「民主党は消えてなくなっていいのか」と民主・細野幹事長が問うているらしい。
民意の虐殺を続ける選挙制度改悪を主張し続ける限り、答えはイエスだ。
第一自己の大敗が、選挙制度によりさらに大きく影響を受けているという認識さえない。
もし、自己の比例80削減の選挙制度改悪で総選挙を戦っていれば、民主の存在が消滅するほどの衝撃となっていたことさえ理解できていない。
有権者の投票の半数以上が死票となる出鱈目な状況を生む危険性を実証したのが、先の総選挙であった。民主はそれをさらに加速化することを言っている。
小選挙区で各選挙区ごとに生じる人口格差に基づく1票の格差が憲法違反だと言われている。だが、有権者の意思の半数が死票となる小選挙区制度こそ憲法違反というべき制度であろう。選挙区ごとに小手先の対応ではこの問題は本質的に都市部に人口が集中していくという構造的問題がある限り、全く解決にはならない。
比例にすると、得票を数学的に処理し、議席を政党に応分に配分していくために、1票の格差など、瞬時に消滅し、解決する。それさえ政治家は言い出さない。
最高裁も現行の小選挙制度を前提として、その下で、判決を下すがゆえに、司法判断は、小手先は別として、大局的に、およそ1票の格差を解消するものではない。それどころか、小選挙区制度を前提とする限り、都市と地方の格差を広げるという別の、国土を揺るがす新たな格差を積み上げるにすぎない。
民主は、政権時代に、地方主権などと言っていたが、地方の代表を奪い何が地方主権かである。
ただでさえ圧倒的優位に立つ都市部に代表を積み上げる機能を果たす選挙制度改悪で、いうことと、なすことがまるで違う不整合の塊というべき政党で、それはこの一点を持ってもいえる。
ともあれ、先の小選挙では、得票率と獲得議席の圧倒的不均衡ということが、事実となって小選挙区制度で示された。
尖閣隠しや沖縄の基地問題での外交失敗に加え、時代錯誤的選挙制度の改悪を金科玉条として進めた小沢、鳩山、菅、野田と首相級の政治指導のひどさが総選挙での懲罰の対象となり、大敗の敗因であった。政治指導の失敗を書いた党内の文書でもあきらかだが、その記述を削除するという。
このことや、そして民主主義の死をもたらすというべき比例定数の80削減を相変わらずのたまうごとく、昨年9月の総選挙での大敗に学ぶことがまるでない。
世界的に見て、最悪というべくも先進国では議員定数が少ない米国に次いで、日本の衆院定数は少ない。特に欧州の政治先進国と比して少なすぎるすぎるほどであることは、従来から指摘して来た。そして多くの読者を得た。
以下がその一つだ。
2011.10.04 Tuesday 国会議員定数国際比較についての本ブログ記事への反応
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2947
選挙の要諦は民意の政治への正確な反映である。しかるに、政党交付金の削減にはまるで手をつけず、国権の最高機関を行財政改革というカネの問題にすり替える政治家がいる。
あるいは、選挙の要諦と本質を語らず、一党独裁の中国とは別の意味で、政治後進国である北米的マインドに傾斜し、欧州政治を知ることのない若い政治学者に「意思決定のコスト」などと、政治を経済の論理で語り、民意をないがしろにする言辞を弄して、行政優位の思想を展開して平然とするものがいる。
まさに馬鹿に付ける薬はないとの声が聞こえてくる。
しかして、上記の幹事長の質問に対していえば、イエスであろうがノーであろうが、すでに壊滅的大敗をして、自民と2大政党の片方を装うだけで、その存在においては、one of themでしかない。
さらに口の悪い評論家は、民主など今となっては、300余から57に激減したことに見られるように、その勢いにおいては、ゼロからできた維新(私はこの党を評価していないが)、あるいは議席を倍増させたみんなの党と比すべくもなく、泡沫的政党というであろうことを知るべきである。
参考ブログ
2013.01.14 Monday 森喜朗元総理の日経私の履歴書 比例削減での小沢一郎氏の役割への言及
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3373
2012.12.18 Tuesday これが小選挙区選挙の実態だ 上下 死票は半数以上、3730万票、死票率は実に56.0%
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3355
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3356
2012.09.02 Sunday 大手新聞社の政治部記者の選挙認識のレベルに驚く3 4 毎日用語解説と日経坂本英二編集委員にみる選挙解説の問題
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3261
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3262
2013.01.13 Sunday 自民4割の得票で8割の議席 松尾匡教授(立命経)の素朴な疑問
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3372
2012.12.26 Wednesday 政策に一貫性がない維新 2012年総選挙雑感
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3361
2012.08.27 Monday 大阪維新の衆院定数半減論 大衆迎合そのもの 中 衆院半減でなく国会議員3分の2削減の暴論
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3254
2010.02.23 Tuesday 仏誌ヌーベル・オプセルバトゥール誌上に日本政治に関する私のコメント掲載さる 上中下
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2220