児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
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今読んでいる本、「人類の未来」(NHK新書)、中でもレイ・カーツワイルの2章

 今読んでいる本は、「人類の未来」(NHK新書2017年)だ。

 ほやほやの新刊。アマゾンで出る前から注文出していた。言語学者で社会評論家のノーム・チョムスキー、経済アナリスト、マーチン・ウルフなど、世界最高レベルの知識人がずらっと並んでいる。

 しかもサイエンス・ライターの吉成真由美がすべてインタビューしてまとめたホカホカの書である。

 フランスの極右ナショナリストと似通った議論をする、現地では全く評価されないエマニュエル・トッドの書を「現代最高の知識人による世界情勢論」など帯にして出す素晴らしい「知性」をもった出版社があるが、NHKがこの書を出したのは見識だ。

  本書「人類の未来」の中でとりわけ、読みたかったのが、言うまでもない。レイ・カーツワイルなのだ。

 彼は、「シンギュラリティ」なる言葉と世界を広く世に知らしめたAI学者であり、実践家である。

 シンギュラリティとはコンピュータが人間の知能を超える地点を言う。その彼は2045年までにそれが達成されるとする。

 実際、チェス、将棋、そしてついに囲碁の世界まで我々人類はコンピュータに屈する現実を目撃している。たとえ、知性の一部ではあれ、AI(人工知能)技術によって、我々人類は機械に追い越されているのである。

 私はハンナ・アーレントを若い時に、脇圭平先生に教わって衝撃を受けた。そして、その時以来の衝撃を受けている人がレイ・カーツワイルだ。

 カーツワイルは、AIの爆発的深化が、これまでの哲学書を一挙に古色蒼然、時代遅れの書にしてしまう時代を我々に提示してくれている。そんな21世紀の哲学者である。

 アーレントの言葉を使えば、「人間の条件」を根底から変えてしまう指数関数的な成長による社会の劇的な変化、革命が進んでいるとの認識を背景としているのである。

 指数関数的とは線形的に対置される言葉である。

 線形的思考とは、たとえば、ヒトゲノムの解析が7年で1%できたとすれば、100%の解析には700年かかるとするものだ。他方、指数関数的とは倍々ゲームのことで、100%解析には、7回を繰り返せば100%となるというもの。今すべてのIT、AIの領域でこの指数関数的深化が進んでいるという認識に立っている。

 しかも、彼は単に機械とその進化に注目するだけでなく、現在、精神や意識はAIが創造できるのかという哲学的問題にもその関心を向けている。

 実際、彼の著書は「スピリチュアル・マシーン」(精神を持つ機械)というタイトルにも示されており、また新刊のタイトルはHow to create a Mindというものである。 

 AIについてはもとより、医学や生命工学など彼の博識こそ世界最高水準なのである。

 若い人は当然だが、中高年諸氏、特に政治家諸君も騙されたと思って読んでみたらいいと思う。これから来る未来がどんな社会となるのか、この書を読み、考えてもらいたいと真に思っている。

 なおカーツワイルには、以下の書がある。

シンギュラリティは近い[エッセンス版] 人類が生命を超越するとき NHK2016/4/22

 参考ブログ

2015.12.30 Wednesday 年末の休み入りし、AI、ロボット、2045年問題関係の書でリフレッシュ

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3952

奇妙なる仏のナショナリスト、E・トッドEmmanuel Toddの書、『ドイツ帝国が世界を破滅させる』文春新書2015年 上下
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3865
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3868

 

 

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