児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
山口謡司撰「戦国策伝」ラピュータ 2010の恵贈を受ける
  山口謡司先生(大東文化大学)はこのブログでもたびたび登場していただいている。以下のブログがそれだ。
山口 謠司 『日本語の奇跡〈アイウエオ〉と〈いろは〉の発明』新潮新書2007
 
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=990
山口謡司著「ん―日本語最後のなぞに挑む」新潮新書2010
 
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2216
 登場していただいているとはいえ、何のことはない。ただ私が一方的な読者、つまりファンだということだけのお付き合いなのだが。
 「日本語の奇跡」はタイトルに惹かれて書店で購入したが、ブログを書いて以降は、目に留められたのか、ご著書をご恵贈いただくようになった。
 今回の「戦国策」、中国の長い歴史の中で生みだされた紀元前の、権謀術数の中で生き、命を落とした政治指導者たちの、生きざまを凝縮した、煌めくような言葉に満たされている。
 漢文は口に出しながら、読むのが一番だ。整除された韻律の美を脳の中で感じ取ることができる。
 一般人と異なり、公人として政治権力を行使するという特別な人たちにもかかわらず、国家の使命を帯びる公務員をおとしめることを口にし、あるいは口にしたことが誤報だなどと平然といったり、まるで放つ言葉に美がない、今の政治家こそが、なにより手にし、虚心坦懐に詠み、学ぶべき書であると思っている。
 緒言いわく、決して逃げなかった男たちの教え。  
 今の指導者とはえらい違いだ。
 ともあれ、山口謡司先生のますますのご活躍を大いに喜ぶ次第である。 
 事後譚
 電話で初めて直接お話ができた。なんと同じ高校の出身者ということだった。人生は不思議な縁に満ちている。上京時に一献交わすことを約した次第だ。山口先生はケタ違いの才人なのであることを以下で発見したところ。驚くべし。
http://www.itabashi-life.com/backnumber/person31/index.php
| 児玉昌己 | - | 12:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
晩秋の久留米の風景を詠む  海鳴庵/児玉
 気温も下がり、今年の2度目の灯油を買いに出た。
 1か月前には向日葵にも似て元気な黄色い花を咲かせていたつわぶきも萎れてきて、それが晩秋から初冬へ向かう季節を実感させる。


 つわぶきの 黄(き)も萎(しぼ)みてや 冬支度
                 海鳴庵/児玉 



 
| 児玉昌己 | - | 20:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
兵器が決する現代戦争と民主の国際認識 下

 かくも重大な事件が起きているにもかかわらず、事態の把握にも閣僚は無頓着で、官邸は一時期空っぽだったというが、平和ボケというべきだろう。宮中での行事を理由にしていた閣僚が複数いた。どんな状況でも即応する緊張感を常に持つべき官邸にあって、そのマインドに乏しい政権である。
 管総理は、閣僚の米韓軍事演習の間の禁足と北朝鮮系の学校への国民の血税というべき国費による助成措置の停止を慌てて発表した。こんなことでも起きないと、北朝鮮という国家の実態が理解できないのだろうか。  

 菅首相は北砲撃への政府対応は「迅速かつ適切だった」と語っているが、北朝鮮の攻撃への日本政府の非難声明1つを出すに7時間もかかるという具合だ。
 現場から遥か彼方のヨーロッパのEUだってその時間では非難声明をアシュトン外相(外交安保上級代表)が出している。
 官邸の住人たちが、野党の時代に与党を攻撃するばかりで、外交、軍事、そして国際情勢に身ずからの感性をいかに磨かなかったかである。
 自衛隊を暴力装置というような官房長官などの言行にみられる「民主」という政党による、国民の平均的価値観とは著しく異なる「中道左派政権」
(仏週刊誌ヌーベル・オプセルバトゥール)がもつ、国際認識の質を毎日驚きで見せつけられる感じである。
 もっとも民主の全員が今の党幹部と官邸政治を良しとは思っていないのだろうが、中枢への内部批判が出てこないのも不思議というより、陣笠の新人議員が半数近くいるからとはいえ、不気味なことではある。
 選挙が近付けば、内部分裂のマグマとなるのかもしれない。ただ権力とカネで批判を浴びている小沢氏が、その多くの議員のトップだから、苦悩は深いだろう。
 ともあれ、戦争防止のために、政治学だけでなく、軍事的側面でも、北朝鮮の実態を研究しておく必要がある。

