児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
台湾出張より帰国しました
 すべての日程を無事終えて、夜に帰着しました。現地の大学関係者と懇談でき、実に有意義な出張でした。
 フライトの4時まですこし時間があったので、朝ホテルから車で15分ほどのところにある日本統治時代の大正4年に建立された官幣嘉義神社に出かけてきました。
 ここは、国立の植物園の中にあり、神社は最近まで残っていたとのことですが、94年に焚き火で消失し、社務所が維持されています。日本海軍のゼロ戦の整備兵だったというご老人が、われわれの日本語を聞き寄ってこられ、なつかしそうに、この神社にまつわる話をされた次第でした。
 戦後、皇族として唯一戦犯として巣鴨に半年拘留された陸軍元帥、梨本宮の嘉義神社来訪などの話も出て驚きました。日本ではすっかり忘れられている方ですが、台湾の嘉義で記憶されているのが、強く印象に残りました。
 いよいよ明日から12月です。今月のブログ集計は明日出ますので、明日わかり次第報告します。

 
 
| 児玉昌己 | - | 22:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
台湾で欧州を考えること
 前回の台湾は姉妹校視察ということだった。
 今回は当事者として、当地の大学が主催した国際学会での報告をした。日本語で大丈夫いうことと、そして国際学会での報告では、ある程度の経験をつでいるので、緊張感は軽減されていた。とはいえ、やはり、当たり前だが、どこかですこし緊張していた。
 自分がなす報告がいかほどの意味を当地の学生さんを含めて、関係者にもつのか、それはやる側としては、終始気になるところだった。それも終わった。
 今日は、昼過ぎに新幹線で、台北に戻り、空港から4時過ぎにフライトし、帰国する。
 これまでは、本場の欧州に視座を置き、欧州統合を内在的に研究してきた。文字通り、30年わき目もふらずにEU研究にエネルギーを注ぐ研究者としての生活をしてきた。欧州統合は欧州のことであり、それ自体を内在的に学ぶことの重要性を意識して来た。
 内在的というのが、重要なことであり、往々にしてありがちな、外国の重要な事象に対して、勝手な意義を外部者が安易に見ることは許されないと、考えるところもあった。
 しかし第2次大戦後、欧州で行われている政治事象と、欧州人の考えについて、ある程度の理解を得した後は、それを日本に生きる研究者としてさてどうみるのか。それは、次にくる重要なテーマである。
 逆にいえば、どこかにその視点がないと、無責任なぺダンティズムの、単なる欧州好きで終わりかねない。
 欧州でもない、日本でもない台湾にいてそれを考えている。
 すなわち、アセアンの諸国に最も近く、華人ネットワークという独自の関係を商品経済や流通経済を通して、東南アジア世界と広く構築している台湾という2400万の国家に身をおき、そして民主主義の確立した度合いにおいて中国大陸とは比較にならないほど高いものがあるこの地にしばし身をおいて、EUというもの、欧州統合というものを学ぶ意義について、今、考えている。 
 そうした視座は私にとっては実に新鮮なものである。そしてそれは実に今始まったばかりである。
 ともあれ、百聞一見にしかず。この地に来て、実に貴重な機会を得た。そう、一人、朝のホテルで思っている。
 

