民主の執行部が最高顧問である鳩山元首相の、消費税やTPP推進など党路線への批判にたまりかねて、「純化政策」に動きだした。政策に従わねば、公認を与えないということだ。
この党の最高顧問の行動と、党執行部の対応について、それゆえなにをいまさら、It’s too late.という感情がある。
この首相こそ、民主という党への不信を高め、日本における政治不信を最大限に高め、民主への支持を激減させた政治家だと、多くの人々同様、思っている。
政党とは同じ政治理念に立ち、同じ政策を持つものが結党する私的結社である。
それを党の政策についての純化を総選挙の前に行うというから、あきれるばかりだ。もっとも、同質性の確保のため、遅くなっても、純化はしないよりした方がいいが。
こんな政党が政権を3年半にわたって維持していたかということ自体が、政党政治の本家本元というべき欧州政治の専門家からすると驚きである。
この民主政権が後世に批判されるであろう点をいえば、その野合せいだと指摘して来たが、同時に言行不一致の、場当たり的政治指導にある。
何よりも党首、首相がそれを実践したことにある。これは野田総理に至るまで全員がその責を負うべきことである。
鳩山氏についていえば、内政では、秘書の責任は政治家本人の責任だと舌鋒鋭く他党の政治家にたいし非難したが、みずからも全く同様であった。しかも、総理にならないうちから、辞任すれば職を辞すと言いつつ、首相職をレッドカードを突きつけられた形で退任を余儀なくされても、平然とこれを撤回し、政界に身を置き続けた。
親の不労所得で得る月額1500万円、贈与まで入れると、総額数10億の「子供手当」などの資金処理では偽装献金疑惑さえ引き起こしていた。
普天間の基地問題で、は「最低でも」県外と言いつつ、何一つできず、左右両翼から指弾され、テレビカメラの前では目が泳ぐ毎日だった。
外交安全保障では米国抜きの東アジア共同体など、友愛という祖父の頃には意味を持った漠たる概念を、空母をもち、東アジアにおいて覇権主義をあからさまにする中国に迎合するかのように唱え、戦後の日米安保の同盟関係を根底から崩すようなことを平然と口にして、ルーピーと、前代未聞の米政権サイドから形容され、あまつさえワシントンポストに掲載されるほどにも、対米関係を傾かせた。
そして今、最高顧問でありながら、党の重要施策にことごとく反するように言う。
これで民主への国民の不信を高めないとすれば、その感覚は常人のものではないというべきだろう。
本来は、党大会で、こうした指導者を党員資格停止どころか、除名処分にすべきだったのだろう。あるいは自己の信念にたがう政策をとるなら小沢氏のように脱党すべきだったのだ。
この政党は綱領さえ持たず、党内規律でだれも指導力を発揮してこなかった。そうだろう。党のトップがコロコロ政策を変えるのでは、だれも責任の取りようがないということだったのだから。消費税に次いでTPPでも脱党者が相次ぐ事態だ。
すなわち、政党の結成に当然あるべき議論がまるでなされていない政党であったということだ。そして今頃純化が問題になってきていること自体が、実に異様なことなのである。
そして、何より指摘すべきは、こうした異様な政党を生んだのが、相対1位が選挙区のすべての票を得るall or nothingの出鱈目な小選挙区制度だということである。
そして現政権は選挙管理内閣にすぎないが、いまだに膨大な死票を出す小選挙区のさらなる強化をいっている。比例のみで、この政党はその政治生命の残り火をかろうじて維持できることさえ理解できずにである。
追記
夜のテレビでは鳩山元首相、衆院出馬取りやめが報じられている。公認を外されて、戦える環境もない。彼の地元北海道9区で選挙を戦って、自己の業績に対する有権者の評価がどんなものか、見てみたいい気もする。もっとも最初の自らの言動に従い、政界引退を発表すれば、もっとましだろう。民主党関係者はこれですっきりしたと安堵し、喜んでいるというのが、これまた驚きの与党である。
参考記事
鳩山氏に「公認望むなら党の約束守れ」…安住氏 読売新聞 11月18日(日)21時44分
反増税 どうする鳩山氏!? 民主は公認条件に誓約書 産経新聞 11月19日(月)
鳩山元首相、党に残るのは厳しい?「その通り」読売新聞11月14日(水
鳩山元首相、衆院選不出馬=消費税、TPPで首相と対立―民主 時事通信11月20日(火)参考ブログ
2010.05.29 Saturday 政治不信も極まれり 「最低」さえ守れない「最低以下」の鳩山首相の続投表明 下
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2369