西南学院でのEU研究会20周年記念大会に出てきた。駐日欧州委員会代表部からの外交官の記念講演が行われた。これに先立つ定例研究会で、EUの北朝鮮政策の報告をするのが私の当日の仕事で、昨日は、終日バタバタしていた。
EUの北朝鮮政策は、EUが外交部門に乗り出す法的根拠を得たのが1992年のEU条約(通称マーストリヒト条約)であり、第1次北朝鮮核危機の勃発とほぼ軌をいつにしており、その収拾のために合意されたKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)に遅れて加わるのがやっとだったというのが、私の意見である。
加えて、EUの外交の守備範囲はイランまでで、北朝鮮関係は米国に任せるというような暗黙の前提があるようにも感じられる。
しかも韓国の金大中の南北和平会議と太陽政策に幻惑されて、EU加盟国およびEU自身が2000年を契機にそれまでの25年間の沈黙を破り、雪崩を切って外交関係を樹立するのだが、いまだに、ピョンヤンにもブリュッセルにもEUと北朝鮮のそれぞれの大使館に相当する代表が部設置されるにはまだ至っていないこと、あるいはKEDOが6者協議によってつぶされ、EUの朝鮮半島での重要な橋頭保を失ってしまっていることを指摘した。このことに示されるよう、EUの対北朝鮮外交は中途半端なものであることを指摘した。
また韓国の金大中、盧武鉉政権はEUを上手に活用しているが、日本はこのEUカードの重要性の認識に乏しく、民主主義勢力であるEUを外交戦略として十分に位置づけ、活用できていない旨話す。
九州EU研究会は会員数100名余で、西南学院大学の肝いりで形成され、年間2回の研究会を実施している。EUに関心を持つ大学の研究者が主の会員であるが、関心のお持ちの方は連絡のほどを。