児玉昌己研究室

内外の政治と日常について想うことのあれこれを綴ります。
フランスからの客人もあるので剪定 庭が生き返った 

 7月も明日で終わりだ。梅雨が明けると、庭に雑草が猛烈に茂る。

8月に入れば、フランスからクリスチャンことルケンヌ教授(パリ政治学院)が一家で来る。

 まだお互い肩書もなかった欧州大学院大学の院生時代から30年以上懇意にしてきた。

 フランスに行くたびに、フィアンセ時代から知っている彼の妻女モニックともども、私に良くしてもらっている。

 今年五月の大統領を選ぶマクロンの決選投票でもお世話になった。

 今回その彼が、早稲田に招かれている。それで、九州に誘っている。一緒に温泉を回るつもりだ。

  それもあって、今回、庭師の田中さんにお願いして、キレイにしてもらった。

 庭では桃の木がさび病で長く傷んでいた。今回、泣く泣く切断してもらった。昨年、芦書房からNHKのラジオ講座のテキストを増補する形で出してもらったが、あとがきにこの桃の花のことを書いている思い出のあるものだった。

 またこの家に移ってきたころ、あれほど見事に白い花をつけていた百日紅は、めっきり花をつけなくなった。

アリが痛みの一つでしょうということで、こちらは助言で殺虫剤をまく。

 庭の樹木も生き物だ。やれる範囲で、ゆるゆると庭の仲間と一緒に過ごしていきたい。

参考歌

2010.08.31 Tuesday  炎暑、葉月の終わりと百日紅
往く夏を 惜しみたまふや  百日紅 舞うかのごとき 白き花群れ

夏枯れの 熱の静寂(しずけさ)包みしも 清楚舞い落つ 花百日紅
                          海鳴庵/
児玉

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2499

| 児玉昌己 | - | 23:03 | comments(0) | trackbacks(0) |
イギリス2大政党の不毛のEU離脱議論と無関係に進む企業の大量出国(エクソダス)

 イギリスではメイ政権の保守党のみならず、コービン労働党の主流は、自由市場へのアクセスは確保するといいながらも、ともにEU離脱(ブレグジット)のスタンスを動かしていない。

 しかも、もたもたして始まった対EU交渉の間、何が起きているかというと、在英外国金融機関の静かなイギリスからの大量出国である。

 世界最大の再保険組合ロイズが本部をブリュッセルに移すと決めたことに続いて、シティもイギリスから欧州本部をフランクフルト移し、スペインにもその一部を移すことを決めた。 また同行のプライベートバンキングの機能の一部はスペインに移すとのことだ。

 私にしてみれば、イギリスの政界の議論についてみても、2大政党の議論は本質的には同じ結果であるとみている。

 すなわち、労働党のいうノルウエ型のソフトブレグジットも、そしてまたハードブレグジットも、イギリスの国益への極端なダメージをもたらすということである。

 昨年「海外事情」に請われて、中東特集号にもかかわらず、喫緊のテーマとして、英のEU離脱ブレグジットを書いてほしいということで、これについて分析し発表した。

 いわゆる「瞬間没的」な際物の書や論文が多い中、今も全く古くなっていないし、今後も援用されていくと自負している。

 ブレグジットとは加盟国にとって何を意味するか、その意味についてわかりやすく書いたつもりだ。また個別イギリスにとっての意味は何か、統合を連邦形成ととらえるEUの中核の独仏と、市場という便宜的存在としてとらえるイギリスの統合観についての深遠な越えがたい相違を書いた。

 おかげで、いくつか専門家にも紹介引用されている。触れていただければと思っている自信作だ。

 本論に戻って、具体的に言えば、ソフト・ブレグジットでさえも、EUの理事会での議決権を失い、EU法への関与を放棄し、しかも、ノルウェーのようにEUの単一市場へのアクセスのためにEUへの上納金を支払うことを余儀なくされる。いわんや、ハード・ブレグジットおや。

