児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
最近のことなど

  10月も終わろうとしている。日暮れも早く、気温も確実に下がってくる。

 近況といえば、8月末から、2か月にわたった依頼されていた東京での講座が無事終了したことだ。都内在住者なら何のこともない講座なのだが、九州から出向くのはそれなりに大変だ。

 台風やフライトの運行状況で遅れれば、即キャンセルにつながる。そうなれば、補講の予定日もいる。受講者の皆さんや関係者に迷惑をかける。そんなNHK青山での講座が終わって、時間のありがたさを感じている。

仕事の環境で言えば、ウィンドウズ10に移行する時、へまなことで、パスを失念して、2か月ほど開けないという状況であった。あれこれ使っていると、どれだかわからなくなる時がある。皆さんはそんなへまはないのだと思うのだが。

研究室と、携帯のサーフィスで、仕事には最低限対応できてはいた。とはいえ、海外の友人や家族との写真を含め、近づく年賀状のためのデータなども、不安でもあった。

幸い、心静かに、久しぶりに「開けゴマ」とばかりにパスを入れると、中に入ることができた。70日余の苦痛から解放された瞬間だった。

依頼されている論文と、別途ユーロ関係の書評依頼を抱えているので、大きな画面での自宅での仕事はありがたい。

 デジタル時代のありがたさ、知的生産におけるインターネットに連動した「神」的というべき、パソコンの威力を改めて感じる次第だ。

 

| 児玉昌己 | - | 08:32 | comments(0) | trackbacks(0) |
深まる秋 玄関に深川の花生を飾る 海鳴庵児玉
 急だった拙宅の階段、緩やかにすることで、手狭になっていた玄関。大きめの下足箱取り払い、小ぶりのを置く。帯などを敷いて、手ごろな深川製磁の花瓶を飾り、圧迫感から解放され、空間の美で一人悦に入っている。

 

玄関の 脇に飾りし 深川の 岩梅嬉し 秋となりても

                海鳴庵児玉

| 児玉昌己 | - | 00:36 | comments(0) | trackbacks(0) |
竹森俊平の「逆流するグローバリズムーギリシャ崩壊、揺らぐ世界秩序」PHP新書を読む 下

 実際、なんのためにユーロを創出したのかを想い起せばいい。
 短期的利得に狂奔する投機筋からの攻撃によるEU加盟国通貨間の為替相場の異常な乱高下を抑えるためであった。経済活動をスムーズならしめるためであったのが通貨統合であった。
 加盟国はそれにずっと悩まされ続けた。ユーロが仮に解体し、ユーロ圏がバラバラになれば、同じ問題が直ちに発生する。投機筋の攻撃の前で、加盟国通貨は各個撃破され、別の意味で、欧州は通貨危機を招くことは目に見えている。
 
メルケルがギリシャ切り捨てをしなかったのは、そうした根源的な理由があった。為替相場の変動は商品と財の取引の障害であった。ましてドイツはユーロ創設の最大の受益者でもある。ドイツがマルクに戻れば、通貨の独歩高を招き、世界的貿易立国を支える輸出競争力は直ちに劇落する。
 しかもユーロ圏と言わずとも、EU加盟国は中小規模の国家が多い。
 
独自通貨に戻る必然性がないことは、経済効率の点から考えても限りなく小さい。巨大な資金のある投機筋からの攻撃については、EU内の4大国にとっても同様で、脆弱である。
 
加えて、財政、とりわけギリシャに代表される放漫財政については、わずかにその順守義務違反に対してペナルティがあるのかないのかさえ明確でなかった。実際、インフレ、政府の財政赤字、そして国家の累積債務についての数値を安定・成長協定で提示する以外、加盟国の政治的意思に任せるしかないという状況であった。
 繰り返すが、経済通貨同盟の第3段階のユーロ発行についていえば、片肺飛行で始めるしかなかったのである。
 EU加盟国の側に戦略がなかったというのではない。否、わかっていて、なおそうせざるを得なかった。そのように私は理解している。
 それゆえ、EUに責任を負わせるのは筋違いで、ユーロ圏加盟国の、以前財政主権を保持する中途半端な政治的意思、つまり加盟国の国家主権へのこだわりと擁護が、現在のEUの危機の原因だということであった。
 私は現在の危機の原因は、ヨーロッパ統合の連邦制に向けた過渡期的性格のゆえの中途半端な制度設計であり、それが現在のすべてを惹起していると考えるのである。
 「危機は統合を深める」と西ドイツ首相のブラントは喝破したが、まさに危機の中で、ヨーロッパ統合はその連邦的統合を深化させてきた。正確に引用すれば以下だ。

