児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
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好著のご紹介 竹森俊平「中央銀行は闘う」日本経済新聞2010
   いい本が出た。慶応大学経済学部教授の竹森俊平先生の手になる書だ。
 書き出しはフィレンツェの欧州大学院大学での取材のことから。1990年前後、私も行政管理センターのプロジェクトかで研究取材に出かけたことがある。
 タクシーであの狭い道を上がっていく書き出しは、出向いた方なら理解できるもので、実に懐かしいことだった。
 ブルージュにある私の母校欧州大学院大学よりも新しいが、EUが創設と運営で深くかかわっているということでは、両校は姉妹校関係にあると言っていよい。ブルージュは修士、フィレンツェは後期博士課程を持つ。
 
 さて本題。一般には難しいと敬遠されがちな、それでいて現代に生きる人間すべての生活に直結する国際金融の話である。書き手の、頭脳明晰さを表す無駄のない文章で、時にドラマテックに時に淡々と、綴られている。しかも読者に分かりやすくという、配慮で徹底している。
 扱われているテーマは、加盟国の金融政策をつかさどる中央銀行と、EUの欧州中央銀行(ECB)の21世紀の国家と国際社会における役割である。その現代的機能を見事に解説、分析したものだ。
 多数の本が出る時代。これはどうかと思うものもある。書き手の思考力の薄さや粗雑さに、がっかりし、不満を残すことも多い。
 特に、新刊本は、書評もなく、手にしてみないと分からない。 もとより、人の興味関心、背景の知識など千差万別で、全ての者の要求を満たすという書はない、と思っている。 
 ともあれ、テーマがいい。そして現代の最も重要な課題の1つである経済問題と国際金融を、プロフェッショナルな知識人がどう考えておられるのかを知ることができるのがいい。
 実に欧州の経済、そして政治の論点を端的に言い表して、戦争なき時代における、中央銀行の国際金融舞台での「闘い」について、学識の深さを知る思いだ。
 厖大な国際金融の情報の時代にあって、核心部分に平易な文章で迫ったという点では、今季1番、2番というべき価値ある読書をしている想いである。
 EU研究者として、ギリシア危機とユーロの関係について、私も政治学の立場からは、どう見えるか、ECBの動向が気になり、以下書いている。
 国家連合の欧州連合であることを否定し、経済通貨同盟、特に単一通貨であるユーロ圏を実現し金融領域で、連邦秩序を形成をしているのが、EU(欧州同盟)である。
 だが、完全には連邦化していない過渡期的EUでは、金融政策はEUが持つものの、財政政策は国家主権として加盟国に権限がおかれ、その分断の中で苦悩するEUという問題の認識は同じである。  
 直、吉野作造賞受賞者の慶大教授の竹森先生も、EUを「欧州同盟」と表記されていることも記しておこう。

関連当ブログ

2010.03.20 Saturday ギリシア経済危機とEU 1-5
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