 なんのための離脱かということである。

 ハード・ブレグジットの場合、EUの外に完全に出るため、EUの対外関税の適用を受けることになる。その額邦貨換算で年間8000億円ともいわれている。 EU分担金からは解放されても、EU予算の配分も停止されることになる。

 また欧州委員会がEU全加盟国を代表して結んでいる54ものFTA交渉を一から独自に結びなおす必要に迫られれる。

 すなわちどう転んでも、合理的観点から、イギリスを田舎国家に転落させる反国家的選択だったと断言できる。

 しかも先の1年前の国民投票では、ほぼ半数の48%が離脱反対票を投じていたのである。

 離脱してもプライド以外、実利的には得るものはない。実利に敏(さと)いイギリスだが、メンツとプライドだけで、経済界や国民が納得するだろうか。イギリスの分断は深刻さを増しているとみていい。

 イギリスの国益のみならず国家を分断する、思慮の全くない決定を、自身の浅はかなメンツだけで前首相キャメロンがやったということだ。無能な指導者を持てばどうなるか、イギリスは猛烈な痛みで負うことになる。

 そのイギリスは言うまでもなく、金融立国だ。 

 昨年6月、今から3年前の2014年8月18日のフィナンシャル・タイムズの記事を引用しつつ以下書いた。

「 イギリスでは現在250以上の非英系外銀が支店を置いており、英財務省によると、同国の金融サービスは140万を雇用し、201112年では、所得税で275億ポンド、全体の12%をカバーしている。」

  上記の銀行の大量出国(Exodus)の可能性についても、2014年、すなわち3年前に以下で、報じられていたことである。

Britain's EU exit could lead to banking exodus -Financial Times. Reuters. Aug 17, 2014.

 こうした記事の一方で、以下のニューズウィークの記事も出ていた。

「ブレグジットで泣くのはEUだ 欧州「離婚」の高すぎる代償」2016824日ハリー・ブロードマン。

 私にしてみれば、ニューズウィークのこの記事も、フィナンシャル・タイムズの外交担当論説委員のギデオン・ラクマン並みの、実に軽薄な議論だった。

 ハリーよ、ブレグジットで泣くのは、EUではない。ブレグジットで泣くのはイギリスだ。その国民や銀行関係者だ。

 大手メディアの記事も、さすがに3年たった今となっては、その見通しについて、真贋が見えてくる。誰が正しいか、だれが不正確であったか、である。

 ブレグジットには、イギリスに分があるなど、論外の議論にゆめゆめ心を奪われないことだ。

 4億4千万のEUと、6400万のイギリスはハナから勝負できるはずがないのである。

 ブレグジットについては、引き延ばしで再度の国民投票の可能性もゼロでないことをスティーブン・デイ教授(大分大)や日経論説委員の瀬能さんとメイルでやり取り、話し合った。

 私の見通しをいえば、リスボン条約50条に従い、時間切れで、ギロチン条項が発動され、最悪のno dealとなるとみている。メイは、「悪い取引なら、ないほうがいい」 ( if bad deal, better no deal)といっているから、それをなおさら強くさせる。

 EU統合推進の立場に身を置く私個人で言えば、一度わが身の激越な痛みで、EU統合の意味をイギリスの政治家や国民が体感するのがいいと思っている。

 でないと、不満と怒りを抱えたままの中途半端なイギリスのEU復帰は、EU統合とユーロの安定化に百害あって一利なし。

 中途半端なイギリスのEU復帰は、マクロン登場で深まる仏独連携で、連邦主義的深化を確実に進めているEU統合の妨げとなり、EU統合に不安定材料を持ち込むことがはっきりしているからである。

 EUはユーロの安定化などさらなる連邦的主権を整備した統合深化が必須であり、必然である。ポンドに固執するイギリスには、利害の共通性はすでになくなっているのである。

 参考記事

2017.05.13 Saturday  ユーロ圏議会構想をマクロンとショイブレが協議 EU懐疑論者を青ざめさせるユーロ圏における連邦通貨主権創造への一歩

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4250

Possibility of ‘Brexit’ threatens London’s prospectsDublin seen as alternative for US banks to UK capital. Financial Times. August 18, 2014.

