児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
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台南で台中関係、日台関係、日本のアジア外交を考える 2

  李登輝さんがそのシンボル的存在であった台湾独立運動も世代交代で廃れたと、馬政権の成立時にはそう思った人も多いだろう。

 実際、政治は社会から後景に退き、台湾はIT産業を背景にし、高度経済成長に酔った。それは学生の政治離れでもあった。

そして今回の3・18の学生運動である。

台湾の学生運動は実に久しぶりのことである。サービス貿易協定で、安価な労働力の大陸からの流入は、台湾の労働力と競合し、庶民を不利にするのは目に見えている。13億と、2300万の人口という桁違いの相違。

審議も十分でなく、北京政府に媚びるかのように密やかに進められた貿易協定であった。

今回の学生運動では、特に立法院が初めて占拠の対象になったというのは印象的である。

それほど国政担当の政治家にたいする不信が広がっているということであろう。

民進党のトップ陳水扁が汚職で支持を失い、その後、紆余曲折を経て、国民党に政権を奪われて、対中接近が目覚ましい台湾である。  

だが、この学生運動については、BBCが、26日付の記事「先例のない抗議運動が意味すること」で、与野党に対する政治不信が全般に背景としてあり、貿易協定という単一の政治問題のために起ったのではない旨、書いている。

 台湾は、日本の植民地支配が敗戦で終了した後、国共内戦敗北した外省人の蒋介石が台湾を統治して、過酷な本省人、すなわち台湾人の虐殺事件を体験している。いわゆる228事件で現在、台湾の国民の祈念日ともなっている。

国共内政の敗北で大陸を追われた外省人による支配は、立法府における驚くような「終身議員」などに端的に表れていた。

そして、自ら国民党総裁の登用された李登輝の登場である。

 蒋介石の息子で権力を世襲した蒋経国の死で、1988年副総裁から昇格して、国民党総裁となった李登輝のもとで、民主化が大いに進み、現在の台湾がある。

 現在の馬政権は国民党であるが、この党、実に罪深い。

 国共内戦時には腐敗で、共産党に駆逐され、そして台湾統治。その後の、不倶戴天の敵としていたはずの中国共産党への急接近である。

 国民党の、台湾における歴史的役割を言えば、台湾人のアイデンティティを高めるために存在するのがこの党のようである。

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