参考記事

70分間官邸からっぽ…安保会議不開催にも批判 北朝鮮砲撃 産経新聞 1125

北朝鮮砲撃 政府初動に批判 菅首相、釈明に終始毎日新聞1125日

| 児玉昌己 | - | 13:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
兵器が決する現代戦争と民主の国際認識 上 

 韓国への悪辣な軍事攻撃は現代兵器による本格的砲撃戦で、民間人にまで死者が出ている。民族共助などと口では言うが、実はこれが北朝鮮独裁者とその軍隊の正体だ。
 専門家は冷静にその結果を分析していることだろう。
戦争が始まれば、兵器の性能が戦場での勝敗を決する。それは戦争の古今の歴史が多数の事例を提供している。好き嫌いの次元の問題ではない。
 韓国国防大臣は初期の軍事的対応が不適切であったということで更迭された。金大中と盧武鉉の2代10年に渡るあの驚くべき太陽政策で、主敵論が一掃され南北共助などという馬鹿げた政策で、北朝鮮の本質を韓国国民が見失い、軍部も動揺したからだろう。
 実際、北砲撃時に韓国軍対砲レーダー誤作動で応射に支障が出たということである。予算を削減されグレードの低い仕様の装備となったからだという説もある。何とも無様なことだ。 
 
しかし、韓国有力メディアの続報では、北による延坪島攻撃で、「韓国軍のK−9自走砲、北砲弾の10倍の威力」2010.11.25と  中央日報が伝えている。
北朝鮮側にも相当の被害を出しているということだ。
 なお、北朝鮮の砲撃170発、陸上着弾は80発(
読売新聞1124日)と伝えられていて、命中精度については高くないように思われる。

 戦争など起きてはいけないことなのだが、実際には、北東アジアにおいてわずか日本から数百キロ離れたところで、実際に戦争が起きている。
 これは単なる武力衝突というより、21世紀の砲撃戦であり、明らかな戦争行為である。北朝鮮の武力攻撃の事実を過小評価しないことだ。

| 児玉昌己 | - | 23:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
救いようのない北朝鮮独裁王朝
  昨日、久し振りに我が家を訪れた法科大学院の教え子と話している時に、北朝鮮による砲撃の報道を知る。
そして思い浮かんだのが上記のタイトル。これで国際社会をさらに刺激し、同国住民は、極寒の冬を支援物資も食料も事欠き、過ごすことになる。それは北朝鮮全体主義の終焉を早めるよう機能することをただ祈るだけだ。
 それにしても、明らかな戦争行為に対する韓国の反撃のなさも気になる。すでに魚雷攻撃で46名の死者が出ている。これでは国家の威信は傷つけられたままということだろう。
 日本だったら、どう反応するだろうと思った次第だ。
 国民からレッドカードを得て退場させられたにもかかわらず、口にした引退も実行しようとせず相も変わらず、観念的な言辞を振りまいている鳩山前首相にはこれがアジアの現実だということを指摘したいし、そして、仙石官房長官には、北朝鮮のこの悪辣な「暴力」に対抗するのが、不遜、不適にも彼が「暴力装置」と表現した、民主国家日本が築きあげてきた自衛隊だと改めて強調しておきたい。
| 児玉昌己 | - | 12:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
晩秋の一日 イブ・モンタンの枯葉を聴く

 師走も目前の祝日。終日家で、依頼原稿の校正をしている。
 出勤の往き帰り、街路樹も色を濃くし、あるいは落葉し、季節の変わりを自然の色彩の変化で知る。
 晩秋のパリに初めて出た時、シャンゼリゼの大通りの落ち葉の厚さには驚いたことがある。
 まさに絨毯と表現すべき、靴にその感触が残る落ち葉の量だった。
 日本の落ち葉とは違うその情景。暮れるのも深く、早い欧州。
 そんな中でイブモンタンの枯れ葉がある。同じ枯葉という言葉でも、情景が違う、そんな光景でシャンソンを聴くのもいい。 