米シティ、週内にフランクフルトをEU本部に選定へ2017 07 18

米シティ、英離脱で一部事業をスペインに移転へ=関係筋2017 07 28

Lloyd’s of London Picks Brussels for Post-Brexit EU Headquarters

https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-03-30/lloyd-s-of-london-picks-brussels-for-post-brexit-eu-headquarters

参考ブログ

2017.04.03 Monday英のEU離脱Bexit をタイタニック沈没になぞらえた動画

http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20170403

2014.08.25 Monday金融部門のExodus(大量出国)の危険  FTが報じたキャメロンが進めるEU離脱の悪影響

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3726

2017.03.31 Friday ついに329日イギリスEU離脱の意思を欧州理事会に通告 次はgreat repeal bill

http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20170331

参考文献

 児玉昌己「英のEU離脱の衝撃−連邦的統合深化を拒絶した英」『海外事情』(拓大海外事情研究所)20169月号

 

| 児玉昌己 | - | 01:02 | comments(0) | trackbacks(0) |
男女共に祈るモスクの話

 英紙ガーディアン7月26日付はベルリンのモスクで、ブルカもニカブも拒否し、男女が共に祈れる革命的というべきモスクが開設されており、イギリスでもそれが開設される計画があるという記事を載せている。以下がそれだ。

Liberal Berlin mosque to stay open despite fatwa from Egypt

Seyran Ateş’s Ibn Rushd-Goethe mosque allows men and women to pray together and rejects burqa and niqab Wednesday 26 July 2017.

中心となっているのが、トルコ生まれの人権派法律家Seyran Ates女史という。

 エジプトではカイロ大学が、あまり好きな表現ではないが世俗的な権威、他方アズハル大学が教義、教学上のメッカといわれる。

 そのファトワ(教え)にもかかわらず、すなわち教義に反することは生命の危機もありうることを意味するのだが、それでも自由モスクの開設の努力をしていると同紙は伝えている。

ブルカもニカブも目だけを開けて、すっぽりと全身を覆うもので、テロリストの識別も困難になる。それで、EU加盟国でもこれを公共の場で着用するのを禁止する動きがある。

 先ごろカイロ大学での国際会議を終えて、戻ったが、開放的なエジプトでは、ニカブやブルカはどちらかといえば少数派で、髪だけを覆うヒジャブ姿の女性が多く、教義上の要請に柔軟に応えるということもあるが、これはファッションそのものだと思えるほどにもカラフルだった。

21世紀は人工知能や情報革新の時代であるが、同時にアラブ、イスラム世界においては、その理解と運用が厳格化され、その狂信的極地がISというアンビバレントな時代でもある。

キリスト教的な論理に立つと、女性差別ではないかという疑問があり、それは話題となったフランスのウエルベックの「服従」などのイスラム描写の基礎ともなっている。

それゆえにこそなおさら、このニュースは、イスラム世界の柔軟さを知ることができ、ある意味、積極的な驚きだった。

 参考ブログ

2015.12.13 Sunday ウエルベックの「服従」(Soumission)を読む

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3941

| 児玉昌己 | - | 22:39 | comments(0) | trackbacks(0) |
我が家にダイキンのエアコンきたる 

 7月の13日から、エジプトはカイロ大学の日本研究所の創設を記念した、両国の近代化の比較をテーマとした国際シンポジウムがあり、その報告のため出張していた。

 この間に、九州では梅雨が明けていた。セミが鳴き、そして激しい夏の夕立ち。夏は海が、そして涼が恋しい季節だ。

 テレビでは、エアコン需要が急上昇とのこと。

 国家の利益を語りつつ、実は私的利益の追求という公私混同の極みともいうべき政権運営でついに支持率26%となった安倍政治に血が上る人も多い日々だが、それに加えて、この連日の猛暑。

