児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
英の国民投票(6.23)現地取材の準備のあれこれ 現場に行くことの意味

  ロンドン出張のあれこれを進めている。
 もとより6月に迫ったイギリスの
EU離脱か残留かを問う国民投票の取材と資料収集だ。
 スティーブン・デイ教授をはじめ、イギリス政治を専門とする友人の何人かもそれぞれに出向くことを伝えてきた。
 今は世界中のホテルが日本語でネットで注文できる。しかも、条件も場所もホテルの中身も価格も事前に写真で見れ、一定の情報を得て入れる。30年前には想像もできなかった、凄いインターネットの時代だ

 航空券は相変わらず会社によって値段も相当の開きがある。出発日、待ち時間、乗り継ぎなど条件が異なるからやむを得ないのだが。
 資料収集もEUは開かれた組織だから、日本にいても最低限は収集できるのだが、現地を踏まないとわからないことがある。
 空気であり、匂い、臭い、そして雰囲気である。

 例えば、被災地では、火事で焼けた家屋の臭い、打ち上げられた大量の魚の腐った臭気、地震で地下から湧き出る臭い、そして家族や友人、そして生活を奪われたものの悲しみに満ちている。
 そこまではテレビ映像では知ることができない。
 現場にいることは、テレビの前にいることではない。
 関係するものすべてが発する雰囲気や、熱気、などこそ、今の現地ロンドンでの取材の最大の意味となる。
  もとより日本にいては入手できない各種の「その日」を扱った新聞メディアなどなどはいうまでもない。
 イギリス、そしてロンドンは40年近く前に住んだ初めての異国の地だった。
 今回、国民投票を迎えるイギリス人の熱気、賛成反対両派の歓喜と失望など、リアルな雰囲気を体感して、それを学生諸君に伝えたいと思っている。

参考ブログ
2016.02.28 Sunday 英のEU離脱 個人的には賛成である
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3985
2016.04.24 Sunday
オバマのEU離脱派牽制の英訪問
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4023
2016.04.12 Tuesdayスティーブン・デイ大分大学教授と英
EU離脱問題を話す
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4012

参考記事
オバマ米大統領 EU離脱派に強い警告 「離脱なら貿易協定交渉優先度は後列に」 楽観論に冷や水産経新聞4
23 ロンドン=岡部伸

| 児玉昌己 | - | 08:29 | comments(0) | trackbacks(0) |
オバマのEU離脱派牽制の英訪問
  震災発生10日。
 こちらはそれと並行して、
623日に迫ったイギリスの近づく国民投票をウオッチしている。
  米大統領バラク・オバマが4月22日からイギリスを訪問している。
 表向きは嬢王陛下の90歳の誕生日をお祝いの表敬だが、さらに重要な意味がある。英のEU離脱の動きをけん制し、その愚を説くことである。

Obama: US needs Britain inside EU EUobserver, 22. Apr, 2016. 
 しかも離脱となれば、イギリスが必要とする米国との通商協定では、イギリスを特別扱いしないともいう。

Obama: No quick UK trade deal if it leaves EU. EUobserver, 22. Apr, 2016.
  イギリスの国民投票キャンペンで、EU離脱を説いている集団には手痛い打撃である。
  ところで、
 Financial Timesのフィリップ・スティーブンス(Phillip Stephens)についてはトランプ支持の米国の有権者と欧州のポピュリストとの相関性を指摘した記事を書いている。 
 後述するように、イギリスのEU離脱をめぐる国民投票に関連しても、積極的に発言している。

 他方、反EU論を盛んに展開していたギデオン・ラクマン(Gideon Rachman)の記事をあまり見かけなくなったのは、Financial Timesの方針転換だろうか。
  最近のイギリスの動向は、 Financial Timesの記事のいくつかを日本語でカバーしているJBプレスのサイトでもそれを見ることができる。
 EU離脱派についていえば、EU離脱の理由とその後の生き方については、イギリスの大陸との関係よりも、米国との歴史的で特殊な汎大西洋主義を強調し、米に加えて、オーストラリア、ニュージーランドなど旧植民地諸国との関係を強調している。
  そしてそれを主にヨーロッパ大陸諸国からなる
EUからの離脱の理由としようとしている。

