児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
台風13号の後始末
 先の13号台風から2週間ほどがたったが、長崎県では、結局、100億円にのぼる被害が出た。我が家は、特段のこともなく幸いだったが、数日して、木蓮と紅葉の樹木の葉が枯れはじめた。
 それで、この週末、落ち葉を集めて焼却した次第だ。海の風にでも当たったのだろう。残している葉も見るも無残だ。本来なら11月まで緑の葉をつけているのに。今年は、紅葉も楽しめないようだ。隣家の木蓮も同様だった。 
 9月も今日で終わりだが、まだ日中は暑い中での作業。たっぷり汗をかいて、一風呂浴びる。運動不足のこの頃で、気分転換にはなったが、苛烈な自然に耐えたものと思っていた庭木も、それなりに傷んでいるのを知る。



| 児玉昌己 | - | 15:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
法科大学院の結果
 法科大学院の合格発表が過日あった。勤務校も70数校に混じって、法科大学院を作り教育に当たっているが、幸い合格者を出すことができた。実におめでたいことだ。
 合格した全国の法科大学院の受験生の皆さんの努力に拍手したいと思います。
 他方、昨日、司法修習生に、卒業検定試験で、不合格、合格留保者者が107名(7%強)でているとのニュースに接しました。せっかく司法試験に合格しても、ここでの成績如何で、法曹職には就けないということになります。 法曹の世界は、「なる」までも実に困難です。
 検察官の厳しい業務に対する姿勢をたとえた、秋霜烈日という言葉を思い出しました。
 
| 児玉昌己 | - | 15:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
秋の空気、政治の空気
 朝夕の気温差が10度もあると、体調管理も大変だ。昼間は半そで、夕刻、外出時にはジャケットというごとく。ただ、あの盛夏の灼熱の夜も去り、うだることもない。それが何よりだし、季節の果実の甘みも、ことのほか深くなる。嬉しいことだ。
 5年続いた小泉政権の後、安倍総理が誕生した。5年も続くと、よどんだ空気が政治に漂う。それが消え去ったのが、いい。
 独裁国家ではありえない健全な議会制民主主義がもたらす時間と、空気の変化だ。
 ただし、安倍総理は、党の総裁選で選ばれただけで、議院内閣制の建前から、国会内で第1党の地位を持つ自民党総裁として、総理に就任しただけである。
 つまりまだ総選挙で選ばれたわけではない。来年以降が正念場となる。 この内閣、対北朝鮮、拉致には、心のある人を選んでおり、その意味で強力な布陣で、この点評価している。だが、安倍政治は、まだ始まったばかり。その評価はまさにこれからだ。

 