 我が家も、新聞にデカデカと出ていた宣伝も頭に残っていて、今現在、古くから懇意にしている長崎の電気店店主のHさんに頼んで、ダイキン工業の家庭用エアコンをもってきてもらい、取り付けてもらった。

 ダイキン工業といえば、ベルギーの工場を中心に欧州でも積極展開している老舗の空調会社である。 

 今回はダイキンを指名買い。理由ははっきりしている。

 この会社はその昔大阪金属工業といっていたが、戦前、戦艦大和1937年竣工、最終乗員3332)や伊号潜水艦の空調を手掛けたことで知られる。

 佐世保に育ったこともあり、帝国海軍については関心が高い。ただし、この会社のエアコンは長く業務用が主力であり、我が家にはこれまで縁がなかった。

 それで今回ようやくという感じだ。

 当初、今日のブログのタイトルは「我が家に戦艦大和、伊号潜水艦きたる」としようかとも思った。が、あまりに刺激的で誤解も生みかねないからやめた。

 この会社には、帝国海軍時代のこととは別の、思い出がある。

 30数年前、ベルギーのブルージュにある欧州大学院大学で、院生としてEU(当時EEC)を徹底して学んだ。

 その後20年余りの時を経て、再び今度は客員教授として、在外研究を受け入れてもらった。

 その頃、味がよく、値段も手ごろな中華料理店があった。「上海」という名で、この店をひいきにしていた。

 その店のことが関係している。

 その「上海」には、およそ上手とは言えない手書きの日本語メニュがあった。

 ただ、それによって、中身が一目瞭然で有り難く、だれの手になるものか尋ねたら、同じくその店をひいきにしているダイキンの社員さんたちによるものだった。

 そんなことで、ダイキンは印象に残っていたのだ。

 ここ数年、ダイキンは幸いにして、家庭用にも力を入れていて、アグレッシブな価格を新聞で提示している

 自動クリーニング機能や省電が売りだ。

 しかも、かつてのダイエーと松下の商品取り扱いと同様、ヤマダ電機ではダイキンは扱っていないということ。

 それで古くからのなじみの店に取り付けをお願いしたのだ。

 ともあれ、炎熱のカイロから戻り、日本でも炎暑。そして不快指数120%の安倍政治。

 せいぜい自衛手段として快適な空間を確保したい。

 実際、これが弁護士出身かと思わせるほどにも自衛隊法も知らず、自衛隊を特定の政党の私物のごとき言説を平然となし、都議会選挙で大敗しつつも、その責任も問わない政治と指導者を観つつ、不快指数は上がるばかりだ。

 70有余年前、太平洋戦争の戦火に散った帝国海軍の艦船と将兵のことに思いをはせつつ、私的空間だけでも、なるべく快適に、である。

参考ブログ

2010.09.10 Friday「寿命は成績順」の衝撃 上下 海兵時代を述懐される哲学者木田元先生 日経私の履歴書

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2507

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2508

2010.09.10 Friday 海兵(海軍兵学校)について コメントを頂く

http://masami-kodama.jugem.jp/?day=20100910

 2017.07.20 Thursday 7月13日から19日まで、エジプトはカイロ大学に出張していました

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4278

 

 

| 児玉昌己 | - | 10:36 | comments(0) | trackbacks(0) |
カイロ炎熱、紺碧のアレキサンドリアなどを詠む 海鳴庵児玉 

灼熱の7月の大都市カイロ。そしてヒジャフ、チャドル、そして地中海に広がる海浜都市アレキサンドリア。今回のカイロ大学出張も大いに視野を広げてくれた。それらを詠む。

 

エジプトの 大地を焦がす 陽光は 遠慮容赦も ありもせず焼く

 

 

幼子を 胸に抱くは 黒ベール 眼差し優美(やさ)し チャドルの間に

 

 

ヒジャブ巻き 御髪(おぐし)は深く 隠れしも 黒き瞳は 慈愛に満ちて

 

 

