翻って、民主のこの幹部諸君。
政治先進国の欧州の議員定数も知らず、議員定数からみて国民が最も政治から遠ざけられている政治後進国米国に特化しただけの認識でモノをいうものが多い。
米国についていえば、4人家族で年収2万2314ドル(約172万円)以下を貧困層と定義しているが、人口の15%4600万人がその対象というほどの貧困大国であることを時事通信が報じている。
米国の東部の名門大学だけに学んで、南部も、差別も、貧困も知らずに米国政治の光の部分だけを観て、影の部分に目をやることもせず、米国政治を礼賛する日本の富裕な、いわゆる世襲を含めた一知半解な議員が多数いる。奈何せん、学者にも一部そんなものがいるようだ。
もとより、米国はすぐれたものもたくさんある。だが、こと政治については植民地的遺制というべき間接選挙の、あの大統領選挙制度、あるいは任期わずか2年の下院議員。これらに象徴的に見られるように、民意の反映や選挙区だけの政治の観点を排除するということからみれば、実に政治後進国というべき制度にたっている。
翻って日本。自から国会議員としての矜持も誇りもなくしたのか、あるいはこの政権与党が、政治家不信を拡大拡散したことも猛省せずに、議員無能論から、議員不要論、そしてその延長としての議員削減論を唱えているかのようである。あたかも自らのことを語っているかのようにさえみえる。
国会議員とは、外敵から国民を守り、国民の生命、財産を保全し、その権利を擁護するため、国家権力を行使する最も重要な職業である。
削減論者は、国会議員とは、国権の最高機関にあって、国民と国政をつなぐ民主主義の重要な橋である自らの職責さえ失念しているのかもしれない。
2年前の国民の期待を大きく裏切って、支持率は末期自民も驚く程度となって、2代の総理のあの無様な政治指導がもたらした、その支持率では、現行の小選挙区制度で選挙すれば、次の選挙では消滅しさえしそうな現在の民主党だ。
その幹部諸君が、今後出てくることが期待できる有能な議員や候補者、将来にわたり、締め出すような議論をする。しかも、自らの資金管理さえまともにできていない状況でである。
削減すべきは議員定数ではなく、議員歳費と政党助成金の大幅削減である。
すでに数回書き、多くの人に見てもらっているが、重要なことゆえ、以下、世界の議員定数の100万人当たりの数値を提示しておこう。知らないのは当事者の国会議員であるようなので。
百万人が抱える国会議員数 先進11カ国比較 2010年現在の議席数
(人) 人口(万) 議席実数 上院 下院
スウェーデン 37.77 924 349 349
イギリス 22.49 6156 1385 735 650
イタリア 15.91 5987 953 323 630
フランス 13.63 6587 898 321 577
オランダ 13.56 1659 225 75 150
カナダ 12.30 3357 413 105 308
オーストラリア 10.61 2129 226 76 150
ドイツ 8.22 8175 672 69 603
日本 5.86 12300 722 242 480
ロシア 4.42 14190 628 178 450
米国 1.70 31465 535 100 435
児玉昌己(久留米大学) 各国版ウイキペディア等の政治データをもとに算出
2010.05.25 Tuesday 議員歳費と議席の削減論について 4 先進11カ国の人口比別国会議員定数 http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2364
参考文献
前原氏「国民負担求める前に議員定数削減」読売新聞9月20日
米貧困者4600万人=過去最多、人口比15%―2010年時事通信9月14日