 

 

  Brief as still is, the history of the European Community is the sum of its crises. It might be described as a process of development in crises and through them.
Willy Brandt, People and Politics: The Years, 1960-75
1976

 ユーロ導入の「片肺飛行」についての責任は加盟国にあり、それを統合組織であるEUにするのは筋違いで、両者の責任を一緒にしてもらっても困るのである。
 なにより連邦的組織を形成し、ソリッドな金融と経済の一体化について踏み込めない加盟国の優柔不断こそが、現下のユーロ圏危機の原因であった。
 統合組織としてのEUは、EU単独で、それ自身のみで統治構造の制度設計もできなければ、加盟国の政治的意思を超えて動けるものではない。
 EUEUとして動く場合、常に多数の統合推進派の支持の範囲内でのことである。
ユーロの将来についていえば、竹森先生とは違い、楽観視している。
何より通貨は加盟国の経済の、いや国家自体の物理的な生死にかかわるものである。どの国家も自国通貨の危機にあえば、必死で防衛する。
 後20年もすれば、EUは残留しているとして、イギリスを含むさらに小さくなった非ユーロ圏と、ユーロ発行国をさらに増やした大ユーロ圏とが、明確に分断化した状況が生まれている。そしてユーロ圏の中では財政連邦主義が形を成していることだろう。
 20年もせず、ユーロ圏は連邦的にユーロ圏財務省を導入し、それを監督するユーロ圏議会が導入されており、ユーロ圏自身の財政を運営している、と私は見ている。

  もとより政治学者の私が専門とする欧州議会の、分断化を意味するのだが。それは現在もある多段階統合の次の姿である。それは国家連合である欧州連合を否定した欧州連邦の相貌をさらに色濃く持つものである。
 
ここではっきり言えることは、ヨーロッパ統合の制度設計書は、イギリスやEU統合反対派にはありもしない。それは反EU派の彼らには害悪でしかないからである。

これまでのEU統合の制度設計は常に、連邦支持国によって書かれてきた。連邦的統合の牽引車は独仏など統合推進国であった。

それを忘れて、ドイツがマルクに戻り、フランスがフランを使い、などということはあり得ないことである。時間は戻せない。

ルビコンの川はすでに渡られた。

マーストリヒト条約の調印と欧州経済通貨同盟の明文化を受けて、ギリシアのプリアコス教授は、以下のように書いている。

「共同体通貨主権の出現は,予見できない効果をもって国家主権の堅い核を打ち破る」と。

L'émergence d'une souveraineté monetaire communautaire brise le noyau dur de la souveraineté étatique , avec des effets imprévisibles.”

..Pliakos, La nature juridique de L'Union européenne,  Revue Trimestrielle de Droit  Européen..1993, p.223)
同教授の母国ギリシャがその苦悩を最も先鋭に背負っているのが皮肉だが。

竹森先生、ユーロとヨーロッパ経済の将来に対して、あまりに悲観的ではないですか、と思う読後感である。
 時流に迎合した感のある「ギリシャ崩壊」という副題も気になる。ギリシャは先生まだなんとか持ってますよ、ユーロも対円レートで135円ではないですかと。  EUの政治動態について、いの字も知らなかったギリシャの異端児政治家チプラスは、対EU交渉を通して、EUの使い方も理解し始めてきた。
 先ごろは、友を見出すために。欧州議会2会派である欧州社会党のドイツ社民出身のマーチン・シュルツ議長に接近している。自らが所属する統一左翼のほか、欧州社会党を味方にすることはギリシャの債務軽減においては重要なことである。
 ち
なみに上記のユーロ圏財務省、ユーロ圏議会なの創設などは、私の意見というより、独仏首脳が構想し始めており、やるべきだとしながらも、その実現を悲観している通貨問題分析では定評のあるデイビッド・マーシュも触れている。
 やるかやらないかは、もとより欧州の中核となる独仏の指導者の意思に負う。
 明確なことは、やらなければ、ユーロは、常に潜在的脆弱性を本質的に抱えたままとなる。それを熟知しているがゆえに、彼らはそれを実行する。

最後にメルケルが連邦下院と、ベルギーの欧州大学院大学College of Europeの開講記念講演で語った言葉がある。紹介して終わろう。

     "Scheitert der Euro, scheitert Europa."