隊商も おそらく叫びし アクバルと  眼球(まなこ)輝く 紺碧の地中海(うみ)

 

 

炎熱の 煌(きら)めく射光 脳を焼き カイロ残照 今も瞼に

 

                       海鳴庵児玉

 

 

 

| 児玉昌己 | - | 22:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
7月13日から19日まで、エジプトはカイロ大学に出張していました

7月13日から19日まで、エジプトはカイロ大学に出張していました。

大学のホームページにも掲載されていましたが、同大学文学部日本語学科に日本研究所が開設され、その記念の国際シンポジウムを久留米大学との共催で開催したためのものです。

https://www.kurume-u.ac.jp/site/backno/20170713-02.html

広島大、東北大、東京外語などわが国の著名大学の専門家も参加し、日本とエジプトの近代化比較を、政経、文学、言語、思想、教育など広範囲の分野で扱い、実に充実かつ、中身の深いシンポジウムになりました。

 同地の日本大使香川全権大使も列席され、夜は同大使館主催の懇親会も開催され、和やかなひと時を過ごしました。

 43度平均という、現地の人もげんなりの炎暑の中、何とか無事勤めを終えて、帰着しました。

 明日は通常授業です。

 タフでないと大学の教員などやってられません。 

 インターネットの関係で、1週間ほど書けないのはつらいことでした。ともあれ、ボチボチ、カイロ日記も書いてみたいと思います。

 

| 児玉昌己 | - | 00:36 | comments(0) | trackbacks(0) |
祝 逆転ホームラン、沖ノ島8遺産全て世界遺産登録 

 連日の豪雨禍で重苦しい雰囲気に支配されているここ福岡県であるが、ポーランドのクラクフからビッグニュース。

 沖ノ島の世界遺産登録については、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関で、構成8資産のうち、4資産について「除外」の事前勧告が出されて、関係者には、危機感が広がっていた。

 だが、上位機関の世界遺産委員会はこれを退け、すべてを認定した。日本外交の巻き返しというべきで、逆転ホームランだ。

まさに宗像大社の霊験あらたかというべきであろうか。

朝日新聞によれば、今回の登録で国内の文化遺産は17件、自然遺産と合わせた世界遺産は21件。九州からは2015年の「明治日本の産業革命遺産」(九州・山口地域など8県)以来となる。

| 児玉昌己 | - | 18:29 | comments(0) | trackbacks(0) |
線状降雨帯 迫る紅のドットの脅威を詠む 海鳴庵児玉

 紅い帯状の豪雨の迫りくるドット 線状降雨帯の脅威を詠む

 

 織姫も つゆぞ 浮かばぬ この赤の ドット迫るや  線状降雨

              海鳴庵児玉昌己

 

2017年前半海鳴庵児玉昌己句歌集

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4198

| 児玉昌己 | - | 19:20 | comments(0) | trackbacks(0) |
九州北部の記録的豪雨 被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます

 朝倉、日田など大自然の猛威というべき記録的豪雨の被害に遭われた方に、心より、お見舞いを申し上げます。

久留米の市街地は、幸いにして、大きな被害はでなかったようで、目の前の側溝にも水があふれることもなく済みました。

 ただ深夜、雷鳴がひどく、就寝もままなりませんでした。今も、この地は大雨警報は継続しています。

 ともあれ、無事かと遠隔地より、連絡いただいた皆様に感謝申し上げます。

 それにしても、「湿舌」として語られることはあったものの、「線状降雨帯」、新しい言葉でしたが、真っ赤なドットが迫る天気予報図には肝を冷やしました。

 大学はすでに午前中休講が出ていましたが、10時を過ぎて全日休講が発表されたとのことです。

 

| 児玉昌己 | - | 09:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
仏マクロン政権誕生を再現するかのごとき都民ファーストの圧勝 民進の体堕落  次は国政が主戦場となる

 ちょうど1年前の都知事選につづく、都議会選挙。都民ファースト圧勝の報道を観つつ、この5月と6月のマクロン政権の誕生と国民議会選挙での新党圧勝をもたらしたフランス政治の地殻変動を追体験している想いだった。

