児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
面白くなるNHK岡田官兵衛

 正直、20回近くまで、面白くないと思ってみていた。だからブログに書くことがなかった。特に14回だったか、戦闘シーンの、学芸会レベルのあまりの貧弱さにチャンネルを変える始末だった。

 戦国もので戦闘シーンを安げに扱われると、あらゆるリアリティが失われ、俳優さんの努力の演技も消えてしまう。

 ましになってきたのは、有岡城幽閉あたりからだ。その救出劇から、本能寺、天下の秘策、中国大返しと、回を追うごとに、面白さを増してきた。

 織田が明智の謀反で潰えて、ようやく秀吉そして軍師官兵衛が光彩を放つ。日本史に類を見ない革命的独裁者、強烈な最高指揮官の信長の、歴史としての圧倒的存在が故に、やむを得ないところもあるが。

 それにしても救出後の形相が変わった岡田官兵衛、鶴見小早川のやり取りは、備中高松城の城主清水宗治役に宇梶剛士を得て、実に見ごたえがあった。

 それにしても思い出すのは、竹中半兵衛のことだ。谷原章介が実にいい役をしていた。

 実際、官兵衛を凌ぐ軍師があるとすれば、半兵衛だ。

 信長の冷酷非道な官兵衛の嫡出子の殺害命令に命を張って抗して、それを匿い、官兵衛の子を救い、劇的な親子の体面を可能にしたのは、半兵衛だったのだから。

 このあたりは痺れるほどの歴史の面白さで、以下がすぐれている。

 嶋津義忠「竹中半兵衛と黒田官兵衛―秀吉に天下を取らせた二人の軍師」 (PHP文庫)

| 児玉昌己 | - | 23:46 | comments(0) | trackbacks(0) |
期末の試験期間入り 腹筋マシンで気分転換

  厳しいを通り超えて酷暑というべき夏の暑さも昨夜は一段落。乾いた空気で湿度が下がって、「ジェル増量」に魅かれて購入した氷枕も使わずに済んでいる。

 自分への投資ということでは通販テレビショッピングで宣伝している腹筋マシンを購入。簡単に組み立てることができた。
 日頃画面に縛り付けられているからストレッチで背骨を伸ばせるのが魅力だったが、思いのほか小ぶりで気に入っている。

 学期末も近づいてきた。アレコレの抱えている仕事をとにかく適宜こなしていこう。

 

| 児玉昌己 | - | 12:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
EUIJ九州シンポジウム"EP Elections 2014"- EU Citizens and A Future of the EU -終わる

 欧州議会の専門家、マーストリヒト大学のトーマス・クリスチャンセン教授を迎えてのEUIJ主催の国際シンポジウム(座長八谷まち子九大教授)にディスカッサントとして招かれていた。テーマは、以下

EUIJ九州シンポジウム"EP Elections 2014"- EU Citizens and A Future of the EU -

 同様に招かれていた大分大学のスティーブン・デイと東大の森井先生と、昨日通訳なしのシンポジウムが 九大箱崎キャンパスでひらかれ、これを無事終えて、ホッとしている。森井先生とも昔から懇意にさせていただいていて、しばらく前、東大の大学院にも招いてもらい、サンテール欧州委員会の総辞職について話させていただいたこともある。
 そうした旧知の研究者との会で、リラックスはしていたのだが、日頃英文には親しんでいるとしても、学術的に話をするという行為は読む論理とは別の行為である。

 齢とともに思考は成熟し深まるが、それとは別に、日ごろの経験、鍛錬がないと、母国語以外の言語を話すというのは、すぐに対応できるものではない。

 そんなプレッシャーをどこかで感じていたここ数日だったが、まずまず役目を果たせて安堵している。

 特に聞きたかったことは、ユーログループに相応したユーロ圏議会創設の可能性についてである。そのことでは、ク教授も特段に興味深い質問で、回答をもちあわせてはないが極めて重要なことだと指摘いただいた。

 実際、この問題はEUと欧州議会の一体性と抜きがたい分断性を問うものであり、EU統合の今後を考える時、実に大きな問題であるという認識を共有できて、何よりだった。

 

 受験生がそうであるように、本番で持っている力以上のことは出せない。討論会でも、日頃考えていること以上のことは、話せるものではない。それを改めて感じた討論会であった。