| 児玉昌己 | - | 14:37 | comments(0) | trackbacks(0) |
竜馬伝大政奉還 慶喜の考証に鼻白み、番組には感謝する
  日曜日夜は竜馬伝。
 仕事が忙しく、日曜日も土曜日の再放送も見逃すことが多く、飛び飛びに見る。イロハ丸事件が面白かった。テレビで扱ったことはこれまでなかったのではないか。司馬遼太郎は印象的に書いているが。
 このテーマだけで実に1つの番組になり得る。土佐藩と海援隊vs紀州藩の国際海事法を使った一騎打ち。
 さて今回の竜馬伝のテーマは、大政奉還。これは、幕藩体制の終焉を示すものとして、最も劇的な瞬間である。
 だが、エレガントを旨とするはずの将軍が、あんなに、大広間でやくざ風には大声を上げたりはしない。そうと思うと、鼻白む。他のあらゆる時代考証があれでパーになる感じだ。
 もし、慶喜が武闘派であったならば、戊辰戦争の行方も随分違っていたことだろう。
 俳優さんに悪意はないのだが、ミスキャストというより、脚本ミスだろう。慶喜はずっと気になっていたのだ。やりすぎ。
 ただ番組についていえば、土佐の坂本の功績について、そして土佐藩の最後の影響力について、さらに世間に知らしめたことでの番組の功績は大きい。それをいっておかないと脚本家にも失礼だろう。
 篤姫もそうだったが、知っているようで知らない幕末の大革命劇。いわば、一介の土佐藩脱藩浪士が幕臣中、傑出した知将、勝海舟を得て、龍の如く奔走する。
 260年余り続く徳川将軍の時代が、国際政治の荒波のなかで終焉するドラマテックな時代なればこそ、可能となる人間模様と政治に、素直に驚嘆する。
 今の政治家が如何
に腰が引け、肝が据わらないもので占められているかと、想うのはよそう。
 詮なきことだ。 
| 児玉昌己 | - | 23:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
あきれるばかりの閣僚たち  続く最小不幸社会ならぬ極大不快政治 下

 法務大臣の暴言もいかに国会と国民を侮辱しているかということでもある。
 総理は、異常な発言に終始する閣僚の責任をとらせることもしない。どこが政治主導だろう。「国民第一」という記者会見時に使うパネルが空々しい。
 やり過ごせば、世論などどうにでも動くと思っているのだろうか。右から左にという表現を総理自身が使っているのだから。自民末期以上の異常さで、不遜極まりない。国民の信頼なくして何の政治ぞや。一般にえらくなれば、頭は下がるのだが。
 実るほど 頭を垂れる 稲穂かな。
 言動に共通なのは実に権力的マインドが強いということだ。尖閣で起きたことを知る権利の隠蔽に代表するように、自己の主張に抗うものを、たとえば、機密保全法制定への傾斜に見る行政官僚への締め付けや情報統制強化の必要を強調するなど、本来、彼らが野党時代に大いに反対していたはずのことを一転政権与党のトップに立つと平気で、主張する。
 市民運動家や元全共闘の憲法認識は、たかだかこの程度か、という声が聞こえてきそうだ。
 民主政治の民意軽視の政治の極めつけは以下の記事。民主党は、覇権主義に傾斜する一党独裁国家や核兵器開発に狂奔する世襲王朝や、民主化運動家を長期間拘束してはばからない軍事独裁国家に囲まれたアジアにあって、わずかに宝石のごとき民主主義の産業国家として存在する日本をどこに持っていくつもりだろうか。
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学会会長らが抗議声明=再仕分けで「国家基盤崩壊」時事通信
 1119日。
 そういえば仕切り担当者も、スパコンをスーパーの大根みたいに扱い、他方、ファッションで国会を私的宣伝の場に使い、売名と利得のこの行為で、参院西岡議長から公私混同を批判され謝罪した議員だった。
参考記事
菅首相 批判も「右から左に流れていく」毎日新聞
 1116
首相、柳田法相の罷免「さらに頑張ってもらいたい」と否定産経新聞
 1118
官房長官 自衛隊は「暴力装置」…すぐに訂正「実力組織」毎日新聞1118
柳田法相、地元会合での発言を謝罪=「答弁は二つ覚えておけばいい」時事通信
 1116

