報道特集?どこがだ、といいたいほどに北朝鮮報道の基本が問われるお粗末な、報道特集だった。
なにより、流した時間がすべて、北朝鮮独裁者とその政治体制のお追従報道だったということだ。
現地に出向いた日下部がいう。「ニューリッチの台頭を感じさせる北朝鮮だ」と。しかも何回も北朝鮮を訪問している、と自ら言う。がこのキャスターに聞きたい。いったいどこをみてきたのか。
独裁者の取り巻きの生活だけをみれば、五十年前も今も全く変わらない、特権身分の生活がある。 その事実を全く理解できていないということで、報道人としての感覚の欠如でしかない。
単に、北朝鮮の代理人を務めているだけでしかない。
最後にとって付け加えて言ったように、まさに指定されただけの場面だけを訪問し、映像を垂れ流しただけではないか。
日下部君よ、田舎には出向けたのか。どこをみてきたのか。よくもまあ「何度も来ているが、豊かになっている」などといえるものだ。
人口2300万といわれる北朝鮮、だとすると台湾とほぼ同じだが、この北朝鮮についていえば、夜間のこの国を支配する暗黒の闇が、この国の貧困と劣悪さと独裁体制の異常さのすべてを物語っている。
衛星を見れば一目瞭然だ。荒涼たる闇が平壌さえ包んでいる。
ハフィントンポストの以下を見よというものである。
http://www.huffingtonpost.jp/2014/02/26/north-korea-at-night-oto_n_4856294.html
今夜の報道特集は、その名が笑う、まさにお仕着せの、北朝鮮の独裁者が見せたいものだけを見せ、見せたくない99.9%を隠したままの、報道でないか。
これを人は垂れ流しという。
幹線道路でもあの車両の少なさは何かである。アフリカの最貧国でももっと車の洪水を見ることができる。
まともな商業活動がこの21世紀の現在行われているなどと、まるで思わせない首都のあの交通量ではないか。
実につまらない映像の山だ。バレーボールに興じる「市民」を延々と垂れ流し、感嘆してさえいる。
数十年にわたり人生を悪辣な独裁者により奪われている拉致被害者と家族のことを想って、嘆息せよ。
とってつけたあのスポーツセンターの映像のお粗末さは何か。
国際空港を見よ。日本製のラーメンがとってつけたように置かれていた。
日本では田舎のキヨスクもあれ以上の多様な製品を展示販売している。お粗末極まりない国家の顔である国際空港の売店ではないか。
空港の発着案内板では北京からの3便しかないというのも、まさにこの国が国連制裁下にあり、徹底して国際社会から無視され、そしてボイコットされている証ではないか。
かつては派遣労働者をアフリカやヨーロッパ各地に出していた。特に社会主義圏において、パスポートを取り上げる「奴隷」労働を旧ソ連衛星国で常態化させていた。だが、これら中・東欧諸国が、人権に厳しいEUに加盟を果たした後は、すべて問題視され送還されている。現在では、ロシア、中国だけで同様に奴隷的に労働者の派遣をして外貨獲得をしている。
一か所だけ注目すべき映像があった。だが、TBSのキャスターはまったくその映像の価値がわかっていない。
それは空港では外国人が集まったブースを映す場面だ。そしてことなげに、携帯を貸与している場所だという。それだけだ。この異様な光景を映像はとらえているが、ボーリング場で靴を借り出すような感覚の説明でしかない。
携帯電話を遮断し、自前の機器の提供を強要しているその事実こそが、実に報道に値する決定的場面ではないか。
海外から持ち込む携帯が通じず、すべて盗聴されているであろう北朝鮮の携帯を外国人に貸与するというこの事実に目を向けずに何を報じるかである。
そんな国家がどこにあるというのかである。
しかも、それで北朝鮮が外国人からいくら稼いでいるのか、貸与料金は一体いくらだったかも報じるべき対象なのである。
報道陣としての批判的精神がまるで欠如したキャスターだ事よ。
北朝鮮の、携帯さえ遮断する異常さこそがもっと報じられるべきなのだ。
この国の異常さへの驚きの感覚がなければ、まったく北朝鮮報道のスタンスとして失格である。
携帯が、西側とすべて遮断されているというその異常かつ異様な、事実を報じよ、である。
学校も地方を見せるのではなく、まさに劇場国家にふさわしい朝鮮労働党幹部の子弟だけが学べるような首都のエリート校、「赤い貴族」の養成校ではないか。
質問されるすべてが「将軍様」、「元帥様」という異常さをもっと報じるべきなのである。
どの国で、どの学校で、こうした紋切り型の50年間変わらぬ受け答えをし続ける国家があろうか。その異常さをコメントで、報じないかである。
電波という公器を使いながら、ゴールデン・タイムに、朝鮮労働党機関誌の広報の一躍担うがごとき映像の垂れ流し。
実に無様極まりない、噴飯ものというべき北朝鮮党創建70年記念を扱ったTBSの「報道」特集だった。
参考ブログ
2013.12.14 Saturday 北朝鮮の世襲金王朝 No2処刑 さらなる断末魔
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3583
2010.08.20 Friday物乞い国家の真骨頂 上
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2485