戦前、インドシナを支配していたのが、フランスだ。
わが国は明治維新という偉業を経て、幸いにして、植民地になることはなかった。むしろ、その後は、後発の帝国主義勢力として、中国分割や朝鮮支配に手を染めた。
植民地化されたベトナムは仏領インドシナという名前で残った。そして、数千万の単位という空前の死傷者を出した欧州を多く戦場とする第次大戦でも、10万の単位で若き兵士が、被支配民として縁もゆかりもない戦争で命を落とした。
フランスが、ディエンビエンフーの戦闘で、大敗してアジアから撤退したのが、1954年7月。仏領インドシナの時代が終焉した瞬間だった。しかしベトナムの植民地支配はそれで終わらなかった。
フランスと入れ替わり、今度は米国の軍事介入。
1965年からは北爆が本格化して、50万を超える兵を投入。
ダイオキシンの枯葉剤など使用し、共産主義と民族主義を同一視した米国の道義的、イデオロギー上での失敗と敗北となり、反戦運動の高まりとともに、米国の民主主義が厳しく問われ、米国経済はこの不毛の戦争で大きく力を落とす。
そして、1975年のサイゴン陥落。ここに異民族支配は終焉した。
ただし、ベトナムの戦争は終わらなかった。
その後、中国と79年には中越戦争が勃発。92年の正常化までさらに13年の歳月を要した。
フランスとは93年に和解。95年に米国との国交正常化。この年にアセアン7番目の加盟国となる。
訪問予定先の1つがハノイ国立大学。正式にはベトナム国家大学ハノイ校。英文名は以下。
Faculty of International Studies, University of Social Sciences and Humanities (Vietnam National University, Hanoi所属) 国際学部。設立が1995年。
http://ussh.edu.vn/en/faculties-and-departments/faculty-of-international-studies
まさにベトナムの平和と国際社会への進出と同じくして、その大学は設立されている。
大学も新たな動きを踏み出していることを知る。
アジアとEUという問題に関心を持っているが、関係者にお会いして、21世紀におけるベトナムにおけるEU研究のことなど、わが国に紹介できればと思っている。