驚くべきことだ。北朝鮮は10月までには、回答を出すといいながら、調査をみに来いと、呼び寄せ、揚句、ゼロ回答とは。
テレビ局がうれしそうに取り上げ、韓国が感心していたようだが、担当者が高位高官の誰であろうが、係の部屋がどんなであろうが、まったく意味のないことだ。
安倍内閣に課せられた課題と目的はただ一つ。30年有余年にわたり人生を奪われたままの拉致被害者の早期の帰還、奪還である。白昼の武力による北朝鮮国家機関による国家主権の重大な侵害と、与野党の無策で人生を奪われ続けた日本国民の救助は国家の最大の使命でなければならない。
拉致被害者の家族の憤りはいかばかりだろうか。かつて偽物の遺骨を平然と提出した北朝鮮だ。日本のDNA鑑定のレベルも知らずに。
それにしても、すくなくとも、過去の拉致関係者については処罰したというが、その実際を明らかにすることはできたはずである。拉致実行犯こそが核心部分を知っている。
ずるずると引き伸ばしすることが十分予想されるが、今後、安倍政権はどう対応するつもりだろうか。
政府関係者の今回の北朝鮮派遣について言えば、全く子供のお使い程度である。家族会はこの可能性を強く危惧し、賢明にも事前に指摘していた。最も切実に家族の帰還を待っている人々がである。
今安倍内閣がなすべきは、行動対行動であり、強烈な抗議をすべきだろう。北朝鮮がほしいのは世襲王朝維持と核開発に必要な資金だけである。
かつて、北朝鮮が手玉に取っていた国連やEUだが、この国の人権状況が明らかになり、EUが本格的に人権問題を取り上げ、国連に出す北朝鮮人権決議案は今年は国際刑事裁判所(ICC)への付託も取り上げられるようだ。
ICC回付は人権弾圧の責任者に対する司法的断罪と特定の個人の処罰に直結する意味を持つ。
たしかに、総会の決議案は拘束力がないが、それでも、韓国の中央日報が書くように、「国連総会が採択する北朝鮮人権決議案は象徴性が大きい。北朝鮮には人権不良国家という烙印が押される。その上、国際社会が介入して北朝鮮政権を断罪できる名分が用意されると見ることができる。」
米国のみならず、EU28か国からこの決議案が突きつけられる政治的意味は計り知れない。
聯合通信が伝えるように、北朝鮮はこの提出の妨害に必死である。
それほどに世界的に孤立化している。
北朝鮮が日本の資金はのどから手が出るほど欲しいことは、彼らの対応を見ればわかる。
回答を先送りする北朝鮮。政治学的には、縁もゆかりもない「共和国」を僭称する世襲独裁国家の北朝鮮。行動には行動を、政府は、北朝鮮に対し、回答の期限の設定をなぜしないか。彼らに訪日させ、回答させよである。
できなければ、すなわち制裁強化。それが適切な対応である。それこそがわが国がなすべき拉致問題の解決の突破口である。
参考記事
「北朝鮮の人権状況、国際刑事裁判所に回付」EU、国連総会決議案の草案2014年10月10日中央日報
北朝鮮の人権問題「ICC付託を」EUなど決議素案 朝日2014年10月10日
N. Korea
urges EU to halt push for U.N. human rights resolution 2014/10/30 Oct. 30
(Yonhap)