民主の公約がこうなることは、すでに分かっていたことだ。
実際、半年前に私は以下のブログに書いていた。「2009.07.28 Tuesday驚くべきも不適切な民主の公約の財政的裏付け 下」 http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=1937
空前の国家債務を積み上げた自民政治の後で、それ以上に、膨大な財政出動を前面に打ち出した生活防衛と称する大規模予算を組むことを前提としたマニフェストを掲げての選挙戦であったがゆえにである。
しかも、膨大な財政出動を前提とするものの、まるで財源の裏打ちもないままで、頼るべきは無駄の削減としていた。無駄な予算の削減で10兆円単位の予算浮かせるわけがない。
ガソリン減税もいうだけで、高速道路の無料化も、通行量がすくなく、大勢に影響がない18%。
問題は路線の数や距離ではなく、この路線が生む売上高だ。売り上げでみれば、これでは全体の1%にも満たないであろう、超マイナーな路線だけ。
すなわち、「社会的実験」などと、大仰な表現を使うものの、結局のところ、社会と経済へのインパクトは限りなく零に近いというだけのことだ。
つまり高速道路の無料化の名に相応しい実質がほとんど国民に提供出来なかったということだ。
そして今回2年目からの子供手当の満額給付の断念をいう財務担当副大臣の登場だ。
もっともこれは財源の観点から次の世代に膨大な借金を残さないという財政健全化の本旨において、間違っているわけではないのだが、マニフェストとの整合性が取れず、嘘をついたことには変わりない。
結局、この政党が政権選択として掲げたマニフェストの実現性とは、さほどの程度でしかなかったというべきでろう。
さすれば、まるで詐欺と同義語であったと歴史家は断罪することだろう。
外交でも同様である。
対米政策でいえば、北朝鮮のミサイルの確実な脅威の深化を前にして、防衛という根幹の議論に全く触れることなくて、普天間の自民案もまだ維持しているという程度の不決断を物語るものだ。
指導者の国家の戦略についての備えのなさと、現実に直面しての優柔不断。さらには下僚による閣内不統一ともいうべき発言とそれを許す指導力不足、相手国の対日不信の拡大。そして確固たる方針もないまま、延々4カ月が浪費された。実に惨憺たる体だ。
これで自民案で行くとすれば、何のための5月までの9カ月であったかということだ。沖縄の人の心をもてあそび、また対米関係をガタガタにするだけの外交でしかなかったということだ。
対中政策もまた然りである。
中国の厳しい思想言論統制も、利益むき出しのガス田開発でのわが国の国益との衝突も指摘せずに、祖父が使った時代において意味があった「友愛の海」という観念主義にあそぶ。
一党支配を断罪する映像を含めた情報を徹底して遮断する中国の人権状況の深刻さも問わずに、EU型の東アジア共同体構想を説く。これなど全く論外である。
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