| 児玉昌己 | - | 09:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
両面印刷と省エネ 小さな幸せ
 最近自宅も研究室もプリンタを両面印刷ができるのに換えた。ひとつは日記の量が半端でなくなってきたことによる。時事問題のフォローで、日記に貼りつけることも多い。
 ベルギーでの在外研究中にプリンタの問題もあり、重要なデータを日記に直接貼り付けることが多くなった。それで1年の日記のデータの量が15メガを超えるようになり、印字するのも大変な量となる。それで両面印刷をするようになった。
 同時に、大学や法科大学院での教材作成も同様に裏を使うようになった。。実際、裏面が真っ白というのはもったいないという気がしていた。
 A4やB4の紙面が、目一杯両面印字されているのをみると、省エネ、省資源に貢献したようで、なんだか、少し幸せな気分になる。
| 児玉昌己 | - | 09:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
欧州憲法条約の最近の動向
 ヨーロッパ研究者なのに、このブログでは、ヨーロッパの情報が少ないではないかといわれる向きもあるかもしれない。
もとより、サボっているわけではない。10月16日には、本学のアクロス福岡でのサテライト公開講座では欧州憲法条約について話すことになっている。
 欧州憲法条約こそが現下の欧州統合とEUの最大の課題であることは論を待たない。
 欧州憲法条約が発効すれば、「欧州連合」という、世紀の誤表記は、全くアナクロつまり時代錯誤の表記となる。
 もともと「欧州連合」という表記は、EUが立法権限を持つ独自の議会(欧州議会)を持っていることなど、ほとんど無知か、あるいは注意を払っていないかで、EUを「東南アジア諸国連合」(アセアン)、「欧州自由貿易連合」(エフタ)など同等視し、その組織よって立つ原理の相違など、最も重要な国際組織の本質を見ていない一部の研究者がつけた表記でしかなかった。
 ある国際組織が連邦的であるか、あるいは国家連合であるかということについて、その識別要素はいくつかある。たとえば、その組織に構成体を規律する法が存在し、その法が、上位規範性を持つこと、その組織が法人格を持つこともあるし、またその組織の中に立法機関があるというのも、その1つである。
 広範な立法権限をもつ議会をそのうちに抱える国際組織があり、そこで出される法律が連邦法として下位法に優越する司法制度を採る機関があるとすれば(つまりそれはEUだが)、それは、そのことだけで国家連合であるはずがなく、明らかに連邦態的組織というべきものであるからだ。
 欧州憲法条約では、さらに、新たにEU外相ポストが導入されることが明記されている。このを想起するだけで、EUの連邦化への強化は分かる。「欧州連合」という表記は、EUが「欧州連邦」とも言うべき、連邦組織に近いという認識をまるで反映していない。
 欧州憲法条約は、欧州議会を理事会とともに共同立法機関と明記した。これに加え、EU外交を推進することを明記し、EU外相を導入している。
 外交は、国家にあっては安保軍事と連動しており、まさに加盟国の国家主権の核心部分である。この外交安保分野にも、EUの外交主権の確立への動きが見られる。加盟国の主権的権限のEUへの移譲が進み、EUの権限が強化されることが確実となるからである。
 しかも、EU外相は、単独で仕事をするわけではない。彼、もしくは彼女を支える事務局が必要となる。理事会の事務局および欧州委員会の対外関係部局が合同すると見られている。
 EU外交は、これが、加盟国外交の総和ではない、欧州憲法条約で新設されるこのEU外相の下に、独立した「EU外務省」ができていくことを想起すればよい。
 この条約は2004年に25のすべての加盟国政府が調印した後、現在批准過程中にある。ベルギーでの在外研究中に、仏蘭というEUの前身を作った老舗が国民投票でこれを否決したのは周知のことである。だが、その後も10カ国近くが、仏蘭とは無関係に、粛々と批准を済ませ、現在15の加盟国が批准を終えている。
 同条約の発効の可能性について、当然、欧州研究者として、筆者は質問を受ける。が、現地の関係者も読めない。当然、日本人の研究者の知る由もない。まさに神のみぞ知るというものだ。 だが、専門家として、あえて問われれば、来年夏のフランスの大統領選挙待ちということだろう。
 つまり、今後の焦点は、国民投票で昨年5月末に否決したフランスの政治状況によるといえる。シラクは、昨年欧州憲法条約の国民投票の時点で、大統領就任10周年を迎えており、すでに国民に飽きられていたが、この国民投票の否決で完全に政治生命を失った。
 現在、保守派からは、内務大臣を務めるサルコジが有力候補である。 
 面白いのは、欧州憲法条約自体の復活は困難として、その簡易版(mini treaty)の批准を主張していることだ。中身も面白い。
 それは別の機会に書くことにしよう。研究者は24時間対象を監視しているのである。



| 児玉昌己 | - | 09:16 | comments(0) | trackbacks(0) |
読売の名言、鏡(メディア)は現実をあらわす
 読売の編集手帳20日付はいいことを書いている。中国がメディア統制を強めたことについて、以下書いている。
 中国が言論と報道の統制を強めている。政府にとって好ましくない評論を掲載した週刊紙を停刊処分にしたのは記憶に新しいが、今度は国内に情報を配信する外国通信社に、国営新華社通信の許可と審査を義務づけるという◆貧富の差、役人の腐敗、環境汚染といった高度成長の暗部が鏡に映し出され、民衆の不満に火がつくのを恐れてのことらしい。火が怖ければ暗部を取り除けばいいものを、口封じや目隠しは帰するところ、将来の火勢を強めるだけだろう◆「つらが曲がっているのに、鏡を責めて何になろ…」とは、ゴーゴリの戯曲「検察官」の一節である。古今東西、鏡を責めて美人になった国はない。
 編集手帳2006年9月20日1時51分 読売新聞)

