児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
来て、見て、知る 現場主義の重要さ

 昨日は、本学の卒業生で、こちらの大学で活躍する2名の研究者(専任助理教授)とお会いでき、車を出していただき、八田與一記念公園とダム、資料館や台湾文学館などを訪問し、こちらの大学や教育事情、それにサービス貿易協定に端を発する学生運動などの背景などお聞きすることができた。
 学生運動についていえば、国民党による白色テロとして知られる台湾知識階層の虐殺を祈念する2.28事件の追悼集会が今年は台南で過激化し、孫文の銅像が引き倒されるという事件がわずか1月前に起きているということも聞いた。
 日本では報じられることはなかったように思うが、それも行政府と国会占拠の前触れだったといえる。台湾独立運動は、孫文の否定にまで進みつつあるということだとすれば、極めて意味が深い。
 来て見て知る。在外研究という本格的なものでなくとも、国際政治研究者としては現場主義の意味を改めて確認する短期の台湾出張となっている。
 自宅や研究室の前にいて、インターネットのデータだけで知った風になる観念主義ではなく、風も、味も、水も、臭いも、体感して、初めて物事の本質に近づくことができる。
 これが、現場主義の醍醐味であり、現場に出る意味でもある。
 今回はこの地で、本学出身者の活躍をみて、本学の先輩諸氏が長年行ってきた教育の成果であると、少し誇らしく思うのである。


 

 

 なお嘉南大 (かなんたいしゅう)父として大規模ダム建設と灌漑用水に力を尽くし、当地で慕われている八田(はった)與一・外代樹(とよき)夫妻については、4年5か月前に初めて訪台したときに訪問し、玉山のことと共に、歌を詠んでいる。



玉山の 朝陽を見たり この世紀



嘉南にて 深く慕われ 誇らしき 水庫に生きし 明治の気骨
                    

参考ブログ

2008.08.29 Friday台湾追記2 玉山(旧新高山)と八田與一にちなんだ句と歌を詠む

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=1372






 
 
| 児玉昌己 | - | 13:23 | comments(0) | trackbacks(0) |
台南で台中関係、日台関係、日本のアジア外交を考える 3

 今回の台湾の学生の3・18非暴力抗議運動についていえば、3つのスローガンを掲げている。

「退回服貿」、「台湾光復」、「暴支膺懲」がそれである。

「退回服貿」とは運動のきっかけとなったサービス貿易協定の撤回、「台湾光復」はまさに読んで名の通り台湾の自主独立。
 最後は「暴支膺懲」。中国の傲慢さを懲らしめるということである。

 ちなみに膺懲(ようちょう)という表現は、日本では、今では耳にすることがなくなって、漢字表記だけでは読めない人も多いことだろう。
 
時代と文脈は全く異なるが、戦前日本帝国陸軍が、1937年の盧溝橋事件以降使用した用語でもあり、軍歌の中にもあるほど、広く国民をとらえていたといえる。

 もとより、それは帝国主義と侵略主義肯定の誤った理由づけであり、理解ではあったのだが。

 余談になった。話を戻せば、当然のこととはいえ、対中関係の中で、台湾人のアイデンティティが、強く意識されているのである。

 すでにブログで書いた「両岸関係」という言葉は、大陸中国が唯一合法政府であるという立場と、中華民国としての国家的地位を死守する両者の妥協の産物が生んだ表現である。それぞれを国家としては認めていないという事実に基づく表記である。
 
「唯一の合法政府である中国」という表現は、わが国と中国の国交正常化交渉でわが国が認めた中国に対する基本的な認識である。
 李登輝の訪米の際、彼は「中華民国」を国家として、米国に認めさせたかったが、米政府も対中国交正常化を済ませており、李登輝の願望は叶うことはなかった。ただし米国は武力的手段での台湾解放には断固防衛する姿勢を維持したのであるが。

 歴史を言えば、台湾の国民党政権は、1972年に中国と入れ替わる形で、国連代表権を失い、国連から追放され、国際社会でも国としての地位を失い、大半の国家との国交関係を失って、現在に至っている。

