日経の「私の履歴書」は野村証券元副社長の寺澤芳男氏が執筆、連載中だ。同氏は、1988年4月に発足した国際連合の専門機関、多数国間投資保証機関略称はMIGAの初代長官に就任されている。不要だというのに、日本国の中央官庁から派遣されてきた若手高級官僚について言及されている。
国際機関でも通用する官僚が育っていないということでは、寒心に堪えないと言外に指摘されている。
久留米大学附設高校長である吉川九大名誉教授とそのことで話したが、TPPについても同様で、実に含蓄に富む指摘をなされた。
先生は「専門職も国際化しない限り,若い専門職業人の働く場がない.入ってくるのが怖いのではなく,出て行けないことこそ恐れなければならないのに」、というご指摘だった。
日本の国際化教育が言われて、もう20年にはなるだろうか。
ところが、寺澤氏が指摘された頃からどれほど、日本のエリート校での国際化教育は成果を上げたのだろう。
出ていくことが怖い、言い換えれば、出て行けないレベルの日本の国際化教育である現実を我々は直視せねばならない。
以前から特に指摘して来たが、すでに十分すぎるほどいる米国での留学もだが、日本により政治経済社会の仕組みが近似した欧州で学ぶべきことを書いている。
ちなみに25年以上前のことだが、ベルギーでの母校というべき欧州大学院大学College of Europeでは、欧州議会の決議案、欧州委員会の文書、閣僚理事会での模擬演習など、徹底してそのスタイルを勉強させられた。いずれ同校出身者がその場に出るよう成長することを意識してのものだった。
TPP開国元年というべきこの2011年現在、教育の現場もまさに試されていると言えるのである。
話すだけでなく、欧米と比肩できるレベルで、欧文を書ける教育の必要がである。
ボジョレヌーボー解禁で、近くで買い求めたJPシェネの特徴あるジョセフィン・ボトルで新酒の新鮮さを味わいつつ、そんなことを考えていた。
なお昨日はブログヒット件数919と日間としては久しぶりにぎわった。TPP、ソブリン債危機、選挙制度と重要問題の本ブログ記事が注目された結果だと思っている。