 鏡(メディア)をのろっても、それで現状と実態はなんらかわることはない。名言である。メディアはまさに現実の反映であり、その逆ではない。
| 児玉昌己 | - | 14:47 | comments(0) | trackbacks(0) |
崩壊した6カ国協議とわが国の対北朝鮮外交の基軸
 この19日にわが国は、対北朝鮮制裁を強化させた。中国、韓国は、これに同調しないという。中国は6者協議の議長国として、面子があるのだろう。しかし、すでに6者協議の枠組みによる北朝鮮の核開発放棄に向けた交渉は終わったと見てよい。
 なぜなら、ブッシュ政権は、大量破壊兵器の拡散の阻止、核兵器開発の阻止を最優先することを明確にし、他方で、米ドル紙幣偽造を国家的に推進してきた北朝鮮にたいして、核問題とは切り離して、対処するという姿勢を明確にしたからである。
 これでは、北朝鮮には6者協議に復帰するメリットは何もない。原子炉や重油などモノをもらえると、核兵器断念の「条件」を提示して、会議で他国にタカルことができたから、会議に参加してきたわけである。制裁以外、得るものが何もなくなった6者協議には、北朝鮮が復帰する意味もない。6者協議が破綻したと私が考えるのは、このことが故にである。
 さすれば、論理的にみて、北朝鮮は、中国や韓国の期待をこめた思惑とは反対に、核実験に着手することは必至だ。現状の制裁条件が続くと仮定したら、6ヶ月から1年以内に核実験を強行するだろう。核保有国としての存在を世界に示し、世界の注目を浴びたくて仕方がないからである。どのみち、それは北朝鮮の崩壊の最後の段階となるだろう。
 われわれは、それをしっかり見届け、如何なる事態にも即応する準備をすべきだ。もう対話の時間は終わった。
 実に第1次朝鮮半島危機から、13年にわたり、われわれは、北朝鮮の独裁維持を手助けしたのだ。
 食料も燃料も提供できず、自国民を飢餓で苦しめ、反体制派を大弾圧で持って駆逐し、「社会主義の共和国」を僭称しながら、社会主義や共和国とは全く縁もゆかりもない中世の世襲制で君臨する21世紀最後の全体主義のこの政権は、悪であり、崩壊させるべきだ。
 ラムズフェルドが北朝鮮問題でよく活用する東北アジアの衛星写真は、電力さえ提示できない暗黒の北朝鮮が、光にあふれた韓国、日本とは対照的に、不気味に浮かび上がっている。
 アメリカも北朝鮮の体制変革こそが、対北朝鮮外交の基軸となるべきだとみている。わが国もそうであるべきだ。この異常、異様な全体主義独裁政権と国交正常化など、国民の血税を、悪の政権に回すようなものだ。
 拉致被害者問題は、数名が解放された以外、何一つ改善されていない。核兵器の完全放棄も確認できず、国家的テロである拉致事件も解決しないこの状況で、国交正常化に動くものがいるとすれば、それはまさによこしまな背景があると思って間違いない。
 この独裁政権が続く限り、国交正常化と、国家賠償の支払いなどは、自国の血税を持って、かの国の独裁を維持し、核兵器開発をむしろ促進させるだけであり、反国家的、反国民的外交だという認識を強固に堅持する必要がある。
 北朝鮮の体制変革こそが、21世紀のわが国の非核を推進する積極的平和と人権外交の具体的実践である。
| 児玉昌己 | - | 01:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
台風一過
  昨日までは曇天だったが、今朝は快晴。まさに台風一過。
 夕刻のテレビニュースの新しい映像では、三菱造船の大型クレーンが倒壊して、工場にかぶさっていた。幸い工場は台風休業で、被害者はいなかったという。
 長崎県の被害総額は48億円ということ。破壊された防波堤の修理で半額は飛んでいくという。街路樹がなぎ倒されて、あるいは枝を折られて、痛々しい。それでも、復旧の速さは、さすがわがジャパンだと胸を晴れるものだ。
 人的被害は宮崎県ではひどかったが、幸い本県は、比較的大きな被害にはならなかった。ただ山間部もあり、3日にわたり停電していたところもあるとのことだったが、今日の午後には完全復旧したようだ。
 長崎人は、台風には比較的慣れているが、それでも15年ほど前の19号台風以来の暴風雨を無事にやり過ごし、ほっとしている。
 実際、台風の脅威と、それを前にした緊張は、経験した人しか分からない。どんな展開になるのか、またどんな被害が出るのか、誰も予測できない。脅威に対して、危ないと思えば、せいぜい公共施設に避難することくらいしかできず、台風自体を事前に撃退もできないからだ。
 ともあれ、それから解放されて、やれやれ。だが、急に歯が痛み、雑草とりで草まけした皮膚が湿疹となり、病院にいくなど、散々。 
 台風は、来るなといっても来るだろうから、せいぜい、今年はこれで終わりにしてほしいと願うばかりだ。
| 児玉昌己 | - | 19:17 | comments(0) | trackbacks(0) |
台風の重圧と停電からのしばしの解放
 長崎は台風13号上陸、停電になり、深夜わずかに復旧した20分の間に書いたのが、昨夜17日の以下の日記です。
 結局、そのわずか20分の後、再度停電となり、ワードも使えず、数時間未明まで停電でした。停電復旧後も、有線が断線したのか、テレビもインターネットも使えない状態となり、それが18日今夜8時半まで継続する状況でした。なお、この台風最大で風速70メートルを記録したとのことでした。50トンの列車を横転させるほどの威力、自然の猛威を体感したところです。
 皆様のところはいかがでしたか。関西以東では、他人事みたいだったのでは、と思います。日本列島は大きいですからね。
 