 「ユーロが失敗すれば、ヨーロッパ統合は失敗する。」

そしてイギリスはその蚊帳の外である。

参考ブログ

2015.07.31 Friday ギリシャ債務危機でお薦めの書はデビッド・マーシュDavid Marsh『ヨーロッパの行き詰まり』)一灯舎2014

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3877

 

| 児玉昌己 | - | 23:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
竹森俊平の「逆流するグローバリズムーギリシャ崩壊、揺らぐ世界秩序」PHP新書を読む 上

  竹森俊平「逆流するグローバリズムーギリシャ崩壊、揺らぐ世界秩序」PHP新書を読んでいた。エマニュエル・トッドの新書とは比較にならないほど面白い。

 ユーロ問題と、先生のドイツ理解、国際理解など、大いに学べる。ユーロ問題の絶好の教科書ということができる。ドイツのルール至上主義など実に的を得ている。

 ただし、政治学者から若干コメントすれば、以下だ。

 EU統合では、特にユーロについて戦略の欠如が現在の危機の原因だという先生の主張についていえば、同氏とユーロ導入に関する理解がすこし異なる。

EU加盟国は、イギリスなどを除いたユーロ圏諸国と限定すべきだろうが、ユーロの価値の維持ということについての戦略は、まさに氏が言われるように相当の切れ者たちが、1969年当時から構想してきたものである。

 そしてそれにもかかわらず、まさに財政と金融が分断化された中で片肺での出発だったということを確認しておきたい。

 ユーロは単に「経済の問題ではなく政治的意味を持つ」と統合反対論者の英サッチャー首相が喝破したように、一貫した政治的動機を優先したものであった。

 ユーロ導入についての決断で言えば、金融主権はECBにゆだねるとしても、加盟国がもつ財政主権を脅かさすものではないという、加盟国政府が譲歩できるぎりぎりのところでやっていった。

 これはEU統合ではままある漸進主義である。それを戦略の欠如であるといわれれば、見解の相違としか言いようがない。 実際ユーロ圏諸国は、その状況でユーロ創設に合意した。

竹森先生は、そうした考えを「欧州統合教信者」の思考ともいう。

だが、ユーロ導入の経緯を振り返れば、実際、1993年のマーストリヒト条約と物価の安定の協定をみれば、あれが加盟国の主権的権限のぎりぎりの妥協の産物だった。何より当時経済学者の大半が単一通貨ユーロの創設など不可能だとしていたことも思い起こす必要がある。

したがって、EU加盟国ではユーロ戦略が欠如していたというのとは違うだろうということだ。
 先生は、国家主権とその擁護派の壁と抵抗を軽視されているように思えるのである。

先生の好きなメタファをここで使うとすれば、ディアレクティーク(弁証法的)か置くとして、数百年かけてケルナドーム(ケルン大聖堂)の建設に向かう地道な欧州人の姿勢ともいえる。

通貨の発給と通貨の価値の安定についていえば、一国の例で分かるように通貨主権と財政主権が一体化しているのが理想であり、国家レベルでの常識でもある。それは、ユーロ創設にかかわっていた政治指導者はすべからく理解していた。確かに先生が指摘されるように、ギリシャのユーロ圏加盟についてはもとより、安易に考えていたという失態を犯してはいたのだが。しかしそれも、政治は経済合理性に基づいて、動くものではないということの証明でもあろう。

その意味では、わかっているけど、金融と財政主権の双方を、EUが行うということなどできはしなかったということであり、政治家は政治的要件にも作用されるということである。

先生に申し上げるとすれば、欧州の政治指導者の当時の立場と限界に対する、惻隠の情は必要だろう、ということである。

竹森先生いかがであろうか。

すべてが可能であったが決断しなかったという前提に立って、論を組み立てるとすれば、それはユーロ圏加盟国とその指導者にたいして、非情であり、後知恵としか言いようがない。

彼らはわかっていたが、国家主権の擁護の観点から、そして彼らの背後にいる国民の抵抗を予測し、そこまで踏み込めなかった。
 そう理解すると、その中途半端さが生んだ現在のユーロ圏の苦境の理解も少しは違ってくるのではないか。もとよりその中途半端さがギリシアの苦境を招いているのであるのだが。

