児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
日本記者クラブでの全党首討論と長崎選挙区の民主の無残 上

党首討論が日本記者クラブであり、少し見ていた。野田首相が意図した2党だけの討論でなく11党首がそろった会となったところがよかった。
 現在のところ、民主と自民の2党を合わせた支持率はたかだか36%程度でしかなく、国民を代表する政党とはおよそいえないないのだから。わが専権事項のように、わが国の政治を独占してもらっても困る。

安倍氏が原子力エネルギーについてその保持を強くにじませたのが印象的だ。
 3年間代替エネルギーをやって駄目かもしれない場合、という言い方だ。駄目にならないようにするのが政治指導というものではないのかね。原子力エネルギーが安いとも発言していた。
 だが、原子力発電のコストが安いなどというが、とんでもない議論で、福島原発大爆発によるチェルノブイリ的カタストロフで、実質的な国家管理となった東電に注いだ、そして現在も注ぎつつある資金は一体誰のものだ、といいたい。
 余談だが、あのときNHKは、政府の意向を受けてか、「爆発的事象」などと馬鹿げた表現をしていたことを思い出す。
 実際、発電とは無縁の原発大事故による放射性物質の除染の費用はだれのものだ、かである。
 すべて国民の血税ではないか。しかも全国の電力会社では、火力での支出を言い分にして値上げラッシュだ。今まで原子力に注いだ天文学的資金で賄えとも言いたくなる。Co2議論は、現下の放射能汚染という現下の危機を考えるといささかも正当性を持ち得ない。
 こんなエネルギーを安価で安全だと原発神話をばらまいていたのは誰か、である。
 活断層の上に原発を安全と構築したのはだれかである。
 総選挙の争点が原子力となっているのを、電力関係者はそして自民の安倍氏らはしっかりと認識すべきである。
 党首会談で見られたように、国民は、経済政策同様、そこに注目しているのである。
 改めて言おう。
 未だに安倍氏の頭の中にあり、それゆえそう発言する原子力エネルギーのコスト優位性など噴飯ものである。そのことは、民主で福島原発の連続大爆発の時に「今のところは問題がない」と連発していたあの官房長官が認めたところだ。

 原子力エネルギーの死守を言うのは自民と維新の石原氏だが、共通する点がある。両者はともに核武装論者だろうということだ。
 これだけ国民世論が原子力発電にネガティブにもかかわらず、この巨大地震多発国にあって原子力の開発に固執するのは、核兵器開発の意図とも関連があると思われる。
 あるいは企業目線にたち、強度の放射能汚染により、思い出の、かけがえのない故郷である地域が崩壊して、帰還不能となっていること、すなわち原発被害自治体のことも、万単位に上るその住民のことも頭に入っていないのかもしれない。
 参考記事
 

比例投票先、自民23%、民主13% 朝日新聞世論調査 朝日20121126
電気料金「安過ぎた」=原発ゼロで上昇へ―枝野経産相 時事通信
 1130大熊町ほぼ全域を帰還困難区域に 野田政権、再編決定 朝日新聞デジタル 1130


| 児玉昌己 | - | 22:08 | comments(0) | trackbacks(0) |
民意は比例によって表現される 下 不合理きわまる小選挙区制度

