児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
政治権力の作用を体感する一日ー給油所に走る

 今日は、政治学の教材として、政治権力の作用を実にリアルに語れる一日となる。
 仕事が終われば、全国では百万の単位を超える庶民がそうであろうように、実際に給油所に出かけ、満タンにしてもらうつもりだ。日本では、路上を走る車だけで、かるく三千万台を超えているはずだが、その一割としても300万台は各地の給油所に足を運ぶだろう。
 黒塗りの高級車を自由に使える政府要人やタクシーチケットをふんだんに使える高級幹部、そしてガソリン価格など屁のようであろうヒルズ族を除けば、庶民は1000円の節約のために、貴重な時間を割いて、給油所に足を運ぶことを強いられる。これほど政治権力の作用を見事に体感できることもそうない。
 そう遠くない将来に確実にくる総選挙では、庶民の暮らしの痛みの感覚を共有できる政治家を、選ぶことを、少なくとも私は心に決めている。
| 児玉昌己 | - | 12:30 | comments(0) | trackbacks(0) |
祝日に出勤しEUの法規範制定権限の意味を講義す
 祝日だが、2日の創立記念日の補充講義日として、出勤日。そのため高速の深夜割引を使い、自宅の長崎から、久留米に戻る。
 法科大学院の担当科目、EU政治論の講義をしてきた。EUの法規範制定権限の意味の重要性を講義。それだけでは、学生諸君も、そして私も疲れるので、リヒャルト・クーデンホーフカレルギーの欧州統合思想を後半で講義する。
 最近は知られてきたが、映画「カサブランカ」は、ナチスの追跡を逃れ米国に亡命する政治思想家を、ハンフリー・ボガード扮するバーの主人と、イングリット・バーグマン扮するかつての彼の愛人がその逃避行を支援する内容である。その中に2人の愛憎を織り交ぜて物語は展開する。
 両者がかかわるその亡命政治思想家こそ、リヒャルト・クーデンホーフカレルギー、その人をモデルにしているといわれている。映画の背景に流れる「時の過ぎ行くままに」にもいい。1942年の大戦下に作られた傑作である。
 名画に名曲、500円でDVDも入手できるから、ゴールデンウィーク(GW)くらい、勉強に疲れたらと、学生諸君に推薦した次第だ。
 私のGWといえば、有田の陶器市に、家人や友人遊びに出ようかと思っている。気に入ったコーヒーカップでも見つかれば御の字だ。それでおなじ版権切れの格安DVDで、今回見つけた「グレンミラー物語」でも楽しめれば、最高だ。
 なお、2日に分けて書いた山口補選のブログでは、昨日1192のヒットを記録した。また2つコメントをいただいた。地元の方で、各地区の投票動向と選管のHPを提示していただいた。感謝。 

 
| 児玉昌己 | - | 12:25 | comments(0) | trackbacks(0) |
恐れ入るべし 自民党 衆院山口2区補選惨敗 下
 山口補選で示された、有権者やとりわけ高齢者の怒りを過小評価するべきではない。
 30年近い年月の後、先の参院選挙における民意の反映のおかげで、ようやく暫定増税分が正常な額に下がったと思いきや、再度引き上げられ、ガソリンが一挙に160円台にでも暴騰すれば、国民はそれを促進した政治家を許さないだろう。
 なぜなら、日々のガソリン代だけでも大変であることに加えて、国民の常識的な感性として、ガソリンの次に来る大規模な諸物価の暴騰を知っているからである。
 燃料でもあり原料でもある原油の現代社会における用途の広がりは、現代人の日常生活の全域に及んでいる。まさに輸送、運輸から、鉄鋼や、コンクリなどの素材産業、そして水、電気、ガスなどのあらゆる分野に及ぶ。そのネガティブな波及効果は絶大である。
 世論を意識した福田首相の突然の心変りによるリードで、道路特定財源の一般税源化に動き出した自民ではある。だが、ガソリン減税もなく、一括して一般財源化し、しかも道路建設の既定の基本計画を維持し、予算額は死守したいとしている。ガソリン価格の高騰と政府の無策による増税の影響は、自民が最重視する道路部門の比ではない。
 原油高騰の影響は、すでにスーパーに行けば、一目瞭然だ。食料品は軒並み高騰し、そして月々の公共料金の値上がりは、家を守る主婦の心を冷やしている。
 福田総理、伊吹文明幹事長、それに次期総裁候補と目されている議員さんたち。それでも、生活防衛に奔走せざるを得ない国民を無責任というのだろうか。
 ガソリンの再増税をして、せっかく上向きかけた経済は冷え込むことは、目に見えている。企業収益や消費支出が落ち込めば、政府が、そして国家財政が頼みとする税収増もまったく期待できないものとなる。それはすこしでも経済の実態に目をやるなら、自明なことだ。政府与党は、いったい何を考えているのかといいたい。
 無責任だといわれるべきは、これまで850兆円にも上る空前絶後の財政赤字を放置し(ほんの10年前には650兆といっていたが)政府与党ではないか。
 国民はもとより、素材産業や、トラックなどの輸送業者、エネルギー業界などの広範な悲鳴に耳を貸さず、あくまで道路建設に入れあげ、しかも社会保険行政のずさんさが露呈した矢先にかかわらず、きわめて拙速にも後期高齢者医療保険政策の導入にまい進する政府与党の諸君ではないか。
 長崎同様、山口は保守王国。しかしいつの間にか、膨大な死票を出しつつわずかに1議席を争うだけの激越な小選挙区下での国政選挙で、議席は少しずつ民主に取って代わられつつある。すでに長崎では国会議員の数では、自民は第一党の地位を失っている。
 戦後日本の政治を一貫してリードしてきた由緒も実績もある自民党ではあるが、国民の声に耳を傾けることなく、ほとんど方向感覚を失っているようだ。
 1992年の総選挙で大惨敗し、細川内閣の成立を許した時のように、たまには野党になって、権力から離れた政党が如何に辛いものかを経験するには、いい時期かもしれない。
 古人いわく、驕れるもの久しからず、と。

