2011.12.30
Friday 満天の夜空にひと際輝く、シリウスを詠む
巨大震災と愚劣な政治指導に震えた2011年も晦日。明日を残すのみ。夜空は満天の星。身を切る寒さの中で、オリオンの左手下にひときわ輝くシリウス。それを詠む。
シリウスの 眩しき程の その光 憂いもなしに 明夜(あす)も輝き
2011.12.24
Saturday 2011年、霜の白いクリスマスイブ
友人の英国人スティーブンと電話口で、メリークリスマスと応える、背伸びした自分がいた。即興の詩が浮かんだ。短歌、俳句ではこの洋の文化、韻を収めきれないのだから。
メリークリスマス そう応え 恥じらう 我にかかわらず
メリークリスマス そういう自分も 悪からず
2011.12.22
Thursday 冬至と柚湯を詠む
冬至には柚湯。お隣から見事に色づいた柚をわけて頂いた。それを湯に入れ、冬至を過ごす。日本人の、季節の味わい方だ。
冬至には 欠かせぬ柚も 頂きて 今年も残すや わずかに九日
冬至り 柚は香りて 湯けむりに 想う一年(ひととせ)逝きし人々
2011.12.09 Friday 2011年冬の到来を詠む
めっきり寒くなった。ここ数日の雨で、並木の銀杏は葉を落とし、一挙に冬景色
師走雨 銀杏濡らして 寒々と 朝陽鈍き 冬ぞ来たれり
2011.11.27
Sunday 南天の赤き実を詠む
日曜日庭に出ると晩秋の陽が心地よい。石蕗の黄は多く萎んでしまったが、「難を転ずる」ともいわれるおめでたい樹木、南天の赤い実が、秋の終わりに色を添えている。
南天の 眩しきほどの 赤き実や 過ぎゆく秋に 彩(いろ)を留めおき
2011.11.23
Wednesday雨の久留米を詠む
祝日自宅。冷え冷えとした雨の朝。書斎15度。30度の夏の日から随分季節も変わった。三十余日で今年も終わる。 広告では、忘年会だのホテルや料亭の取り寄せのお節だの。
鴉(からす)鳴く 雨のこの地の 侘しさや 暮れまで残す 三十余日
2011.11.14
Monday 庭の柿を食し、季節を味わう
日曜日、採り置きの柿を食すと、美味。庭に出て、妻と5-6個を切り採る。自然の贈り物を賞味しつつ、子らも巣立ったわが家で、2人静かな時間を過ごす。
秋深し 季節を食す 二人して 庭にて想う 去る日来たる日
2011.11.11
Friday 霜月の石蕗(つわぶき)の黄を詠む
11月も中旬入り。日々の慌ただしさの中で、飛ぶように日が過ぎる。霜月のくすんだ空に石蕗の黄がわずかに庭を明るくする。
霜月の くすみし庭に 咲きてあり 嬉しきものは 石蕗の黄や
2011.10.29
Saturday 庭の黒松を詠む
10月最後の週末。慌ただしい週を終えて、ほっとする。季節はくる時を忘れず、朝夕、風も冷い。その中に黒松が悠然と立つ。
黒松は 庭の主なり その威厳 黄の石蕗
(ツワブキ)も 従えて立ち
2011.10.16 Sunday 秋風にそよぐ花ホトトギスを詠む
週に1度、気も安らぐ日曜日。庭に出て、さわやかな秋風の下、庭の草花を楽しむ。ホトトギスが斑の花を咲かせた。
秋風に さやかにそよぐ 六花弁 地上の鳥かね 君ホトトギス
2011.10.14
Friday 神無月を詠む
後期が始まりはや3週間。飛ぶように日が過ぎていく。原発禍も収まらず、ユーロ危機やウォール街のデモ、景気の長期の停滞もあり、漠然とした不安の10月である。
神無月 祈りいただく 日常の 平穏なれや 他所もわが家も
2011.10.08
Saturday 10月の露草を詠む
10月も飛ぶように日が進む 明日は高校の還暦同窓会 早朝庭に出て、花と遊ぶ
露草の 明日見るなしや 青二片(つい)
2011.09.25 Sunday 曼珠沙華を詠む