 なんのことはない。維新についていえば、喧伝された「船中八策」など所詮この類で、自民や民主とほとんど変わらない政党であることが明らかになりつつある。しかも、予定候補者は選挙を戦う資金問題で、次々に脱落しつつある。
 幕末期にならって「国家に維新を」という候補者の質が、たかだかその程度のものということで、文字通り命を賭した維新の志士とは、中身も言葉も、革命的なその思想性においても何の相似性もない。羊頭狗肉とはこれをいう。
 だが、それにも増して問題なのは、橋本氏の頭の中で、政策がコロコロと変わることである。みんなの党が比較的安定しているのは救われる。
 選挙に勝つための方弁で政治を語ってもらうと、有権者は判断ができない。理念は変わるべきものではない。本人自身の中では整合性はとれていると思っていることだろうが、それは本人だけのレベルでしかない。
 戦権獲得だけを前面にし、やることなすことマニフェストを、嘘と方便の代名詞にしてしまった民主とまるで変わらない。
 党綱領さえ、個人の頭の中にあり、実に変幻自在の、言い換えれば、確固とした党内民主主義もない、その「政党」の本質が現れてきたという感じである。
 小選挙区全廃、比例を唱えるみんなの渡辺代表が、維新が提起した合流条件にたいして、競合する選挙協力を「じゃんけん」でという橋下氏に反発している。自民も公明も同様だ。これに橋本副代表が逆切れしているということである。
 各方面からのこのじゃんけん発言に対する批判、全く当然のことだろう。その程度で候補者が決まるとするほど、有権者を軽視した言葉もない。総選挙が目前で選挙区の相討ちとなる競合区の解消はどの党にとっても死活問題であり、言葉の「あや」では済まない。
 いずれにせよ、維新が2極に近づくにはあまりに低い政党支持だ。

 翻って、自民と民主。
 比例で政治を見直すと、民主も自民もたかだか23%と13%程度の有権者の積極的支持でしかないということをかみしめるべきだ。
 民主に至っては、たかが13%程度の支持でしかないのに、民意を最も正確に反映する比例議席の大幅削減を言い、少数党を抹殺するために2大政党制と言ってきたということだ。
 しかも身を削ると言いつつ、血税の200億の政党助成金については、受領を延期するというだけで、辞退するといっていないし、その廃止も言わない。自分の選挙区はそのままで、最も民意を反映する比例の削減を身を削るという。だが、これが民主の「身を削る」の実際だ。
 ちなみにここ10年で政党交付金は3千億円を超えている。
 自民も含め、1人区で当選者以外のすべての民意を合法的に虐殺し、さほどの違いもない民主の右派と自民との私怨私闘の類の敵対の政治を増幅させる選挙制度を実現するために、小選挙区制度の導入を是であり善であると言ってきたのが、政治家たちである。そして、彼らの尻馬に乗り、手のひらで踊ったのも一部の政治学者であり、そしてこの軽薄かつ危険な制度を是としてばら撒いたのが、巨大メディアであったということだ。

 実に反民主主義的であり、実に反議会主義的であったのか、それをすべからく自己批判すべきだろう。
 EU27カ国を統べる欧州議会も含め、欧州の議会政治は比例が主軸で、政策協定による連立が常態である。
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世紀の社会は多元的価値の時代であり、多様な価値がある。そんな2大政党に収れんするわけがない。討議と合意の政治こそがまさに安定を生む。

 それが中国のような共産党の価値に全てを従属させ、「民意」を制御し、腐敗と格差を全開にする独裁国家との明らかな相違である。


参考記事

維新>企業献金禁止を撤回 旧「太陽」に譲歩、目玉骨抜き 毎日新聞1120)

維新、公認候補3人辞退の見通し 選挙資金不足が理由 産経新聞 1125

1次公認5060人に=衆院選、当初予定80人下回る―維新時事通信 1116
じゃんけん」発言を批判=みんな代表【12衆院選】時事(2012/11/24-21:34

「衆院定数半減」盛り込まず=維新公約【12衆院選】 時事(2012/11/23-21:23

比例投票先、自民26%民主13%…第3極失速 読売新聞 1117

参考ブログ

012.01.17 Tuesday 諸悪の根源は小選挙区制度である 1-7 政治学者の選挙制度認識を質す
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3045
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3046
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3047
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3048
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3049
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3050
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3052
2012.01.19 西日本新聞よ、貴紙は民主のメディア支部かね 1-5 バランスを欠く選挙制度(議席削減)の社説
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3053
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3054
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3055



| 児玉昌己 | - | 04:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
民意は比例によって表現される  上 不合理きわまる小選挙区制度