 
| 児玉昌己 | - | 08:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
呉鳳学院での国際シンポジウムも終わる
 今日は昨日とは違い、呉鳳学院日本語学科が開催する日本語研究大会。
 初日の大規模な会議とはまた違って、小ぶりの会ながらも、台北や高雄の大学の日本語学科の先生も参集して充実したセッション。
 大矢野教授が観光の意義を経済学的側面から話された。私は、EUという国際組織について、日本語への翻訳に際して起きるアレコレの問題を話した。
 中国語・台湾語と日本語の往復の作業に毎日格闘されている研究者を前に、言語学者だけでなく、政治学者も、EUという国際統合組織についての翻訳の困難さや邦語表記について、格闘している旨の話をした。
 最初、どう話せば、関心をもたれるか危惧していたが、終わった後、非常に面白かったとのコメントを数名から頂き、ほっとしたところだ。
 その後は、どこでもそうだが、懇親会。台湾の日本風レストランでの夕食。開催校の人的ネットワークで、多くの先生が参加されて盛り上がる。
 台湾大学の蔡先生は、40歳前後だが、日本語のみならず、モンゴル語、ロシア語にも通じておられて、その知識に驚嘆。
 漢字文化でありながら、これを廃止したベトナム、韓国などの歴史継承の問題が話題となり、言語学の観点から大いに盛り上がった。
 日本人の若手の日本語教師の皆さんの、台湾との出会いの面白い話や、教育現場での苦労話も興味深かった。それになにより、出席者の台湾の先生はみな日本語プロで、流暢な日本語を話される。それでさらに意思疎通ができ、盛り上がって、楽しい会だった。
 台湾に来て初めてお酒もでて、依頼されていた仕事を無事終えた開放感もあり、いい気分で、2日目も無事に終えた次第だ。
 2400万の台湾。EU加盟国でいえば、人口規模は、27か国中7番目に位置する。 
 日本統治時代の過去を知らない若者たちが育っている。戦前と断絶している若い世代が、新しい興味関心から、日本語を学んでくれていることは実に、うれしいことだ。
 同時に、それを大学の教育現場で支えておられる教育関係者と直に親しく語れて、実に幸せなひと時だった。こうした国こそ、大切にされねばならないと、そう思った次第だ。
| 児玉昌己 | - | 23:57 | comments(0) | trackbacks(0) |
台湾出張2日目
 朝8時半の迎えに始まり、200名の聴衆を前に、報告を終え、懇親会に出て、ホテルに送ってもらい部屋に戻ったのが、9時。長い一日だった。
 「アジアにおけるEUを学ぶ意義」というテーマで話した。複雑なEUと時間的な制約のため、欧州統合の意味を象徴的に物語る単一通貨ユーロと、EU法の上位規範性に絞って話した。
 こちらの高等教育機関も激しい集客競争で、国際交流の実践は当地の文部省にたいしても、学生募集にも魅力アップの重要なイベントということで、力を入れている。そのお手伝いが出来たとすれば、何よりだ。
 懇親会までの間、華南平野を見下ろす崋山の仙地に移動し、地元名物のカフェを飲みながら、夕日を楽しむという私的なイベントも企画していただいたが、気温差が23度から10度と10度以上もあるので、マフラー持参で正解だった。
 明日もう1つの報告があるが、とにかく今日のが一番の大きな会で、重責を果たせてホッとしている。熱い風呂にでも入って、くつろぎたい。
 
 なお台湾出張中に、ムンバイでのイスラム過激派と見られる大規模テロのニュースに接しました。外地で心ならずも、不幸な出来事に遭遇され、死傷された方や遺族、被害者、関係者のみなさまにお悔やみとお見舞いを申し上げます。 