  しかし、Financial Timesのフィリップ・スティーブンス記者は、それらのイギリスの友好国のどの国がイギリスのEU離脱を支持しているのかと痛烈に批判し、以下、書いている。
「ブレグジット賛成論者にとってはさらに悪いことに、英国の友好国はほぼすべてオバマ大統領と同じ認識を持っている。1950年代や1960年代の欧州懐疑派は、欧州の代わりにコモンウェルス(英連邦)を好んで売り込んでいた。その末裔たちは「アングロスフィア(英語圏)」なるものの、つまり英語を母国語とする英国、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国から成るグループの再興を熱望している。」と。
 「英国のEU離脱派がオバマを黙らせたい理由 「英仏海峡の代わりに大西洋」という選択肢はない」Financial Times 2016.4.19 (邦語訳は上質なJBプレスによる)原文タイトルは以下
 Why the Brexit crowd wants to silence Obama April 14, 2016 Philip Stephens
 
 IMFも、イングランド銀行も、イギリスのEU離脱の惡影響をデータで示し始めている。

  すでにこのブログで書いているが、イギリス人は初めて、まともにEUとイギリスのことを考えるにあたって合理的という意味でまともなデータを得ているといえる。
  実際「BBCのEUへのネガティブな報道は、プーチンや習近平にたいするもの以上のものだった」(The BBC is more negative about the EU than it is about Russia’s Vladimir Putin or China’s Xi Jinping)とガーディアン紙は指摘しているほどだ。
  BBC's EU reporting 'more negative than its Putin coverage' Jasper Jackson Guardian 21 April 2016  

  私自身のEU離脱問題への見解、すなわちBritainとExitの造語であるBrexit(ブレグジット)という名で知られてきたEU離脱問題への見解については、最大の皮肉を込めてブログしている。(下段ブログ参照)

  もっとも、EUが素晴らしいと手放しで言っているのではおよそない。しかし陸続きの中小規模の国家がひしめく欧州が単一市場を志向する限り、EUを通したヨーロッパ統合は進むしかないし、それは国家の連合体である欧州連合ではなく、加盟国を統括する政治組織を持つ欧州連邦を必然とするといっているのである。
 さらにいえば、イギリスが
EUを抜きにしては国家を考えられないほど、加盟国へのEUの影響力は大きいということを言っているのである。
 
  
EUはわが国では、誤って「欧州連合」と訳され、国家連合と思われている。
 EUの到達目標についてその無期限性を書いた言葉ever closer unionを「さらに緊密な連合」とすると、到達目標は連合を超えることがない。ユニオンはフェデラル・ユニオンであり、連邦を志向している。
 その意味で、邦語いう「欧州連合」というEU表記は完全な誤訳なのである。
 実際、EUが国家の主権的権限が国家の側に大規模に存在する国家の連合である欧州連合であれば、イギリスが離脱するかを問う国民投票など必要ないのだから。
 事実、EUは1950年のシューマン宣言以降、66年にわたり、国家連合であることを否定する思想と行動をとり続けてきた。

 すなわち、欧州連邦の構築にに向けて進んできている。そして多数決の多用など主権国家からなる国際連合などとは全く違う組織原理と政治装置をもって進んでいる。
 
 欧州連邦を形成する
EUが持つ動きは、必然的に国家主権を痛撃しているのであり、今後も長く国家主権と ゴールドシュタイン (L Goldstein)がいう「連邦主権」(Federal Sovereignty)の関係は、EUの加盟国とヨーロッパ政治全般を規定していく。

 
Leslie Friedman Goldstein, Constituting Federal Sovereignty. The European Union in Comparative Context. Johns Hopkins U.P. press.2003.
 さてイギリスの有権者は、どう判断するのだろうか。
  下手をすると、新EU派のスコットランドのイギリスからの分離独立とイギリスという国家の解体まで展望できるこの世紀的な政治事件となる可能性を秘めているのが、6月に迫った国民投票である。
 今、この世紀的国民投票を現地取材しにロンドンに出向くかどうか、あれこれ日程調整を進めている。
 UKIPに代表される反EUポピュリストの反応を直に見て、感じてみたい。 

 ただし残留が決まっても、イギリスとEUの関係は上記の私のブログで指摘するように、イギリス側からも、EU側からも、明かるいものでは全くないことだけは確かである。
参考ブログ