燃えるような紅、清楚な白。紅白の曼珠沙華が並んで咲いていた。人の想いを受けすぎたのか、彼岸過ぎて、くたびれていた。
曼珠沙華 朽ちて残るは 白きひげ
野を染める 季節(とき)の花なり 曼珠沙華 祈り祈られ
紅は燃え尽き
2011.09.14
Wednesday 阿蘇を詠む
過日、若者たちと阿蘇でのEU勉強合宿。合間を縫って仙酔峡に遊ぶ。地蔵さまと大観望の雄大さに触れた。
高岳に 想いを秘めた 地蔵さま
阿蘇にあり 天地大気の 気高さに 知るや我が身の
いかに小さき
2011.08.31 Wednesday 芙蓉の花を詠む
8月の最終日。心地よい外気に誘われ、早朝散歩。路地の芙蓉の花に目が行く。芙蓉に似た花がむくげ。花も似て、秋の訪れを知らせてくれ、ともに嬉しい。
挨拶は 芙蓉の君か 路地の角
往く夏を 飾りて送る 紅芙蓉
往く夏に 芙蓉、槿(むくげ)の 紅き花 同じに咲きて
季節(とき)を彩り
2011.08.23
Tuesday 2011年晩夏の人間ドック入りで詠む
夏は恒例の1泊ドック入り。新棟の大学病院の個室ではネットも使用可。ただし検査のつらさは不変。針の山とは注射のこと。それで2句。
胃カメラの 辛さ変わらぬ 口(こう)も鼻(び)も
針の山 娑婆はまだかや 晩(おそ)き夏
2011.08.13 Saturday 黄昏のビール電車で歌を詠む
夏の夕暮れ、ビール電車にて 有りし日の父母、友を想う。
暮れ泥(なず)む 車窓の風景(けしき)も ほろ苦し 還らざる日々 淡き思い出
夕暮れの 車窓浮かぶは 走馬灯 去りゆく日々は 二度と還(かえ)らず
2011.08.06 Saturday 縁者の死を悼み詠む
緩和ケア棟で最晩年を過ごしていた家内の縁者が80歳を前に、静かに他界した。人生の最期の祭儀を済ませた。お骨は花の色に染まっていた。合掌。
斎場で 想う人生(いのち)の幾星霜 花はお骨を 淡く染めたり
2011.08.02 Tuesday 葉月入りも大学は続く それを詠む
先月末に講義が終わった。今週と来週は、試験と監督。その後採点。終わると彼岸も目前となる。
葉月入り されど遠きは 夏休み
2011.07.22
Friday 中途半端な夏を詠む
夏も中途半端だ。中途半端は、響かぬ蝉しぐれも。3月まで雪が残ったからだろうと、旧知の業者。坪庭には、白い玉の花が咲いている。それらを詠む。
鳴かぬ夏 なくは寂しき 蝉しぐれ
白き花 これも茗荷と 呼びにけり
2011.07.18
Monday 祝ナデシコジャパンWカップ制覇
米が先制し、日本が追いつき、さらに米国。延長後半、土壇場での同点、沢が見せてくれた。
なでしこの 名には似合わぬ つわものの 咲かす大輪 フランクフルト
2011.07.03
Sunday 柳河に遊び、白秋を想い、詩を詠む
西南学院大学での学術シンポジウムの後は、寛ぎの時間。柳河に出る。 緩々と、川遊び。白秋先生を想い、詠む。
柳河の 川面に歌う 船頭(ふなおさ)の 詩(うた)は白秋 大正浪漫
風渡る 川面にありて その詩に 花を添えるや 紫色栴檀(ししきせんだん)
海鳴庵児玉昌己句歌集 2012年前半
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3074
海鳴庵児玉昌己句歌集2011年前半
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2672
2011.01.01
Saturday海鳴庵児玉昌己句歌集2010年後半
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2511