それでも、現在のユーロ圏でいえば、ギリシャなど、いわゆるPIIGSの危機を契機として、苦闘しつつも、フィスカル・コンパクトやユーロ安定化条約という2条約を得た。

また将来的構想も進み始めている。EU危機の否定的側面が大々的に報道されているわがジャパンだが、実は、驚くべき構想も徐々に語られつつある。
 ドイツのショイブレ財務相や、フランスのマクロン経済相、そしてECBのクーレ専務理事など、ユーロ圏の中核にいる指導者は、ユーロ圏財務省や、それを監督するユーロ圏議会構想も想定しつつある。

先ごろ出た欧州委員会、欧州議会、欧州理事会、欧州委員会、欧州中央銀行、ユーロ・グループが連携してなしたEU5大機関の議長報告では、そこまでは踏み込んでいない。だが、独仏の中枢では、ユーロ圏の中核となる国家群の中ではまさに連邦的な経済ガバナンスを超える経済ガバメントを描きつつある。

そうでなくとも、潜在的な危機の構図はあり続けながらも、なんとか低空飛行で衝突を回避できている。そのことを評価すべきであろう。

ECBがドイツ連銀の反対と一部の緊縮派のユーロ圏政府の逡巡を抑えて、ユーロ圏の解体を避けるために「非救済条項」の緩和をすすめたことが、むしろユーロの価値の維持への手立てだったといいうるのである。

竹森氏は、統合は善であり是であると考える者たちに対して、「欧州統合教信者」という言葉を使っている。私はおそらくその範疇に入るだろう。

しかし、竹森先生がそうした統合教信者の特質として書かれているように、「ヨーロッパ統合は絶対に正しい」とは思っていない。

統合支持を表明している他の先生も恐らくそうだろう。

私の場合についていえば、ヨーロッパにおいて、EU統合がない場合の状況と比較して、EU統合と通貨統合の方向性は、「絶対的に正しい」とは言わないが、「相対的に正しい」とは、明確に言えることだ。

 

下は以下

2015.10.22 Thursday竹森俊平の「逆流するグローバリズムーギリシャ崩壊、揺らぐ世界秩序」PHP新書を読む 下

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3918

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 23:31 | comments(0) | trackbacks(0) |
作家佐藤優氏による本学講演 沖縄の苦難、落鱗の思いで聴く

  月曜日7回シリーズで東京でヨーロッパ統合を話している。今日は、そのNHK青山での講座の最終日のためのフライト。

 明日が終われば、なんとか無事や終了となる。うれしいことだ。

 都内からなら何のこともないが、九州から。台風や、機体故障による遅延など予期せぬこともあり心配していたが、明日でようやくお役御免となる。

 都内にEU研究者も多数いるが、4年前のラジオ講座も含めて、指名されてのもの。感謝の気持ちで、出向いているところだ。

  昨夕は、本学教授宮原信孝さんのために応援に再度駆け付けた佐藤優さんと話せたのが、楽しいことであった。面識を得たのは2年前。2014年6月号のクーリエ・ジャポン(講談社)に前著「ヨーロッパ統合の政治史」(NHKラジオ講座テキスト)をベルギーとの関係で、紹介いただいたこともある。

 同氏は宮原教授とは同じ外務省のOBで、入省時期では2年後輩になる。

 佐藤優といえば、退職後、50冊に上る書を出し、わが国では長年理想主義的平和主義の中で疎んじられてきた地政学とインテリジェンスの第一人者として、知らぬものがないほど、活躍されている。

 ご母堂が沖縄出身ということで、沖縄に対しては格段の気持ちをお持ちである。

 わが国の東アジア安保を一人背負っているような同地の困難と、本土の政治家による無理解、無視があるなかで、明治以前は薩摩による琉球収奪、明治以降の差別的扱い、そして今次大戦での唯一の地上戦をという大惨禍を経て、沖縄の現在がある。

 敗戦にともない、ただ戦争に負けただけでなく、物理的に本土と切り離なされ、米国の「パスポート」を強制されたという文字通りの米国の植民地化された沖縄という地が背負わされた苦悩と屈辱を知るべきであると力説される。

