7月1日に10年の時をかけて成就したクロアチアのEU加盟については、ブログでも書いた。
すでに過去の事実となり、メディアの関心は薄れてしまった。
だが、我々専門家はそういうわけにはいかない。クロアチアEU加盟、その後、それが今日のテーマである。
ある欧州の国家が、EUに加盟するということは、同時に、EUの7つの主要機関、すなわち欧州議会、欧州理事会、理事会、欧州委員会、欧州司法裁判所、欧州中央銀行、会計検査院などに自動的に人を出すことでもある。
私が専門とする欧州議会でいえば、クロアチアは、人口比で近似するリトアニア、アイルランドと同数の12議席が与られている。
ほとんど報道されなかったが、同国のEU加盟に先立ち、4月14日、全国を単一とする選挙区で、名簿式比例で、その割り当て議席について、欧州議会選挙が同国で実施されていた。
任期は来年5月の28か国一斉の欧州議会選挙までの期間であるが、加盟後ではなく、正式加盟に先立つこと、2か月も前に欧州議会の選挙が実施されていたのである。
実に、EUに加盟するとはそういうことである、という事例を提示している。
ちなみに今年4月のその選挙では投票率はわずかに20%強と、国家形成後の国家レベルでの選挙としては史上最低を記録。選出された12名のうち、中道右派のクロアチア民主同盟CDUが6、社民党SPDが5議席を得て、それぞれ欧州議会内では院内会派で第1党と第2党の地位にある中道右派の欧州人民党と中道左派の欧州社会民主(S&D)に属している。
クロアチアのEU加盟でかくして、欧州議会は766と肥大化した議会となっている。
もっとも、来年欧州選挙では、EU条約の規定に従い、ドイツなどを含め、加盟国の議員定数の若干の削減による、再配分がなされ、751議席で争われる。
条約上の要件でいえば、欧州議会の議員定数は、最大はドイツの96、最少は6議席。
クロアチアでいえば、上記2か国とともに、1名の定数減で、定数11で争われることになる。
参考ブログ
2013.05.19 Sunday クロアチアのEU加盟と欧州議会選挙 欧州緑の党動向 上
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3462
2013.07.02 Tuesday NHKよEUは単なる自由貿易圏ではなく、世界最大の関税同盟圏だよ クロアチアのEU加盟に関して 上下
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3486