 
| 児玉昌己 | - | 22:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
台湾出張の初日
 朝6時半おきで、福岡空港からフライト。桃園から新幹線で、台湾南部の嘉義入り。この間、列車の中で通訳の担当者の林志達宣せと明日の報告の打ち合わせ。パワーポイントも使う予定で、それも彼のノートパソコンに入れてもらった次第だ。
 初日の用件を済ませて、同市のホテルに来ている。
 当然だが、上質のホテルは、インターネットサービスもあり、ノートパソコンを持参した甲斐があった。ありがたい。2度目の台湾だが、この地は繁体字で、違和感があまりない。料理も日本人にはよくあって、何の不足もない。
 しかも呉鳳学院には、台湾出身で久留米大学に学んだ蔡先生が主任として活躍している日本語学科があるので、言葉の問題は全くない。明日と明後日とシンポジウム。
 朝が早かったせいで、今夜は早く就寝して、明日に備えたい。大矢野教授もお元気である。
| 児玉昌己 | - | 22:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
明日から海外出張で不在です
明日から3泊4日で、台湾の嘉義県の呉鳳技術学院Wufeng Institute of Technologyに出張します。国際シンポジウムに出るためです。ブログが書けないときは、インターネットが使えないか、多忙ということでしょう。そうご理解ください。
 台湾の首都台北で開催されるEU学会のシンポジウムはアジアとEUということですが、1週間遅れの、12月ということで、帰国後。アジアのEU研究を調べているものとしては、残念でした。だたし関係者とコンタクトが取れましたので、次回にでもと思っています。
 韓国のEU学会については、ベルギーでの在外研究から戻った85年の秋に、学会の理事長経験者で友人の金大淳延世大学法科大学院教授に声をかけてもらい、ソウルのプレジデントホテルでの国際シンポジウムでEUー北朝鮮関係の研究を報告したことがあり、その時に、すでに少し調査したことがあります。
 今度は台湾、そして来年以降はベトナムのEU研究も当面調べて見たいと思っています。
 アジアにとってEUとは何か、米国については良く知られているのですが、EUがいかなる意味を持つのか、どのように関心をもたれているのか、それを探ってみたいと思っています。
 なお、先ごろ日本EU学会では理事会の理事の初めての選挙(それまでは理事会による推薦による指名)が実施された。私も改めて理事に選出(継続)されたことを最近知った。
| 児玉昌己 | - | 16:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
リスボン条約批准過程余話6 Declan Ganleyと欧州議会
 アイルランドの国民投票でのリスボン条約否決が4ヶ月以上EUの将来設計の見通しを阻害している。
 すでに書いたように、EUでは条約改正は全会一致である。1カ国でも反対すれば、成立が不可能になる。ところがEUは加盟国は増えるばかりで、この方式をとる限り、常にネガティブな投票の危険に晒される。それは、私の著書でもすでに書いたところだ。
 今日はアイルランドでのリスボン条約の賛否のキャンペーン過程で派生した問題を書こう。
 Declan Ganleyという名を聞かれたことがあるだろうか。
 今、リスボン条約ではこのアイルランド人の名前が良く出てくる。反リスボン条約キャンペーンを展開したのは、自由党系のリベルタスである。その党首がこのガンリー氏である。
 彼の所有の米社Rivada Networksが2億ドルの通信機器の契約をペンタゴンと持っているということがあり、その関係で、米国のタカ派の資金が不法にアイルランドの国民投票の選挙運動にで投じられたのではないかという疑惑が、有力紙アイリッシュタイムズ紙に報じられた。
 米国のネオコンが強い欧州を嫌い、アイルランドの国民投票での反対運動に違法に資金投入して、リスボン条約の批准を裏から妨害した疑いがあるというのである。確かに狙うとすると、唯一国民投票を行った小国アイルランドが一番である。すこし驚きのニュースではある。
 結果として、欧州議会が調査団を米国議会に出すということにまでなった。だが、はたしてどこまで真相究明がやれるのか。欧州議会は独自の調査委員会は設置せず、アイルランドの行政・議会監査委員会Standards in Public Office Commission (SIPO/2001年設置)が調査中でその結果を見ているというところが現状である。当人は「濡れ衣」と述べている。 調査結果が待たれる。
 リスボン条約批准については、状況は賛成派にとって、改善されつつあるようだ。反対投票したものも、リスボン条約とは直接関係のない中絶の問題や、軍事的中立の問題をその理由に挙げていた。同じ小国のデンマークやスウェーデンは金融危機の中で、ユーロ圏入りを目指すよう政治の舵取りをきりつつある。
 すでにこの条約については、なにより加盟国が途中挫折した前身の欧州憲法条約から、2度にわたり調印を済ませている。内容は90%欧州憲法条約を踏襲したものである。
 26カ国が批准を完了して、残るは唯一アイルランドだけとなれば、最もEUから恩恵を受けて、目覚しい経済発展を遂げたアイルランドとしても、2度目の国民投票でのノーは、なしがたいのではというのが、大方の見方である。 
| 児玉昌己 | - | 07:36 | comments(0) | trackbacks(0) |
ETCの割引を使う
 朝は雨の長与だったが、10時半を過ぎて秋の日差しが戻ってきた。今日久留米に戻るので、天気は気になっていた。
 久留米移籍も7年目に入り、久留米―長崎の往復の生活も日常のものとなっている。  昨日は給油所で128円で入れることができたが、そのガソリン価格、一時期は170円もしたが、ここに来て景気の後退に伴う需要の急減と価格の急落となり、これととともに、ETC割引はなおさら、ありがたい。
 ETCの休日割引がある。今日は休日。それでこれがつかえる。
 休日割引は通勤割引と同様の割引率で、時間帯だけが違う。一車両、2回まで使え、ETCカードを2枚使い、一度高速道路から降りるという煩雑な(そういえば、未曽有、踏襲など漢字がまともに読めず、重要な外交の場で頻繁をハンザツと、そう珍読したどこかの漫画好きがいたが)ことをしなければならない。だが、合計200キロまでを半額で利用できる。
 それまではのんびりしたい。
| 児玉昌己 | - | 10:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
リスボン条約批准過程余話5-スウェーデンの批准と追いつめられるクラウス

