、挙句、消火できずに国家が大火災 EU離脱の可能性が高まる英国民投票http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4050

追記

上級審の控訴裁判所は4日付で、差し止め命令の効力停止を求めた司法省の訴えを退ける決定を下した。

米政府の請求退ける=入国禁止令差し止めで控訴裁時事通信 2/5() 18:31配信

 

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 20:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
如月に紅梅を手折りて活ける それを詠む 海鳴庵児玉

 庭上の寒梅を以下詠んだのは新島襄だ。 

 庭上一寒梅 敢侵風雪開 不争且不力 自占百花魁  
『庭上の一寒梅、敢えて風雪を侵して開く。争わず、また力(つと)めず、自ら占むる百花の魁(さきがけ)

 我が家の庭にも毎年紅梅が見事に咲く。それを手折(たお)って春を楽しんでいる

 

紅梅を 手折りて飾る 如月に 夕餉も楽し 独りたりとも 

 

如月に 紅梅(うめ)を愛でるは あな嬉し 春はそこまで 来たるものにて

              海鳴庵児玉

 

参考句歌海鳴庵

2016.12.31 Saturday海鳴庵児玉昌己句歌集2016年後期

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4118

参考ブログ

2008.02.08 Friday 新島襄の寒梅の色紙

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=1060

| 児玉昌己 | - | 21:56 | comments(0) | trackbacks(0) |

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