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NY原油>一時、119.90ドルの史上最高値(毎日新聞) - 2008年4月23日 
| 児玉昌己 | - | 12:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
恐れ入るべし 自民党 衆院山口2区補選惨敗 上
 開票率0.8%段階で、民主候補に当選確実が出た。まさに、NHK大河ドラマ「篤姫」を見ているときだ。そして浮かんだ言葉が、表題だ。
 まだ近代的な司法制度が確立していない近世の江戸幕府による統治にあって、行政罰の一種に「恐(畏)れ入(い)れ」というのがあった。恐れ入りますとして、不祥事の再発のないことを誓い、謹慎するというものである。それを思い出した。
 この早い段階でのNHKの当選発表は、いかに手ひどく自民が負けるかを意味していた。21日の以下のブログで私はこの結果を予測できていた。
 「投票近づく全国注視の衆院山口2区補選2008.04.21 Monday」 
 これが意味することを、政府与党は理解できるであろうか。次の総選挙は、昨年7月の参院の安倍総裁を総理に抱えての初の国政選挙での惨敗以上の大敗北を繰り返すということである。
 しかし、政府与党は、この敗北と関係なしに、失効した揮発油(ガソリン)税などの暫定税率を復活する租税特別措置法改正案、つまりガソリンの大増税の衆院再可決を断行するという。
 やりたければ、そうすればよい。ただし、日本はアジアでは数少ない民主主義国家である。民意は選挙で表わされる。
 しかも予測される選挙結果は、今の選挙制度では、劇的なものとなる。
 実際、今の選挙制度は、大局観を欠いた政治家自身が、これまた選挙制度の諮問委員会や審議会に属する在京のお粗末な政治学者の「助言」と、大メディアによる積極広報によって、「改正」と称して導入した、膨大な死票を生み出す非民主的なあの小選挙区制度である。
 この制度下では、獲得議席は、集票の合理的反映の範囲を超えて、ドラマッテックに変動する。すなわち、この場合、昨年7月に我々が実見し、目撃したように、自民(そして公明も)の議席の劇的減少として作用するだろう。
 
| 児玉昌己 | - | 23:02 | comments(0) | trackbacks(0) |
鶯の 啼きて西国 春うらら(海鳴庵) 我が家でくつろぐ日曜日
 昨夕、いつものように、通勤割引にあわせて、長崎自動車道で自宅に戻る。庶民はアレコレ工夫せねば、悪しき政治こよる物価高の世はやっていけない。
 妻の手料理は特段のものでなくとも、嬉しい。今朝は庭に出る。まだ明るい帰宅時にすぐにカメの水槽の水を抜いてやっていた。今朝は麗(うら)らかな陽の中で、カメたちものんびりと日向ぼっこ。日光浴が大好きなのだ。
 この時期いつものことだが、ウグイスが啼いている。帰宅を歓迎してくれるようだ。
 ただ、芝生は手を入れることもなかったベルギーでの在外研究中に、消え去った。樹木と芝生は両立もないということが、何より影響していたのだが。
 冬の柊の白い花や、早春の木蓮と庭の草花もまた終わった。だが、入れ替わりで、勢いのある新緑があざやかだ。伸びる一方の雑草をとりながら、庭で土と戯れている。
 「青葉繁れる桜木の里の辺りの夕まぐれ」。戦前よく知られた文部省唱歌で、大正生まれの母も口ずさんでいた歌詞の一節。この時期いつも頭に浮かぶ。
 圧倒的な劣勢にある南朝の側に立ち、戦死覚悟の楠正成の、桜井の別れの名場面を歌ったものだ。この短い文節に、見事にその季節感が凝縮されている。実に、昔の人は、その儚い命が費えても、なお厳然と残る自然があることを知っている生活であった。
 過酷だが、たくましい自然。それに比べて人間の傲慢なことよ。
 小さな我が家の庭において、様々な生命の躍動を覚え、生かされていることの素晴らしさを知る、いつもながら実に至福の時だ。以下、句と歌を詠む。