リスボン条約の批准が進んでいなかったもう1つの加盟国がある。それがスウェーデン。
 わが国では十分報道されていないが、1120日、同国議会the Riksdag1971年から一院制)で批准の採決がなされた。採択の内訳は、以下。
 賛成243、反対39、棄権13、欠席54名。圧倒的多数での採択だ。これでスウェーデンはリスボン条約の23番目のEU加盟国になった。緑の党など反対派は、批准を更に1年引き延ばせる48票の獲得を目指したが、届かなかった。
 サブプライムの米国発の金融危機で大きな打撃を受けて、自国通貨クローナ(11.5円)の放棄およびユーロへの転換の機運もずいぶん高まったスウェーデンである。議会でのリスボン条約の採択での投票動向で、それがどう影響したかについては、今後の分析が待たれるが、興味があるところである。
 スウェーデンのリスボン条約批准は、反EU派には打撃である。とくに、アイルランドの反リスボン条約批准派とチェコのクラウスには打撃となる。追い詰められていく感じだ。
 チェコは、議会の承認の議決は終わっているが、憲法裁判所でのリスボン条約の合憲性が審議されており、その判決が今月25日に示される。私も含め、EUウォッチャーが最も重視しているところだ。
 同じく議会での作業を終えているドイツも、同様に、憲法裁判所に判断を仰いでおり、その判断は2009年早々にも出ることになっている。
 すでに欧州委員会は委員長バローズが、613日にアイルランドの批准否決という国民投票の結果が出た後、それもかかわらず、他の加盟国にたいして、粛々と進めるようにと声明を出している。リスボン条約批准反対派の外堀を埋めていく戦術だ。
 クラウスのチェコは来年1月からEU議長国であるが、クラウスが名誉議長を務める与党ODSが10月の地方選挙と上院議員選で大敗している。上院は定数81、改選数27で、最大野党の社会民主党が23議席を獲得して勝利している。
 リスボン条約でいえば、もともと、同国政府はリスボン条約には調印しているのである。
 はたして、27カ国中24カ国も批准を完全に終えたリスボン条約について、チェコのクラウスは、国内政局でも知事選での大敗を受け、厳しい立場に立ち、それでもなお従来の反EU姿勢をで貫けるか、それが興味深い。

| 児玉昌己 | - | 18:08 | comments(0) | trackbacks(0) |
晩秋の日曜日 「翼の折れたエンジェル」再録
  久しぶりの長与での日曜日。2階の書斎では木蓮の枝が、窓を外からうかがうほどにもせり出してきて、黄色く色づいた葉で、季節の終わりを教えてくれる。
 大寒の頃と同じという記録的な寒波は終わり、晩秋の穏やかな風景に戻っている。
 齢をとったのか、以前は狂おしくも抜け出たいと思っていた、特段のこともない日常こそ、最近はいとおしく感じられる。そんな静かな日曜日の午後だ。
 テレビでは、キリンビールの宣伝で、2年前、ここで紹介した中村あゆみの「翼の折れたエンジェル」を使っている。 以下再録しておこう。

2006.12.24 Sunday
イブは中村あゆみを聴く
 通販で求めていた電波腕時計が到着。やれやれ。これで時刻の不確かさの不満も消える。
 NHK衛星では、なつかしのポップス特集をしていたが、85年にカップヌードルのテーマソングでブレイクした中村あゆみの「翼の折れたエンジェル」が特に心に残った。本人が登場したことが印象を強くした。
 もっとも、その歌については、メロディの一部しか記憶に残っていなかったのだが。たいていブレイクしたものについては記憶しているつもりだが、この曲については、記憶が薄い。考えるとその年は、ベルギーの欧州大学院大学に単身留学に行っていたためだ。
 ともあれ、ネットでは、彼女の若い時代のライブもあり、楽しんでいる。
 中村のハスキーとともに、アップしてくるリフレインがなんとも、こ気味よい。作詞作曲を手がけた高橋研の創作のセンスが光る曲だ。60年代アメリカンポップスを20年で日本になじませた、そんな名曲だ。
 忘年会、新年会ではこれを歌おう。
| 児玉昌己 | - | 13:09 | comments(0) | trackbacks(0) |

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