 日本政府で言えば、佐藤栄作総理の時代だ。米国の頭越し外交で、キッシンジャーの極秘訪中(1971)が知らされ、ぶぜんとした総理の表情を覚えている。翌年ニクソン訪中。わが国も国交正常化に乗り出した。
 私も大学2年から3年にかけての頃で、国際政治の苛烈さとダイナミズムを学んだのである。
  台湾の地位についての表記で、最近のことでいえば、たとえば、APECへの加盟はChinese Taipeiとなっている。
 ただし、過酷な国際政治の環境下にあっても、経済的には世界有数の国家として、外貨保有額、対外資産は群を抜いている。

 こうした中での、学生運動の標語である「台湾光復」という言葉が掲げられているということは、じつに意味深い。
 台湾の学生運動に示される新たな政治の波について、BBCは上述の記事で、この地の特派員が以下書き送っている。

「中国政府はこの島はいつか、再統一されるときには、自国の1省となるものと未だに考えているが、(この学生運動の動きに)ピリピリしながら注視していることはたしかだ」と。

It is safe to assume that Beijing, which still claims the island as a province to be reunified one day, is watching nervously.

そして、以下続ける。

「もし学生運動が成功すればだが、それは、政党ではなく、その人々がこの島の運命を決めるという安全装置を付加することになり、台湾のさらなる民主化をもたらすはずである」と。

If the students succeed, it could mean a further democratisation of Taiwan, with additional safeguards to let the people, not any political party, decide the fate of the island.

 まったく同感である。
 中国といえば、
民主化、人権に背を向け、少数民族の支配を強化し、他方で、共産主義という衣を羽織った絶大な政治権力を背景にして、止まることのない腐敗と、汚職にまみれ、特権的共産党幹部の子弟、いわゆる太子党が権力を継承していく一種「赤い王朝」と化している。それが、現在の中国共産党政権である。
 自国民を保護すべき保健衛生など後手、後手であることは、安全な水や、空気、食物、赤子の粉ミルクさえまともに確保できないことで、周知の事実である。
 その中国の政権は、3・18運動を、李登輝と陳水扁以来最大の危機として、両岸関係という台湾関係を最大限、注視しているはずである。
 建前的には同じ中国語を話すが、民主主義という観点から見て、政治体制の質において雲泥の差がある中国と台湾である。その台湾での学生運動の高まり。
 影響力を増す中国への不安と脅威の反映であるといえる。

 他方、台湾からみればその脅威の対象である中国は、国家を超え、国境を超えるインターネット社会の中で、台湾の近年先例を見ることがなかった民主化運動について、自国への波及も恐れていることだろう。

 「台湾光復」、「暴支膺懲」。実に中国共産党を震撼させる政治スローガンである。

 そういえば、昨日午後訪問した台湾国立歴史博物館での表記は「漢人来臺」であった。実に台湾のアイデンティティを示す表記であった。

参考記事

What unprecedented protest means for Taiwan By Cindy Sui BBC News, Taipei

26 March 2014

 

| 児玉昌己 | - | 09:39 | comments(0) | trackbacks(0) |
台南で台中関係、日台関係、日本のアジア外交を考える 2

  李登輝さんがそのシンボル的存在であった台湾独立運動も世代交代で廃れたと、馬政権の成立時にはそう思った人も多いだろう。

 実際、政治は社会から後景に退き、台湾はIT産業を背景にし、高度経済成長に酔った。それは学生の政治離れでもあった。

そして今回の3・18の学生運動である。

台湾の学生運動は実に久しぶりのことである。サービス貿易協定で、安価な労働力の大陸からの流入は、台湾の労働力と競合し、庶民を不利にするのは目に見えている。13億と、2300万の人口という桁違いの相違。

審議も十分でなく、北京政府に媚びるかのように密やかに進められた貿易協定であった。

今回の学生運動では、特に立法院が初めて占拠の対象になったというのは印象的である。

それほど国政担当の政治家にたいする不信が広がっているということであろう。

民進党のトップ陳水扁が汚職で支持を失い、その後、紆余曲折を経て、国民党に政権を奪われて、対中接近が目覚ましい台湾である。  

だが、この学生運動については、BBCが、26日付の記事「先例のない抗議運動が意味すること」で、与野党に対する政治不信が全般に背景としてあり、貿易協定という単一の政治問題のために起ったのではない旨、書いている。