 また日本の欧州議会の研究者が何を考えているのか、現地の欧州議会の権威にそれを知って頂いただけでも、私としてはこの会に参加できてよかったと思っている。

 

1) 日時:725日(金)15:00-18:00
Time & Date: 25 July (Fri), 2014, 15:00-18:00
2)
場所:九州大学箱崎キャンパス21世紀交流プラザ1階多目的ホール

所在地:箱崎キャンパスマップ 青No. 39 
Venue: Lecture Room, 21st Century Plaza, Hakozaki Campus, Kyushu University
3)
討論者
Speakers:
トーマス・クリスチャンセン教授(マーストリヒト大学,オランダ)Prof. Thomas Christiansen, Maastricht University, The Netherlands
児玉 昌己教授(久留米大学)
Prof. Masami Kodama, Kurume University
スティーブン・デイ教授(大分大学)
Prof. Stephen Day, Oita University
森井裕一准教授(東京大学)
Associate Prof. Yuichi Morii, The University of Tokyo
モデレーター:八谷まち子教授(EUIJ九州代表,九州大学法学研究院)

Moderator: Prof. Machiko Hachiya, Director EUIJ-Kyushu, Kyushu University※一般の方もご参加可能です。参加無料。要予約。
言語は英語のみ。(通訳なし)
*This forum is open to public. Free of charge, registration required. English only (without translation)

 

 

 

 

 

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 22:49 | comments(0) | - |
夏入りは 蝉の音と共にあり それを詠む 海鳴庵児玉 

  梅雨が明け、そして今年も夏が来た。蝉しぐれとともに。種を求める蝉の求愛の音。この自然の繰り返し。その情感を詠む



蝉しぐれ 開けて今年も 聴きたりて 知るや夏の香 愛し虫の音

                       海鳴庵児玉

| 児玉昌己 | - | 08:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
拙著「EUヨーロッパ統合の政治史」NHK出版(2011)を佐藤優さんにクーリエ・ジャポン(講談社)で取り上げてもらう

 佐藤優さんについてはブログしたことがある。
 勤務校の同僚で文学教授の宮原さんが久留米市長選挙に立候補した際、外務省入省年次が近いということで、入省後も懇意にしていたという関係で、佐藤優さんが宮原さんの応援演説に来て、それで面識を得た。

 今回、私がNHKから出した書「EUヨーロッパ統合の政治史-その成功と苦悩」について、偶然、佐藤優さんが月刊クーリエジャポン6月号(講談社)で写真入りで触れてくれていることを、すでに家庭に入っている東京在住の教え子のBさんから知った。

 この書は、2010年NHKラジオから依頼されて、放送用のテキストが必要ですということで、両者一体となって、準備されたものである。

 すなわち、NHKラジオ第2放送の「歴史再発見シリーズ」の講座テキストとして書きおろしたものである。
 前年の夏までにほぼ書き上げ、2011年の年の初めから全国に向けて放送された。だが、3月のあの東日本大震災がおきた。

 放送も終盤を迎え、もしかしたらキャンセルになるのかと一瞬案じたこともある。

 ラジオ第1は震災報道のための特別編成となったが、教養講座などを扱う第2は幸い、他の番組も含めて淡々と収録したものが流されていった。
 ラジオ講座のテキストは講座の終了後は、その性質上、英語や仏語のものと同じく、歴史ものなども、さほどの間をおかずに、いずれも絶版処分になる。
 私のも同様の扱いをうけた。
 本来は一時のためのものとして書き下ろしたわけではない。息の長いものとなることを考えていた。
 今回、佐藤さんに取り上げていただき感謝している。

参考ブログ

2008.01.30 Wednesday 佐藤優の「私のマルクス」と同志社  上下

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=1047

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=1048


 



| 児玉昌己 | - | 00:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
 RKB毎日ディレクタ貞刈昭仁とテレビ番組電撃黒潮隊大韓派越(1995)について

  ポストセブン(週刊誌)がインターネットで以下の記事を出している。

「韓国海兵隊OBからなる「枯葉剤戦友会」その暴力的な実体とは」2014.07.18

 

http://www.news-postseven.com/archives/20140718_265425.html?PAGE=2

 