 ウグイスの 啼きて西国 春麗(うら)ら 
 新緑に ウグイスの声 迎え出で 有り難きかな わが里の春
 新緑に 渡りし声は ウグイスの 聴けてうれしや わが里の春
                          (海鳴庵)


 
| 児玉昌己 | - | 12:15 | comments(0) | trackbacks(0) |
土曜日の朝、出勤をまえに
 昨夕は他大学に移籍した先生と長年お世話になった事務職員が移動されたので、小さな送別慰労会が開かれ、なじみの店で、少人数ながら楽しい時間だった。
 だが、今朝は週末だが、講義。ルケンヌ教授(パリ政治学院)の講演会の司会という校務出張で欠けた分だ。社会活動が忙しくなるだけ、私の休養日にも影響してくる。
 夕刻は自宅に久しぶり帰るつもりだ。ガーデニングでもして、この3週間あまりの内外で抱えたストレスをとり除きたいものだ。
 久留米はつつじ祭りが有名で、桜の後には藤、そしてツツジ。久留米は戦前は「海(かい)の佐世保、陸(りく)の久留米」というごとく、帝国日本の一面を代表する都市であったが、今は時代も変わり、佐世保もそうだが、花に満ちたいい街だ。
 藤紫という表現があるが、陽光を受けた藤は、限りなく赤に近いことに初めて、気がついた。
 花はいい。ストレスを幾分なりとも、解消してくれる。私も含めて、男子は一般に花のことをあまり知らないし、それゆえ草花の名前が苦手だ。それゆえ、できるだけ、覚えたいと思っている。花を愛でる余裕は、人を愛する心と比例するように思う。
 昨日、横田夫妻や本村さんや橋本府知事などを言葉の暴力で貶めた大学教員がいたことにふれたが、大学の学長の謝罪文が出た。大学当局も放置できないほど、社会的な怒りを買い、抗議が殺到したのだろう。品位に欠き、知性を疑う文章に満ち満ちていた。
 そういえば、当人のブログには食のことはすこしあっても、花の記事はほとんどなかったように思う。メガロポリスの東京砂漠にあって、花を愛で、傷ついた人を思いやる心さえなくしていたのだろうか。世に名門といわれるところで育ちながらである。偏差値の上下と心のありようとは別物であることがよくわかる。
 
