児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
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EU離脱でこれからイギリスに起きること

 直接的なEUレベルでイギリスが直面する問題について、少し書いておこう。

 まず、イギリス出身の欧州議会議員73名の失職の動きとなろう。歳費もあるので、EU離脱派の議員は抵抗するが、アウトはアウト。2年間を期限に失職は時間の問題だ。資格を失った国家の出身者が就いていることはあり得ない。

 さらに、欧州委員会のイギリス出身の金融担当委員ジョナサン・ヒルの解職となろう。

 イギリスは、もっとも重要な政策分野のポストを得ていたのだ。それも失う。

 イギリスが出している欧州委員会、欧州司法裁判所、欧州中央銀行、などなどEUの機関に勤務する行政職のスタッフもまた大量に解職、解雇される。

 イギリスが田舎国家になる瞬間である。

 EU加盟国の人間以外は、EUの機関に勤務できない。離脱の論理的帰結である。

 最も重要なのは、EUとのイギリスの金融を含む、通商関係である。

 以前からEUの関係者、例えば欧州委員会の長や欧州議会関係者はアウトはアウトと、それ以外のものはないということを主張している。 

 ロンドンで欧州での金融活動をする多くの外国銀行は、日本の3大メガバンクも含めて、共通免許を失い、イギリスにいる意味をなくす。すなわち、大量の外銀の出国、エクソダスの動きに直面する。ダブリンがロンドンの受け皿となるといわれている。

 またイギリス政府は人の自由移動を制限したうえで、モノとカネとサービスの自由移動という単一市場へのこれまで同様のアクセスを主張したいだろうが、まずそれはありえない。

 これからイギリスは5億の市場から離脱することに伴う強烈な痛みをEU条約が規定する最大2年の間に体験することになる。

 歓喜に打ち震えているUKIPのファラージュは、ラジオで、これからどうするのかとその後の方針を聞かれたが、総選挙を言う以外いかなる提案も示していなかった。

 EU離脱以外何らの国家プランも示していないのが、ただただEUが嫌いだというだけで、イギリス政治と権力の中枢に迫っていたのだ。

 ここ2年で、この人物とUKIPという政党は、イギリス国民がこれらの直接的利害の喪失を現実に突きつけられる過程で、厳しい指弾を初めて受けることになるだろう。

 何よりこの政党は、欧州議会という民主的な選挙制度をもつ代議機関にその政治的なパワーをもらっていたのである。

 イギリスのEU加盟の最大の受益者は、何よりも この政党であった。

 EUの議会である欧州議会から離れれば、イギリスのきわめて非民主的で膨大の死票を出す完全小選挙区制の下で、下院議会でわずかに1議席しかもたないという泡沫政党の虚弱さと悲哀を改めて、政治の過酷さの中で、知ることになるだろう。

  これらを考えると、数年内の英の再度の国民投票と、EUへの再加盟も十分考えられる。

 それまでスコットランドや北アイルランドがそのままという現在の国家としての形をイギリスが持っていればのことだが。

  イギリスの国民投票の結果が、東欧などに波及し、EU解体の方向に動かない限りでもある。

 しかし、イギリスが解体している可能性はあっても、独仏を含め、19の加盟国がユーロを自国通貨として使用している現実を考えると、EUが解体するなどありえない。

  現実に使用している自国通貨を放棄し、マルクやフランに戻る可能性など、まともな人間なら考えないからである。

  東欧諸国も外交を見た場合、強圧的なロシアがいる。

 その影響を考えると、EU離脱はあり得ない。

 それゆえ、むしろEU離脱の痛みを経験する中でEUを再認識したイギリスの復帰の可能性を見ておくほうが無難だろう。

 そんなことをアールズコートのホテルの1室で考えている。 

 天気晴朗、のイギリスの首都ロンドンである。なれど、英国とEU政治は、激流というほどにも波高い。

 

追記(7.3.)

 欧州委の資料によると、短期契約も含めた英国籍の行政職員は全体の3・8%に相当する1126人(今年2月現在)と毎日新聞2016626日が伝えている。

 

 

 

 

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