 民意は比例によってのみ正確にその意思が表される。
 これが今日のタイトルだ。朝日が以下報じている。
 比例投票先、自民23%、民主13% 朝日新聞世論調査朝日新聞デジタル
 1125()2216分配信
 簡単に見落としがちな数字だが、この数字こそが現在でのいわゆる2大政党というものが本来持っている政党支持率である。
 言い換えれば、2大政党を言っても、たかだかこの程度の支持しか両党ととも持ちえないということである。すなわち66%が現在この政党以外の支持者か態度未定者ということである。
 現行でも300議席もの議席がall or nothingで勝者がとっていく。しかも、選挙区のわずか有権者の3割かそれ以下の支持でである。
 もし比例だったらば、総選挙を前にして、脱党離党者が相次ぎ、戦わずして既に70議席以上を失い、さらにその数は増えつつあるという馬鹿げた巨大野合の民主党など成立などハナからなかったのである。
 政治学者までで加わって、2大政党制を唱えていたが、実に欧州政治の理解に欠け、大統領選挙では植民地遺制というべき間接選挙制度をとり、上下両院でわずかに100万人で2人も議員を持たない米国に偏重した、行政優位主義と議会軽視の思想を唱えていたということでしかない。
 総選挙公示も近い。
 政党選択に当たって、小党乱立の選挙の様相を濃くしているが、その見分け方についていえば、以下だ。
 国権の最高機関の議員定数を削減する
根拠など全くありはしないし、まして民意を正確に政治の場に送る比例定数の大幅削減を言う政党は反民主主義政党であり、これらが投票時の判断の重要なポイントである。
 選挙制度こそが政治の基盤を形成するもっとも重要な判断指標である。これが出鱈目なら、いかなる政策要望も政治に届かない。

 維新は、選挙が近くなって、憲法改正が必要だということで、それまで唱えていた参院廃止と、衆院議席の半数削減という500議席近い削減論をあっという間に落とした。
 選挙があろうが無かろうが、参院廃止は憲法改正事項であったし、現在もそうである。選挙を前に主張を変えるのは、それだけの頭しかなかったということだ。
 維新がこの驚くべき反議会主義を唱えた時から、このブログで指摘して来たように、仮に総選挙に勝利して、勝った議席を、すなわち自党所属の国会議員を自らどう減らすというのだろうということだ。すなわちデマゴギーだったということである。

 参院廃止、衆院議席半減、すなわち500近い議席を削減するという政策を唱えて政治に出てきときから、維新は実に反議会政党だとみていたが、今回、企業献金廃止もその綱領から落とした。加えて、反原発も太陽との関係で、不明確となった。

参考記事

「衆院定数半減」盛り込まず=維新公約【12衆院選】時事通信2012 1123

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121123-00000116-jij-pol
参考ブログ
2012.09.01 Saturday 空前絶後の死票を積み上げる維新橋下の愚昧の選挙制度私案 上下  議会制民主主義の危機を招く提案

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3257
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3258

| 児玉昌己 | - | 04:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
シャワートイレの記事に深く共感する これもクールジャパン

日経ビジネスオンラインで以下の記事を見て笑ってしまった。あまりに欧州出張時での私の気持ちに近似していたからだ。

香港でシャワートイレ取り付けが難航したワケ-文化を輸出するのに必要な条件 池田信太朗20121122
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20121119/239590/

 日本の文化はク-ル・ジャパンとして高く評価されている。
 ルクセンブルグのマルク判事の私邸に招かれた際、2男の高校生のジャスパー君が、マサミオジチャンと自室の棚に並んだ「ワンピース」(中国訳海賊王)のフランス語版
のコレクションを見せてくれたほどだ。
 実際、クールジャパンはトイレにも及んでいる。
 インターネットでも、日本で体験したシャワートイレについては、アレコレ、ポジティブに議論されている。北欧やカナダの男女が、ポジティブな驚きを語っていたので特に記憶に残っているのだが。

 実際、今回ほど海外にいて、ウオッシュレットが恋しかったこともない。
 尾籠な話どころではなく、実に切迫にして切実。人生の、小さいながら幸せに関する高級な話なのだ。
 わずか10日間の出張だったが、成田空港に戻り、一番にそれを探し、見つけて、大喜びしたのだ。そして便座で、独り、ボクは幸せだなーと。加山雄三ばりに。