 フランスではこの5月マクロンがルペンに大差をつけ大統領となった。しかし、政治は一人では動かせない。

 舞台は国民議会に移り、1年前には存在もしなかった彼の急ごしらえの政党「共和国前進」が、友党の「民主運動」とともに、議席の6割を占め、政権が盤石となった。

 このマクロン同様、政府与党を出て、都民ファーストという新党を全く一から小池百合子が立ち上げ、そして今回、都議会(定数127、過半数64)に、反安倍、自民勢力と公明を合わせて、79という圧倒的多数の議席を得ることになった。

 たしかに、フランスと東京の両者には、マクロンは国政、他方、小池は都政とレベルの相違はある。

 だが、民主主義国家における選挙。民主国家においては、独裁国家とは異なり、長期の政治的支配はあり得ないことをまさに示すものだった。

 しかも、例えば、仏社会党、仏共和党など、歴史ある政権与党を経験した大政党があっという間に勢力を落としたということでは、両者は共通性を持つ。

 ルモンドによると、240議席失い大敗した仏社会党では、大統領の公認候補だったブノア・アモンまで、7月1日離党した。

 今度の都議選は、単に都議選という東京の地方選挙ではなかった。都民が国民を代表して、安倍自民にノーを突き付けた選挙だといえる。

 だからこそ現有議席の6割を失う今回の東京自民の大敗が生まれた。単に都政の問題ならば、こうした数字はあり得ないし、ムードとしての反安倍を超えた、安倍政権自体への怒りとして初めて考えうる事態である。

 現有自民都連の公認候補者は57から36ものの落選者を出した。日替わり弁当というべくも問題を連発し、そのレベルを国民に露呈した自民の国会議員とその責任を問わない安倍首相自身を彼らは恨むしかない。

 実際、はるか年上の秘書を「ハゲー、死ねば」とか、ののしる東大出ながら前代未聞の品格の低さを露呈した女性議員がいた。

 そしてまた教育勅語を信奉し、A級戦犯合祀の靖国に詣で、法のエキスパートの弁護士であるにも関わらず、自衛隊法(第1条の規定)もまともに読んだことがなく、政治を超えた中立的存在である自衛隊を自民党の私物とする発言をする閣僚がいまだにいる。だれが見ても不適格というべき大臣である。

 しかもこの稲田の場合、これほどの大敗の責任の多くを占めているにもかかわらず、安倍はその温存にかたくなに拘(こだわ)っている。落選した議員候補は、安倍首相を恨むしかない。

 今度は当然、都民ファーストは国政に進出してくる。 これに火が付くとき、自民の終わりの始まりとなる。

 ちなみに都議選では7つの選挙区が定員1名の小選挙区。全議席を独占していた自民は島部をのぞいて、全滅だった。

 小選挙区制度での総選挙であったなら、2009年の悪夢の再来となったはずだ。小選挙区制度はかくも異様に議席が上下、左右に触れ、著しく政治を不安定にするのである。

 都議選が基本的に中選挙区制度(本質的には大選挙区)であるがゆえに、まだ自民の議席減がこの程度で済んでいるのであることを知るべきであろう。

 これだけの都民の不満を蓄積している傲慢な政治の本質的理由は、まさに国会議員選挙における得票率と獲得議席の異常な乖離をもたらす小選挙区制度で生まれた安倍政権にある。

 都民の都政における政治的な大変革の背後には国家の政治があり、それが近未来において、都民ファーストから、国民ファーストに押し上げていく論理必然性を持つ。

 今度の都議選では、自民のみならず、民進の敗北も指摘すべきだろう。

 自民の大敗が語られるが、民主から名を改めた民進もまた、5議席と2議席失い、公明はもとより、共産の足元にも及ばない結果となった。

 すなわち、政権与党に代わるの受け皿に全くなりえていないことも、明らかになった。いや解党を予測させるというべき数字である。

 実際、わずか7年前、2009年8月の総選挙で、圧勝し、自民から初めて政権を奪取し、あれだけの機会を得えながら、行政を「仕分け」という名の見世物のショーに引きずり出し、これに敵対し、これをうまく使えず、指導者の無能ぶりが露呈され、2012年12月の第46回総選挙で安倍自民に惨敗した。