 そして、中国の侵出著しい東アジアにおける沖縄の地政学的意味と、本土の政治家の対沖縄問題対処の重要性を話された。

 知らないことも多々あり、実に魂の籠った話であり、落鱗の思いだった。 

参考ブログ

2015.09.29 Tuesday 21世紀に日本でEUを語ることの意味

http://masami-kodama.jugem.jp/?month=201509

2008.01.30 Wednesday 佐藤優の「私のマルクス」と同志社

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=1048

参考サイト

http://jaca.caplan.jp/culture/jsa/class/detail/mon.html







| 児玉昌己 | - | 17:48 | comments(0) | trackbacks(0) |
九州で 初冠雪の 富士想う 海鳴庵児玉

  テレビでは初冠雪の富士の知らせ 補修を終えたテラス、開け放した朝7時の気温は10度。九州も深まりゆく秋を感じるこのころだ。


富士や富士  初冠雪の  富士の報  白きその雪 この地にも来る    

                                   海鳴庵児玉




関連ブログ 2006.11.13 Monday 晩秋の東京と冠雪の富士山

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=346





| 児玉昌己 | - | 07:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
噴飯もののTBS北朝鮮「報道特集」 あまりのお粗末に愕然とする
  報道特集?どこがだ、といいたいほどに北朝鮮報道の基本が問われるお粗末な、報道特集だった。

なにより、流した時間がすべて、北朝鮮独裁者とその政治体制のお追従報道だったということだ。

 現地に出向いた日下部がいう。「ニューリッチの台頭を感じさせる北朝鮮だ」と。しかも何回も北朝鮮を訪問している、と自ら言う。がこのキャスターに聞きたい。いったいどこをみてきたのか。

独裁者の取り巻きの生活だけをみれば、五十年前も今も全く変わらない、特権身分の生活がある。 その事実を全く理解できていないということで、報道人としての感覚の欠如でしかない。

単に、北朝鮮の代理人を務めているだけでしかない。

 最後にとって付け加えて言ったように、まさに指定されただけの場面だけを訪問し、映像を垂れ流しただけではないか。

日下部君よ、田舎には出向けたのか。どこをみてきたのか。よくもまあ「何度も来ているが、豊かになっている」などといえるものだ。

人口2300万といわれる北朝鮮、だとすると台湾とほぼ同じだが、この北朝鮮についていえば、夜間のこの国を支配する暗黒の闇が、この国の貧困と劣悪さと独裁体制の異常さのすべてを物語っている。

 衛星を見れば一目瞭然だ。荒涼たる闇が平壌さえ包んでいる。

ハフィントンポストの以下を見よというものである。

http://www.huffingtonpost.jp/2014/02/26/north-korea-at-night-oto_n_4856294.html

今夜の報道特集は、その名が笑う、まさにお仕着せの、北朝鮮の独裁者が見せたいものだけを見せ、見せたくない99.9%を隠したままの、報道でないか。

これを人は垂れ流しという。

幹線道路でもあの車両の少なさは何かである。アフリカの最貧国でももっと車の洪水を見ることができる。

まともな商業活動がこの21世紀の現在行われているなどと、まるで思わせない首都のあの交通量ではないか。 

実につまらない映像の山だ。バレーボールに興じる「市民」を延々と垂れ流し、感嘆してさえいる。

数十年にわたり人生を悪辣な独裁者により奪われている拉致被害者と家族のことを想って、嘆息せよ。

とってつけたあのスポーツセンターの映像のお粗末さは何か。

国際空港を見よ。日本製のラーメンがとってつけたように置かれていた。

日本では田舎のキヨスクもあれ以上の多様な製品を展示販売している。お粗末極まりない国家の顔である国際空港の売店ではないか。

空港の発着案内板では北京からの3便しかないというのも、まさにこの国が国連制裁下にあり、徹底して国際社会から無視され、そしてボイコットされている証ではないか。

かつては派遣労働者をアフリカやヨーロッパ各地に出していた。特に社会主義圏において、パスポートを取り上げる「奴隷」労働を旧ソ連衛星国で常態化させていた。だが、これら中・東欧諸国が、人権に厳しいEUに加盟を果たした後は、すべて問題視され送還されている。現在では、ロシア、中国だけで同様に奴隷的に労働者の派遣をして外貨獲得をしている。

一か所だけ注目すべき映像があった。だが、TBSのキャスターはまったくその映像の価値がわかっていない。

 それは空港では外国人が集まったブースを映す場面だ。そしてことなげに、携帯を貸与している場所だという。それだけだ。この異様な光景を映像はとらえているが、ボーリング場で靴を借り出すような感覚の説明でしかない。