2016.02.28 Sunday 英のEU離脱 個人的には賛成である
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3985


 

| 児玉昌己 | - | 11:05 | comments(0) | trackbacks(0) |
田中素香先生(東北大学名誉教授)による久留米大学比較文化研究所欧州部会の講演の司会を務める
 今日は、田中素香先生(東北大学名誉教授)をお招きして、久留米大学比較文化研究所欧州部会第1回4月講演を実施した。演題は「21 世紀型危機とヨーロッパ−EU の課題と対応−」であった。 
 
90分の間だったが、EUの将来にまで踏み込まれた。
 ユーロの分析では先生の人ぞ知る、まさに欧州国際金融・経済における学界の権威。
 すでに岩波から3部作を出されており、最新作「ユーロ危機とギリシャの反乱」 については、先生から同書の寄贈を受け、以下でブログさせて頂いた。
2016.01.31 Sunday 書評田中素香「ユーロ危機とギリシャの反乱」(岩波新書)軽薄なユーロ消滅論への胸のすく反撃の書
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3971
 今日の講演では、米国の中東政策の失敗、20世紀的教訓に縛られているドイツの頑迷さなど、問題を鋭く切り込まれた。
そして、厳戒の問題である中東移民問題が軽減されても、貧困のアフリカが待っているということで、解決には、EU解体ではなく、統合推進しかないことを話され、わが意を得たりであった。
 ただし、EUについてはドイツの頑迷さの解消が必要で、それは沸点に達するまでは時間がかかることなど、ご自身のドイツ留学の経験も踏まえて、お話いただいた。
 終わって、短い時間であったが、よもやま話をさせて頂いた。
 もう20数年も前になるが、仙台は東北大学キャンパスでのEU学会のことなど懐かしく、話をさせて頂いた。
長年のご厚情に深く感謝した次第である。

 
| 児玉昌己 | - | 23:08 | comments(0) | trackbacks(0) |
豪雨の被災地 震災列島に暮らすものの覚悟そして品格
  震災死者は、震災関連死もいれると、60名を超えるようだ。
 今日は久留米も大雨。熊本などは警報が出ている。建物被害が広範なので、雨漏りがさらに状況を厳しくする。
 他方、空港や、市電、JRなど、インフラが少し復旧し、電気やガスも、各地からの人的供給をうけ復旧作業が進んできたこと、それにボランティアも動きだした。
 これが救いだ。
 勤務校でも、熊本からの通学者も多く、被災状況を知らせてきた。日頃は、あまり意識しないことだが、久留米と、熊本との関係の深さを改めて感じる。
 今回、所属する学部だけでも、相当数が被害を受けていることが明らかになった。
 彼らの勉学環境を考慮した教育的配慮が強く必要となる。4年の就活生はなおさらだ。
 阪神淡路の大震災からわずか21年だ。
 東日本の巨大地震やそれに次ぐ規模の熊本も含め、大自然の流れの中では一瞬のことだろう。実に多発という言葉そのものだ。今も、久留米でさえも時折、揺れる。
 明日は福岡天神の本学サテライト教室において、3時から、本学比較文化研究所欧州部会での田中素香先生(東北大学名誉教授)の講演を予定してる。
 先生も東日本では仙台で被災されたのだが、その時の有りようなど、電話で話した。
 慣れてくると震度3では動じないようになることを言われていた。確かにそうなのである。
 まさに震災列島の上に、我々は生を受け、この地で生きていくのであり、改めてそこで生きていく覚悟を意識する次第だ。
 今回もまた、粛々と他者を慮(おもんばか)り、列も乱さぬ光景を見る。それが当たり前であり、それを疑うもこともない。
 一部の政治家などの崇拝の対象である米国などでも見る略奪など、よその世界のことだ。
 しかし、これは考えれば、実に凄いことなのだ。
 大災害の度に、惨禍にも動じず耐えていく市民を見ながら、そして連帯し、ともに心を一にする被災地外の人々の有り様をみる。 同時に、世界有数の震災列島ではありながらも、本当に日本に生まれてよかったと思う次第だ。
 日本という国家と、そこに住む人々の品格を感じるのは、私一人ではあるまい。


 
| 児玉昌己 | - | 10:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
大地震発生から6日 本格化する支援と市電、空港の部分復活
    4142126分の大地震発生を含んで6日。ときおり、余震で軽いディスプレーがカタカタと揺れるが、収まってきた。  
 益城町の震災センターでは、自衛隊に続いて、ボランティアの炊き出しも始まった。
 