 上記の記事の書き手の池田さんではないが、早くどんな形でもいいから、ローカライズして、国際の平和と安全同様、国際の標準装備になってほしいと願うばかりだ。

 

| 児玉昌己 | - | 01:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
連休で、キリンビールの工場見学の前に焼ノ峠古墳(朝倉)に寄る

 九州北部には大規模なビール工場がある。日田にあるサッポロの工場見学は以前書いたが、今回、キリンの工場、「キリン福岡ビアパーク」に出向く。欧州出張や学会報告など、過密スケジュールで、すこし崩していた体調ようやく戻ってきた。
 環境配慮型のシステムなど、女性スタッフによる懇切丁寧な説明を受けた後、参加者のみなさんと、運転の長男には申し訳ないが、冷えた一番搾りを頂く。キリン傘下の小岩井のチーズも別売されていて、おつまみにできる。
 ただサッポロと違い、せっかく展示しているのに、そのポスターが販売されていないというので、少しがっかりだった。レトロのポスターは私の好みで、パネルに入れて飾る価値がある。

 その前に、浅倉筑前張町にある焼ノ峠(やきのとうげ)古墳に立ち寄った。「前方後円墳」はよく知られているが、こちらは「前方後方墳」。この形のものとしては、九州最大の古墳という。
 実は知らなかった。昨日家族でドライブのついでに長男の助言で立ち寄った。

 綺麗に整備されている。高さ4.5メートルで田んぼの中に小高い山を背景に作られていて、木の階段を使って、平坦な頂上部分に登ることができる。
 誰がいるわけでもない古墳で、頂上まで上がれるというのは、おそらく日本でここしかないのではないか。実にフレンドリーな感じの古墳である。
 1975年に国指定の文化財になっているというが、埋蔵品は未発掘で確認もされていないという。築造は4世紀という古墳で、学術調査もされていないというのは、もったいない。
 131メートルの城山との関係は歴然としているが、南南東に頭が向いているということで、その方向は、何か意味があるのかもしれない。などと、考えるのも素人の楽しさである。

 筑後平野を眼下にできるこの古墳、歴史をもっと教えてくれそうだ。学術調査も含め、もっと注目されてもよい。
古墳は以下
http://www.weblio.jp/content/%E7%84%BC%E3%83%8E%E5%B3%A0%E5%8F%A4%E5%A2%B3

参考ブログ 

サッポロ工場見学は以下
2010.05.01 Saturday 早々と黄金週間を楽しむ 日田、天ケ瀬方面 上 九州サッポロビール工場見学
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2288

| 児玉昌己 | - | 23:49 | comments(0) | trackbacks(0) |
総選挙を前に自から支持者を減らす安倍自民総裁 

 安倍総裁には困ったものだ。憲法改正手続を軟性憲法にせよとか、国防軍をという。
 当面、自民支持者には政権奪還こそが望まれていると思われるが、自民の公約に持論の憲法改正と国防軍を明記して、総選挙を前に支持者を減らしている。
 中長期的なことと、短期的なこととの相違が分かっていないのは、そして現在日本の政治が求めているのか何であり、何でないかを理解できていないものは、指導者としての資質を疑われるし、わが国にとっても危ぶまれる。
 ましてこの安倍氏一度途中降板した実績を持っている。次の失敗などあり得ない。

 公明も国防軍にはとてもついていけないだろう。実際、そう山口代表は語っている。
 自民の単独過半数はないとなれば、政権運営では連立となる。安定した政権運営をするには、相手があることを意識すべきだろう。
 自己の信条と国家の指導者としての立場は必ずしも同一ではない。自国の民意と国際社会の理解があってのことだ。石原氏の核武装論も同様である。この点、橋下氏とはこの野合政党、全く異なっているのだから問題外なのだが。
 先の日経と早大が実施したアーミテージ元国務副長官とナイ氏(ハーバード大学教授)を招いた講演会でも、わが国の核武装は,非核拡散防止条約体制の崩壊と、国際的な対日不信の高まりと、対米関係を傷つけるのみならず、日米関係の修正を招くと強く警告している。