秘密保全法制を検討 映像流出受け仙谷氏が表明 産経2010/11/08

首相、情報管理強化の検討を仙谷氏に指示 産経2010/11/10

参院議長が蓮舫氏を呼び「不適切」と注意 国会内でファッション誌撮影にポーズで応じ2010.10.7 13:10 産経

 

| 児玉昌己 | - | 11:15 | comments(0) | trackbacks(0) |
あきれるばかりの閣僚たち  続く最小不幸社会ならぬ極大不快政治 上

 官房長官は、自衛隊は暴力装置といったという。全共闘運動に身を置いていたとされる時代から現在に至るまで、日頃、そう考えているから言葉になって出てくる。
 大学での政治学の講義ならばあるかもしれないが、それでも、その場合、軍隊という一般的な用語という条件付きである。
 理念の空想と現実政治の相違がついていない証拠だ。政治権力を行使する指導者として、日々の政治の現実にありながら、生身の人間が生きている現実に頭が向いていないからだろう。これだけ世論にたたかれても、言行に緊張感が無い。
 領土、領海、領空の防衛と平和に生命をかけて、国家の最前線で、あるいは被災地で汗を流す自衛隊が、暴力装置ならば、民主政権は暴力装置の頂点、つまり菅首相は憲法学的には暴力団長であり、仙石長官は暴力団の若頭、さしづめ「監獄長官」だろう。
 あの狂気の中国漁船の意図した攻撃というべき衝突を受けた海保の乗員のことを想像してみることはないのだろうか。
 しかも官房長官がアレコレと、政務全般を指導し、だれがこの国の最高指導者かまるで分らない状況で、この国の総理は「粗大ごみ」と野党自民からは形容されている。もっとも前任者はルーピー(クルクルパー)とオバマ米政権に形容される(ワシントンポスト)ほどだから、驚きは軽いのだが。
 それほどに悲しむべきも、異常極まりないことが民主の政治で続いている。

 

| 児玉昌己 | - | 00:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
祝 世界初の快挙 探査機はやぶさの小惑星微粒子ゲット

 今年6月にはやぶさが7年の長距離の探査を終え、カブセル分離に成功し、無事大気圏外からの帰還を果たしたニュースについては、以前ブログで書いた。
 そして小惑星いとかわの表面の粒子の採取の有無については、表面ニュースから消えていた。やはり採取までは無理だったのかと、思っていた。

 だが、今日、地球外物質を採集していたことが分かった。その数、なんと1500個。目に見えない微粒子だから、その測定と判定に時間を要していたのだ。人間が科学で手にした未知の、新たな世界である。
 政治では領海侵犯に対する驚くような対中外交処理と国民が知るべき情報について、政治主導による真実の隠ぺいで、謝罪すべき人が居直り、知る権利を守った海保保安官が深く頭を下げるという本末転倒のこと。何かが間違っている。国民は、こんな国民目線を失った政権を期待して、先の総選挙で選択したわけではおよそない。
 まあ支持率20%台ですでにその報いを受けているとはいえるのだが。
 来るべき総選挙で内閣支持率20%とすれば、現行の小選挙区制度では、得票率と、獲得議席との極端な乖離現象が作用して、壊滅的な大敗、というより民主という党の消滅を体験することになるだろう。国民の信を裏切れば、そうなる。覇権主義に傾斜する一党独裁国家とはそこが違う日本だ。
 ともあれ、不快な政治の中で、実に喜ばしいニュースだ。
 先のノーベル化学賞に次いで、今回のこの世界初の快挙、さすが日本の科学技術だ。大いに喜びたい。

 最小不幸社会を唱え登場したものの、その実、最大不快政治となっている現状の政治とはえらい違いである。

関連記事とブログ

 はやぶさの微粒子「イトカワのもの」と判明、研究続行=JAXAサーチナ 11月16

 2010.06.13 Sunday 祝 小惑星探査機「ハヤブサ」の7年の時をおいてのカプセル分離成功

http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20100613

 

| 児玉昌己 | - | 07:58 | comments(0) | trackbacks(0) |

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