 富山からという。
 温かいものが身心をいやしてくれる。報じられていた異臭を放ち始めた生ごみの処理はどうなったのだろう。

 最大の被災地の1つ益城町にある熊本空港でも着陸ができるようになり、ようやく一部開港した。
 市内では健軍をのぞいて市電の2系統が動くようになったとのことだ。
 徐々に援助の手がいきわたり始め、水道も一部復旧し、市民生活もまだ不自由そのものだが、なんとかメドたつようになってきた。
 ただ避難所での死者も出ている。震災関連死で、ストレスの軽減も課題だ。

 九州最大級の都市熊本の1つの苦境。
 しかも久留米からは75キロしか離れていない隣の大都市の苦境。久留米に住むものとして、他人ごとではない。

 米軍のオスプレーも威力を発揮し始めた。汚名挽回だ。
 実際、このためにあるような垂直離陸ができる輸送機オスプレーだ。

 自衛隊の早々からの機敏な対処は、被災地には頼もしくもあり、感謝のことだろう。
 被災地へのヘリによる物資輸送の大々的活用も、今後進めるべき課題となったのが明らかだ。

 我々は、阪神以降、巨大地震を経てこれを学び、確実に教訓にしているといえる。
 それにしても、高速と新幹線。
 最初は被害は軽微かと思いきや、この2大幹線という重要インフラへの打撃が、救助と復興の足を引っ張っている。
 これも教訓となる。



 
 
| 児玉昌己 | - | 11:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
くまモンも哭く熊本地震マグニチュード7.3を詠む 海鳴庵児玉昌己
 火の国のシンボル熊本城の損壊は痛々しい。日頃コミカルな、くまモンも哭いている。M7.3と阪神淡路クラスの地震となった。それを詠む。

 くまモンも 城も哭(な)いてる 七・三 耐えて凌いで 深まれ 絆(きずな)
 
                                        海鳴庵児玉


熊本、なお11万人避難 地震死者41人、救援物資の不足深刻
西日本新聞 417()2128分配信


海鳴庵参考歌
2011.03.28 Monday
 東北関東大震災 死者・行方不明者2万7116人 
東北の 春こそ希(のぞ)め 鶯(うぐいす)よ 慟哭(どうこく)の惨 悲涙尽き果て 




 
| 児玉昌己 | - | 00:09 | comments(0) | trackbacks(0) |
あまり報じられないが、80万熊本市の都市住民被害も甚大である
 台風並みの暴風と雨の夜の後、朝を迎えた久留米は、ほぼ地震の揺れは収まり、震災の危険からは徐々に解放されつつある。
 ただし自然相手のことゆえ、誰のも先のことは分からない。前震か本震かそれさえわからなかったのだから。
 隣の熊本県では、死者の数は41名と増え、さらにこの数字は拡大しそうだ。

 九州有数の都市、熊本の被害は甚大で、特に前震をかろうじて残っていた生活維持機能も、マグニチュード7.3という本震で、完全に断たれたたところが多い。
 市内のマンションもひび割れなど、損壊がひどい状況が多数あり、隣接地を含め80万を超える大都市で人口の8%余りが避難所に移っていることを聞いた。
 つまりマンションなど、自身の居住空間が崩壊し、住めなくなっているということだ。友人もその一人だ。

 報道には限界があり、一部に特化している。
 あまり報じられていないが、比較にならない多数の都市の住民の市民生活に、甚大な被害が出ている。
 3リットルの水のためだけに1時間待ちもあるとのことだ。

 いかなる大震災の場合に当てはまることが、水食糧、避難住宅の確保が急務だ。
 自衛隊、海保など大型輸送艦も機能を始めたが、食料のほか、生活を維持する水電気ガス道路の復旧確保が待たれる。

 水、ガス電気など、当たり前のものが当たり前に確保享受できる隣接県民として、熊本の状況には、胸が強く痛む。

 
参考記事
 パイプ椅子で「SOS」の文字 熊本国府高校グラウンド朝日新聞デジタル
 417()1354
 追記22:00
 なお、都市部住民の苦悩については、上記の朝日の記事が出てきた。画面では、熊本中心部の中央区の避難所の高校で、水,紙、パンの不足をSOSしている。
 また火事場泥棒よろしく空き巣など窃盗事件も多発しているといるという。人の不幸に付け込む犯罪者には厳しく対処すべきだろう。