 尖閣への中国の暴走を抑止しているのは、まさに日米安保が故にである。
 まして、自前の国防ではどれほどの予算を要するかである。ギリシャ以上の国債依存の経済のわが国である。
 日米同盟を基軸とした対中関係を前提とする限り、わが国のとりうる選択肢は無制限にあるわけではないし、国力に見合った政治が求められる。
 それは、理想主義的な理念偏重で米国抜きの東アジア共同体などという無様な思想を語り、現実に背を向け、文字通りレッドカードで政界からの退場を強いられた鳩山元首相など民主の一部政治家同様に、国家を傾けることにもなる。

 総選挙をまずクリアすることだ。すったもんだで当初の勢いを失いつつある第3極である。だが、4割ほどにもなるとみられる浮動票。
 政党支持は、かくも多党化している今、どの党、勢力にとっても容易に変化しうる。

 民主の大敗の予感は、同党所属の国会議員本人が戻った選挙区で強烈に意識していることだろうが、安倍氏よ、驕らないことである。
 自衛隊法の不備や防衛力の強化の重要性は徐々に、そして急速に理解されつつあるのだから。

 参考記事

公明>山口代表は否定的 自民の公約「国防軍」へ改憲 毎日新聞1122()

アーミテージ、ナイ両氏が白熱討論 早大で日経2012/10/27 23:31

参考ブログ
2012.10.01 Monday
 
 日本を軟性憲法の国家にするのかね、安倍先生
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3292

| 児玉昌己 | - | 12:01 | comments(0) | trackbacks(0) |
晩秋の銀杏を詠む 海鳴庵児玉昌己

 欧州視察から戻り、休まる日もない日々を過ごしていた。ようやく連休。一息をつけるので、ほっとしている。およそ若いという齢ではなくなった。それにあちこちガタもきている。労わりながらだ。
 街路樹の銀杏(公孫樹)も葉を染め、そして落とし、晩秋から初冬の雰囲気を醸し出し、しかも泰然としている。あやかりたい気持ちを込めて一首詠む。
  

 銀杏の樹 泰然として 葉を落とし 悠然として 君並び立つ
                      海鳴庵児玉

なお、以下銀杏を詠んでいる。
2010.12.08 Wednesday
 雨に萎れた寂しき銀杏を詠む
氷雨打ち 葉も朽ちたりて 街路樹の 裸身さらして 公孫樹(いちょう)侘しき 

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2611

 

| 児玉昌己 | - | 23:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
総選挙2012 政党は価値基準を明確にすべきだ 民主の「純化」路線に関連して

民主の執行部が最高顧問である鳩山元首相の、消費税やTPP推進など党路線への批判にたまりかねて、「純化政策」に動きだした。政策に従わねば、公認を与えないということだ。

この党の最高顧問の行動と、党執行部の対応について、それゆえなにをいまさら、Its too late.という感情がある。
 この首相こそ、民主という党への不信を高め、日本における政治不信を最大限に高め、民主への支持を激減させた政治家だと、多くの人々同様、思っている。


 政党とは同じ政治理念に立ち、同じ政策を持つものが結党する私的結社である。

 それを党の政策についての純化を総選挙の前に行うというから、あきれるばかりだ。もっとも、同質性の確保のため、遅くなっても、純化はしないよりした方がいいが。
 こんな政党が政権を3年半にわたって維持していたかということ自体が、政党政治の本家本元というべき欧州政治の専門家からすると驚きである。

この民主政権が後世に批判されるであろう点をいえば、その野合せいだと指摘して来たが、同時に言行不一致の、場当たり的政治指導にある。

 何よりも党首、首相がそれを実践したことにある。これは野田総理に至るまで全員がその責を負うべきことである。

鳩山氏についていえば、内政では、秘書の責任は政治家本人の責任だと舌鋒鋭く他党の政治家にたいし非難したが、みずからも全く同様であった。しかも、総理にならないうちから、辞任すれば職を辞すと言いつつ、首相職をレッドカードを突きつけられた形で退任を余儀なくされても、平然とこれを撤回し、政界に身を置き続けた。