「 夕刻5時過ぎから案じていたように停電。すべてがストップし、闇に包まれた。
 6時には真っ黒な雲の下で、包まれるように暗くなるなかで、3人でチャーハンを作り食し、食べ終わり、皿を洗う時には真っ暗という状況。腹立たしいのは、向かい側の山肌に開かれた緑ヶ丘団地方面は停電もせず、青白い電気が浮き上がっていたことだ。
 それから辛い辛い6時間。かくなる上は寝るしかないと、布団に入るが、1時かと就寝したらなんとまだ10時。その後の2時間近く、寝たくもないし、起きているのに本ひとつ読めないという拷問のようなときが過ぎた。
 日付も変わろうとする11時45分にぱっと電気がつき、飛び起き、文明の利便さに包まれ、歓喜の声を上げる。
 すぐにパソコンをつけた次第だ。ラジオで最低限の情報を把握できてはいたが、映像がないのは辛い。
 台風は、6時過ぎに佐世保に上陸し、その瞬間台風の目に包まれた。すでに山口沖に台風はあるという。強い風雨も時折思い出したように吹くだけ終わり、すべてが終了した。
 被害状況をと、つけたテレビはダウン。有線で、それだけがまだ復旧していない。しかし、パソコンが動くだけで、生き返る思いだ。しかし、有線だとすれば、インターネットもとおもい、エクスプロアラを起動するが、やはりこちらは、テレビと連動しているので、かろうじてワードが使用できるだけで、基本的にはシステムダウンだ。
 雨戸を閉めるとき、バッタとヤモリの子供が雨戸の隙間に入っていて、あわてて庭に下りた。彼らも避難していたのだ。その後は、蒸し暑く、風の様子を見て、開けたり、閉めたり。もう大丈夫だ。これで終わった。
 長崎は5万所帯以上が停電だという。全体では28万所帯という。」
| 児玉昌己 | - | 23:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
米韓2人の指導者とその誤った北朝鮮認識 

