児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
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米朝初の首脳会議をどうみるか

 米朝会談の勝利者はだれか。

トランプの米と北朝鮮の独裁者の会談がシンガポールで開催され、わずか数時間で終了している。

トランプと北朝鮮の会談の詳細は何も伝えられていないので、当面、コメントするにも当たらない。はっきりしているのは、トランプが軍事演習の中止を引き出したことで、金正恩の勝利だろう。また非核化の検証についても不明確なままだ。

 実際、韓国の聯合ニュースは、会談後に署名した合意文書には、米国がこれまで要求してきた「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」(CVIDという表現は明記されなかったと伝えている。

 CVIDとは、完全(complete)かつ検証可能(verifiable)で、不可逆的(irreversible)な核廃棄(denuclearization)のことである。

 わが国では拉致問題もあるのだが、これが朝鮮半島と東アジアの安全保障では、最も肝心なことだった。

 共同声明について、トランプの一人芝居となり、北朝鮮の独裁者は当然あるべき共同記者会見でも、公的に表に出ないという異常さだ。 これも米外交の失敗だろう。

 21世紀にあってスターリン主義的全体主義国家の最後の残渣というべきこの独裁者が特別な存在だと国内に喧伝する格好の口実を与えたことにもなる。

 ついでに言えば、この北朝鮮の独裁者の専用機が老朽化していることを理由に、独裁者をシンガポールに運んだのは中国だ。漫画的だが、ホテルの費用さえ工面できないというありさまだ。

 まあ、すべての国家的予算とエネルギーを核開発に注ぎ込んできた国家としては、そんなことは以前からのことであり、最近では1970年代に購入したスウェーデンのボルボ1000台購入代金も利子も合わせて375億円、踏み倒していると報じられた国家だ。

 民生部門のレベルの劣悪さはいうまでもない。

 なお北朝鮮の経済事情では3年前、TBSは平壌に入り、豊かになっているなどと、報道特集が北朝鮮を褒め上げる番組を流した。実に北朝鮮が、見せたいところを無批判に垂れ流したことで、TBSの担当キャスターを、このブログで批判した。

 北朝鮮は海外のメディアを徹底してプロパガンダとして利用する。それゆえ、北朝鮮見る目は冷めた目でなければ、プロパガンダに加担することになる。

 ともあれ、 米朝会談の影の勝利者といえば、北朝鮮が筆頭だが、中国もだろう。北朝鮮の監督者としての意味を明確にしたことで、勝利者といえるだろう。

トランプは中間選挙が控えていて、G7の会合でのトランプ一流の単独主義、すなわちアメリカ・ファーストによる紛糾と貿易戦争への発展もあり、ここでショー・アップする必要があった。今回は、ともあれ格好だけのものに終始した会談だったと、私は受け止めている。

 

 勝者については書いたが、敗者について誰かと問われば、もとより日、韓。そして米国もだ。

 韓国は北朝鮮を隣に抱えたその瞬間から70年余にわたり敗者であり続けている。

 経済的には北朝鮮に対して常に勝者であるのだが、I die You dieという民族の生死を人質にとった北朝鮮の核戦略を前にして、自国の安全保障が常に危機にさらされているという意味で、韓国の勝利は本質的に砂上の楼閣としての勝利でしかない。

 それゆえ、「永続的敗者」の韓国を除けば、非核化についても拉致についても、ゼロ回答であることからすると、安倍ジャパンが最大の敗者だろう。

 安倍については対ロ北方領土返還でも、成果ゼロである。

 北朝鮮に戻せば、非核化の費用は日韓が持てという。唖然とさせるトランプの発言である。

 だが、アメリカファーストのなりふり構わない彼のこれまでの、論理様式からすればそれも理解できる。だが、日本に対しても、韓国に対しても対米不信を広げるものであることははっきりしている。その意味で改めて米国外交の敗北をいうことができる。

 ともあれ、トランプも1期で終わる公算が高い。

 そうでなくとも、このトランプ、自己が発する言葉の信頼性がゼロに近い。あっという間に「フェイク大統領」よろしく、その発言が変わるからである。

 北朝鮮の独裁者もその点不安に思っていることだろう。

 冒頭に書いたように、会談の詳細が明らかになっていない。最悪、おそらく詳細に値する内容がない可能性もある。

 したがってそれ以上のコメントする意味がないということを改めて書いておこう。

参考ブログ

2018.05.25 Friday トランプによる米朝首脳会談キャンセルをどう見るか

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4390

噴飯もののTBS北朝鮮「報道特集」 あまりのお粗末に愕然とする
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3914
追記2018.6.13.
敗者はどうかと懇意にさせて頂いているY先生(九大名誉教授)に問われて、後半部を加筆した。

 

| 児玉昌己 | - | 21:56 | comments(0) | trackbacks(0) |
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