 このときの民主の政治といえば、落選し、引退し、あっという間に政治舞台から消えてしまった仙谷官房長官などによる尖閣・海保事件にみられるような情報秘匿と、強権的政権運営に終始していた。

 野に下ってもその失敗を振り返ることもなく、国民、そして都民から見放され、現在都議選に見るその体たらくを迎えている。 

 実際、その民進といえば、民主党大敗の「戦犯」というべき指導者が、責任をとることもなく、ゾロこの党の中枢に居座っているから、当然といえばいえる。

 右か左か自己の立ち位置が全く不明となったこの政党、完全に政治における意味を消失したといえる。これに進んで吸収された旧社会党関係者の責任も大きい。

 自己の過去の政治的実績のお粗末さを顧みることもなく、国籍問題さえ簡単に回答できなかった指導者が、あつかましくも自民を攻撃しても、誰も相手にしない。賞味期限切れとはこれをいう。

 若い人は知らないかもしれないし、年配の世代も忘れているかもしれないので、当時のブログを下記に掲示しておこう。

 どんな政治をすれば、国民が怒るか、理解できるだろう。

 森友、加計学園にみる情報秘匿、そしてその対処や、人事任免権では自らの責任をまるで問わないという強権的姿勢において、今の安倍政権は、あのでたらめだった民主政権とでまるで同じである。

 今回の都議選で言えば、自民も民進に対しても、都民は、歯牙にもかけず、実に無慈悲な懲罰を与えた。

 安倍政権は傲慢になり、情報を開示せず、説明責任も、実際の責任も取らず、居直るというその政治的現状を見るにつけ、民進(旧民主)がたどった道を再現している思いがする。

 ともあれ、フランス同様、由緒ある政党が勢いをなくし、そして、女性、人権、平和、格差是正、積極的な情報開示と適正な行政執行についてフレッシュな感覚をもつ国民目線の新党に期待が集まる。

 フランスにおいても、日本においても21世紀に相応する政治が生まれつつあるということで、古びた政権与党の独裁的手法と決別する時代が到来しつつあるということだ。

 欧州政治の研究者としては、国政への都民ファーストの進出と政界再編の動きが今後注視されるところだ。

敬称略

参考ブログ

2017.05.27 Saturdayおごれるもの久しからず 傲慢になる安倍政権

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4257

2017.06.19 Monday 2017年フランス国民議会選挙決選投票関係データと党派別獲得議席 

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=4268

2011.06.07 Tuesday ルーピー」と「ペテン師」 菅直人政権の終焉 上、下

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2844

2012.12.18 Tuesday これが小選挙区選挙の実態だ 上、下 死票は3730万票、死票率56.0% 虚構の2大政党制

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3355

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=3356

2010.11.20 Saturdayあきれるばかりの閣僚たち  続く最小不幸社会ならぬ極大不快政治 上、下

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2596

2010.01.18 Monday尋常ならざる民主党 1-6

http://masami-kodama.jugem.jp/?eid=2185

 

党派別当選者数

自民

公明

共産

民進

都民フ

ネット

維新

社民

諸派

無所属

合計

23

23

19

5

55

1

1

0

0

0

127

(現)

21

19

11

3

11

1

1

0

0

0

67

(元)

0

0

0

1

5

0

0

0

0

0

6

(新)

2

4

8

1

39

0

0

0

0

0

54

(現有)

57

22

17

7

6

3

1

0

0

13

126

 

2017都議選 投開票タイムライン(毎日新聞)

https://mainichi.jp/senkyo/2017togi/timeline/

 

| 児玉昌己 | - | 09:20 | comments(0) | trackbacks(0) |

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