児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
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議員歳費と議席の削減論について 4 先進11カ国の人口比別国会議員定数 再録

 菅民主党首が衆参議員定数削減論を掲げた。どう削減するのか全く触れていない選挙目当ての提案だと言われても仕方がない。現状のままでの削減は、比例を対象とする危険が高い。
 国権の最高機関で、国民の代表を、行財政改革や消費税との関係で、つまりカネの問題として扱うのは由々しきことである。

菅首相>議員定数削減に言及 参院選後に法案提出も 71 毎日新聞

 政治家無能論と一体化した政治家無用論も背景にある。そんな理由で削減を考えるとは、反民主主義そのものの議論である。
 削減の仕方では、完全小選挙区に向かっているといえる。これは5月の英総選挙で否定された方向で、実に逆パラダイムシフトである。
 ニック・クレッグ英自民党によるキャメロン保守党との連立政権の政権合意の重要な柱は、「小選挙区制度の廃止」と、比例代表制制度に向けたパラダイムシフトである。日本は全く逆の反民主主義に民主党が向かいつつある。唖然としている。 しかも、世界的に見ても、日本の国会議員の定数は、最低レベルで、少なすぎる状況にある。
 これについては、5回のシリーズとして、すでに書いている。4回目で、最近の先進国の議員定数を、実数を並べて書いた。それを再度掲示したい。全体は以下。
2010.05.24 Monday 議員歳費と議席の削減論について 1-5 
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2361
2010.05.25 Tuesday

  先進11カ国の人口比別の国会議員定数を並べて見た。
 言われている常識が如何に誤っているか理解されるところであろう。むしろ如何に日本の議員定数が少ないかが、以下で理解されることであろう。
 4カ国で前回とは、定数の若干の出入りを見ているが、基本的なトレンドは変わらない。以下最新のデータを掲示する。

  日本の議員が多すぎるなど、全く根拠がない。多くが基準としている米国自体が、世界の先進国からみて、異常異様に議員定数が少ないことが理解できるであろう。

百万人が抱える国会議員数 先進11カ国比較 2010年現在の議席数

         (人)  人口(万)議席実数 上院   下院
スウェーデン   37.77       924   349                 349

イギリス     22.49        6156       1385    735     650     
イタリア     15.91        5987      953         323        630
フランス     13.63        6587      
898         321        577
オランダ       13.56 
         1659          225            75       150  
カナダ        12.30       3357           413          105       308  

オーストラリア    10.61      2129         226           76      150

ドイツ      8.22        8175      672            69         603

日本       5.86         12300       722          242         480

ロシア      4.42      14190      628      178      450
米国       1.70      31465    535         100      435

   児玉昌己(久留米大学) 各国版ウイキペディア等の政治データをもとに算出 
 議席実数は上下両院の計 

 

人口100万人で、2人も議員を確保できていない米国の異様というべきこの議員定数の少なさについて、権威主義的寡頭政治の米国と定義している。米下院は人口が3倍余になっても、80年余り定数を変えていない。
 米国では、参加民主主義がいわれながら、最も重要な点で、米国の有権者は如何に国政から疎外され、市民の国政への参加も阻害されているかを示している。リンカーンの政治も、今となってはレジェンド、神話である。
 日本以上に財政赤字が深刻な欧州では、議員定数削減論などほとんど存在しない。国権の最高機関であり、代表民主主義を具現化する国会議員というものの意味を理解しているからである。
 行財政改革論の延長で、国会議員の数の削減を図る意図は何か、選挙区での定員削減が困難なことは明白で、結局、反対が少ない比例が削減の対象となることは、火を見るより明らかだ。
 その先には、膨大な死票を前提とする前近代的な小選挙区制度がある。

2010.05.26 Wednesday議員歳費と議席の削減論について 5 これは「仕分け」の対象如き問題ではない

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2365

付記

英文版を付記します

2014.06.02 Monday Comparative levels of the number of Deputies per million of population

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3676

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