児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
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英EU離脱について、明日の毎日新聞の朝刊にコメントを掲載します(リスボン条約50条原文付)

  英の国民投票は、まさに世紀的、歴史的重要性を持つEU離脱という思わぬ結果になった。

 もしかしたらということで、1か月前に大学に許可を得て出してもらうことになった。

 それまでは、どうせ残留だろうし、それならわざわざ出向くまでもないと考えていた。

 しかし、あれこれ状況を分析しているうちに、これはもしかしたらということで、短期での現地調査を決めたわけだ。

 結果として、歴史的瞬間に当地で、立ち会えて、よかったと思っている。

 実際、世界を驚愕させ、金融市場を大きく揺るがし、欧州統合史に語り継がれる大事件となった。

  政治は一寸先は闇だ、という言葉もある。

 同じ表現はイギリスにもある。A week is long in Politicsといったのはハロルド・ウイルソン首相だ。まさにそれを地で行くものとなった。

 ミラー紙は、Don't take a leap into the darkと、「暗闇に飛び出すなかれ」と書いていたが、一寸先の暗闇に、思慮を働かせるすべも知らず、イギリスは飛び出してしまった。

 感情で政治をやると大事になると、以前書いた。

が、無様な指導者がもたらしたそのツケは国民にしっかり回ってくる。証券市場や為替市場の大暴落で、一日に、数十億ポンドが泡と消えてしまった。

 ウイルソンのこの言葉はこの国民投票のコンテキストで出されたか不明だが、彼が加盟2年目にして、EU残留を問う、第1次国民投票を実施している。今度の国民投票はそれから41年目のことだ。

   この現地調査は強行スケジュールだったが、成果も大きいものだった。

  毎日新聞からロンドンに来る前に依頼を受け、現地到着後も、ブリュッセル経験のある森忠彦編集委員とあれこれ連絡を取り合っていた。

 そのアウトプットとなる。こうご期待。

  35年近くEU研究をしているが、EUの4大国の一角が離脱するという事態を見るということは、私にとっても実に、そうそうない貴重な体験。

  毎日紙にもコメントを掲載する機会を与えていただき、イギリスに出してくれた勤務校ともども、感謝です。

 なお今回の国民投票で決定したイギリスのEU離脱については、2009年に発効したリスボン条約第50条で導入された規定に基づき、2年の期限内に、実施される。

  EUからの初の離脱の手続を条文化したこのリスボン条約は、アイルランドで行われた2度目の国民投票できまったものだった。しかもそれが否決されれば、リスボン条約は存在しないというぎりぎりの状況下での国民投票だった。

 もとはマイナーな国家の離脱を考えていたようであり、主要国イギリスの離脱を対象にするとは、この規定を考えた者も想像していなかったことだろう。

   その時も現地調査に出た。

 2009年当時のブリュッセル支局長で現ローマ支局長の福島良典さんと偶然ホテルが同じで、面識を得て、コメントを掲載させていただいた。

 また帰国後、毎日紙が出している週刊エコノミストにも、「学者が斬る」のコーナーで書かせてもらうという縁をいただいた。

  毎日紙には,私が駆け出しの研究者だったころだが、ロンドン支局長など海外を長く勤められた黒岩徹先生が健筆をふるっておられた。お元気にされていることと思うが、 因縁に深く感謝するものです。

 

第50条 訳文については、鷲江編著「リスボン条約におる政治統合の新展開」参照のこと

Article 50

1. Any Member State may decide to withdraw from the Union in accordance with its own constitutional requirements.

2. A Member State which decides to withdraw shall notify the European Council of its intention. In the light of the guidelines provided by the European Council, the Union shall negotiate and conclude an agreement with that State, setting out the arrangements for its withdrawal, taking account of the framework for its future relationship with the Union. That agreement shall be negotiated in accordance with Article 218(3) of the Treaty on the Functioning of the European Union. It shall be concluded on behalf of the Union by the Council, acting by a qualified majority, after obtaining the consent of the European Parliament.

3. The Treaties shall cease to apply to the State in question from the date of entry into force of the withdrawal agreement or, failing that, two years after the notification referred to in paragraph 2, unless the European Council, in agreement with the Member State concerned, unanimously decides to extend this period.

4. For the purposes of paragraphs 2 and 3, the member of the European Council or of the Council representing the withdrawing Member State shall not participate in the discussions of the European Council or Council or in decisions concerning it.

A qualified majority shall be defined in accordance with Article 238(3)(b) of the Treaty on the Functioning of the European Union.

5. If a State which has withdrawn from the Union asks to rejoin, its request shall be subject to the procedure referred to in Article 49.

 

 毎日新聞掲載記事

 http://mainichi.jp/articles/20160625/ddm/010/070/050000c

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 21:50 | comments(1) | trackbacks(0) |
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歴史的瞬間の現地視察お疲れさまです。

久留米がタウンモビリティを導入するにあたって、私たちがイギリスのミッドランドのウルヴァーハンプトン市のショップモビリティ事業との交流を手引きしたのですが、そのときの窓口になってくれて、久留米に二度来てくれた担当者が、今、退職していいおばあちゃんになっていて、ひと月ほど前、10歳の孫娘といっしょに京都に遊びにきました。龍谷大学教授になっている西川さんと私が、かわるがわる京都を案内しました。

この人は昔からの忠実な労働党の支持者ですけど、今は熱心な離脱派でした。キャメロン政治への憎さが反EUと結びついているようでした。まあ、その心情は大変よく理解できます。
私はコービン執行部の忠実な支持者として当然残留支持ですが、英語でとてもそんなことを議論できませんので、おとなしく聞いていました。(もともと僕がコービンファンであることは先方は知っているが)

こちらに由緒正しき左翼のブログがあります。私はこれに全く異論ありません。
http://www.anothereurope.org/
| 松尾匡 | 2016/06/26 11:44 PM |









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