| 児玉昌己 | - | 08:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
 生命の尊さを貶めることなかれ、あるブログのこと
 当ブログでもたびたび言及している北朝鮮の拉致問題、および先日広島高裁で出された光市の凶悪犯罪事件に関する重要判決などについて、キリスト教系大学の女性准教授がブログでコメントしているが、拉致被害者の心情を著しく傷つけ、あるいは死者を冒涜する記事を書き、同時にその大学の建学の精神をも侵すものとして、問題になっている。
 周りから教えてもらって知ったのだが、あまりにひどい中身であり、絶句したほどである。それゆえ、こちらのブログを汚すだけであり、内容には触れないが、すくなくとも、生命の尊さ、それを奪われたものの痛みを想う心だけは失いたくないものだと思っている。
 なお、昨日、ブログはヒットは1142で日間ヒット記録を更新した。読者の皆様に感謝。
| 児玉昌己 | - | 15:23 | comments(0) | trackbacks(0) |
冗談ではないよ アメリカさん−米国産牛肉にBSEの特定危険部位再混入 下
 米国の信頼性の欠如では、欧州においては目を覆うばかりである。「世界の平和を脅かす脅威はどの国家か」を問われて、なんと多数の国家で米国が1位にあるとフィナンシャル・タイムズの調査で回答しているほどだ。
Financial Times, Europeans see US as threat to peace. July 1 2007.
 アジアにおいてさえも、米国は信頼を失うつもりであろうか。
 隣の韓国の李明博政権でも対米不信は強まるだろう。まして李明博の韓国政府は、相手の食品業界に著しく譲歩する形で、米国産の牛肉輸入の再開に応じている。韓米FTA締結を急ぐことを優先したためだ。これでは、国内からも突き上げられることは必至である。加えて、日韓両国で在日、在韓米国軍人、軍属の凶悪事件が多発し、そうでなくとも、反米感情が広がる両国である。
 レームダックに入っているブッシュ政権は、ヘマを連発して、同盟国をこれ以上刺激することをやめるべきである。ただでさえ北朝鮮に足元を見られ、舐められ始めているのだから。
| 児玉昌己 | - | 18:21 | comments(0) | trackbacks(0) |
冗談ではないよ アメリカさん−米国産牛肉にBSEの特定危険部位再混入 上
 またしても、日本に輸出された米国産牛肉にBSE(牛海綿状脳症)の特定危険部位に指定されている脊柱(せきちゅう)の混入が発見された。場所は、「牛丼ひとつに30年」の吉野家だ。あきれてものもいえないとはこのことだ。これで3度目だろう。
 発送先を間違ったミスだと平然と言う。
 そんな毒物をいったいどこに発送するつもりだったのか。日本以外ならいいのだろうか。ミスで済まされることでは断じてない。米国の国辱的事件として、米政府農務省は深刻に受け取るべきである。第一、米国にあっては、国内のBSE患者と食肉の因果関係の究明にさえ、消極的であると聞く。
 こんな具合だと、農務省ばかりか、国務省が、北朝鮮の核濃縮に関する申告を扱い、あるいは、核濃縮技術まで「配送ミス」しているわけじゃないだろうか、とその管理体制にさえ疑念を強く抱かせる、そんなニュースだ。
 これでは中国の毒餃子にたいする追試さえできないで、日本に責任があるとする出鱈目な中国政府による対処と似たりよったりではないか。
 再発防止を約束しながら、またしてもである。メディアが提供している写真によると、しっかり梱包しているから、確実に危険部位をどこかに発送する意図を持って、業者は流したのである。国際的な背信、犯罪行為である。
 米国の信頼性は、日本においては、きわめて遺憾ながら急速に低下している。まともな占領統治のプランなしに現在の混乱を見るイラクや、国家形成に苦戦するアフガン政策のために、自衛隊の派遣を要求されることもそうだし、北朝鮮のテロ支援国家指定解除に向けた動きもそうだ。
 
| 児玉昌己 | - | 09:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
物乞い国家の悲痛な叫び−北朝鮮の危機認識下
 超大国ではなく、国連192カ国にあって、最貧国家の分類に属する北朝鮮が、西側世界第2位の経済大国を脅威にさらすとは、歴史とは時に皮肉である。もっとも、あえて、皮肉を続ければ、核軍拡にまい進する北朝鮮の独裁者が、無能な戦争指導者による無残な敗戦とともに失ってしまっていた日本人の健康な国防意識を救済し、育成した最大の功労者ともいえるが。
 ともあれ、軍拡は北朝鮮や中国の側であって、日本ではない。物乞いと核開発で国民を飢えさせるだけしか脳のない国家のいうことは、ハナから信頼性に欠く。独裁の延命のためには韓国からの支援米さえ、国民に渡さずネコババしている。たとえば、以下。
「韓国が北朝鮮に支援したコメ、一般住民には渡らず」聨合2007/10/09、
「北朝鮮へのコメ支援再開、しかし北朝鮮の食糧配給システムは…」March 06, 2007 07:15 東亜日報
 明瞭に指摘できることは、後世の歴史家が21世紀初頭の日本の安全保障について記述するとき、直接的には日本の国防は、北朝鮮の核開発の脅威に対応する形で強化されたと書くということだろう。これに自衛を超える空母建設にまい進する中国の軍事的拡大の記述が続くことだろう。
 東北アジアの平和の根底を危機に曝しているのは、まさに北朝鮮であり、それを延命、助長した2代にわたる親北朝鮮の金大中、盧武鉉政権であった。このことは、いまとなっては、世界の常識となりつつある。その金大中。その政権下で金で買ったノーベル賞に関する内部告発が、そのダーティな裏仕事を担った当事者の米亡命者により、ようやくなされそうだ。
 以下その記事一部。
北朝鮮メディア「日本が北東ア軍備競争をあおる」聯合2008/04/21
 「金大中氏ノーベル賞疑惑、元国家情報院職員が会見へ」聯合2008/04/22
| 児玉昌己 | - | 16:15 | comments(0) | trackbacks(0) |

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