政府は、原発の重大損傷を受けたら、直ちに東電に政府機能を移し、速やかに一体として行動すべきであった。
だがやったことといえば、屋上におくを重ねるだけの驚くような行政組織に積み上げによる責任回避的な対応、世界各国の政府やメディアから非難された杜撰極まりない情報公開への消極的姿勢だった。
政府の震災対応組織が整理され、東電と政府の統合記者会見は最近のことである。
しかも設置された東日本大震災復興構想会議(議長・五百旗頭真防衛大学校長)は討議もされていない初日から増税を言う始末だ。増税は国家の議会で討議されるべき重要案件であるにかかわらず。最初からこれを言わせるだけの会議だったのではないかとさえ疑わせるものだった。
また、この復興会議、原発は議題から外すとされたことで、梅原猛さんから震災復興で原発問題を離れてはあり得ないと厳しく指弾された。
なお復興会議議長の五百旗頭真防衛大学校長は、報道によると、3番手の候補であったという。東大の佐々木元総長が一番手。ただし、同氏が東京電力福島第1原発のプラント建設にかかわった東芝の社外取締役ということで駄目、前総長の小宮山氏は東電の監査役で、これまた断念された経緯がある。
原子力安全委員会の委員長も含め、「国策」ということもあり、東大工学部の原子力エネルギー学系の関係者ともども、東大は国家の最大の財政支援を受ける大学として、東電など原子力エネルギー推進企業との関係は異常というべきも深い。
政府と東電の関係でいえば、思い出おこせば、3.11の巨大震災で原発の危険が白日のものとされて、以降、枝野官房長官は東電のメッセンジャー・ボーイというべき役割を延々と果たした。
それも実に粗にして、疎なる中身の薄い会見を延々と続けた。「直ちには被害はない」というあの繰り返されたセリフと共に。
そして2カ月を経た段階で、ようやく1号機についてはメルトダウンという東電の発表だ。
水素爆発であの堅牢だとされていた原子炉建屋がものの見事に破壊された時点で、そしてセシウム漏出が遠隔地で確認された段階で、原子炉の重大損傷、つまり広義のメルトダウンというべきものであった。
これに対して保安院は、そして枝野長官は官僚の答弁書の如く「爆発的事象」などという馬鹿げた言葉で、その実態を過小評価し、世界に不信を与えた。
BBCは映像で見たとおり、巨大爆発Huge Blastと直截的に形容した。
それは皆さまが実見されて、映像資料としても長く残されるものである。この間、菅首相はまるで他人事みたいに執務室に閉じこもり、被災地訪問さえもしない状況だった。
一時は悪天候が予測されているその日に設定し、それを理由にキャンセルされるという茶番劇もあった。
その間、責任を分散回避するかの如く、多数の対策機関を立ち上げ、顧問を内閣参与に雇い入れた。
そのうちの放射線量を専門とする学者参与は、自己の良心に基づき、乳幼児および学童にたいする放射線量に関し、危険極まりない20ミリシーベルトという、彼の判断では異常に安易な政府設定について、涙の抗議で辞任した。
他方、原子力のゲの字も知らない別の文学者の参与は、「20年は住めない」と原発禍の被災者を切り捨てる、官邸内部でのやりとりを漏らす発言をした。
同じくなぜこんなのが、国家の重大事にあってしかも血税から歳費が出る参与なのかといわしめる無様な劇作家参与もいた。
このものは、無責任にも、よりによって韓国で、トモダチ作戦で活躍してくれた米国を愚弄するかのように、米国の要請による海への汚染水の放出といって対米関係を危うくした。
汚染水の垂れ流しについて菅政権の責任回避を意味する機能しか果たさない無様な講演をして、内外で批判を浴び、これまた謝罪し、撤回するという唖然とする様だ。
一体この劇作家、首相は、内閣府は何のために任命したのかね。
参考記事ブログ
原発周辺「20年住めない」=菅首相が発言、その後否定時事通信 4月13日(水)15時51分配信
福島第1原発>内閣官房参与、抗議の辞任 毎日新聞 4月29日(金)21時9分配信
福島第1原発 「米要請で汚染水」平田参与が発言撤回毎日新聞 5月19日(木)0時0分政府
東日本大震災:復興構想会議 原発除外に異論が噴出 毎日新聞 2011年4月14日 21時05分
東大総長経験者の起用希望=復興会議議長、東電との関係で断念―菅首相 時事通信 4月16日(土)2時32分配信
ブログ
2011.03.12 Saturday政府と原子力安全保安院広報の不安昂進だけの無意味な会見 英BBCが伝える原発大爆発
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2733