 台湾は、日本の植民地支配が敗戦で終了した後、国共内戦敗北した外省人の蒋介石が台湾を統治して、過酷な本省人、すなわち台湾人の虐殺事件を体験している。いわゆる228事件で現在、台湾の国民の祈念日ともなっている。

国共内政の敗北で大陸を追われた外省人による支配は、立法府における驚くような「終身議員」などに端的に表れていた。

そして、自ら国民党総裁の登用された李登輝の登場である。

 蒋介石の息子で権力を世襲した蒋経国の死で、1988年副総裁から昇格して、国民党総裁となった李登輝のもとで、民主化が大いに進み、現在の台湾がある。

 現在の馬政権は国民党であるが、この党、実に罪深い。

 国共内戦時には腐敗で、共産党に駆逐され、そして台湾統治。その後の、不倶戴天の敵としていたはずの中国共産党への急接近である。

 国民党の、台湾における歴史的役割を言えば、台湾人のアイデンティティを高めるために存在するのがこの党のようである。

| 児玉昌己 | - | 13:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
台南で台中関係、日台関係、日本のアジア外交を考える 1

 立法府にたいする学生の非暴力抵抗運動は10日を超えている。排除の官憲との流血にまで発展している。
 直接的には台湾と中国のサービス貿易協定が台湾の中小企業にとって脅威となるということによる愛国的抗議運動である。
 もとより、それだけでなく、馬政権の中国寄り政策の急展開がその背景にある。

特に馬政権の政策は内戦で蒋介石が台湾で国民党政権を成立させた後、史上初となる閣僚会議の開催である。
 実際、馬政権は統一こそ打ち出さないものの、中国との急速な接近をはかり、その速度はなぜかと思わせるべき対応である。貿易協定もそのひとつである。
 こ歴史認識を背景にした台湾政府の教科書記述の大幅改定と、植民地時代の負の側面の強調と日本統治時代の積極的側面の削除という政治的動きも連動したものといえる。
 馬政権のこれらの対応は、戦後、国民党統治の終焉と李登輝の政治の始まりで重要視された中国の核心的価値、すなわち台湾が大切にする自由、民主主義、人権という価値に対する脅威として、受け取られてきていることにある。

 産経を退社してフリーになった福島香織が以下の日経ビジネスに優れた記事を書いていて、実に興味深い。

 それにしても、教科書改訂の動きなど安倍政権の対アジア政策の稚拙と連動していると言える。実際、安倍政権の対アジア外交は愚劣極まりない。
 第1次安倍政権時もそうだったが、自己の異様な戦争史観と戦後外交の基軸を否定するように、帝国主義戦争を否定するように、靖国、河野談話の見直しなど打ち出して、戦後外交とはまるで違った方向を打ち出している。
 しかも河野談話の否定を実際やるのかと思いきや、それは継続するとする。
 できないことはするなということである。何よりわが国外交の基軸である対米関係を大きく損なうことになるからである。
 米国など旧連合国は帝国主義戦争というより反ファシズム戦争であるという認識を共通のものとしており、実際、欧州においてはヒトラーの暴虐から欧州市民を解放している。
 他方、関東軍は解放軍として迎えられたのか。その一事において、安倍総理の対外観の異様さがわかる。実際、国民の多くはもとより、多くの自民党幹部もこれを異様と受け止めている。
 わが国においても、国民に最大の惨禍を招いた愚劣な戦争指導をした軍国主義を一掃するに決定的に力あった。
 侵略戦争の定義などないなどと言ってそれを否定する反歴史的というべき安倍外交が、不要に対中、対韓関係を損なっている。対台関係もまたしかりである。この「麗しき島」、フォモサ、台湾まで反日にするのかね、といいたい。
 台湾の教科書記述の書き換えをとっても、現在の台中の力関係を反映したものであるがゆえに、結果として、台湾のこれまでの良好な対日関係を脅かし、もって、わが国の対台湾政策にも悪影響を及ぼしていると言わざるを得ない。
 靖国や慰安婦問題への対応は、まさに米議会関係者や政権筋が指摘するように、中国共産党をむしろ喜ばせるものであるのだから。

