児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
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年末の休み入りし、AI、ロボット、2045年問題関係の書でリフレッシュ 

 正月休み入りしたとはいえ、抱えている仕事は論文校正と、新規の依頼論考とある。しかし、専門とはいえ、政治学だけでは疲れる。AIとロボット、量子コンピュタの本を数冊読んでいる。

どの書もすべて目から鱗で、下手な政治学者の本など太刀打ちできないほどの重みがある。

西垣さんの1988年で、古い書が、まったく古さを感じさせない。

技術の解説に終わっていないからだ。後述する松田卓也先生のものと同じく、実に、哲学的、思想書というべきであろう。

実際、文章家のプロをしのぐ語彙力と蘊蓄でAI問題の本質を語っていかれる。

 哲学者や思想家にも精通して、言葉が鮮やかだ。

小林さんのもいい。最終部分で、AIに人間が抜かれる未来のある日の光景描写が実にいい。

 遠い子孫が将棋を指していている場面で、「あなたたちはなぜ、そんな時代遅れの、つまらないゲームをして遊んでいるのですか?」と、人間を追い越した人工知能、いや人工知性を持つヒユーマノイドのロボットに対して問われる箇所だ。243頁

 それにたいして、「そうかもしれないね。でも君たちは、そんな頭の悪い我々が生み出したものなんだよ」と、答えるところ。

 人間の本質を語って実に印象的だ。

 竹内さんのはコンピュータというものの考え方や原理を実に丁寧に教えてくれる。と言っても文系の私には理解不能のところも多いのだが。

 この名著は竹内さんと、友人の丸山篤史さんの手になるものだ。 

 日頃、あまりテレビはみないのだが、例外的に楽しんでいるNHKの「サイエンスゼロ」に登場する猫好きで知られる科学ジャーナリストである。

 最近の番組では、マンションと思しきご自宅にカメラが入っていた。

 この名著で1点気がかりなのは、関西弁での叙述はいいとしても、頻繁に使われる「ざっくりいって」というのが気にかかる。

 おおざっぱとか、概括的というオノマトペだが、この言葉は残るか不明だ。まったく中身に関係のない文章レベルの抵抗感で、恐縮なのだが。申し訳ない。
 
上述のごとく、中身はコンピュータとは何かを、素人にも丁寧に解説してあり、価値が高い。それに物理学の世界は狭いようで、恩師と弟子が、そして競争相手が10年単位で見ると、国家や国境を超え、そろってノーベル賞を受賞しているということにも驚かされる。

 最後は宇宙物理学者である松田先生のものだ。

 どの先生もすごいが、松田先生は自らの言葉で自らの50年の体験をもとに平易にしかもきわめて重たい問題を一貫した鋭い問題意識で、文系人間にもわかるように平易に展開されていく。

 指数関数に沿ったコンピュータの劇的な進化によっておこるとされる45年問題を。

 すでに先生がコンピュータを使い始めて40年、この20年で計算能力は2000万倍、メモリは20億倍という。

 カーツワイルが指摘した、人類を超えるコンピュータの出現の可能性とその世界のありようが繰り返し指摘されていく。

 現代は、脳科学が劇的に進み、しかもその成果とコンピュータ科学が融合していく。

 その先は、人類が経験したことのない世界が出現する。

 例えば、未曾有の雇用喪失など人間の条件を脅かす、誰にも見通せない状況が。そして、ことと次第では、今の人間にとっては、不吉な状況が待っていることも、ほのめかされる。

 後半部は、人間の生活向上について触れた政治学の書にもなっている。結局行きつくところは人間の豊かさをリードしていくべき、政治の話に帰着する。

 いずれも、ハンディな新書版ではあるが、この書は、先生の研究と、思索の結晶というべきであろう。

 そしてそんな時代だから我々は大いに学ぶ必要があるということを説かれている。ちなみにカーンアカデミーについても触れられている。実に名著というにふさわしい。

最近8インチタブレットを購入したことは書いた。実際、音声入力の機能向上には目を見張るものがある。ほとんど完璧に私の発声をとらえ文字化している。これはクラウドで、厖大な資料の中で照合して回答しているようだ。

コンピュータも身の回りに確実に利便性の向上という見える形で、貢献している。そしてそれをこの機能1つにも、実感できるのである。

 ともあれ、今年も終わり。

 これらの日本人の手になるAI関係の書に出会って、何よりだった。またしても来年が楽しみになってきた。

楽観主義で行こう。悲観主義は後退しか生まないという想いで。

 最後に、英の誇る宰相の格言を付記しておこう。

Winston Churchill (ウィンストン・チャーチル)

A pessimist sees the difficulty in every opportunity; an optimist sees the opportunity in every difficulty.

 「悲観主義者はあらゆる機会に困難を見出す。楽観主義者はあらゆる困難に機会を見出す。」

取り上げた書

西垣通「AI人工知能のコンセプト」 講談社新書 1988

松田卓也「2045年問題 コンピュータが人類を超える日」廣済堂新書2013

小林雅一「AIの衝撃」  講談社新書 2015

竹内薫「量子コンピュータが本当にすごい」PHP新書 2015

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