 親の不労所得で得る月額1500万円、贈与まで入れると、総額数10億の「子供手当」などの資金処理では偽装献金疑惑さえ引き起こしていた。

 普天間の基地問題で、は「最低でも」県外と言いつつ、何一つできず、左右両翼から指弾され、テレビカメラの前では目が泳ぐ毎日だった。

 外交安全保障では米国抜きの東アジア共同体など、友愛という祖父の頃には意味を持った漠たる概念を、空母をもち、東アジアにおいて覇権主義をあからさまにする中国に迎合するかのように唱え、戦後の日米安保の同盟関係を根底から崩すようなことを平然と口にして、ルーピーと、前代未聞の米政権サイドから形容され、あまつさえワシントンポストに掲載されるほどにも、対米関係を傾かせた。

 そして今、最高顧問でありながら、党の重要施策にことごとく反するように言う。

これで民主への国民の不信を高めないとすれば、その感覚は常人のものではないというべきだろう。

 本来は、党大会で、こうした指導者を党員資格停止どころか、除名処分にすべきだったのだろう。あるいは自己の信念にたがう政策をとるなら小沢氏のように脱党すべきだったのだ。
 この政党は綱領さえ持たず、党内規律でだれも指導力を発揮してこなかった。そうだろう。党のトップがコロコロ政策を変えるのでは、だれも責任の取りようがないということだったのだから。消費税に次いでTPPでも脱党者が相次ぐ事態だ。

 すなわち、政党の結成に当然あるべき議論がまるでなされていない政党であったということだ。そして今頃純化が問題になってきていること自体が、実に異様なことなのである。

 そして、何より指摘すべきは、こうした異様な政党を生んだのが、相対1位が選挙区のすべての票を得るall or nothingの出鱈目な小選挙区制度だということである。
 そして現政権は選挙管理内閣にすぎないが、いまだに膨大な死票を出す小選挙区のさらなる強化をいっている。比例のみで、この政党はその政治生命の残り火をかろうじて維持できることさえ理解できずにである。 
追記
夜のテレビでは鳩山元首相、衆院出馬取りやめが報じられている。公認を外されて、戦える環境もない。彼の地元北海道9区で選挙を戦って、自己の業績に対する有権者の評価がどんなものか、見てみたいい気もする。もっとも最初の自らの言動に従い、政界引退を発表すれば、もっとましだろう。民主党関係者はこれですっきりしたと安堵し、喜んでいるというのが、これまた驚きの与党である。

 
参考記事

鳩山氏に「公認望むなら党の約束守れ」…安住氏 読売新聞 1118()2144

反増税 どうする鳩山氏!? 民主は公認条件に誓約書 産経新聞 1119()

鳩山元首相、党に残るのは厳しい?「その通り」読売新聞1114(

鳩山元首相、衆院選不出馬=消費税、TPPで首相と対立―民主 時事通信1120()参考ブログ

2010.05.29 Saturday 政治不信も極まれり 「最低」さえ守れない「最低以下」の鳩山首相の続投表明 下
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2369

| 児玉昌己 | - | 23:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
小党乱立だが、比例こそが民意を正確に政界に届けうる装置 下