金大中前大統領は、朝鮮半島での北朝鮮のミサイル発射と事態の悪化について、「問題悪化はネオコンの責任」(朝鮮日報 2006/09/15)であるといい、今度はカーター元大統領が、94年のクリントン大統領時代を振り返り、当時と同じように、「北、米が圧力を加えれば韓国攻撃も」あると(中央日報 2006.09.15)発言している。
 まさに、「敗北主義者」と表現するしか形容の仕様がない発言だ。
 力だけを信望する相手には、力こそが最も相手を分からせる手段なのだ。自己保身に汲々とするだけの北朝鮮の独裁政権に、自己の完全消滅を意味する先制攻撃などできるわけもない。
 実際、過大に報道される北朝鮮の軍は、飢え(第1軍団、26師団の飢餓が報告されている)、燃料も提供できず、電力は恒常的に不足し、装備も旧式となり、独裁者が軍視察を頻繁にせねばならぬほど、士気も低下している。実に、張りぼての軍事国家、つまり張子の虎だ。
 クリントンを評価したカーターも、金大中も、結局、独裁者と核開発を阻止できるどころか、結果的にこれを推進することに手を貸しただけに過ぎなかった。
 それだけではない。この独裁国家に援助することで、国内での人権抑圧を継続し、多数の国内改革派を見殺しにし、多数の難民を出し続け、イランや中東にミサイルや核部品をばら撒き続けさせ、麻薬や紙幣の国家的偽造を継続させ、アメリカの主権を侵し続けさせている。
 金大中とカーターという2人のノーベル賞受賞者に共通する問題点は、北朝鮮を西側的な意味で、合理的な思考をし、人権を擁護する国家と思っているところにある。カーターは人権外交の提唱者であるにもかかわらず。そして、DJにいたっては、「ネオコンが悪い」、「日本が悪い」とまったく自己の現状認識の驚くべき甘さには目をつぶり、見当違いのことを言う。
 その後の展開は、この両名のまったく認識とは違う方向に進んだ。
 物乞い国家の北朝鮮は、援助しても、また次の要求を突きつけてくるということだ。それを断ち切ったのが、ブッシュの強硬路線だった。
 イラクや中東では、無様なというべき外交を展開しているこの政権が、北朝鮮に関しては、彼はきわめて効果的に米国の威信を示した。しかも、国防総省ではなく財務省を使って、実に効果的に。 
 イラクでは、内戦状況さえ引き起こしてしまったブッシュだが、北朝鮮政策に限ってであるが、私はブッシュを高く評価している。実際、非妥協によって、どれほど北朝鮮に打撃を与えることができたかである。
 米国が「北朝鮮がマカオ所在のバンコ・デルタ・アジア(BDA)銀行を通じて偽ドル札を流通させている」と公式発表して以来、今月15日で1年になる。これに関して、朝鮮日報は、「目先の28億円にこだわり2340億円失った北朝鮮」(06/09/15) と分析した。
 金融制裁の成果は絶大である。これが政権内部の瓦解を進めるに寄与すると私は分析している。ブッシュ政権は一兵も犠牲にせず、日々北朝鮮と独裁者に重大な打撃を与えている。ミサイル発射は、北朝鮮独裁政権の崩壊にむけた弔鐘に聴こえると7月5日にブログに書いたが、それはまだ感覚のレベルであったが、2ヶ月を経て、その感性の正しさは証明されつつある。
 北朝鮮は抜いてはならぬ刀を抜いてしまったのだ。抜かないで威力を発揮できたのが抜くことで、自滅の道に自ら舵を切ったといえる。
 同じ時期、当事国の指導者として北朝鮮と向き合ったクリントンも金大中(DJ)も全くできなかった北朝鮮への効果的な大打撃といえる。
 
 翻って、この2人の過去の指導者について言えば、93年以降、いったいどれほど北朝鮮に裏切られ、タカられ続けたか、そしてそれでも北朝鮮は核ミサイル技術開発を断念するどころか、着々と磨いてきたのである。カーター元大統領は、通貨偽造が自国の主権侵犯ということさえ、気づいていない。
 93年の危機を経て、クリントン政権時に実現したKEDOの失敗を見れば分かる。KEDOで、西側社会は2つの軽水炉型原子炉を与えたにもかかわらず、北朝鮮は秘密裏にウラン濃縮を継続したのである。北朝鮮は国際公約など屁とも思っていない。クリントン政権の失敗であった。
 カーターも金大中も、その認識と、実際の結果への理解に、まるで欠けている。クリントン政権に対する評価が一部にあるが、この点に限定して言えば、私は失敗であったとみている。
 DJにいたっては、その北朝鮮との「連邦制」とまで言っている。北朝鮮の人権の大規模弾圧や不法行為を国家的にしている悪行をまったく語らずにである。まさに笑止千万である。
 自己の外交の平和への貢献の失敗には目をつぶり、自分の見方は依然として正しいと主張し、自分だけの妄想、妄念の世界に生きているとしか言いようがない。彼は、ノーベル賞を受賞して、その威信が将来にわたり継続するように望んでいるようだが、何のことはない。
 彼の悲劇は、彼を徹底的に抹殺しようとした朴正熙以下の軍事政権という「内なる独裁」は、理解できていても、その後も現在に至るまで、北朝鮮、つまり「外の独裁」を全く理解できていないということだ。
 盧武鉉同様、彼は、その歴史的位置付けで言えば、「北朝鮮の後見人としてこの独裁国家をいたずらに延命させた」と後世の史家に評価される指導者となるであろう。

| 児玉昌己 | - | 11:37 | comments(0) | - |

このページの先頭へ