日本帝国主義の侵略については世界に語るものの、自国の恥部については口をつぐみ、国内でもタブーにしている。世にいう大韓派越、ベトナム侵略である。

 これは米国のベトナム戦争に現大統領の朴槿恵の父朴正熙がみずから国軍を米国の傭兵として、まさに日当をもらう形でベトナムに出し、無辜(むこ)の市民に対して殺戮を行った事件である。ベトナム側の韓国軍との戦闘での死者は4万人を超えている。

 これについては、もう7年以上も前に、腐敗疑惑で取り調べを受け自殺した盧武鉉の歴史認識との関係で、以下ブログで書いている。

2007.03.03 Saturday歴史語りの歴史知らず 盧武鉉 その2 上 中 下

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=469

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=471

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=472

内容は、盧武鉉というお粗末な大統領が、第88周年31節(独立運動)記念式に出席、「歴史的に他国に害を及ぼしたことのない私たちは北東アジアの平和を主導するに値する十分な道徳的名分と資格を持っている」と語ったと、朝鮮日報が報じたことを受けて、この大統領の歴史認識の軽薄さに怒りを込めたブログであった。

大韓派越の実際についていえば、1965年から73年に撤退するまで、8年にわたり韓国は、延べ35万人、最大で5万人の韓国軍将兵をベトナムに派遣し、現地で、何の歴史的関連性もないベトナムという国家で民間人とベトナム解放戦線および北ベトナム軍の殺戮に加担した。韓国軍兵は一日2ドルの米軍からの支給を受けていた。まさに傭兵そのものとして。

 韓国が米国から受け取った補償金は10億ドル、1965年の韓国の貿易額が2億ドルというもので、ベトナム戦争への侵略加担が、韓国経済をどれほど潤したを物語るものである。

これは、彼らが恨み骨髄までというべき日帝支配の開始から65年も後のことであり、日帝支配の終焉から、わずかに20年足らずで始まったことである。

今日は、それに関して、あるわが国の地方局が作製した番組について、ブログしたい。

 もう20年あまりになるが、1995年にRKB毎日放送JNN系が電撃黒潮隊というシリーズものの番組名で現地取材を交えた特集を組んでいる。残念ながら録画ではタイトルの部分は消えて正確に期すことができないのだが。

 ディレクターは貞刈昭仁。

彼の名はグーグルで検索するとわずかに8件。その中に、2008年の日本民間放送連盟賞/2008(平成20)入選・事績で、優秀賞として、以下が紹介されている。母は闘う 〜薬害肝炎訴訟原告 山口美智子の20年〜プロデューサー貞刈昭仁、ディレクター 大村由紀子構成 松石泉編集川路幹夫。

上述の「黒潮電撃隊」については、別にグーグルで検索すると記事があり、以下書かれている。

「アートネイチャースペシャル・電撃黒潮隊』は、199210月から20029月までe-JNN(山口県・九州・沖縄県のTBS系列局)8局のブロックネットで放送されていたドキュメンタリー番組。全507回。

 ただし番組の各タイトルなどについては不詳である。

大韓派越を扱ってすぐれた作品で録画したことを記憶しており、今年に入り大量のVHSテープを処分するに当たり、機材を求めて、デジタルに移し替えた際、記憶を甦らせたものだった。ポストセブンの記事で再度、それを思い出した。

 貞刈がディレクターした番組では、従軍した韓国軍の特殊部隊の兵士キムスンブさん54歳、職業、画家が実際に負傷したカムラン湾付近の戦地を30年ぶりに再訪し、当時のことを語ることで物語が展開する。また当時の韓国外相にもインタビュしている。本人は負傷し、とどめを刺されることなく、奇跡的に救出され、沖縄の米軍病院で意識を取り戻すという体験もしている。  

 後に光州事件で死刑判決を受け赦免される全斗煥や、同じく死刑判決を受け同じく赦免された盧泰愚の両大統領が共にベトナム戦争に高級指揮官として参戦している。前者は白馬師団29連隊長として。
 戦争に従軍したベトナムの元兵士は、カメラの前で、29連隊は強かったが、目的が間違っていたと語っている。