 

| 児玉昌己 | - | 12:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
傷む九州、耐える九州 深夜1時25分本震来るマグニチュード7.3
  実に経験したことのない地震が14日木曜日の21時26分から始まり3日、ここ50時間継続的に大小の揺れをもたらしながら、土曜日朝の現在も九州各県を広く襲っている。
 震度7を記録した14日の21時ではなく、今朝未明の1時25分が本震とされ、当初発表より0.2強い、マグニチュード7.3と改められた。
 久留米も本心では震度5強を記録した。照明ランプが揺れ、相互に接触し、もう少し続けば、破損していたことだ。
 マグニチュード6.4と7.3では、その爆発的エネルギーと衝撃力では、比較にならないといわれる。
 ちなみに、両者の差は16倍あるという。
 前信のブログでは、専門家の指摘を受けて、確定する前に、本震変更の可能性を見出しにしたところだった。

 私といえば、まさにナイトキャップして寝ようとするその瞬間に、本震が来た。 
 それ以降、前夜に続いて、ほとんど眠れない状況を経験した。
 しかし、直接の被災地はこんなものではないだろう。

 熊本都市部や前震の最大の被災地、益城から、左右に横断するように、震域は拡大し、一方は宇城から島原半島というように長崎に至り、他方、由布から別府に至る大分の方にも、被害が広がっている。
 テレビでは大規模な土砂崩れもみられ、愛する九州は、実に惨憺たる状況を呈している。
 大分市内在住のスティーブン・デイからはscary night indeed! と15日朝にEメイルが入り、今朝4時には、another terrible night とショートメイルが届いている。大分も、久留米もまったくそのものだ。
 今朝は天神から久留米を経て大牟田に向かう福岡南部までの大動脈というべき交通網であるその西鉄大牟田線が全面休止との情報。せっかく在来線で熊本までのラインが復旧したというニュースであったが。
 今朝から予定されている久留米つつじウォーク(10,20,40キロ)に参加する同志社校友会のメンバーからは、ウォーキング参加断念とEメイルがあり、大牟田線の運行停止を知った。
 実際、このウォーク、毎年の恒例行事で、ムーンスターやアサヒシューズなどの協賛企業もだが、主催者もつらいだろう。
 参加者の一定の割合を占める福岡市からのウォーク参加者が足を奪われているのだから。
 久留米で言えば、このブログを送信できる電気が確保され、水の供給も通常である。
 このように、特段の被害の報道がない久留米でも、この50時間で10回あまりの緊急地震速報が携帯に入っていて、一時期スイッチをオフにせざるを得ないほどである。
 それにしても、今夜の雨が怖い。家がかなり軋(きし)んで、悲鳴を上げているのだから。
 痛む九州、耐える九州。
 収束まで、なんとか耐えてほしい。
追記 9:40
 南阿蘇では直ちに派遣出動した大阪府警が救助活動に入ってる。東海大学農学部寮が倒壊し、1階部分で10名余が埋まり、1名が心肺停止とのこと。
久留米では、避難所が設置され、数百名余が自主避難しているとのことだ。
また我が家でも止めていなかった飾りが落下するなどしていた。
 11:00
 東京の娘から、そして81におなりの防衛大学校名誉教授の佐瀬昌盛先生からも安否の電話をいただいた。
 佐瀬先生が教壇に立たれた幹部自衛官養成の防大に関係して自衛隊については、震災直後からの航空機による被害確認に始まり、炊き出しなど、その活動も阪神、東日本と巨大地震を経て、安心できるほど洗練されている。
 久留米は大丈夫ですかとの、先生のお見舞いの電話には、恐縮とともに、本当に感謝である。
 因みに先生は3.11は、横須賀線のホームであの巨大震災の揺れを体験したとのことである。
 電話といえば、熊本地震発生直後に阪南大学前辰巳浅嗣先生からも、また周囲の友人たちに加えて、脇坂紀行元朝日新聞論説委員(阪大特任教授)からも電話をいただいていた。
 わが身をすこしなりとも案じていただいている方が、家族以外にもいるのを知ることほど、嬉しいことはない。
 すべての皆さんに感謝である。

 
| 児玉昌己 | - | 08:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
久留米震度5強余震 1時25分 これが本震かとも専門家
 寝ようとする直前の1時25分、緊急地震速報。
 今回の地震では久留米で最大の揺れ。  
 玄関のシャンデリア風6個の照明が相互にぶつかって、今までにない大きさ。
 5強。その後断続的に続いている。
 震源地での規模は、マグニチュード7.1で、震度7を記録した熊本の2日前の6.5より大きい。