 戦後我々が誇るのは、紹介した福島香織も書くように、まさに自由と民主主義という普遍的価値であり、それを欠く中国の現政権への思想上の、そして実践上の優位性はまさにそれである。
 逆に彼らの最大の欠陥と、政治的不安定さはそこにある。
 戦後我々が敗戦を機に、戦後の日々の努力で獲得したこの普遍的価値こそ、今一度評価され、確認される必要がある。
 参考記事

戦後初の閣僚級会議で「新章」に入った中台関係 結末は悲劇か、ハッピーエンドか

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20140217/259841/?P=2

| 児玉昌己 | - | 09:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
台湾出張 南台科技大学訪問

  今年度最後の大学院の会議を終えて、翌朝空港バスで福岡空港に。目指すは台湾の台南。

 オンタイムで、桃園空港到着。直ちに新幹線駅に移動。到着後ホテル入り。すべてが日本にいると同じように快適で、無駄のない移動となった。実際、新幹線は日本のものと同じで漢字の親しみもある。

 荷を解いてほどなく、交流関係者へのごあいさつ。南台科技大学で留学中の同君の生活ぶり実見させてもらう。

 インターネットなども完備されていて、基本的には日本と変わりない環境で、当然といえば当然に充実した生活を送っていることを確認して、喜ばしいことであった。  送り出す側としては、単に文字情報だけでなく、実見して初めて次の学生さんや保護者の皆さんにも助言できるというものである。
 もとより大学間交流故、どこもそうした点には最大限配慮しているではあるが。ちなみに科技大も勤務校も近年姉妹校の数を増やし、充実させている。

 応用日本語系に属し、国際両岸交流組と名を改めているセンターの責任者であ鄭先生とは5年ぶりの再会。両岸とは一般には余り耳慣れない言葉だが、中台のことだ。
 大陸との交流を進める台湾の現政権の意思の表れでもあるが、中台関係を両岸とすることが、現状の最大の表現だとのことである。
 中台関係では、立法府への学生の抗議行動もあり、台南からも参加していることも聞いている。

 図書館や留学生の受け入れ状況、志願者のことなどもうかがい、少子化の時代の大学のあり方など、考えていた。
 大学を辞し、夕刻は、台南中心地に出る。以前はなかった三越もできていた。
 戸外は真夏に近い、28度。地元の名店、スイーツの安平豆花でかき氷を食したことだった。

 ホテルに戻り、Wi-Fiのネットの環境でこれを書いている。

 台湾にきてというより、外国一般にと言ってよいが感じることは、運賃の安さだ。逆に日本の運賃はべらぼうに高いということである。もとより、所得水準に比べてのことだが。
 日本にくる留学生からもそれを聞くのだが、鉄道、タクシーなどなど、運輸行政の誤りというべきだろう。

 石油連盟だったか、増税を前に、満タンにと言っているが、エネルギー業界の苦境を知らしめて痛々しい。
 高すぎる運賃などは、物流と人の移動を阻害する。国家の運輸行政の誤りというべきで、本末転倒なことである。

なお前回訪台時の李登輝元総裁との会見は以下
2008.08.28 Thursday 今、台湾出張から戻る
http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20080828

| 児玉昌己 | - | 08:12 | comments(0) | trackbacks(0) |
ヤフーメッセンジャーの終了

 メッセンジャーが明日の午後には終わるとのことだ。ずいぶん使わせてもらった。株価なども便利な機能だった。今も台湾出張のことで現地の教え子さんと交信していたところだ。

 時代の変りを感じさせる。今は、ラインだの、カカオだの。そのうちピーナッツバターも出てくるのかも。

  ピーナッツバターといえば、『ジョー・ブラックをよろしく (1998)』(meet Joe Black)で死神役を好演したブラッド・ピットを思い出す。

 便利な機能を失って、今度はスカイプかななどと思っている。


 終わるといえば、消費税5%も。月末、出張が入っていて、もどれば8%。それで今のうちに、洗剤など日用品の買い置きのために出かけてきた。




| 児玉昌己 | - | 22:25 | comments(0) | trackbacks(0) |
湯村温泉の旅 それを詠む 海鳴庵児玉
  夢千代の里、荒湯で有名な湯村温泉。そして出石、天空の城竹田をめぐる1泊旅行から戻る。北近畿の村岡はまだ雪を平地で残していたのには驚く。湯村は30有余年前岳父と母と初めて旅をした場所。その親も今はなく、センチメンタル・ジャーニー。

