リスボン条約の批准が進んでいなかったもう1つの加盟国がある。それがスウェーデン。
わが国では十分報道されていないが、11月20日、同国議会the Riksdag(1971年から一院制)で批准の採決がなされた。採択の内訳は、以下。
賛成243、反対39、棄権13、欠席54名。圧倒的多数での採択だ。これでスウェーデンはリスボン条約の23番目のEU加盟国になった。緑の党など反対派は、批准を更に1年引き延ばせる48票の獲得を目指したが、届かなかった。
サブプライムの米国発の金融危機で大きな打撃を受けて、自国通貨クローナ(11.5円)の放棄およびユーロへの転換の機運もずいぶん高まったスウェーデンである。議会でのリスボン条約の採択での投票動向で、それがどう影響したかについては、今後の分析が待たれるが、興味があるところである。
スウェーデンのリスボン条約批准は、反EU派には打撃である。とくに、アイルランドの反リスボン条約批准派とチェコのクラウスには打撃となる。追い詰められていく感じだ。
チェコは、議会の承認の議決は終わっているが、憲法裁判所でのリスボン条約の合憲性が審議されており、その判決が今月25日に示される。私も含め、EUウォッチャーが最も重視しているところだ。
同じく議会での作業を終えているドイツも、同様に、憲法裁判所に判断を仰いでおり、その判断は2009年早々にも出ることになっている。
すでに欧州委員会は委員長バローズが、6月13日にアイルランドの批准否決という国民投票の結果が出た後、それもかかわらず、他の加盟国にたいして、粛々と進めるようにと声明を出している。リスボン条約批准反対派の外堀を埋めていく戦術だ。
クラウスのチェコは来年1月からEU議長国であるが、クラウスが名誉議長を務める与党ODSが10月の地方選挙と上院議員選で大敗している。上院は定数81、改選数27で、最大野党の社会民主党が23議席を獲得して勝利している。
リスボン条約でいえば、もともと、同国政府はリスボン条約には調印しているのである。
はたして、27カ国中24カ国も批准を完全に終えたリスボン条約について、チェコのクラウスは、国内政局でも知事選での大敗を受け、厳しい立場に立ち、それでもなお従来の反EU姿勢をで貫けるか、それが興味深い。