 停電も復旧してきたということで、現地もようやく落ち着いてきたかと安堵していた中でのこと。
 久留米でもそうだから、被災地は深刻だろう。

   1メートルの津波注意報も出たというから、案じられる。
 このブログを書いている瞬間もディスプレイがガタガタと断続的に揺れている。
 
追記 2:40
 NHK報道も本格化してきた。専門家は、2日前のが前震で、今回が本震ともとらえうるといっていた。
 久留米ではまさにその通りだ。
 熊本城はずいぶん痛んでいたが、今回、櫓の一部が崩落したということだ。
 またすでに傷んでいる家屋や塀などの倒壊も進んでいるようで、負傷者が続々と病院にきているということだ。
 津波の危険はなくなったということだが、深夜の闇の中のことゆえ、案じられる。
 いい加減、地震よ、収まってくれと言いたい。
  隣接する佐賀のミヤキ町役場は避難所を設置したというメール。
 すでに3度も緊急地震速報が出ている久留米だ。次に大きなのが来れば、この地も無傷というわけにはいかなくなるかもしれない。
 
 



 
| 児玉昌己 | - | 01:54 | comments(0) | trackbacks(0) |
激震、烈震直撃の熊本・益城町そして久留米
  テレビでは熊本のシンボル、熊本城の損壊が痛ましくも、NHKヘリのカメラでとらえられている。
一夜明けて、最大の被害を受けた益城町の映像も映し出され、震度7の脅威をその甚大な被害で、まざまざと見せつけている。
 不幸中の幸いは、津波の脅威を受けなかったことである。そして翌朝の今日は好天で、気温も上がるということだろう。
 ただし、まだ倒壊現場は救助救出活動中で、ボランティアを寄せ付けない状況のようだが。

 高速も一部損壊しており、大型トラックが直前で停止している。運転手さんは、そして被災地の多くの方が暗闇の中、恐怖だったことだろう。
 死者9名、負傷者950を超え、重傷者も50名弱と報じられた。
 人口密集の大都会だったら、震度7はまさに阪神淡路と同様規模で、壊滅的惨状を呈していたことだろう。
 九州の「へそ」というべき熊本である。そして震度7
だった。だが、テレビで見る熊本の中心地は停電もなく、交通も確保され、何とか耐えていたようだ。ホテルなどはスプリンクラーで水浸しということでもあったが。
 それでも、日頃の耐震基準が徹底されていればの強靭さだ。
 未整備の国家であれば、桁違いの被害となることだろう。

 久留米のことを書くとすれば、九州を縦貫してみると、福岡と熊本両県にあって、この間にある最大の都市が久留米である。
 熊大に呼ばれて、集中講義することがあるが、黒髪キャンパスまで75キロである。長崎までは145キロ。
 実に、わずかの距離である。
 昨夜は、9時26分に始まり、気象庁の緊急地震警報が携帯で
3回着信が履歴されている。
 不気味なひろがりをもってきこえてくる地鳴りで、家もそのたびに揺れた。まずドアを半開きにし、落ち着いた後も、初めて服を着て寝たことだった。 
 古屋ゆえに、この影響を受け、雨もりも気になるところだ。
 それにしても、余震が6強とは驚愕すべきで、本震が2度起きた感じの熊本である。

 住む家をなくされた市民には、行政は、阪神、東日本とこれまでの経験もある。
 速やかな生活空間が確保されることを望むばかりだ。
 まさに震災列島日本である。原発がいかにばかげているかも改めて示してくれる。


 激震、烈震と評すべき自然災害で、不幸にして命を落とされた方々のご冥福と、ご遺族そして被災者の皆さんにたいして、改めて、お見舞い申し上げます。
参考ブログ
2015.06.01 Monday 久留米と地震のこと 火山・地震列島に住む我々
http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3843

 
| 児玉昌己 | - | 09:03 | comments(0) | trackbacks(0) |

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