 また韓国軍兵士の性の処理の結果として生まれた韓越混血児の問題にも切り込んでいる。ベトナム戦争を扱った韓国映画(1992年)「ホワイトバッジ白い戦争」もこの番組で知った。

韓国は、1992年にベトナムと国交樹立するが、この侵略と虐殺については、しばらく謝罪さえしなかった。またタブー化された。

   この番組では、従軍した兵士自らが、米国軍の非人道的な枯葉剤ダイオキシンの大量投下の犠牲者ともなっていることを伝えている。
 冒頭の記事見出しは、国家のためと青春を侵略戦争に駆り出され、しかも国家と国民はその事実に蓋をしタブー視する韓国の醜い現実へ過激な抵抗であり、物理的にダイオキシンの被害者となった韓国軍将兵の苦しみの叫びである。
 1995年時点で、国史の教科書にわずか一行「自由ベトナム支援のために国軍を派遣した」とのみ書いていることなども紹介している。

 はたして、現在の韓国の教科書はどうなのか。

 ポストセブンの記事に遡ること20年ほど前に、理性的に、大韓飛越の問題にテレビ映像を駆使し、正面から切り込んでいったこの先進的で優れた番組と、それを指揮したディレクターの貞刈昭仁については、すでに定年退社しているかもしれないが、書き残されてしかるべきだと思い、今回ブログに記した次第である。

 参考ブログ 最近の韓国論

2014.04.26 Saturday「キムチスタン」の韓国? 上下 修学旅行のせいにされかねないセウォル号沈没事件

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3654

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3667

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 00:15 | comments(0) | - |
Extraordinaryな久留米の自然そのものの一日

  土曜日の我が家のことだ。

期末試験が迫ったこの時期、加えて九大での今月25日の欧州議会に関する国際シンポジウムもある。

 

 

 それで気分的にせわしくしているのだが、大自然のなかにまさに住ませてもらっていると思わせる2つのextaordinaryな「事件」の一日。

 交流のあるA君が、近くの川でとれたからとすっぽんを持ってくるという。

 以前雑談をしていて、すっぽんの話になり、小さい時からとっていますよ。そんな自然もあるのかね、それはすごいねというと、とれれば、持参しますからねという話をしていた。

 実際、届けてくれたものを見て驚き。とにかくその大きなこと。さっそく用意していた簡易の水槽に入れてやる。

 養殖ものと違い、自然のものは気が荒いですから、指など下手をすると簡単になくしますよという。要注意と。おっかなびっくり。

 それにしても目の前にいるカメのこの鷹揚な成長ぶり。21世紀とはいえ自然のなかに我々は生活させてもらっていることを改めて考えさせてくれる。

 もう1つはアシナガバチ。

 なんとよりによって、玄関わきに12センチほどの巣を作り始めていたのだ。

 このブログでも書いたかもしれないが、長与の家で一度刺されているのでおっかなびっくり。以前からこんなこともあろうかと買い求めていた強力なジェットスプレー2本でそれを強制排除す。落下したハチが、それでも盛んに毒針をだす。アシナガとはいえススメバチ科に属するのだ。恐ろしや。

 まさに大袈裟ではなく緊張の仕事。

巣がなくなっているのを知って怒り狂っているのだろうか。

 梅雨明け直前の土曜日で暑い一日。扇風機は突然死したり、とんでもないextaordinaryの一日である。

参考ブログ 長与の家

2010.08.15 Sunday  お盆に蜂に刺される 

http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20100815

2007.02.02 Friday 巣にいるのはジョウビタキ

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=433

2007.01.26 Friday 朽ちたツバメの巣

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=422




| 児玉昌己 | - | 15:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
梅雨明けは夏休み入り そんな子供時代を詠む 海鳴庵児玉
  連日の雨の後、青空が顔をのぞかせる。もう7月も下旬。秒読みの梅雨明け。それで夏休み。両親がともに健在だった小中時代、通知表をもらい、勇んで帰宅した。その情景を詠む

 



梅雨明けは 父母待つ顔の 通知表 往きし日の空 青きあの夏

                       海鳴庵児玉

 

| 児玉昌己 | - | 08:08 | comments(0) | trackbacks(0) |
2014年欧州議会選挙余滴4 独国民民主党(NPD)議員の登院とその余波

