EUとフランスの関連で付言すれば、フランスの大統領選挙を戦ってきた人々もEUと深い関係を持っている。
たとえば、社会党の大統領候補としては、今回第2回投票で一位を占めたオランドは、党内で、マルテーヌ・オブリ女史(現社会党党首)に勝利して大統領選候補者のチケットを得たということだ。
オブリ女史は「ミスター・ヨーロッパ」として人ぞ知るジャック・ドロール元欧州委員会委員長(仏蔵相経験者)の娘である。
また前回2007年の大統領選挙候補は、セゴ(レーヌ)とサルコ(ジ)の戦いといわれたが、今回、現在決選投票に進むフランソワ・オランドは、長く連れ添った「夫人」がセゴレーヌ・ロワイヤル女史である。
すなわち前回、サルコジに「夫人」(離別)が決選投票で負けているので、今回は、「夫婦」入れ替わってのレベンジ(リターン)・マッチということができる。
なお、第5共和政以降の大統領選挙(決選投票)での象徴的な選挙戦の事例と候補者、得票率は以下。
1965年の選挙では、シャルル・ド・ゴール新共和連合55.20%、第2位はフランソワ・ミッテラン社会連合で、44.80%
2002年の大統領選挙では、極右候補が社会党のジョスパン候補を僅差とはいえ破り、決選投票に進出し、欧州を震撼させたルペン・ショックと受け止められたことは上述したが、決選投票の結果は、ジャック・シラク共和国連合が82.21%、第2位のそのジャン=マリー・ル・ペン国民戦線は17.79%であった。 前回の2007年ニコラ・サルコジ国民運動連合が得た票は53.06、 セゴレーヌ・ロワイヤル社会党46.94%。
極右候補マリーヌの父、ジャン=マリー・ル・ペンもEUに関係している。当然ネガティブな意味において。
EUの議会である欧州議会では最長老として議席を持っていた。
ただし、欧州議会主流派は、排外主義的、人種差別的言動で知られる極右候補のルペンが欧州議会選後新たに開催を招集する暫定欧州議会議長に就任することを嫌い、人権擁護に熱心な主流派は一致して、欧州議会議院規則を改正し、極右が欧州議会の招集議長になることを阻んだのである。
これについては拙稿「極右への欧州議会の対応−欧州議会議院規則の改正を通して」同志社法学347号2011年7月で分析した。
追記
ロイターは、オランド氏は開票率99%の時点で、得票率28.6%でトップ、27.1%のサルコジ氏が2位、3位には18%のルペン氏、極右候補として過去最高の得票率を獲得、と伝えている。
仏大統領選でルペン氏躍進、決選投票は極右支持層の動向鍵に ロイター4月23日
ルモンドもBBCもMarine Le Penの得票が630万票と伝えている。
23 April 2012 Last updated at 10:01 GMT. France election: Hollande takes lead into second round
なおオランド28.63、サルコジ27.18、ルペン17.9%と確定を報じている。
Hollande et Sarkozy partent à la quête des électeurs du FN
「オランドもサルコジもFN(国民戦線)票次第」
Le Monde.fr avec Reuters | 23.04.2012 à 20h44