 携帯電話を遮断し、自前の機器の提供を強要しているその事実こそが、実に報道に値する決定的場面ではないか。

海外から持ち込む携帯が通じず、すべて盗聴されているであろう北朝鮮の携帯を外国人に貸与するというこの事実に目を向けずに何を報じるかである。

そんな国家がどこにあるというのかである。

しかも、それで北朝鮮が外国人からいくら稼いでいるのか、貸与料金は一体いくらだったかも報じるべき対象なのである。

報道陣としての批判的精神がまるで欠如したキャスターだ事よ。

 北朝鮮の、携帯さえ遮断する異常さこそがもっと報じられるべきなのだ。

この国の異常さへの驚きの感覚がなければ、まったく北朝鮮報道のスタンスとして失格である。

携帯が、西側とすべて遮断されているというその異常かつ異様な、事実を報じよ、である。

学校も地方を見せるのではなく、まさに劇場国家にふさわしい朝鮮労働党幹部の子弟だけが学べるような首都のエリート校、「赤い貴族」の養成校ではないか。

質問されるすべてが「将軍様」、「元帥様」という異常さをもっと報じるべきなのである。

 どの国で、どの学校で、こうした紋切り型の50年間変わらぬ受け答えをし続ける国家があろうか。その異常さをコメントで、報じないかである。

 電波という公器を使いながら、ゴールデン・タイムに、朝鮮労働党機関誌の広報の一躍担うがごとき映像の垂れ流し。

実に無様極まりない、噴飯ものというべき北朝鮮党創建70年記念を扱ったTBSの「報道」特集だった。

参考ブログ

2013.12.14 Saturday 北朝鮮の世襲金王朝 No2処刑 さらなる断末魔

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3583

2010.08.20 Friday物乞い国家の真骨頂 上

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2485

 

| 児玉昌己 | - | 11:09 | comments(0) | trackbacks(0) |
TPP、ノーベル賞 憂色濃い韓国

 韓国の憂色が濃い。
 ここにきて、韓国の立ち位置が決定的に問われる結果となった。

 それが、いわずと知れたTPP。世界のGDPの4割を占める世界最大級の自由貿易圏が誕生するのに、当面排除されているからである。

 自らまいた種で、中国を最優先し中韓FTAに入れあげ、結果として、TPP交渉から除外されていた。

  TPP大筋合意を受けて、韓国は一転、朝野を挙げて、慌ててTPP加盟の必要性をいいだしている。

 韓国はFTA先進国といわれているが、それまでの韓国が結んだいずれのFTAよりも包括的で内容が深いのが、このTPPである。

 中韓FTAは、6月に日経が報じたが、国会での批准も終っていない。しかも内容といえば、貿易品目は9割をカバーしているとはいえ、価額が大きく、各国の戦略産業である自動車を除く、ということで、特段のこともない。 

 米韓FTAの効果も消滅する。

 中央日報はTPP不参加の場合について以下述べている。

韓国の貿易協会通商研究室長は「2016年から韓米FTAに基づき自動車関税が撤廃されるが、TPPの発効で自動車産業が享受できるFTA効果が消える可能性がある」と説明した。対外経済政策研究院は、韓国がTPPに参加しなければGDPは0.12%減少し、貿易収支は年間1億ドル以上悪化すると予想した。
TPP妥結>韓国、TPP不参加なら韓米FTA効果が半減も
20151006 中央日報

 しかもTPPは単なる自由貿易協定ではない。明確な政治的意思を持った経済のルール作りである。

 独裁政治を背景に、力に任せて世界経済に進出する中国に対する、経済的意味での対中封じ込めを意図した戦略に基づく。

 実際、米国はオバマ大統領が交渉合意直後の声明で「中国のような国に世界経済のルールを書かせることはできない」と述べている。TPP大筋合意:「中国崛起」防ぎたい米国、逆襲狙う中国 朝鮮日報: 2015/10/07 

 オバマといえば、1か月もしない前に、国賓で習近平を招いたばかりである。

 国連事務総長とともに中国の反日大軍事パレードに参加したり、朴槿恵韓国が中国に入れあげている中で、日米は対中国戦略としてTPP合意に取り組んだ。そしてその結果を受けて、韓国のこの有様である。