 すでに欧州議会選挙直後の初登院で、主権至上主義者の反EU派が、EU旗とEU歌を掲げ演奏するセレモニーで壇上に背を向けるという異様な事態については触れた。

欧州議会における極右登場の続報を書こう。

ナチスの親衛隊に敬意を払い、ユダヤ人虐殺数を異様に少なく理解するというネオナチの議員がなんと欧州議会常設委員会の「市民的自由」のメンバーになるということがユダヤ人団体から問題視されている。

当該議員は、ドイツ選出欧州議会議員ウド・ボイト Udo Voigt, 独国民民主党Nationaldemokratische Partei Deutschlands (NPD)に属する。

なぜこうしたことが起きるかというと、ドイツ連邦憲法裁判所Bundesverfassungsgericht が、EU法としての欧州議会選挙法を下にして加盟国ごとに作られているドイツの欧州州議会選挙細則の定める比例代表の敷居値を全廃したことによる。

この結果2009年では7つの政党が議席を得ていたに過ぎなかったが、なんと15の政党が今回、議席を得た。

 すわ、政治的不安定を招いたワイマールの再来かと早計に判断しないでいただきたい。7つの党の当選者はそれぞれわずかに1名づつである。しかも、欧州議会総議員751のうちドイツ選挙区の議員定数は96議席で、その意味は極めて相対化されている。

 ちなみに1932年7月のヒトラーの議会進出を決定づけた時のドイツ下院の政党数は14.

 ボイトが属する国民民主党は下院議会選挙では0.3%程度の得票だが、今回欧州議会選挙では1%の得票を得ての欧州議会参入となった。

 なぜこうしたことが起きるかは、EUの急速に進む反移民感情を背景にしていることに加え、EU議会である欧州議会の制度設計、とりわけ選挙制度にある。

 周知のごとく、国境を越え立候補し、投票権を行使できる欧州市民権の概念はあるものの、基本的には欧州議会の選挙では加盟国ごとに選挙区が仕切られており、敷居値一つとっても、加盟国ごとにバラバラであることから発生する。

 ところでEUは欧州の民主主義のために存在する。

The Union is founded on the values of respect for human dignity, freedom, democracy, equality, the rule of law and respect for human rights...とリスボン条約1a条に書き込んでいる。

 今回相当数の民主主義思想を疑わせる反EU党の躍進がみられた。

 もとより数はEUの大勢に影響を与えるほどに大きいものではない。とはいえ、これらの反民主主義的議員にたいして、民主主義的、人権と市民的自由の価値を掲げたEUはどう対処するのかという根本問題も今回の欧州議会選挙はそれまで以上に提起している。

 また国内議会においては前者はゼロ、後者は2議席というごとくほとんど議席を持たないUKIPと国民戦線の進出に見られるように、欧州議会の比例代表制が加盟国の国内政治へも強烈に影響を及ぼしていくとみられる。

 敷居値の統一も合わせて、加盟国バラバラに問われている選挙からEUを争点とする選挙へと変化させるべく、今回惜しむらくは落選したアンドルー・ダフ(英自民/ALDE)が憲法問題委員会で提案し可決されたものの、本会議でたなざらしとなった単一欧州選挙区の導入も考慮すべき課題となってくる。


参考記事

Neo-Nazi takes seat on Parliament Civil Liberties Committee, Schulz furious Euractiv 08/07/2014

参考ブログ

2014.06.10 Tuesday 2014年欧州議会選挙余滴1 UKIP党首のファラージュのこと

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3684

2014.06.26 Thursday 2014年欧州議会選挙余滴2 ルペン国民戦線欧州議会内新会派結成ならず

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3694

| 児玉昌己 | - | 16:17 | comments(0) | trackbacks(0) |
連日、深く垂れこめる梅雨の雲を詠む 海鳴庵児玉

  台風は去ったが、南海からくる雲は深く垂れこめ、梅雨の雨は延々と続く。それを詠む


 

南海の 深く垂れ込む その雲の 去りてのみ来る 碧(あお)き

あの夏             海鳴庵児玉




参考

2014.06.22 Sunday 海鳴庵児玉昌己句歌集2014年前半

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3649



| 児玉昌己 | - | 22:36 | comments(0) | trackbacks(0) |

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