 

 

 

山陰に 湯村訪ねて 春の旅 親を共にて それはまぼろし

 

春の夜の 荒湯なつかし 山の陰

                    海鳴庵児玉 

 

          

| 児玉昌己 | - | 22:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
卒業式そして研究の先端に立つ仲間との会食

  20日は卒業式。4年前に入学した諸君が無事社会に旅立った。 

 親御さんもこられていて、何組かの保護者とも挨拶をする。子供の卒業は親の卒業でもある。親子で晴れ晴れとした顔がなによりのことだった。

 夕刻には、東京財団の渡部恒雄さんが久留米入りしたので、宮原先生、ダブリンとオックスフォードでの取材から戻ったスティーブン・デイと夫人と5名で、「旬菜こが」で大いに盛り上がる。

 スティーブン・デイ先生はイギリス人、宮原さんは元キャリアの外交官、渡部先生は有力シンクタンクに籍を置く米政治専門家、デイ夫人は大学で英語を講じて、皆言葉には不自由ない。

 ウクライナ情勢、米政権の対応、欧州政治など、大いに話も盛り上がる。

 ストレスのかかる毎日だが、有難いのは気の置けない友であり、楽しく貴重な時間であった。



| 児玉昌己 | - | 11:17 | comments(0) | trackbacks(0) |
カササギの巣作りに春到来を知る それを詠む 海鳴庵児玉

 気温は20度もあり、春爛漫の久留米だ。各地も同様で、春本番。人間世界だけでなく、この地域の保護鳥カササギも春を迎えている。それを詠む

 


 巣づくりの 枝を咥(くわ)えし カササギの 番(つが)いもありて 春や麗らか              海鳴庵児玉




2014.02.08 Saturday 海鳴庵児玉昌己句歌集2014年前半

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3616

| 児玉昌己 | - | 23:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
忘れまじ大震災 忘れまじ原発禍 そして欧州の友人からのメッセージ

あれから3年。被災地は過酷にも吹雪いていた。九州北部では春を思わせる晴れた日だった。
 我が家では古家のリフォーム第2弾で斜度がある階段の架け替え工事のその際中のことだった。それぞれがそれぞれにあの日を迎えたのだ。
 震災復興はマダラ模様という。しかし斑の中で最も濃い部分がある。3年もたつというのに原発禍による高濃度の放射能汚染で、美しき故郷を一瞬にして奪われ、以降も復興とは無縁の、住民の帰還不能と化している地域だ。
 それにもかかわらず、安倍自民政府は原発を基幹エネルギーと位置づけてはばからない。しかも巨額の血税をエネルギー供給とは全く無縁の除染に投入してさえいる。エネルギーのコストからみて、原子力が完全に経済合理性さえも欠いたものであることは明々白々である。
 しかも、原発村の住人はこのまだら模様で帰還不能の住人でさえない。強い憤りを感じる3年である。
 震災時に詠んだ歌を再録して、この日を忘れまじ。
 
東北の こそ希(のぞ)め 鶯(うぐいす)よ  慟哭の惨
悲涙(ひるい)尽き果て
                      海鳴庵児
追記
パリ政治学院教授の友人から震災復興を願うメッセージが以下届いている。
Dear Masami
Today, we all have in memory what happened in Japan three years ago.
We have thoughts for those who died and suffered.
All best wishes
Christian

参考記事
2011.03.13 Sunday南三陸町1万人不明の報 そして欧州の友人たちからの連帯メッセージ
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2735
2011.10.04 Tuesday
 劇的に秋を迎えた朝、想うこと 下 原発禍という言葉について
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2946

| 児玉昌己 | - | 22:29 | comments(0) | trackbacks(0) |

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