 日米から見れば、原則もなく左右に揺れ動く韓国であり、さながら蝙蝠(こうもり)のようである。

  韓国といえば、未来志向といいつつ、対日関係では、反日を国家政策としているかのごとき、外交に終始している。

 偉大だった父の親日的な過去を、反日を深めることで払拭し、自己の立場の強化に腐心してきた感が強いのが、朴槿恵。

 この季節になると、喜びに沸くわが国とは対照的に、すべてが対日比較であふれる韓国では、どうしてノーベル賞がとれないかと国家全体がブルーになる。加えて、TPPの合意形成がなされ、大慌てだ。

 韓国は、1950年の朝鮮戦争において、マッカーサーの仁川上陸がなかったら韓国の存在自体がなかったこと、現在も「同胞」北朝鮮の狂気じみた核開発にあって、米国の若い将兵が韓国のために駐留するという事実を正面からまじめに評価すべきであろう。

 防衛での米国の貢献も含め、西側諸国なのか、自国の内政と外交における、自らの立ち位置を真剣に考慮すべきだろう。

 米国政府で東北アジアでの政策を担当した高官の慎重に言葉をえらんではいるが、その対中接近を重視した発言を紹介しておく。韓国有力紙が報じた言葉である。

 「中国の攻勢的な態度に対する韓国の慎重な立場は目立って見える。韓国が不確かな変数と思われることになれば、アジア地域での強大国の関係は安定化が難しい。 

 マイケル・グリーン米戦略国際問題研究所(CSIS)副理事長

韓国と米中衝突時代の開幕(1)中央日報20150619日より


参考記事

社説】韓国抜けたTPPスタート、親中路線の高い代価払う恐れも20151006日韓国経済新聞/中央日報日本語版

TPP合意で韓国の尻に火 不参加なら日本に比べ劣勢か 聯合ニュース2015/10/06

| 児玉昌己 | - | 07:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
祝大村智、梶田隆章両先生のノーベル医学・生理学、物理学賞受賞
  ノーベル医学・生理学賞は北里大特別栄誉教授の大村智先生(80)、物理学賞は東京大宇宙線研究所の梶田隆章教授(56)と連日の受賞である。

この時期、世界最高の栄誉がジャパンの先生方に送られる報に接する。実に誇らしい。

 受賞の先生方は、いずれも実に謙虚である。そして口にされるのが、努力は当然のことだが、人と同じことをしてもだめだということだ。

大村先生は、細菌こそ受賞にふさわしい、旨話されていた。梶田先生は、どうして私が、と。なんと、謙虚なことだろう。

 大村先生は、数百万の人命を助ける偉業をなされた。梶田先生はニュートリノに質量があることを証明し、素粒子物理学と宇宙研究に新たな発見をされ、人類の「知の地平線」を広げられた。なんと素晴らしいことだろう。

独創性ということがノーベル賞の本旨であり、長い地道な基礎研究が評価されるのがこのノーベル賞。安直な、目先の技術などは評価されないのである。

そして、わが国の研究者の真摯な態度がこうした賞の獲得の原動力となっている。

 何はともあれ、世界が評価するこの賞。日本人の1人として、まことに誇らしい。

| 児玉昌己 | - | 22:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
祝サモア戦完勝 重戦車を跳ね返すW杯2勝目 実力の証明だ

南ア戦で、全エネルギーを使い果たしたか、スコットランド戦では惨敗だった。そして迎えた第3戦、対サモア戦。サモアの重戦車との肉弾戦も、スクラムでは跳ね返し、押し返していた。

 後半トライを許したが、終わってみれば、26対5。完勝。プールB暫定2位。

長く世界の強豪チームの後塵を拝してきたジャパン。それゆえ、本当にうれしい。

国際的なチームで如何に実力が鍛えられるか、世界の中で、もまれることが、今後のジャパンの生き方だと、国際政治における日本のあり方も教えてくれる。

 それにしても、山田のタックルを跳ね返しての、トライはきれいだった。ただし負傷退場したのは彼だったと思うが、大丈夫だろうか。

 激しい肉弾戦。鍛えに鍛えた体だろうが、それでも、大丈夫かと案じる。家族は本当に心配だろう。


参考ブログ

2015.09.20 Sunday W杯ラグビー、対南ア戦 超大金星初勝利 勇敢なる桜の戦士万歳

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3906

 

 

| 児玉昌己 | - | 00:30 | comments(0) | trackbacks(0) |

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