 21世紀も12年を超えようとしている。多元的社会で多様な価値があり、意見が存在するのが成熟した市民社会である。そして日本がそうである。共産党独裁で、共産党官僚の腐敗と格差全開の中国とはわけが違う。
 小選挙区制度をとる英米は今大きな岐路に立たされている。イギリスはEUの議会である欧州議会で比例が準則であり、1999年の欧州議会選挙ではそれまでの小選挙区制度を捨てて、比例に換えた。
 労働党はそれにより過剰代表されていた地位を失い、大敗したが、分かっていて、ブレア首相はそれを断行した。それが「身を削る」ということである。そして、欧州議会での比例への変更で、自国政治の多党化現象が進みつつある。
 米国も格差全開社会で、社民勢力の受け皿を持たない政治システムが今後問われていくだろう。
 わが国も民意こそが政治を決するものであり、民意が正確に政治に反映できるような政治システム、すなわち比例を主軸とする選挙制度こそが必要である。民主に戻れば。政権樹立時300を超えていた議席は、選挙も戦わないうちに、なんと解散時点で233議席で迎えている。
 すなわち選出された議員の4人に1人近い、70議席を超える脱党者を出した。これこそ、民主という政党が、言葉の本来の意味における野合政党であったことを知らしめている。
 これから当落予測が週刊誌では花盛りとなるが、予測では、民主は100を割り込むというものもある。今の支持率からは十分ありうる数字である。比例選出議員の大量脱党はそれを裏書きしている。
 結論を書こう。
 民主による比例の大規模削減はまさに反民主主義で、民意の虐殺を推進するものである。
 この民主党は、後世の歴史家により、イデオロギーも政策も異なる政治集団が政権獲得のために野合した異様な巨大野合政党であったと、歴史に確実に記載されることになるであろう。 
 その民主が進める今の民主の比例定数の大規模削減という施策は、この化け物というべき巨大野合政党を再生産するよう作用するだけだと、この機に改めて述べておこう。

 まあ、政党支持率から、小選挙区で大敗し、比例でも小党に食われ、解党的大敗をすると予測されているがゆえに、野に下って頭を冷やせば、比例の有り難さが分かるというものだろう。

| 児玉昌己 | - | 12:41 | comments(0) | trackbacks(0) |
小党乱立だが、比例こそが民意を正確に政界に届けうる装置 中

 50万人に1人の議員も確保できていない寡頭制の権威主義的政治を続ける米国に次いで、わが国は逆に国会議員の議員定数では、極小の部類に入る。
 6千万程度の人口のイギリスでは下院議員で650名いる。わが国でいえば1300名の衆院議員がいることになる。フランスやドイツ、イタリアでも相応の議員が確保されている。それだけで、わが国の議員定数過大論などデマゴギーというべきだ。
 政治学者でも議席過大論を唱える者もいる。そんな連中は疑ってかかるべし。

カネの問題を言うなら政党交付金の半減をいうべきだろう。これを国政に使用せず、飲み食いに使ったというものもいるのだから。第一国権の最高機関の代表をカネの問題で語ること自体が、政治をカネで買えるとする考えにも通じる思想であり、実に危険で、民主主義の衰微を想わせる議論である。
 日頃民主主義を言いつつ、実は政治家の掌の中で踊っているだけのメディアも、その知性の低さに恥を知れと言いたいところだ。
 1人しか当選者がなく、膨大な死票が出る小選挙区を言い続ける民主の頭は実に信じがたい。しかも総理は解散時期を明言した党首討論では、定数削減とは5-6回は言ったが、「比例」の削減とは、私が聞いていた範囲では一言も言わなかった。少数意見を削減することを隠す意図があったのだろうか。
 メディアについては、「小党に有利な比例」という間違った枕詞も使用をやめるべきである。
 比例が小党を有利にするのではなく、小選挙区が大政党に著しく有利にしているのである。言い換えれば、小党に著しく不利な小選挙区制度を、より公正なものにするのが、比例制度である。
 比例自体は機械的数学的に民意を議席化するということで、客観中立である。
 民主に戻って、定数をそんなに削減したければ、比例ではなく、自らの選挙区も含めて、小選挙区を80削減すればいい。それなら民意と政党の獲得議席は近似する。もっとも、そんな言葉の真の意味での、身を削る勇気もなかろう。
 比例は有権者の声を100%政治に正確に反映できる。なによりこれまた馬鹿の一つみたいにメディアも唱える1票の格差など、比例を導入すれば、瞬時に消滅する。
 小選挙区制度をとる限り、05減といっても、人口動態の動きからみて、すぐに再度の調整を余儀なくされる。しかも都市部に積み上げられ、美しい日本を支える地方は代表を失い衰退するばかりだ。
 民主という政党は、一方で地方主権などというが、やることは真逆を平気で言う。
 本当に考える頭を持っているのだろうかと強く疑う。
 あるいは公明や共産など小政党潰しをその本旨としているのではないかとさえ思われる。

| 児玉昌己 | - | 21:54 | comments(0) | trackbacks(0) |

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