北朝鮮挑発とその後というテーマでこの軍事的威嚇、挑発について思うことを書いている。
民生もすべて捨て去りもてる資源をすべて核開発に投入するこの朝鮮半島の全体主義的世襲政権に果たしてどう対処し、これをどう処理していくのか、それが次の後の国際社会のテーマとなるだろう。
まず確認されるべきは、北朝鮮の意図である。北朝鮮の目的と要求は明確である。
北朝鮮の要求は、同国が核保有国であることを米国に認めさせること。それに尽きる。内政維持という意見もある。もとよりそれもあるが、内政を無視してミサイル開発に注ぐその姿勢は核弾道ミサイルこそが、北朝鮮立て直しの核心であり、それ以外のすべてを欠いた北朝鮮にできる唯一のことなのである。
そしてその実力のなかで米国と対等に渡り合えるようにし、それをテコとし、膨大な援助で国家と自己の世襲王朝を維持し、韓国に優位に立つ、これが北朝鮮の立場である。
昨夜NHKでは、朝鮮半島専門家の武貞秀士氏が語っておられたが、北朝鮮の目的は、核不拡散という国際法秩序の否定と、核保有国の北朝鮮が存在する朝鮮半島とアジアの再構築ということである。
余談だが、対談相手の局アナが「若き指導者」という表現を連発していたのが気にかかった。どうして「若い指導者」といわないのかと。気取ることもない局面だし、むしろ東京、京都など主要都市を火の海にするという、正真正銘のならず者ではないか。
本題に戻れば、北朝鮮世襲3代目の目的については、果たして可能か。元より不可だ。彼が考えているようには米国は決して動かない。
もし、北朝鮮の3代目の要求を入れ、核不拡散という国際法秩序という戦後構築して来た戦略構想を米国が下せば、核開発の連鎖を必然的に生む。すなわち、アジアにおける、そして世界における核軍拡を一気に加速化させることになるからである。
北朝鮮を核保有国と認めれば、当然、韓国も黙ってはおれない。
韓国の核保有となれば、わが国も核保有国に傾斜する国論が台頭するだろう。既に中国もロシアも堂々たる核大国である。
であれば、どう北朝鮮に向かい合うか、北朝鮮を太らせるだけの従来の取引が継続できるのかということである。
北朝鮮はサイルをいつ発射させるか、彼らも必死でそのタイミングを探っている。
この緊張に北朝鮮と世界のどちらがより堪えれるのか、それが勝負だろう。現状でも北朝鮮の暴虐が世界に印象づけられており、ミサイルを打てば、更なる制裁強化である。
中国の意向が米国と同様に重要だが、北朝鮮暴走の最大の敗者は実は中国となると香港の星島日報が伝えている。
中国の庭先である朝鮮半島に米軍がそのプレゼンスを強めているのである。実際、核搭載可能なB52戦略爆撃機も今回3度米韓軍事演習目的で動員されている。
北朝鮮崩壊となれば、中国国境に、親米系の統一国家が誕生する。
韓国部内では、すでに朝鮮半島統一後の北朝鮮領域への米軍の進出について、その扱いも討議されているかもしれない。
韓国は、対北政策でいえば、祖国統一をいいつつ、実は、北朝鮮を現状のまま据え置いてきた。あるいはこれを暴発しない目的で支援して来た。
開城工業団地がその典型である。
北朝鮮は5万3千の労働者を投入して、この上がりをすべて収奪している。
開城工業団地の北朝鮮側の対応を観ていると、北朝鮮も実に臆病で、労働者を引き上げただけで、これを実質的に維持している。すなわち、交渉の余地を残している。
北朝鮮の軍事挑発以降、韓国では海外投資家の売りが膨らみ、株価が急落、そしてウオン安に振れている。外資の撤退の動きもある。
ここにきて韓国が持つ本質的脆弱性が露呈しているのである。
しかも、韓国は韓流の成功の陰で、全体主義国家を隣国とし、同胞を重大な人権蹂躙下に放置したままにし、年間87億ドルを北朝鮮に流す開城工業団地で、大規模な収奪的生産を北朝鮮に可能にさせている。別言すれば、そうした融和策で、この国が抱える本質的な不安定さ、脆弱性と向き合うことを避けてきたといえる。
ちなみに開城工業団地では、北朝鮮労働者の平均月給は134ドル(約1万3千円)。
この国の海外労働者と全く同様に、開城工業団地入所の韓国の123社からは、北朝鮮当局である中央特区指導開発総局に現金が支給され、労働者には直接渡されていない。
北朝鮮労働者の楽しみは支給されるチョコパイであり、それさえ闇市場で売買されているという具合である。
瀬戸際政策が瀬戸際でなくなるか、中国がどれだけ北朝鮮に本気で介入するのか、朝鮮戦争を戦った朴正熙の娘、韓国の朴槿恵新政権がどこまで北朝鮮の恫喝の重圧に耐えうるか、それにかかっているといってよいだろう。
参考記事
朝鮮半島の緊張=最大の勝ち組は米国、中国は苦境に―香港紙 レコードチャイナ2013年4月5日
北朝鮮サイト「開城団地中断は尊厳を冒涜したため」聯合ニュース 4月11日
開城工団:韓国企業13社、資材不足で操業停止 週内に数十社に膨らむ可能性も 朝鮮日報2013/04/08
北朝鮮発危機、海外でより敏感に…GM韓国工場移転説まで 中央日報日本語版4月6日円安に北朝鮮リスク…韓国株価が今年の最安値 中央日報日本語版 4月6日
北の挑発、威嚇に「使い古し」と米国防総省 「あらゆる不測の事態に対応」産経2013/03/27