児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
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EU内ユーロ圏議会創設 その形態について

 ユーロ圏議会の創設の動きについて、独仏が協議したことが取り上げられた。それはほどなく具現化していくことだろう。

 EUのユーロ圏の中核国家の合意した意志であれば、なおさらだ。

 ただしその形態は、どうなるか。それが今日書くべきことである。

 ユーロ圏議会といえば、何か新たな議会を欧州議会と別に選出して設けるということが想像されるが、そうではない。

 既存の欧州議会内の金融財政関係委員会を拡充させていく方法をとると考えられる。

 ブログのタイトルにEU内とした所以(ゆえん)である。

  その理由は簡単だ。2つある。

 第1は、EU内での組織の重複や肥大化を避けること、第2に、EU条約改正作業を回避する必要がある。

 第1の点でいえば、欧州議会とは別にユーロ圏議会の議員を新たに作れば、その議員を別途選出する必要が出てくる。組織効率、費用の観点からみて、論外の事態となる。

 第2の点でいえば、条約改正を必要とする新たな機関の創設となれば、EU全加盟国の支持を必要とする。それを避ける必要がある。イギリスが去れば27国となるEUで、ユーロ圏でない国家は8つとなる。

 この非ユーロ圏国家の中には、ポーランド、ハンガリーなどEUのさらなる連邦的統合の深化を嫌う国もある。これらに妨害されることを回避する必要がある。

 実際、ユーロ圏議会の可能性とその在り方に関連しては、関係者によって、過去に検討されている。上述したことがそこで触れたていた。

  しかも、新規に機関を構築するのではなく、既存組織を拡充する方式については、すでに先例はある。

 ユーロ・グループがそれだ。

 ユーロ・グループはユーロ圏19か国からなる金融財政担当大臣の会議である。それは、ユーロの価値の維持に関し最も重要な機能を果たしているが、既存の欧州理事会の中にそれが開設された。

 実際、ユーロ・グループについても、そうした形で、欧州理事会内に最初の会合が設定され、後にそれを条約上に明記していく、お定まりの方法が採られた。

 ヨーロッパ統合はそうした形で、組織の発展については柔軟に対処されていくのが常道である。

 ともあれ、ユーロの価値の安定と防衛に関し、ユーロ圏の独自予算を持ち、それを民主的に監視する機関が新たに誕生する可能性が高くなった。

 すでにユーロ・グループは、欧州安定メカニズム(ESM)を将来的に欧州通貨基金(EMF)に改編す可能性を探っている。それにとどまらず、ユーロ圏の独自予算の獲得からそれを監督するユーロ圏議会に至るまで、さまざまなユーロの価値の防衛策が練られ始めた。

 欧州委員会の長のユンケルは、マクロン仏新大統領のスーパー財務相構想には消極的であると報じられているが、フランスがドイツを説得すれば、EUの行政府欧州委員会としては動かざるを得ない。

 しかも、マクロンの提案は、欧州経済通貨同盟完遂のための、と銘打った2015年6月にEUの5大機関(欧州委員会、欧州理事会、欧州議会、欧州中央銀行、ユーロ・グループ)の議長報告(私にすれば、2014年当時の反EUの嵐の雰囲気の中でかろうじて出された最小公倍数の報告としか評価していないが)をはるかに超えた大胆なものとなりつつある。

  今後、その形態も含めて、注視されるべきだ。

参考ブログ

2017.05.13 Saturday  ユーロ圏議会構想をマクロンとショイブレが協議 EU懐疑論者を青ざめさせるユーロ圏における連邦通貨主権創造への一歩

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4250

 

 

 

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