ノルウエーに仲介を頼むとは、北朝鮮もいよいよ国際的に追い詰められてきたとしか言いようがない。自国をパレスチナあたりと同等視しているところに、その国際感覚の軽薄さがみられる。ノルウエーは、上記の記事にあるように、EUの加盟国ではないが、同国が近年北朝鮮関係で厳しさを増すEUと外交では緊密に連絡を取りながら動いているということをまったく理解していない。 EUに対しては、北朝鮮はイラク戦争時に独仏が米英の独走をけん制していたこともあり、米国に対抗できる世界勢力とみなし、若干の期待を抱いていた。他方、EUはEUで、金大中により始められ、盧武鉉により継続されている容共政権の太陽政策の枠組みを支持することで、和解政策(宥和政策)を認める方向で舵取りをしてきた。 が、しかし今月のブリュッセルの欧州議会での対北朝鮮人権糾弾集会にみられるように、ようやく北朝鮮金王朝の異常、異様な生態が明らかになってきた。 今後は、北朝鮮と韓国政府の意向や希望とは異なり、米国同様にEUは対北朝鮮にいっそう厳しくなり、同時に住民弾圧を続ける北朝鮮に目を閉ざし、実現も出来ない南北和解のために、ただただ一方的な宥和政策を継続する現政権に厳しい目を向けることは必須と思われる。 朝鮮日報(英文)は、南北離散家族の取材に入った共同取材班が取材を妨害されたことで、政府が北朝鮮に謝罪さえしていることにたいしその記事、「弱まらない対北朝鮮宥和」Appeasement of N.Korea Goes On UnabatedMar.24,2006 で、次のように書いている。 「際限のない宥和策のおかげで、戦争の脅威は消えたとこの政府は主張するが、われわれが勝ち得たものは、北朝鮮が現在、核を手にしているという事実以外、何もない。」The government claims it has banished the threat of war thanks to such limitless appeasement. But what we have gained is nothing but the fact that North Korea now has the bomb. 国内代表紙にかくのごとく書かれること自体、驚くべき政権である。
Kodama Masami, The EU' Relations with the DPRK: Involvement of the EU and
its
Implications on the International Politics over the Korean Peninsula,
The Journal of Contemporary European Studies (South Korea). Vol. 22. Winter
2005. pp.177-207.